エクスペリエンスから2021年7月15日に発売される新作ダンジョンRPG,「
モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。死んでも諦めずに強くなりなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。」のプレイレポートをお届けしよう。
……とその前に,本作最大のツッコミどころである,あまりにも長いこのタイトルについてだが,エクスペリエンスに聞いてみたところ「タイトルだけでゲーム内容がすべて分かるようにしたかったから」とのこと。そもそも,そんなことをする必要があるのか。長すぎるせいで,製品版のパッケージでも「モン勇」の3文字に省略されてしまっては意味がないのではないか……など,疑問は尽きない。
また,すでにお伝えしているとおり,本作では体験版のプレイヤーからの意見や要望を受けて,
ゲーム発売当日に大規模な改良パッチの配信が予定されている。今回のプレイはパッチ適用前の状態で行っているため,このプレイレポートではパッチの有無で変化しない要素を中心に紹介しつつ,大きく変わる部分については個別に補足していきたい。
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ポップな見た目とは裏腹の尖ったゲームシステムを採用
レベルを上げず,鍛え上げた自慢の装備で魔王に挑め!
ゲームの舞台となるのは,妖精の女王エターニアが治める剣と魔法の国
「ティル・ナ・バルク」。あるとき,その中心にある竜王の塔
「ユグ・ドラン」に安置されていた7つの秘宝が,どこからともなく現れた
「7つの魔王」に奪われ,塔は凶悪な魔物が徘徊する迷宮へと姿を変えられてしまった。このままではいずれ,妖精の国も滅ぼされてしまう……。
巨大な竜の抜け殻が,そのまま「ユグ・ドラン」と呼ばれる塔となっている
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ということで,魔王達から秘宝を取り戻すべくエターニアによって招かれたのが,「勇者」の素質を持つ冒険者であるプレイヤーだ。つまり,「モンスターを倒して強い剣や鎧を手にしなさい。死んでも諦めずに強くなりなさい。勇者隊が魔王を倒すその日を信じています。」という一度では覚えきれないタイトルは,エターニアからのメッセージという解釈でいいだろう。
妖精の女王エターニア。こちらが「はい」を選ぶまで絶対に諦めない,強い意志の持ち主だ
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ゲームを開始したら,まずはキャラメイクを行い,前衛3人,後衛3人の最大6人パーティを作成する。選べる職業は,
戦士,騎士,武道家,侍,忍者,銃使い,僧侶,魔法使いの8種類で,好きな名前と外見(ポートレート)を設定できる。また,キャラクターごとにダイスロールによって決定したボーナスポイントを好きなステータスに割り振れるので,ここで何度か粘って,なるべくたくさんのポイントを獲得しておきたい。
一度作ったキャラクターは,プレイ中に何度でも,名前や外見の変更,転職が可能。ただし,ダイスロールができるのは初回作成時のみなので,なるべく多くのボーナスを得ておこう
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8月17日までの期間限定で無料ダウンロードできる「デモンゲイズ」ポートレートの一部
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さらに,7月21日までの期間限定で,有料DLCのポートレートセット28体を無料でダウンロード可能。モタ氏による追加イラストのほか,「蒼き翼のシュバリエ」「心霊ホラー」シリーズのキャラクターがデフォルメされた姿で登場する。どれもカワイイ!
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ゲームのメインとなるダンジョン探索で大きな特徴となっているのが,
「評価」システムだ。これは,各階層にいる魔王を
「低いレベル」かつ
「短いターン数」で倒し,さらに迷宮でなるべく
「全滅しない」ことで,次の階層で戦闘勝利後に出現する宝箱のランクが上がるというもの。本作のゲームプレイの根幹をなすシステムだが,分かりにくさや窮屈な感じがあり,体験版プレイヤーからの不満が最も多かった(
※)。
※発売後のパッチで評価システムの改善を行うことが,すでにアナウンスされている。現在は魔王を倒してみるまで分からない評価の基準が事前に確認できるようになるほか,評価対象が「全滅した回数」から「マップの踏破率」に変更され,大幅に遊びやすくなる予定だ。個人的にも,タイトルに「死んでも諦めずに強くなりなさい。」とあるのに,高評価を得るために低レベルで戦い,何度も全滅していると評価が下がる点は腑に落ちなかったので,納得の変更だ
第1階層「デミヘイム」を支配するのは,獣人の王フレイ。なかなかの強敵だ
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魔王を倒すと,最低のDランクから最高のSランクまでの5段階で冒険の内容が評価される
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このほかに特徴的なのが,ダンジョンRPGとしては珍しくすべての戦闘がシンボルエンカウントで行われることと,階層ごとにレベル上限が設定されていること。敵シンボルはその場から動かないものや,自由に動き回るもの,こちらを追いかけてくるものなど複数あり,一度倒すと迷宮に入り直さない限り復活しない。
緑色の敵シンボルは自由に動き回り,オレンジ色のものはその場に固定されているといった具合に,色で動き方を見分けられる。中にはこちらを追いかけてくる強敵もいるので要注意
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また本作では,経験値を溜めても自動ではレベルアップせず,プレイヤーが任意のタイミングでレベルアップを選択する仕組みになっている。高い評価を得るには,階層ごとのレベル上限から1〜4低いレベルで魔王を倒す必要があるので,気づいたらレベルを上げすぎていた,という事態を防ぐために用意されたシステム(
※)だ。
※発売後のパッチでは,任意にレベルを下げられる機能と,ボスに再挑戦して評価を受け直せる機能が追加される。トライアル&エラーがやりやすくなるだろう
レベルアップは任意のタイミングで手動で行う。レベルを上げすぎると評価が下がるので悩みどころだが,今後のパッチで任意にレベルを下げることも可能になる
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レベルを上げずにキャラクターを強くする手段は2つあり,その1つが通常の経験値とは別に用意されたスキル経験値を溜めてスキルポイントを入手し,それを使って新しいスキルの習得や強化を行うという方法だ。ただし,スキルの習得には一定のレベルが要求されるので,低レベルのうちから強力なスキルを使えるようになるわけではない。
画面右上にあるのが,現在所持しているSP(スキルポイント)で,その下のゲージがスキル経験値。通常の経験値とは分けられており,スキルのみを個別に習得・強化できる
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そして,より重要なもう1つの方法が,武器や防具の性能を上げること。本作では,すべての装備品に経験値があり,使い込むことで攻撃力や防御力が強化されていく。強化された装備品には「+1」といった数字が付き,ランクの高い(=レア度の高い)装備品ほど強化の上限が高く設定されているので,より良い装備品を手に入れて鍛えることが,低レベルクリアのカギを握っているのだ。
装備品を強化すると,名前の横にプラスの数字が付く。高い評価を得るためにはキャラクターのレベルを上げるのではなく,レアな装備品をどんどん強化することが重要だ
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筆者も最初は,どうやってレベルを上げずにキャラクターを強くすればいいのか少し戸惑ったが,このゲームシステムを理解して,一度「装備品を強化して,低レベルで魔王を撃破」→「次の階層で得られる宝箱のランクを上げ,より良い装備品をゲット」という流れをつかんでからは歯ごたえを感じられるようになり,“装備品のレベル上げ”に熱中してしまった。また,
評価によってストーリーが変化したり,アイテムが入手できなくなったりということはないので,あえて評価を気にしないスタイルで遊ぶこともできる。
S,A,B評価を受けると,戦闘勝利後に出現する宝箱が1ランクアップ。その効果は次の評価が出るまで(=次の魔王を討伐するまで)継続する
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今回プレイしたのはパッチ適用前の状態だったが,本作は昨今のライトノベルのような長いタイトルと,モタ氏の描く可愛らしいイラストから受けるカジュアルな印象とは裏腹に,ひと捻りあるゲーム性を求める,比較的コアなダンジョンRPGファンに向けたゲームといった印象を受けた。
ただし,今回紹介しきれなかった点についても,今後のパッチによってゲームプレイのかなりの部分が大きく改善されるので,より幅広いプレイヤーが楽しめるゲームになることは間違いない。パッチの内容は「
こちら」の記事でお伝えしているので,気になる人は合わせて確認してほしい。また,現在ニンテンドーeショップで配信中の体験版でも十分にゲームの雰囲気がつかめるので,未プレイの人はぜひお試しあれ。