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「グランツーリスモ」は,ここで作られている!〜世界初! ポリフォニー・デジタルのオフィスツアー
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印刷2022/12/23 00:00

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「グランツーリスモ」は,ここで作られている!〜世界初! ポリフォニー・デジタルのオフィスツアー

 1997年12月23日に登場したPlayStation用ソフト「グランツーリスモ」(以下,GT)。あれからシリーズを積み重ね,ついに本日(2022年12月23日)で25周年を迎えることになった。これを記念して,前作の「グランツーリスモSPORT」開発時よりも,さらに規模の大きくなったポリフォニー・デジタル東京スタジオ内の見学ツアーが行われたので,その様子をレポートしよう。

25周年を記念する「グランツーリスモ7・25周年アニバーサリーエディション」は,3月4日の時点で発売されている
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今回のスタジオツアーのホストおよびガイドを務めたポリフォニー・デジタル代表の山内一典氏
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GTイベントも開ける大広間


 現在のポリフォニーデジタルは,日本国内で東京スタジオと福岡アトリエの2か所,海外拠点としてアメリカのロサンゼルス,オランダのアムステルダムの2か所にオフィスを構えている。海外拠点は開発やロケなどに関連した広義なリサーチがメインで,ゲームの実質的な開発は日本の2拠点で行われている。

 今回,ツアーが行われたのは東京都江東区にある東京スタジオになる。
 受付を済ませた我々メディア一同がまず通されたのは,中規模程度までのゲームイベント(eスポーツ競技会)が開催可能な,かなり広い大広間だ。その広さからいってボールルーム(舞踏室)といって差し支えないかもしれない。競技性の高いGTシリーズのゲームを使ったeスポーツイベントを,ある程度の規模であれば自分達の膝元で開催したいという思いが山内氏にはあったそうで,今回の新社屋では,これを実現したというわけである。

イベントも開催可能な大広間。並みのeスポーツ施設と比べても遜色ないレベルだ。設備の充実度と広さからいってほとんどボールルームといった風情
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「グランーツリスモ」シリーズの競技会に活用する筐体がずらりと並ぶ。
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 この大広間は,GTを用いたレースイベントの実況や観戦を大画面を見ながら楽しめる,いわば観客席エリアと,レースイベントへの参加者が着座するレーシング筐体が並べられた競技席エリアに分かれている。ただし,壁で隔てられているわけではなく,観客席とレーシング筐体との往来は簡単に行える。

 山内氏によれば,この広間ではDJ的な演出が可能で,自在に音楽を流すこともできるという。その後部にあたるエリアにはバーが設置されており,その棚には,実際に中身の入った酒瓶が並べられていた。きっと社員達の憩いの場として利用されることもあるのだろう。

このバーは,ドイツのニュルブルクリンク(サーキット)の近隣に建っている走り屋のたまり場的なカフェ,「Devil's Diner」をモチーフにしてデザインされたという
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バーのカウンターには,各種映像機器,音響ミキサー,照明制御パネルが組み込まれており,ここから多様な演出制御を行える
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 そこかしこに投影されている複数の大画面映像は異様に発色がよく,なおかつ美麗なので,まさか……と思って見上げたところ,ソニーの反射型液晶(LCOS)パネル「SXRD」を採用した,4K業務用プロジェクタの「VPL-GTZ380」とおぼしき筐体が!

え?VPL-GTZ380があるの!? しかも複数!? この現場でそこに興奮しているのは筆者だけのようであった
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 これ,最大輝度1万ルーメンの3波長レーザー光源を使ったウルトラハイエンド機なのだ。しかも4K/120Hzの投影も可能。現行の民生向けのレーザー光源SXRDプロジェクタはまだ単波長レーザー光源までの採用なので,発色のダイナミックレンジが違うのである。
 ちなみにこれ,お値段は1台で850万円ほど。これがこのボールルームには3〜4台あったので,プロジェクタ設備だけでV8エンジンのフェラーリ1台分である。筆者としては「この部屋の一角に住んで映画を見てもいいですか」……と言いたくなる。

 バーの奥側の廊下先には,イベント開催時などに,来場者や競技選手に使ってもらうためのロッカールームが備え付けられている。各ロッカーには,番号だけではなく,GTシリーズに収録されている実在,および架空のコース名とそのコースマップもあしらわれていた。なんとも粋な演出だ。

「PIT STOP」という表札が掲げられているが,実はロッカールームだ
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たくさんのロッカーの中から,筑波サーキットを発見。筆者も昔よく走っていたのでこの形だけはすぐにピンとくる
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 バーの反対側,観客席側の大スクリーンの右奥側には,多目的なミーティングルームが設けられている。ここは,形式張ったミーティングだけでなく,雑談的な打ち合わせにも用いられるという。福岡スタジオともつながっていて,大画面を使ったテレビ会議ができる。
 この部屋には,ビデオカンファレンス用のディスプレイ以上に大きなホワイトボードがあり,我々が来訪時には,何やら力作が描かれていた。「これはなんですか」と聞いてみると,山内氏は「言葉で説明が難しいことを伝えたいときによく画を描くんです。これは先日,何か話したときに自分が描いたものです。なんのために描いたかはもう忘れました(笑)」とのこと。

 実は筆者,このツアーが終わったあとに時間をいただき,数十分ほど,GT開発チームの面々と車談義をさせてもらったのだが,このときも白熱した山内氏は,ごく自然にこのホワイトボードに近づき,自ら画を描きながら車のデザイン論議を展開していた。山内氏は普段からこのホワイトボードを徹底活用しているようである。

福岡スタジオとも随時ビデオカンファレンスが可能な多目的ミーティングルーム。左側のホワイトボードには力作が……!? よくると「Devil's Diner」という文字が……?
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山内氏が,言葉での説明が難しいことを伝えたいときによく使うというホワイトボード。ここに描かれていた画は山内氏の手によるものだった
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1階にまとめられた開発フロア


 多目的ミーティングルームに隣接しているのが,サウンドチームの仕事場としても使われるレコーティングスタジオだ。

レコーティングスタジオの一角。サウンドチームの仕事場の1つだ
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 続いて,実際の開発スタッフが仕事をしているエリアへの案内が行われた。
 開発スタッフの仕事場は,全部門のスタッフが1フロアで作業するようなデザインになっているという。「仕事場を複数階にまたがせる発想は最初からないんです」(山内氏)とのことで,開発フロアの「1フロアデザイン」は山内氏のこだわりのようだ。
 なお,各開発スタッフが見ている画面に映っている映像は,リリース前の重要な情報が含まれている場合があるため,写真撮影はNGとされた。なので,これ以降,開発スタッフが写り込んだ写真はない(映り込んでいるのはツアー参加者の記者達のみだ)。

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 さて,東京スタジオでは約200人の開発スタッフが在籍しているという。そのほとんどが1フロアで仕事ができるわけで,実際にここも相当広かった。

 我々ツアー一行は,このだだっ広い開発室の輪郭部分の廊下を反時計回りに歩くような経路で巡回したのだが,我々がいた廊下側から見える最遠方の開発スタッフの顔面が豆粒くらいに見えたくらいなので,本当に広い。
 なお,廊下側から見える範囲のスタッフが使っているディスプレイを筆者が確認した感じでは,LG製の32型の4K/HDR液晶ディスプレイを使っている割合が多かった。この件について山内氏に聞いてみると「ディスプレイの機種は,エンジニア系のスタッフが選定しています」(山内氏)とのことだ。

 言ってみれば,全開発スタッフがフロアの中央スペースの1フロアに展開されるような形で仕事をしているわけだが,休憩はどうやってとっているのだろうか。これについては「この外周の廊下の所々に休憩室があります。休憩室によっては趣が違うところもありますが,いずれにせよ,好きな休憩室で自由に休憩ができるようになっています」(山内氏)とのことだった。


充実の設備。休憩室にも大画面。もはや夢空間の図書室


 休憩室は「Rosso」(赤),「Azzurro」(青)といった壁の色をイタリア語で表した名前の部屋があったり,運動ができるトレーニングジム,図書室などがあったりなど充実している。作りもおしゃれだ。

スタッフが自由に使えるトレーニングジム。山内氏も週に数度,訪れるという
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ジムに置かれた機械の中には,一風変わったものもチラホラ。これはボルダリング用の懸垂トレーニングマシン。なぜかポリフォニー社内では現在,ボルダリングが流行していることが設置の理由だという
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この機械は,山内氏がニュルブルクリンク24時間耐久レース(後述)に参加していたときに,トレーニングで使っていたもの。GT3クラスのレーシングカーのブレーキを踏むための目安である,約120kgの踏力を身に付けるために使っていた
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鍛える目標ウェイトを増減できる構造。このマシンでは175kgまで設定できる
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 ところで,大画面好きの筆者が気が付いたことなのだが,多くの休憩室には,フロント左右に3Wayスピーカーを標準実装したデザインが特徴的な,ソニー製テレビのハイエンドモデルである“ブラビアX9350/X9400系モデル”が備え付けられていることが多かった。画面サイズは65型から75型。ここのスタッフは,高画質かつ大画面でHDRな休憩体験ができそうで,実にうらやましい。

休憩室には和室タイプもある。と言っても,襖を開けるとホワイトボードが現れるので会議室でもある。和室の設置も山内氏のこだわりだ
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 図書館は,クルマ好きにはたまらない空間となっていた。現代の各クルマ雑誌の最新号はもちろんのこと,過去の車のカタログ,著名自動車メーカーのカラーサンプル,ミニカー,プラモデル,さまざまな車関連の技術書籍,そしてさまざまなゲームソフトまでもが並んでいた。

車メーカーから提供されたカラーサンプル。現在は実車から取得したデジタルデータのライブラリをポリフォニー自社で構築している
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紙媒体の車のカタログ。なお,トヨタはSDGsの観点から2023年3月より紙のカタログの廃止を決定。紙のカタログがディーラーでもらえるのはいまのうちかも?
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もはやホビーショップ状態。クルマ好きならば,ここでいくらでも時間が潰せるはず
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山内氏は2012年に「チームGTアカデミー」の一員として日産GT-Rでニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦。このとき同時参加していた日産ワークスチームを抑え,なんとクラス優勝してしまう快挙を達成している。山内氏が掲げているのは,このときのチームGTアカデミー優勝マシン,ゼッケン「123」号のフェンダーだ。このフェンダーは,量産車のGT-Rよりも拡幅されており,後に登場するTrack EditionやGT-R nismoなどに受け継がれることになる
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PS1〜PS5までのさまざまなゲームが揃っている
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世界の情景写真集や技術書など
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多様な雑誌類。なぜか1980年代から1990年代に一世を風靡したソフトバンクのパソコン誌「Oh!X」も並べられていた
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 開発フロアには,機能的な部屋もある。
 1つはセミナールーム。ビデオカンファレンスを行いつつ,ゲーム実機の画面を出しながら議論ができる部屋となっており,ここにも65型のブラビアが3画面設置されていた。

セミナールームはメディアからの取材応対にも使われるという
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秘密裏にポリフォニーが開発していた「家具」とは?


 ポリフォニーは「外注をほとんどしない」ことをポリシーにしている関係で,ビデオ撮影スタジオルームもある。ここでは,メイキング映像などで山内氏が語るシーンや,あるいは対談などの撮影で使われる。

 山内氏がゲーム世界のコース上に降り立ってトークを展開するようなメイキング映像を見たことがある人も多いと思うが,ああいったグリーンバック合成の撮影はここで行われている。ちなみに,ゲーム内の映像と現実世界の人間を合成する,そうしたVFXの仕組みもポリフォニーの自社開発のシステムが使われているそうだ。

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対談用の応接間風のセット
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グリーンバックや照明の設備

 開発フロアの中心部付近のスペースには,事情があって世に出せていない「秘密の試作品」たちのお披露目も行われた。

 その1つが「家具」だ。

 下の写真は「テレビ台とゲーミングデスクを兼ねた新発想の家具」としてポリフォニーデジタルが企画提案して試作したものだ。普段はテレビ台として利用でき,GTをプレイするときは,ドライビングシート風の椅子になる中央部を引き出して使うことになる。台(デスク)の部分はステアリングコントローラがしっかり組み付けられるように,厚みと強度も最適化されている設計だ。

プレイしていないときは椅子部を収納すれば邪魔にならない。左右の部分はゲーム機やAV機器を収納できるラックにもなっているという凝りよう。これ,欲しい人は多そうだ
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 よくできているにもかかわらず,販売に漕ぎ着けなかったのは「販路をどうするか」「メンテナンスとアフターサポートをどうするか」といった問題に対し,最適な答えを導き出せなかったためだという。
 結局,お世話になった人への贈り物としてワンオフで制作してプレゼントする,業界プレミア品となっているのだとか。これまでに,ルイス・ハミルトン氏豊田章男氏に贈ったことがあるとのことだ。

山内氏が座るとこんな感じ。素材にもこだわったため,原価にして20万円程度で,かなりの高級家具である。しかもこのクラスの家具を一般家具店で販売するとなると300万円クラスの値付けをせざるを得なくなるとのこと。このあたりも商品として考えるとあまり現実的ではないと判断された要因の1つ
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 もう1つは,GT対応のレーシング可動筐体の試作機だ。
 レーシングシミュレータ用の可動筐体を開発しているアクセスとポリフォニーが共同開発していたもので,この試作機はGTシリーズをこの可動筐体に対応させるために活用されていた。山内氏によると,すでに可動筐体自体の開発は完了しており,製品版がアクセスからリリースされているとのこと。デザインを見る限りでは「ACSIM2 Plus」関連リンク)の試作モデルと見て間違いない。

車体のロール・ピッチ表現に加え,7軸スライドに対応する超本格的な可動筐体。アクセスから発売されている製品版は約160万円から(仕様によって価格は変動する)
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GTワールドシリーズの勝者に送られるトロフィーの“ひみつ”


 最後に案内されたのは社長室だ。
 場所は,最初に通されたボールルーム的な大広間から丸見えの,ガラス張りの部屋だ。事実上,サボっていたら丸見えで,もし筆者が社長だったとしたら絶対に遠慮したい作りの部屋である。「仕事をしている姿を社員達に見せつけてやるぜ」という覚悟を持って作られた部屋なのだろうか。さすがに社長室へ入ることは許可されなかった。

紫色のヘルメットはルイス・ハミルトン氏,黄色のヘルメットはバレンティーノ・ロッシ氏のものだ
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アイルトン・セナ財団から寄贈されたアイルトン・セナのヘルメット
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 ツアーの最後,山内氏は「2018年から始めたGTのワールドシリーズのトロフィーの来歴について話をしたい」と語りながら,下の写真に示した2体のトロフィーの前で足を止めた。
 このトロフィーは,19世紀から20世紀初頭までに活躍したイタリアの未来派の芸術家,ウンベルト・ボッチョーニ氏による作品「空間の中の一つの連続する形」(1913年)を元にして作られたとされる。
 オリジナルの彫刻の現物を高精度レーザースキャンして作り出された3D形状データから「型」を起こし,東京藝術大学の鋳金研究室の協力のもと,鋳造して製造されたものになる。つまり,かなりの人手と技術を経て製造されたものなのだ。
 なお,形状データのレーザー計測にあたってはロンドンのテート・モダン美術館で行ったとのこと。

GTのワールドシリーズのトロフィの現物。このトロフィのサイズは,元になった彫刻作品の3分の1程度だとのこと
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 山内氏は,どうして,この彫刻をトロフィーに選んだのだろうか。

 「この作品は,人類が“速度”という概念に出会った感動や熱狂を表現しているからなんです」と山内氏。

 この彫刻が生まれた20世紀初頭は,自動車や航空機などが発明・普及を開始したタイミングで,いわば,それまでとは「異次元の速度」が誕生した時代だった。それに感銘を受けたボッチョーニ氏が立体像として創出したのが「この像」というわけだ。
 「この彫像こそ,GT競技シーンの勝者に相応しいトロフィーだ」と確信した山内氏は,ボッチョーニ氏のご家族にデザイン使用の許諾を取りに赴いたのだとか。
 こうしたエピソードを聞いて,このトロフィーを手にするGT競技シーンの勝者達がちょっとうらやましく思えてきた人もいるのではないだろうか。

 今からでも遅くはない。GTシリーズ未プレイの人も,GTシリーズにしばらく接していなかった人も,このトロフィを目指して練習に励んではどうだろうか。ちなみにこの作品は,箱根彫刻の森美術館に常設展示されているので,日本でも見ることができる。


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