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AIユニット内蔵のデスクトップPC向けAPU「Ryzen 8000G」発表。内蔵GPUはGeForce GTX 1650に匹敵する性能を有する
実用的な3D性能を持つGPUを統合したAPUとしては,2021年4月に発表となったSocket AM4プラットフォーム向けの「Ryzen 5000G」以来の新製品ということになる。発売は1月31日予定だが,本稿執筆時点で価格は明らかになっていない。
本稿では,AMDの事前資料を元にRyzen 8000Gの概要を簡単に紹介してみたい。
ノートPC向けのAPUをデスクトップに転用したRyzen 8000G
Ryzen 8000Gシリーズは,Socket AM5に対応するデスクトップPC向けのAPU製品だ。
Socket AM5向けとなる現行の「Ryzen 7000」シリーズにも,GPUが統合されているが,今どきの3Dゲームが実用的に動作する性能ではなく,Windows 11のデスクトップアプリが利用できる程度の性能しか持っていない。それに対して,今回のRyzen 8000Gシリーズは,「GeForce GTX 1650に匹敵する性能」とAMDが豪語する,RDNA 3アーキテクチャに基づいたGPU「Radeon 700M」シリーズを統合しているのが特徴となる。
発表となったラインナップは4製品。ただし,最下位モデルの「Ryzen 3 8300G」はPCメーカー向けなので,ゲーマーが単体で購入できるAPUは,それ以外の3製品である。
8コア16スレッドの最上位モデル「Ryzen 7 8700G with Ryzen AI」(以下,Ryzen 7 8700G)と6コア12スレッドの「Ryzen 5 8600G with Ryzen AI」(以下,Ryzen 5 8600G)は,製品名にあるようにノートPC向けの「Ryzen 7040」シリーズや「Ryzen 8040」シリーズと同じく,AIアクセラレータ「Neural Processing Unit」(NPU)が統合されており,AI機能「Ryzen AI」を利用できる。AMDは「Ryzen 8000Gは,AI機能を搭載した初のデスクトップPC向けAPU」だとアピールしている。
AMDによると,Ryzen 7 8700GおよびRyzen 5 8600GにおけるNPUの動作クロックは1.6GHzで,「これはRyzen 7040シリーズよりも高く,(2024年第1四半期に発売予定の)Ryzen 8040シリーズと同じ」だそうだ。
統合GPUも,Ryzen 8040シリーズと同じくRadeon 700Mシリーズなので,つまりRyzen 8000Gシリーズは,ノートPC向けのRyzen 8040シリーズをSocket AM5向けに転用した製品と考えてよさそうだ。
統合GPUのラインナップは,Ryzen 8040/7040シリーズと同じで,Compute Unit(CU)数12基の最上位GPU「Radeon 780M」から,CU数8基の「Radeon 760M」,そしてCU数4基の「Radeon 740M」となっている。
というわけで,最上位のGPUが統合されているRyzen 7 8700Gでは実用的なゲーム性能を有すると,AMDは大いにアピールしている。
次のスライドは,IntelのノートPC向け第13世代「Core i5-13400F」と,単体GPUである「GeForce GTX 1650」を組み合わせたPCと,Ryzen 7 8700GをフルHD解像度,グラフィックス品質「低」における主要ゲームのフレームレートや一般アプリの性能を比較したものだ。ゲーム性能では肩を並べながら,CPU性能はRyzen 7 8700Gに軍配が上がるという。
もちろん,Socket AM5対応のデスクトップPC向けAPUなので,統合GPUのゲーム性能で物足らなく感じれば,あとから単体GPUを追加することも可能とAMDは強調している。将来のアップグレードが可能で,かつ65Wという扱いやすいTDP(Thermal Design Power,
Socket AM4にも新たなCPU/APU製品を投入
Ryzen 8000Gと合わせて,Socket AM4向けにも新たな製品が発表となった。もっとも注目に値するのは,「3D V-Cache」を実装した「Ryzen 7 5700X3D」だろう。
Ryzen 7 5700X3は,Zen 3アーキテクチャベースで8コア16スレッド対応のCPU「Ryzen 7 5800X3D」(最大4.5GHz)の低クロック版だ。AMDによると,3D V-Cacheが効果を発揮するために,ゲーム性能はRyzen 7 5800X3Dとほとんど変わらないとのこと。つまり現在のCPU市場においても,非常に優れたゲーム性能を持つわけだ。なおかつ,北米でのメーカー想定売価が249ドル(税別)と,手頃な価格なのも特徴だ。
そのほかに,Ryzen 7 5700Xの低クロック版となる「Ryzen 7 5700」(メーカー想定売価175ドル)や,「Ryzen 5 5600G」の高クロック版となるAPU「Ryzen 5 5600GT」(同140ドル),「Ryzen 5 5500GT」(同125ドル)なども発表になった。いずれも発売日は1月31日とのこと(国内は未定)。
これらは,Socket AM4対応製品のラインナップ拡充といったところだが,まだまだSocket AM4を現役として使っていけそうだ。
AMD 公式Webサイト
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