プレイレポート
「巨神と誓女」を先行プレイ。プレイヤーが考察して作り上げる物語,モノクロームの世界とカラフルな少女のビジュアルが魅力のブラウザ用RPG
「巨神と誓女」は,時間の止まったモノクロームの世界を舞台としたブラウザ向けファンタジーRPGだ。魅力的な少女たちがたくさん登場するDMM GAMESのタイトルらしさはそのままに,プレイヤー自身が考えて作り上げる物語,モノクロとカラーの対比が特徴のグラフィックスなど,挑戦的なシステムと独特の雰囲気が魅力の作品となっていた。
「巨神と誓女」公式サイト
少女たちと巨神が戦うモノクロームの世界
謎の断片を集め,物語を作り上げよう
昼も夜もない,永遠の黄昏が続くモノクロームの世界・フレストニアでは,誓女(せいじょ)と呼ばれる少女たちと謎多き巨神と戦いが繰り広げられていた。
プレイヤーは誓女たちを率いて巨神との戦いに挑むのだが,「巨神とは何か」「なぜ少女たちが戦わなくてはならないのか」「そもそも,この世界は何なのか」はすべて謎に包まれている。
こういったブラウザゲームに慣れている人であれば,「ストーリークエストを進めることでその謎が解けるのか」と考えるかと思うが,なんと本作にはメインストーリーと呼べるものは存在せず,ストーリークエストに相当するものもない。巨神とのバトルや誓女たちとの交流などで開放される「ヒストリーブック」を読み,さまざまな場面にちりばめられたワードを集め,プレイヤー自身で考察し,物語を想像するという,なかなか挑戦的な仕組みになっているのだ。
誓女たちは記憶を失くしているが,バトルを繰り返すことでキーワード(記憶)を思い出し,各々の人物背景が見えてくる。また巨神も,バトル中に発せられる巨神の謳(うた)を集めることで徐々に明らかになっていく。
それらの情報をつないで考察するのだが,別々の出来事と思った物語がつながり,「真相に近づいたぞ」と思った矢先に別の謎が生まれるといったように,集めた情報によって少しずつ世界の見え方が変っていくところが面白い。このあたりは,謎解きや物語の深読みが好きなゲームファンにはたまらない要素と言えるだろう。
もちろん物語はそこそこに,ひたすら不思議な世界での終わりの見えない戦いに挑んでもいい。楽しみ方はプレイヤー次第だ。
ビジュアル面に目を向けると,虚無的な世界観がモノクロームで表現されるバトル時の背景と,黒を基調としたデザインで統一された巨神たちが目を引く。それらは静かな迫力に満ちており,禍々しい雰囲気の世界を見事に描き出している。
一方,誓女たちとその拠点はカラフルな色彩で表現されており,彼女たちはバトルのときも色鮮やかだ。その足元には草花が咲き,行動を取った際の演出も華やかで,モノクロームの世界で異質な存在となっている。
自身の想いを具現化した「神器」と呼ばれる武器を使って巨神と戦う彼女たちの見た目や服装は,ファンタジー作品に登場する女神や女王,西洋騎士に和装,現代風,人工知能(AI),アンドロイドなどさまざまで,こちらも黒を基調に統一された巨神とは正反対の印象だ。
色の無い不気味な世界と巨神。その不気味な世界に降り立ち,終わりの見えない戦いに挑む色鮮やかな誓女たち。このカラーの対比は,ビジュアル面の特徴としてだけではなく,世界観とシナリオにも関係しているようで,より作品世界に興味を惹かれるものとなっていた。
誓女を自分好みに育てて巨神に挑もう
放置で素材が集まる便利な機能も
ここからは,基本的なゲームの流れを紹介しよう。先に説明したとおり,本作はメインストーリーを進めるクエストは存在ない。「バトル」でさまざまな巨神に繰り返し挑み,世界の秘密を解いていく。
従来のブラウザゲームの場合,いわゆるスタミナを消費してバトルを行うことが多いが,本作にはスタミナの概念はなく,プレイヤーの好きなタイミングで自由にバトルに挑める。バトルのパーティに編成できる人数は最大6人。誓女たちそれぞれに,コストの範囲内で「グリフ」と呼ばれるスキルをセットし出撃しよう。
バトルはリアルタイムのターン制で,基本的にはオートで誓女たちが戦ってくれる。バトル中に一定時間が経過すると「リンクコマンド」が表示されるので,「発動」か「託す」のどちらかを選択しよう。
「発動」は,その名のとおり誓女たちがグリフを発動できる状態となり,確率でグリフを放ってくれる。「託す」は,選択することでリンクレベルがアップし,次に「発動」を選んだ際のグリフ発動率がアップする。巨神たちは,HPが減ってくると強力な技を繰り出すようになるので,最終局面に合わせて「託す」と「発動」のコンビネーションを狙うといいだろう。
なお,リンクコマンドには制限時間があり,どちらも選ばなかった場合はリンクコマンドの中央に表示されている方が自動で選択される。何度もバトルを繰り返して物語の断片や育成素材を集めることがメインとなるので,巨神を完全オートで勝てるレベルに設定すれば効率よく周回できるだろう。
ほかにも,誓女たちが協力して発動する強力な技「Ω(オメガ)リンク」や,連続攻撃を仕掛ける「チェイン」などが発生し,見ているだけでも楽しめるダイナミックな戦闘が展開する。バトルスピードを好みの速さに設定し,誓女たちの勇ましい姿を堪能しよう。
誓女の育成は,本作のやりこみ要素の一つ。バトルで得られる経験値はなく,前述のとおり素材を使用して育てるのが育成の基本だ。誓女の成長要素はいわゆるスキルツリーのように表示されており,パラメータ強化や新たなグリフの習得などを段階的に開放していく。
ツリーの分岐によってプレイヤーそれぞれ好みの育て方ができるのも特徴だ。同じ誓女でも覚えるグリフによって違う能力となるので,プレイヤー好みに育成するのはもちろん,パーティのバランスを考えて育てみるのもいいだろう。
育成のポイントになるのが,開放する箇所によって必要な素材が異なっていること。素材の入手場所を逆引きする機能もあるので,どの巨神が,どのレベルでドロップするのかを確認してバトルに挑もう。当然,上位のグリフを開放するために必要な素材は入手が難しい。効率的に誓女を育成するには,どの方向性で強化していくのかを,ある程度は最初から決めておくこと不可欠だ。
誓女の育成にオススメなのが「かってにバトル」。これは,一度倒した巨神がドロップする育成素材が,ログインしなくても自動で集まるという,いわゆる放置ゲーム要素だ。あまりゲームを遊べないときや育成の時間を短縮したいときに活用しよう。
拠点となる「ひみつきち」にはお楽しみ要素が盛りだくさん。優しい陽光の中,木々が生い茂り花が咲き乱れる憩いの場「庭園」では,小川に足を遊ばせたり,草の上で横になってのんびりしたりといった,バトル中には決して見ることができない誓女たちの姿を“こっそり”眺めることができる。
絵合わせやブロック崩しなど,巨神とのバトルの合間に一息つくのにちょうどいいミニゲームも充実。時間経過で素材が手に入る釣りや採掘,採集,余った育成素材のリサイクルといった便利な機能も活用しつつ,誓女たちの日常やミニゲームを楽しもう。
遊び心にあふれたミニゲームはなかなか本格的だ。ハイスコアの更新を目指してやり込むのもアリだ |
ゲームの軸となっている育成とその成果が実感できるバトルは,放置で楽しめる手軽さがありながら,時間を掛けてパーティを強化し敵に挑むというブラウザゲームの醍醐味もしっかり味わえる。システムや演出も細かいこだわりが感じられるものとなっているので,長年のブラウザゲームファンも新鮮な気持ちで楽しめるのではないだろうか。
あえてメインストーリーを置かず,随所に散りばめられたピースを集めて考察するという物語と,ミステリアスな雰囲気のあるビジュアルは見事にハマっており,高いレベルで作り込まれた作品であることを印象付けている。
物語の背景にあるものを想像し,世界の謎に迫ってもいいし,誓女の育成に集中して巨神とのバトルに没頭してもいい。放置メインで手軽に遊べるので,気になる人はリリース直後の旬な時期を逃さずゲームを始めてみてほしい。
「巨神と誓女」公式サイト
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