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3年ぶりのオフライン開催となった「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2022 TOCHIGI」各競技の決勝で盛り上がった会場の模様をレポート
こちらは,48都道府県の代表選手がeスポーツで盛り上がる全国大会となっており,「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」の文化事業の1つともなっている。
前回,前々回の大会は,新型コロナウイルスの影響によりオンラインでの開催となってしまったが,今回は3年ぶりにオフラインで開催される流れとなった。
今回の競技種目は「eFootball」シリーズ,「グランツーリスモ7」,「Shadowverse」,「パズドラ」,「ぷよぷよeスポーツ」,「プロ野球スピリッツA」の6つのタイトルで,代表選手たちが互いの腕を競い,熱い戦いが繰り広げられた。
本稿では,各競技の決勝が行われた10月16日の会場の様子をレポートする。
全6タイトルの競技ブースを紹介
今回,大会が行われた日環アリーナ栃木は,アリーナ会場に屋内水泳場や,多目的スタジオトレーニング施設などを兼ね備えた大型屋内スポーツ施設となっている。
実際に競技が行われたのはこの施設のメインアリーナで,6つの競技タイトルがそれぞれのブースを設置して大会を行った。
まずは各競技ブースの様子を紹介していこう。
■「eFootball」シリーズ
「eFootball」シリーズでは,高校生の部と年齢制限のないオープンの部の2部門での決勝を開催。オープンの部と言っても決勝を勝ち抜き,見事に優勝した東京代表のLeva選手もまだ20代前半ということで,若手が活躍した決勝戦となった。
試合の展開上,客席の雰囲気は静かに見守っているという感じではあったが,試合中のゴールシーンや,勝負が決まった瞬間には実況の興奮した声と共に拍手が上がっていた。
「グランツーリスモ7」
今回の大会の中で,1,2を争うギャラリーを集めていたのが「グランツーリスモ7」だ。1つのレースで参加する出場者が多いため,ブースも大きめに作られており,ズラっと並ぶ専用コントローラと,モニター付き座席が圧巻だった。
もっとも出場者が多かったタイトルであったため,関係者や応援する人も多く,客席では大勢の観客が大会を見守っていた。
レースゲームの勝負は,いかにミスを少なくして自分の走りを維持するかという部分が重要で,派手なアクションは比較的少ない。選手たちは細かいミスを減らすために集中してプレイしているが,観客も合わせるように静かにレースを見守っていた。ただ,ゴールした瞬間だけは別で,これまで溜めていた興奮があふれ出したかのように選手に拍手を送っていた。
■「Shadowverse」
「Shadowverse」部門はここまでに紹介したほかの種目と異なり,ブースには実況席と対戦映像が見えるモニタのみが設置。選手はブースの裏で対戦し,対戦前の挨拶と,結果発表の際にだけ登壇するという独特の形で大会は進行した。
「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」としては初の対戦カードゲーム形式のタイトルである「Shadowverse」だが,対戦するうえで最も不利となるのが相手に自分の手札が知られてしまうことだ。もし,選手から客席が見える場所で行った際,何かしらのサインを使って選手の手札の情報を知らせたりするような不正も起こりかねない。そう考えると,この方法はいたしかたないと言える。
とはいえ,初めてみる人からすればなんとも殺風景なのは間違いないだろう。例えば客席前にマジックミラーのフェンスを作ったり,逆に選手の対戦ブースをマジックミラーで囲むなど,なんらかの不正対策を行いつつも,やはり選手たちの生の様子も見られた方が盛り上がるのではないだろうか。
今回は,中学生から大学生までが対象となる若手の大会となっていたが,今後も採用されるならばもっと幅広い年齢層の対戦にも期待したい。
■「パズドラ」
「パズドラ」は対戦スペースがリングの形になっており,見た目の演出から試合を盛り上げていた。選手たちは,リングに上がりセッティングされている台にそれぞれが立ってゲームを操作する形だ。今回,立ったまま試合するというスタイルは「パズドラ」のみである。
観客はやや少ない印象ではあったが,客席の近くに設置されているモニターを見ながら試合の行方を見守り,勝負が決まった際には拍手が起こっていた。
■「ぷよぷよeスポーツ」
一番の盛り上がりを見せていたのが「ぷよぷよeスポーツ」のブースだ。こちらのブースでは,応援用にオリジナルデザインのスティックバルーンや,紙のサンバイザー,うちわなどを配布しており,客席が一体となって選手たちを応援し,大会を楽しんでいた。
今大会で唯一,小学生のみが参加できる「小学生の部」が設けられているため,選手の応援をする家族が多く駆けつけており,必然的に観客の数は多くなっていた。
「ぷよぷよeスポーツ」は,同じ色の「ぷよ」が4つ以上並ぶと消えるという基本ルールがシンプルで,初めて見た人でも簡単に把握できるため,試合の流れもわかりやすい。
また,連鎖を組んで「ぷよ」を消すことによって,相手を邪魔するというルールから,互いに連鎖合戦を行い,ゲームが一気にひっくり返るというドラマチックな展開も観られる。勝敗が決した瞬間には観客がスティックバルーンを一斉に叩くなど,大きな盛り上がりを見せていた。
都道府県対抗ということで,ステージで対戦している選手がどの県の代表なのか,観客がすぐにわかるように専用の旗を掲げるという演出も行われていた。たまたま客席を覗いたというだけの人でも,自分の出身の県の選手が出ているならば,ちょっと見てみるかと思うかもしれない。こういった細かい配慮も大会を盛り上げる1つの要素と言えそうだ。
決勝戦では,勝敗が決まった瞬間に対戦スペースに銀テープが降ってくるというド派手な演出も行われており,見た目にも非常に華やかだ。
他のブースと比べても,どうやって見せれば観客が盛り上がるかという点が工夫されていた「ぷよぷよeスポーツ」。「ぷよぷよ」シリーズは1990年代より公式大会が行われており,長い歴史の中で培われたイベント演出のノウハウが生かされたブースだった。
■「プロ野球スピリッツA」
「efootball」のブースの隣に設置されていたのが「プロ野球スピリッツA」のブース。どちらもコナミデジタルエンタテインメントで,サッカーと野球というメジャースポーツの試合が隣同士で楽しめるようになっている。まるで,2大スポーツのパブリックビューイングが行われているアリーナ会場のようだ。
こちらも,サッカーと同じく1回の試合時間が比較的長いため,観客はじっくりと試合展開を楽しんでいる様子だった。
■すべての競技が1か所に集結し観戦しやすい大会に
全体を通して,今回の一番の注目ポイントは,すべての競技が一つの会場に集まっていたことだ。メインアリーナ内にそれぞれの競技ブースが設置され,各ブースの前に観覧用の座席が区切られており,客席をグルっと回っていけば簡単にそれぞれのブースの前に移動できる。一番遠いブースでも1分ほどで移動できるため,手軽にさまざまな競技が見られるという点で,カジュアルに楽しめる会場だった。
残念だったのは会場となっている日環アリーナ栃木へのアクセスが難しかったこと。大会は土日での開催となっていたが,最寄駅からバスで移動する際には本数がかなり少なく,数時間に一本程度で,時間によってはタクシーを利用する必要がある。車での移動も駐車場が混雑しており,簡単に会場に行けないという状況だった。
3年前のオフライン開催の会場だったつくば国際会議場は,最寄り駅から徒歩10分ほどでアクセスしやすかったのに対し,今回は最寄駅から歩くと30分以上もかかってしまう。今後,大会を多くの人に楽しんでもらうためにも,会場までの移動も含めてより観覧しやすい大会に期待したい。
最後に,JeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)の岡村秀樹会長から今大会についての総括のコメントをいただいたので,以下に掲載する。
――今大会の総括をお願いいたします。
岡村秀樹氏:(以下,岡村氏)
やはり,3年ぶりにオフライン開催を実現できたことが大成功につながったと考えています。今回はeスポーツの特徴であるオンライン大会を予選に取り入れ,参加者を大きく拡大できました。その中から勝ち上がった126名を本戦に招待し,観戦してくれる観客も会場に入れることができました。また,新しい競技タイトルを取り入れられた点もよかったです。
――1つの会場に全競技タイトルを集約しており,以前よりも気軽に複数タイトルの観戦を楽しめるように感じました。
岡村氏:
この会場は国体もできるように作られているということもあって,アリーナがあることで一か所に集約できるのは大きいですね。観客の皆さんをあちこちに分散させてしまうより,1つの会場に集まっていただき応援してもらうほうが,大会をやってる雰囲気がより感じられると思います。
――次回の展望についてコメントよろしくお願いします。
岡村氏:
可能であれば競技タイトルを増やしていきたいですね。また,参加者の間口も広げたいと考えています。「ぷよぷよeスポーツ」部門では小学生の部が盛り上がりましたが,全体的に幅広い年齢層の方が参加できるものになっていけばいいですね。
文化プログラムなので,プロからアマチュア,初めてゲーム大会を経験する方など,幅広く参加していただき,交流を深めてもらいたいですね。さまざまな方が関われる国体プログラムとしてのeスポーツ大会に成長していくことに期待しています。
「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2022 TOCHIGI」公式サイト
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- ライター:東響希
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