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印刷2023/09/24 10:43

インタビュー

[TGS2023]携帯型ゲームPC「ONEXFLY」と「ONEXPLAYER 2 Pro」の魅力をONE-NETBOOKのCEO,Jack Wang氏が語る

東京ゲームショウ2023のONEXPLAYERブース
画像集 No.002のサムネイル画像 / [TGS2023]携帯型ゲームPC「ONEXFLY」と「ONEXPLAYER 2 Pro」の魅力をONE-NETBOOKのCEO,Jack Wang氏が語る
 携帯型ゲームPCを手がけるONE-NETBOOKは,東京ゲームショウ2023にONEXPLAYERブースを設けて,10月14日に国内発売となる最新機種「ONEXFLY」や,8月に販売を開始した「ONEXPLAYER 2 Pro」を出展した。
 本稿では,これらの実機を写真で紹介するのと合わせて,来日したONE-NETBOOKのCEOであるJack Wang氏に,同社のビジネスや製品についてうかがったインタビューを掲載しよう。

ONEXFLY(左)とONEXPLAYER 2 Pro(右)
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7インチ級では最小最軽量を謳うONEXFLY


 まずは,ONEXFLYから見ていこう。ONEXFLYは,7インチサイズで解像度1920×1080ドット,最大リフレッシュレート120Hzの液晶ディスプレイを備えた携帯型ゲームPCだ。

ONEXFLY
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 2023年6月29日,テックワンは,ONE-NETBOOK製携帯型ゲームPC「ONEXFLY」を2023年秋に国内発売すると発表した。ノートPC向けCPU「Ryzen 7 7840U」に加えて,最大リフレッシュレート120Hz対応のディスプレイなどを備えており,従来製品と比べて高い性能を備えているのが特徴だ。

[2023/07/03 18:28]

 最大の特徴は,7インチ級ディスプレイを備える携帯型ゲームPCとしては,小型軽量なこと。公称本体重量は約590gで,同じ7インチ級の「ROG ALLY」(公称本体重量約608g)よりも少し軽い。横幅は,ROG ALLYよりも約16mm,奥行きも約13mm小さくなっている。

手を添えてみた。7インチ級としては小さいのが分かるだろう
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ONEXFLYの背面側。大きな吸気孔がある
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ONEXFLYの奥側側面。USB4とUSB 3.2 Type-Aポートなどがある
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ONEXFLYの手前側面。2つめのUSB4と,ストレージ拡張用に使えるmicro SDカードスロットが並ぶ
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 搭載SoC(System-on-a-Chip)は,携帯型ゲームPCではおなじみAMD製の8コア16スレッド対応CPU「Ryzen 7 7840U」で,メインメモリ容量は標準で32GBという大容量を備える。内蔵ストレージ容量は,1TBまたは2TBで,大作ゲームでも余裕を持ってインストールできるだろう。


携帯型,タブレット,ノートPCの3 in 1マシン ONEXPLAYER 2 Pro


 ONEXPLAYER 2 Proは,8.4インチサイズの液晶ディスプレイを備えた本体部分左右に着脱式ゲームパッドを取り付けた携帯型ゲームPCだ。Nintendo Switchを一回り大きくした携帯型ゲームPCと思えば,イメージしやすいだろうか。

ONEXPLAYER 2 Pro
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 2023年7月28日,テックワンは,ONE-NETBOOK製携帯型ゲームPC「ONEXPLAYER 2 Pro」を8月19日に国内発売すると発表した。既存製品をベースとして,搭載SoC「Ryzen 7 7840U」に変更して性能を向上させたのが特徴だ。税込の直販価格は,15万7000円からとなる。

[2023/07/28 13:15]

 最大の特徴は,3つの異なる形態で使える点にある。通常はごく普通の携帯型ゲームPCであるが,左右のゲームパッドを取り外せば,8.4インチサイズのタブレットPCに早変わり。さらに,別売りの「カバーキーボード」と組み合わせれば,小型のノートPCとしても使えるのだ。

カバーキーボードを取り付けた状態。取り付けたまま閉じると,キーボードが液晶パネルの保護カバーになる仕組みだ
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ゲームパッド部分は本体から取り外し可能で,別売りの「ワイヤレスジョイスティックコネクター」にはめ込むと,写真下のようなゲームパッドとして使える
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 ディスプレイの解像度は2560×1600ドットで,画面の大きさを生かしてONEXFLYよりも高解像度になっている。ディスプレイに組み込まれたタッチパネルは,4096段階の筆圧検知が可能で,Microsoftの2 in 1型PC「Surface」向けのスタイラス(ペン)を使ったペン入力も可能だ。
 搭載SoCは,ONEXFLYと同じRyzen 7 7840Uで,メインメモリ容量は16GB,または32GB。内蔵ストレージ容量は1TB,または2TBとなっている。


ONE-NETBOOKのCEOに聞く携帯型ゲームPCの現状とこれから


Jack Wang氏(CEO,ONE-NETBOOK)
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 ここからは,9月22日に行ったONE-NETBOOKのCEO,Jack Wang氏とのインタビューをお届けしよう。個々の製品についてだけでなく,Wang氏が見る携帯型ゲームPC市場についても聞いてみた。

4Gamer:
 本日はお時間いただきまして,ありがとうございます。
 ONE-NETBOOKはグローバルで携帯型ゲームPCを販売していますが,とくに世界市場と日本市場で,ニーズや人気の商品が異なる点はありますか。

Jack Wang氏(以下,Wang氏)
 どれも人気はありますが,やはり欧米では,画面が大きいほうが人気です。一方,日本では小さめのほうが人気ですね。

4Gamer:
 日本で小さいものが人気というのは,やはり電車の中で使ったり,通勤通学に持っていったりというニーズがあるのかと思います。そういった使われ方の違いもあるのでしょうか。

Wang氏
 サイズ以外は,ほとんど同じです。性能や持ち運びの利便性に対する要求に,違いはあまりないですね。

4Gamer:
 携帯型ゲームPCは,本質的にはニッチな製品だと思います。しかし,今では大手PCメーカーも参入し始めるほと市場が拡大しました。なぜ,市場が拡大したのでしょうか。

Wang氏
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 実際には,市場は想像よりも大きいのだと思います。携帯型ゲームPCのユーザーは,自分のPCを別に持ったうえで,もう1台が欲しいという人が多いのです。だから,大手もこの市場動向を見て,製品化を始めたでしょう。

4Gamer:
 ASUSTeK ComputerやLenovoが,価格を武器に携帯型ゲームPC市場に参入してきました。Dellも以前から,この市場に向けた製品を研究しているようです。ONE-NETBOOKにとって,彼らは脅威だと思いますか。それとも恐れることはない相手だと思いますか

Wang氏
 まず,競争があるから努力もあると思います。ONEXFLYでも分かるように,製品力は,うちのほうが絶対に優れているという自信があります。ROG ALLYよりも軽い,世界で一番小さな7インチディスプレイの携帯型ゲームPCで,性能も優れています。

4Gamer:
 競争によって,むしろ良い製品を作るチャンスが生まれるので,彼らの参入を否定するわけではないということですね。
 ONE-NETBOOKは,これまでにたくさんの携帯型ゲームPCを製品化してきましたが,とくにWangさんが気に入っている製品はありますか。

Wang氏
 製品は全部,自分の子供みたいなものですね。今,一番気に入っているのは,ONEXPLAYER 2 Proですね。3 in 1で使える製品です。

4Gamer:
ONE-NETBOOKの10インチ級ノートPC「OneMix4S」。重量約769gと軽い
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 ONE-NETBOOKは,ゲームPCだけではなく,通常のノートPCと同じような,クラムシェルタイプのスタンダードなノートPCを小さくした製品も販売していますね。日本市場では,ゲームPCとスタンダードなノートPCタイプとで,どちらの方が人気なのでしょうか。

Wang氏
 やはりゲーマー向けのほうが,市場はちょっと大きいです。でも,ポケットサイズの小さなノートPCも,新しい製品を投入する予定です。

4Gamer:
 日本にも以前は10インチクラスの小さいノートPCがたくさんあったのですが,今はそれらを作るメーカーはいなくなってしまいました。だから,その市場へ向けてONE-NETBOOKが製品を投入してくれると,喜ぶ人もいるでしょうね。

 TGS 2023で披露したONEXFLYと,ONEXPLAYER 2 Proは,方向性が異なる製品だと思います。それぞれの製品は,どのようなユーザーをターゲットに想定しているのでしょうか。また,日本ではどちらが人気を呼びそうでしょうか。

Wang氏
 ユーザーにもそれぞれ好みの違いがあるでしょう。ONEXFLYのほうが持ち運びやすいですが,画面が大きなONEXPLAYER 2 Proのほうを好む人もいる。
 ONEXPLAYER 2 Proは,ゲームだけでなく仕事もしたいという人にも使える製品です。あるいは電車の中で映画を見たりするのにもいい。一般消費者向けの製品ですね。

4Gamer:
 確かに,今どきの携帯型ゲームPCは,CPU性能もメモリやストレージの容量も充実してきたので,僕らが仕事で使うPCと,実用面では性能差がなくなってきている。「キーボードとマウスをつなげれば,これで仕事ができるね」という人は多いですね。

Wang氏
 (ONEXPLAYER 2 Proは)バッテリー容量も大きいですからね。

4Gamer:
 今どきの携帯型ゲームPCは,多くの製品がSoCにAMDの「Ryzen 7 7840U」を使うようになり,性能面での差があまりありません。性能で差別化が難しいとなると,ONE-NETBOOKはどこで製品を差別化していくのでしょうか

Wang氏
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 ONEXFLYを例に説明しましょう。ONEXFLYは,同じ7インチ級の中でも,液晶パネルのベゼルが一番狭いんですね。それでいて,7インチ級としては内蔵バッテリーが一番大きい。体積は一番小さいのにです。内部の放熱機構も優れています。
 ハードウェアだけではなく,ソフトウェアにも注力しています。ユーザーに喜んでいただける製品に仕上がったと思います。

 一方で,ONEXPLAYER 2 Proは,ONEXFLYで同じくらいスムーズにゲームをプレイできますし,タブレットPCとしても,性能面で一番優れた製品です。バッテリー容量も大きく,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)を15Wに設定した場合,ゲームを3時間くらいプレイできるほどで,事務作業なら10時間は保つでしょう。
 磁石で本体に取り付けられる専用の薄型キーボードもあります。これは,液晶パネルの保護カバーも兼ねています。さらに,Surface用のスタイラスにも対応しており,4096段階の筆圧検知に対応したスタイラス入力が可能です。
 着脱式ゲームパッドも備えていますが,これは私が考えたアイデアです。Nintendo Switchとは異なり,外した状態では操作できませんが。
 ちなみに,「エヴァンゲリオン」や「ガンダム」とのコラボモデルも作りました(※国内未発売)。

 まとめますと,他社製品と(ONEXPLAYER 2 Proが)違うところは,ゲームだけでなく,仕事も含めたいろいろな用途に使えることです。

4Gamer:
 2023年中に,ほかにも新製品をリリースしたり,発表したりする予定はありますか。

Wang氏
画像集 No.016のサムネイル画像 / [TGS2023]携帯型ゲームPC「ONEXFLY」と「ONEXPLAYER 2 Pro」の魅力をONE-NETBOOKのCEO,Jack Wang氏が語る
 ありますよ。まず来月に,外付けGPUボックス「ONEX GPU」をリリースする予定です。(USB4接続なので)ONE-NETBOOK製品だけでなく,ほかの普通のPCでも使えますよ。
 PC新製品の年内投入は,もうありません。2024年の1〜2月に新製品を予定しています。

4Gamer:
 携帯型ゲームPCの競合企業には,Windows PCだけでなく,Android版の携帯型ゲーム機を開発しているところもあります。ONE-NETBOOKでは,Windows以外のプラットフォームを採用する製品を考えているのでしょうか。

Wang氏
 AndroidとWindowsでは完全に違う機器になります。誰もがスマートフォンを持っている現状では,Androidの体験は,スマートフォンのほうが優れているでしょう。
 弊社はWindows PCを作りたいですね。(他社の)真似をすることはしたくないのです。

4Gamer:
 最後に,Intelが,もうすぐ次世代のノートPC向けCPUである「Meteor Lake」を市場に投入します。Intelは,性能にかなり自信があるようですが,Meteor Lakeを使った携帯型ゲームPCを作るという可能性はありえますか。

Wang氏
 リリースされたら考えてみたいですね。

ONE-NETBOOKのONEXFLY製品情報ページ

ONE-NETBOOKのONEXPLAYER 2 Pro製品情報ページ

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