プレイレポート
「たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク」プレイレポート。おサルのボールを転がす,シンプルで楽しいゲームが帰ってきた!
「たべごろ!スーパーモンキーボール1&2リメイク」公式サイト
本作は,2001年から展開されているカジュアル系アクションゲーム「スーパーモンキーボール」シリーズの20周年を記念したタイトルだ。ニンテンドーゲームキューブで発売されたシリーズ初期作品「スーパーモンキーボール」「スーパーモンキーボール2」「スーパーモンキーボール デラックス」が1本になり,新キャラクターやフォトモードといった新要素が加えられている。今回はNintendo Switch版をプレイしてみたので,購入予定の方は参考にしてほしい。
本作で使用するのはステージを傾ける左アナログスティックと,カメラを操作する右アナログスティックだけ。ボールが落ちないよう,ステージをあちらこちらに傾けてゴールへ導こう。どのキャラクターを選んでも能力は変わらないので,好きなキャラクターを選ぶといいだろう。
もちろん,それぞれのステージはいい意味でイジワルというか,ミスを誘う作りになっている。気持ち良く転がっていたかと思ったら,いきなり道が途切れて宙に放り出されてしまったり,ピンボールのバンパーのような物体に当たって吹っ飛ばされたり,細い橋をギリギリで渡っていたら急カーブを曲がりきれずに落ちたり……などなど,制作者の手のひらの上で“転がされている”感が味わえる(モンキーボールだけに)。
特にバナナの配置は職人芸を感じさせるものがある。バナナはステージのあちこちに散らばっているボーナスアイテムで,取ると後述する「ポイントショップ」で使うポイントになる。また,バナナを全て回収することでもボーナスポイントをもらうことが可能だ。
このバナナ,ステージクリアにはまったく関係なく,安全にゴールすることを優先するならば全て無視すればいい。しかし,転がっている最中,無防備にコースに置かれたバナナを見ると「あと少しポイントがあったら,ポイントショップで買い物ができるな……」とか「あそこのバナナさえ取れれば,全回収でポイントがもらえるな……」と魔が差してしまう。もうこうなると,欲望のままバナナの方へ寄り道をしてしまう。そして,開発者が狙ったとおりに奈落の底へ落ちるのである。
本作には残機の概念はなく,ミスからのリトライも素早いものの,プレイを巻き戻すような機能もないので,道中でどれだけ頑張っても,ゴールできずに落ちてしまえば,最初からやり直しになるのだ(取ったバナナの数はミスしてもそのままなのが救いである)。
「今度こそバナナは無視しよう。安全クリアを優先しよう」と肝に銘じても,ついついバナナに惹かれて奈落に落ちてしまうという流れは,オリジナルが出た2001年頃にもまったく同じことをしていた自分を思い出し,マップ構成の巧みさに称賛の思いを新たにした。
ちなみに,Nintendo Switch版はジャイロセンサーに対応しており,本体やJoy-Conを傾けることでも操作が可能だ。プレイ中のスリルや,バナナの誘惑に負けて落ちた時の悔しさが増すので,ぜひ試してみてほしい。
もし難しくてクリアできないときは「おたすけ機能」をONにするといいだろう。ステージの制限時間が2倍になるのに加え,[R]ボタンを押している間だけゲームの進行がスローになる。行く手を阻むトラップ,狭い通路や急カーブといった難関にじっくり対応できるため,かなり難度が下がる印象だ。本機能は特にロックされているということはなく,ゲームの最初から使えるため,困った時は気軽に使ってしまおう。
それでもダメな場合は「クリアしたことにする」コマンドを使う手もある。このコマンドにはそれなりのポイントが必要になるが,どうしてもダメだった場合はひとまず飛ばして先へ進み,後日再チャレンジするのもいいだろう。
稼いだポイントは「ポイントショップ」で使うことができる。新たなキャラクターと,これを飾る帽子や服といったカスタマイズアイテム,「フォトモード」用の背景,そして新たなゲームモードが販売されており,ゲームがより楽しくなる。
キャラクターは後期作のように能力値があるわけではなく,純粋に操作キャラクターとバナナの見た目が変わるのみ。「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のソニックならバナナがお馴染みのリングになり,「龍が如く」の桐生一馬はバナナがドリンク剤「スタミナンX」になるといった具合で,ちょっとした気分転換になるだろう。カスタマイズアイテムの帽子や服,「フォトモード」の背景を買い込んで記念撮影としゃれ込むのも面白い。
特に印象的なのが「ダークバナナモード」「ゴールデンバナナモード」という2つのゲームモードだ。必死でバナナを集める本作だが,「ダークバナナモード」だけはバナナに触れると即座にアウトになる。おまけにコース上には無数のバナナが配されているため,ギリギリのところを走り抜けなければならない。「おたすけ機能」のスロー化を使ってもなお難しかった。
そして「ゴールデンバナナモード」では,「ダークバナナモード」とは逆に,コース上のバナナを全て集めなければならない。制限時間が短い上に,動く床などで不安定なコースにバナナが満遍なく敷き詰められていることもあり,こちらも難しい。どちらも腕に自信がある人向けのコンテンツで,結構なやり応えを感じることができるだろう。
「スーパーモンキーボール」シリーズではお馴染みのパーティーゲームも健在で,懐かしの競技を再び楽しむことができる。皆でコースを走る「モンキーレース」,ライバルにパンチを浴びせてリングから落とす「モンキーファイト」,おサルのボールでピンを倒す「モンキーボウリング」,野球盤風の「モンキーベースボール」,懐かしいガンシューティングの「モンキーショット」,ミサイルや機銃で空中戦する「モンキードッグファイト」など,実に多彩な遊びが用意されている。
ほとんど全ての競技が本編と別物のシステムで作られており,サービス精神の暴走っぷりが実にセガらしい。こちらは複数人プレイに対応しているため,Switchを持ち込んでJoy-Conをおすそわけして楽しむのもいいだろう。
基本となるゲームシステムとステージ構成が練り込まれているので,時代を越えた面白さが感じられる「スーパーモンキーボール」シリーズ。本作はシステムがベーシックな初期作をリメイクしているだけに,初めてプレイする人でもハマれるくらいにシンプルであり,そうした意味ではシリーズの魅力を凝縮した,老若男女を問わず楽しめる作品と言えるだろう。
システムが複雑化したゲームも多い昨今,本作のような作品はある意味で貴重である。今回はリメイクタイトルとなっているが,新作にも期待したいところだ。
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