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ビジネスPC向け新型APU「Ryzen Pro 7000」が発表に。ノートPC向けにはAIアクセラレータ「Ryzen AI」を組み込む
「Ryzen Pro」シリーズは,ゲーマーを含む一般消費者向けのRyzenに対して,高度なセキュリティ機能を提供する「AMD Pro Security」や,「Microsoft Endpoint Manager」を使用した管理機能のサポートなど,ビジネスユース向けの機能を追加したAPUだ。
AMDはこれまでも,ノートPC向けとデスクトップPC向けのRyzen Proを展開してきた。Ryzen Pro搭載のノートPCは,一般のPCショップでも販売されているので,見かけたことがある読者もいるだろう。
今回,発表となったRyzen Pro 7000シリーズは,Zen 4アーキテクチャを採用するAPU製品だ。大きく分けて,ノートPC向けの「Ryzen Pro 7040」シリーズと,デスクトップPC向けの「Ryzen Pro 7000 Desktop Processor」シリーズで構成されている。
末尾にHS,またはUが付いたそれぞれ3製品のRyzen Proがラインナップされている。
いずれも,主なスペックは先行して登場したProなし同型番モデルと同じで,一般向けの製品に,AMD Pro Securityなどへの対応を追加したものという理解でいいだろう。
スライドにあるとおり,3製品ともTDP(Thermal Design Power,
ちなみに,デスクトップPC向けRyzen Pro 7000シリーズと同じ型番の一般向けRyzenはないのだが,Ryzen 7000シリーズの末尾「X」なしモデルと,動作クロックなどの仕様は同じだ。つまり,XなしモデルのProバージョンと考えていいだろう。
競合を上回る性能とAIアクセラレータの将来性をアピール
AMDが行ったRyzen Proシリーズの事前説明において,とくに時間を割いていたのがノートPC向けのRyzen Pro 7040シリーズだ。
AMDによると,Ryzen Pro 7040シリーズは競合を上回る性能を実現するだけでなく,より優れた低消費電力性能も実現しているという。たとえば,「Microsoft Teams」を使ったビデオ会議を行った場合,バッテリー駆動時間はIntel製CPU搭載機に比べて,最大70%も長いそうだ。
また,高性能ノートPC向けの末尾HSモデルは,最大12コア24スレッド対応製品を用意しており,高性能なビジネス向けモバイルワークステーションを実現すると,AMDは主張する。
それだけでなく,AMDは,Ryzen Pro 7040の末尾Uモデルに搭載したAIアクセラレータ「Ryzen AI」も,大きくアピールしていた。
Ryzen AIとは,AMDが買収した半導体企業Xilinxの技術に基づくニューラルネットワーク特化型アクセラレータを使い,PCにおけるAI処理を高速化しようというものだ。AMDは,話題の「ChatGPT」といった生成AIを引き合いに出しつつ,「AIの技術が今後のビジネスを大きく変える」と述べ,Ryzenとして初めてAIアクセラレータを搭載したRyzen Pro 7040のUモデルが,「ビジネスの効率を大きく引き上げるだろう」と予告していた。
ちなみに,Ryzen Pro 7040のUモデルを搭載したPCでは,Ryzen AIを使ってWebカメラの背景を加工したり,カメラが映した人物の視線や動きを追跡して,フレーム内に収めたりする機能が標準で提供されるそうだ。いずれの機能も,ビデオ会議ソフトウェアが搭載していることもあるので新鮮味はないが,Ryzen AIならば,利用するビデオ会議ソフトウェアに依存せず,これらの機能が使えることが利点だと,AMDはアピールしていた。
なお,ビジネス向けという性格上,軽くしか触れられなかったが,Ryzen Pro 7040のUモデルは,一般向けのRyzen 7040Uシリーズと同じく,RDNA 3ベースの統合型GPUも備えている。統合GPUとはいえ,エントリー市場向けの単体GPUと肩を並べる性能が期待でき,描画負荷の軽いゲームならば,十分快適にプレイできる。
価格次第ではゲーマーが選ぶPCの候補になるかもしれないので,Ryzen Pro 7040シリーズのことを,記憶にに留めておくといいかもしれない。
AMDのノートPC向けRyzen Pro製品情報ページ
AMDのデスクトップPC向けRyzen Pro製品情報ページ
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Ryzen(Zen 4)
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