インタビュー
[インタビュー]米国大手プロレス団体AEWで活躍する坂崎ユカ選手,KONOSUKE TAKESHITA選手に「AEW: Fight Forever」の完成度を聞く
自身がゲームに登場するという稀有な体験を果たした坂崎選手と,ゲームをきっかけにプロレスに興味を持ちアメリカへの憧れを募らせたという竹下選手。いずれもここでしか聞けない貴重なエピソードが山盛りなので,DDTプロレスリング「WRESTLE PETER PAN 2023」で実施されたゲーム体験イベントのレポートと合わせてご一読いただきたい。
「AEW: Fight Forever」公式サイト
坂崎ユカ選手,KONOSUKE TAKESHITA選手が本作の魅力を語る
【坂崎ユカ選手】
4Gamer:
AEWには2019年の旗揚げ戦から参戦されていますが,坂崎選手から見たAEWはどのような団体でしょう。
坂崎ユカ選手(以下,坂崎選手):
プロレス好きの人達が”自分が思い描く理想のプロレス”を突き詰めた集団じゃないかと思っています。なので,選手達は非常にリラックスして自由にものが言える,すごくいい団体だと思っています。
4Gamer:
AEWジャパンのTwitterにはバックステージでくつろぐ選手やスタッフの様子がよく投稿されていますよね。
坂崎選手:
はい。日本人選手が参戦していることも多いですしね。
4Gamer:
坂崎選手ご自身として,ゲームに登場するという話を聞いたときはどんな気持ちでした? 坂崎選手のリングネームもゲーム由来ではありますが(※KOFシリーズのユリ・サカザキが元ネタ)。
坂崎選手:
最初はビックリして「え! え!」って言葉が出ないくらいでした(笑)。ゲームの製作途中に話を聞いたんですけど,デモ映像を見るまでは実感がなかったです。でも,自分がゲームに出られるなんて,人生でなかなかないじゃないですか。気持ちが落ち着いたら,「ずっとゲームの中でプロレスラーとして生き続けられるんだな」って嬉しい気持ちが湧き上がってきました。
4Gamer:
発売されたゲームはプレイしました?
坂崎選手:
しました! Nintendo Switch版をプレイしているんですけど,私の指の覚えが悪くてなかなか自分の技が出せないんですよ。なので,ひたすら相手を殴っています(笑)。
4Gamer:
坂崎選手のフィニッシャー,とくに“魔法少女にわとり野郎”は,出すまでの手順がちょっと難しいんです。
坂崎選手:
やっぱりそうですよね! ぜんぜん飛べなくて「自分なのにうまくいかんわなぁ〜」って。里歩さんの蒼魔刀やスティングさんのスコーピオンデスドロップなんかは出せたんですけど。東京女子プロレスにはゲームの得意な選手が多いので代わりにプレイしてもらったんですけど,「これは(技を正確に出すのには)修行がいるね」って。
4Gamer:
プレイした選手から感想は聞けました?
「ねぇねぇ,試合中に踊ってるんだけど!」って言われました(笑)。どうやらアピールの動きみたいなんですけど,そりゃ試合に負けるよねって。でも楽しんでもらっているみたいで嬉しいです。
4Gamer:
ゲーム中のボイスにも坂崎選手の声が使われていますね。
坂崎選手:
私の声は特殊らしく,ありものの声だとどうしても“坂崎感”が出なかったらしくて,わざわざ収録していただけることとなりました。台本はとくになくて「好きにしゃべっていいよ」とのことだったので,試合中にしゃべっているようなことを吹き込みました。どんな動きをしているかという映像は見られたので,重いものを持ち上げたときの声を発したり。
4Gamer:
ずっとかわいい声のままなので,実際の試合後半で聞ける迫力ある声は会場や配信で聞いていただいてですね(笑)。
坂崎選手:
あはは(笑)。あの声は実際の試合中じゃないとなかなか出せないですねー。
4Gamer:
少しゲームから離れたお話も聞かせてください。12月1日の後楽園ホール大会をもって東京女子プロレスからの卒業,その後の海外活動を発表されました。その先の予定というのは?
坂崎選手:
まだ未定ではありますが,これまでコロナ禍で日米を行き来しづらい中でも日米両方での活動を許してくれたAEWに恩返しがしたい気持ちはあるので,許される限りは試合に出場したいと思っています。
4Gamer:
これからも坂崎選手の活躍が見られそうで安心しました。ところで,AEWでの試合ならではの難しさなどはありませんか? 例えばリングのサイズも日本より大きいですよね。
坂崎選手:
そのあたりは,女子選手の体格だととくに影響がありますね。まず走るときの歩幅が違うので,スピードの乗り方が変わるんです。ロープが当たる位置も違うので反動がうまく使えなかったり。そこはもう,長く出続けて慣れるしかないかなと。(アメリカに拠点を移した)さくらえみさんのようにドッシリと。
4Gamer:
食生活などの不安はありませんか?
坂崎選手:
渡米中は基本自炊をしているので大丈夫です。外食は値段が高いですし,揚げ物が多くてカロリーコントロールが難しいですし。AEWの場合は試合会場に選手やスタッフ用のケータリングがすごく充実しているので,そこは嬉しいですね。でも,甘いもの好きでクッキーばっか食べちゃうんですけど(笑)。
4Gamer:
最後に,読者に向けて本作の魅力をアピール願います。
坂崎選手:
選手の再現度もすごいんですけど,試合会場やバックステージまで細かく再現されています。試合映像だと見られないところまで見られるので,プロレス好きな人はぜひ遊んでほしいです。笑っちゃったのがロード中の説明書きで「クリス・ジェリコと坂崎ユカには共通点があります。それは自分の歌で入場してくることだ」っていうのがあって(笑)。思わず「その情報いる?」ってツッコんじゃいましたけど,そういう着目点もあるんだなって。
4Gamer:
ありがとうございました。復帰とさらなるご活躍を楽しみにしています。
【KONOSUKE TAKESHITA(竹下幸之介)選手】
4Gamer:
ご自身が所属している団体がゲームになるという話を聞いてどう思われました?
KONOSUKE TAKESHITA選手(以下,竹下選手):
僕自身はゲームには実装されていないんですけど,まず自分がいる団体が,団体の名前を冠したゲームとして発売されるという体験が初めてで,非常に嬉しかったです。顔見知りどころか,自分と対戦した選手たちが登場しているわけじゃないですか。ですから,プレイが楽しくてしょうがないですね。
4Gamer:
先々,もしご自身がDLC選手として登場したら?
竹下選手:
それはもちろん嬉しいです。ゲームが好きなプロレスラーなら,誰もがプロレスゲームに登場したいという夢を持っていると思うんです。それがこのゲームで叶うといいなと思っています。
4Gamer:
発売されるプロレスゲーム自体の数も一時期に比べるとどんどん減っていますから,チャンスが巡ってくる機会も少なくなってしまいましたね。
竹下選手:
そうなんですよ。僕がデビューした2012年以降は減る一方です。2017年に「ファイヤープロレスリング ワールド」が出るとなって,「今度こそいよいよ出られるか!」と思ったら架空のレスラーしかいないっていう。自分のファイプロネーム(※実在のレスラーの名前をもじった名前)が何になるのか楽しみだったんですけどね(笑)。
4Gamer:
プロレスゲームとして思い入れのあるタイトルは?
竹下選手:
ゲームが好きな小学生だったので父親が持っていた「新日本プロレス 闘魂列伝2」をプレイしたのが最初でしたね。よく使っていたグレート・ムタや獣神サンダーライガーは仮面ライダーのような架空のキャラクターかと思っていたら,お父さんが借りてきたレンタルビデオにホンモノが出ていることに衝撃を受けて。そこからプロレスにのめり込んでいきましたね。
その次に思い入れがあるのは,自分で実際に買った「エキサイティングプロレス2」。知っているプロレスラーは一人もいないけれど,どうやらこれがWWEというモノなんだということを知って,そこから実際の試合にもハマっていって。「いつかアメリカで活躍するレスラーになりたい」と思ったのが……確か小学1年とか2年生のころですね。
4Gamer:
まさにプロレスゲームがプロレスそのものへの興味を広げてくれたと。
竹下選手:
ホンマそのとおりです。プロレスゲームに出会わなかったら,きっとプロレスラーにはなっていなかったでしょう。
4Gamer:
さて,すでにゲームをプレイされているとのことですが,どこに魅力を感じましたか?
竹下選手:
ビギナーでも基本的な技は出せるんですけど,全部の技を,とくにフィニッシャーを出すのにはコマンドを覚えるというやりこみ要素があるんです。格ゲーマニアなケニー・オメガがプロデュースしているだけのことはありますよ。選手ごとの独特なスキル,例えばオレンジ・キャシディだったらズボンのポケットに手を突っ込んだまま戦うといった再現度は,発売までの約3年間という期間を妥協せずに作り込んだからこそ実現できたのだと思います。
4Gamer:
お気に入りのレスラーはいますか?
竹下選手:
使っていて楽しいのはペンタ・セロ・ミエドやレイ・フェニックスといった飛び技のあるマスクマンですね。日本人女子選手の里歩さん,志田 光さん,坂崎ユカさんも使いますよ。屈強な男子選手を倒すのも楽しいですね。
4Gamer:
ではいずれはオンライン対戦にも挑戦を。
竹下選手:
今は選手ごとの技や動きを覚えているところなんです。強くなってからじゃないと,オンラインで遊んでもフラストレーションが溜まってしまいそうで。やっぱりやるからには負けたくないですから(笑)。
4Gamer:
容姿や技をエディットしてオリジナルの選手が生み出せるクリエイトモードもあります。
竹下選手:
まだほんの触りしかプレイしていないんですけど,それでもものすごいこだわりを感じてます。「分かってんなー!」と思うのが技や入場曲の多さ。この1か月は大きな試合が多かった(7月23日にはケニー・オメガ選手や飯伏幸太選手らのチームと金網マッチで対戦したばかり)ので,これから本腰を入れてエディットしますよ。試合会場のバックステージでも遊んでいる選手からストーリーモード“Road to Elite”が面白いという話を聞くので,これはいよいよスカイマン(※子供時代の竹下選手がプロレスゲーム用に生み出した架空のマスクマン)をクリエイトして参戦させるしかないかなと(笑)。
初公開の実機プレイに現役レスラーも大興奮。「ファイプロ」トークイベントレポート
4Gamerは5月31日,LOFT9 Shibuyaにて「飛び込め! 『FIRE PRO WRESTLING WORLD』」と題したトークイベントを開催した。シリーズ最新作「FIRE PRO WRESTLING WORLD」の実機プレイが世界初お披露目されるなど,盛りだくさんの内容となったこのイベントの模様をレポートする。
4Gamer:
毎週2回は全米各地でAEWの大会が開催されるだけに,移動がたいへんかと思いますが,旅のお供としてゲーム機を持ち歩いたりも?
とにかく移動時間が長いので,Nintendo Switchは手放せないですね。先日も「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」をクリアしました。メインストーリーをクリアしたら燃え尽きてしまったので,祠をすべて出すまでは行ってませんけど(笑)。
4Gamer:
生活拠点をアメリカに移してみて,何かご自分の中で変わったことはありますか?
竹下選手:
ほかの人からの見え方はどうあれ,「観客を熱狂させる」というリング上での僕自身はなにも変わっていないです。どちらかというと人生観のほうが変わったかもしれないですね。自分という28歳の人間がプロレス界において“何者かになれたのか”。プロレスの歴史書があったとしてオレのページはあるのかよ,と。
渡米した直後は「自分がまだ何者にもなっていなかった」と思い知らされましたけど,この1年で何者かになれる手応えは掴みました。だから日本にいる同世代の選手には,一度きりの人生でいろんなことに挑戦してほしいです。日本は楽しいし居心地がいいし,ご飯も美味しいから居続けちゃう気持ちも分かるんですけど。
4Gamer:
ありがとうございました。アメリカでのさらなるご活躍を期待しています。最後に,読者に向けて本作の魅力を今一度アピールお願いします。
竹下選手:
テレビや配信でおなじみのAEW選手を使って自由に戦うことができるゲームなので,プロレスファンの人には間違いなく楽しんでもらえます。プロレスをよく知らない対戦好きなゲーマーの方にも楽しんでもらえるクオリティなので,このゲームをきっかけにプロレスを好きになってもらって,AEWを視聴してくれたらうれしいです。
DDT両国大会でのサイン会は大盛況。坂崎ユカ選手は電流爆破デスマッチでボロボロに!?
7月23日に東京・両国国技館にて開催されたDDTプロレスリング「WRESTLE PETER PAN 2023」。3000人以上の観衆を集めたこのビッグマッチに,「AEW: Fight Forever」の特設ブースが出展された。
特設ブースの目玉となったのは坂崎ユカ選手,KONOSUKE TAKESHITA選手によるサイン&撮影会。当日会場でPS4,またはPS5版のパッケージを購入した人を対象としたものだが,米国に軸足を移したTAKESHITA選手,現在は欠場中の坂崎選手と交流できるとあって,開始前から大行列ができる盛況ぶりとなった。
「AEW: Fight Forever」公式サイト
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