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 「パワプロ2020」でデータの少ないルーキーや若手の“パワプロ能力”はどうやって決まるの? 気になる選手をチェックして能力の決め方を聞いた
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印刷2020/08/08 12:00

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「パワプロ2020」でデータの少ないルーキーや若手の“パワプロ能力”はどうやって決まるの? 気になる選手をチェックして能力の決め方を聞いた

 パワプロシリーズ最新作「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」PS4 / Switch)が2020年7月9日に発売されてもうすぐ1か月。現実のプロ野球と同様,パワプロ2020で熱い対戦やペナントレースを楽しんでいるというプレイヤーもたくさんいるだろう。

※以下,画像はSwitch版のもの
画像集#028のサムネイル/ 「パワプロ2020」でデータの少ないルーキーや若手の“パワプロ能力”はどうやって決まるの? 気になる選手をチェックして能力の決め方を聞いた

 さて,パワプロの新作がリリースされると,「まずは各球団の選手の能力をチェックする」というパワプロ好きのプロ野球ファンは少なくないはず。かく言う筆者も新作やアップデートがあるたび,応援するチームを中心に気になる選手の能力をチェックしている。

 この選手能力で気になるのが,ルーキー新外国人育成から支配下登録された新戦力ファームで成績を残しているが一軍経験がない(または少ない)選手といった一軍で活躍している選手“以外”の能力の決め方だ。
 ということで今回,実際にパワプロ2020ではルーキーと若手選手がどのような能力になっているかをチェックし,気になった点や疑問に思ったことを開発者に聞いてみた。

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「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」公式サイト



12球団のルーキーと注目の若手選手の能力をチェック!


 まずは各球団からルーキーと若手選手をそれぞれ1名ずつピックアップし,能力をチェックしてみた。チェックした能力はパワプロ2020発売時のもので,若手選手は,支配下選手に初めて登録されてから5年以内の,最優秀新人の有資格者から選択。ペナントモードでの起用法や育て方なども考えてみた。
 少々,好みが出てしまっている部分があるかもしれないが,12球団24名という枠での悩ましい選択であるのでご容赦を。この中にいない選手についてはぜひ,パワプロ2020を手に取り,自身でその能力をチェックしてほしい。

※チームは各リーグの2019シーズン成績順で,ポジションはパワプロ2020のメイン守備位置に準じている。各選手のトピックは2020年7月30日時点のもの

■パシフィック・リーグ(パ・リーグ)

埼玉西武ライオンズ
新人選手:岸 潤一郎(外野手・2019年8位)
 高校時代に華々しい活躍を見せたのちケガなどの理由で野球を離れるも,四国アイランドリーグで再度野球に取り組み見事プロ入りを果たした。独立リーグ時代に盗塁王に輝いただけあり,走力80(A)に盗塁と走塁がC,積極盗塁付きと足の評価が高く,さらに守備経験のある遊撃と一塁のサブポジ付きだ。肩も強く,打力が上がればスタメンもいけそう。

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若手選手:川越誠司(外野手・2015年2位 / 5年目)
 昨シーズンに投手から野手にコンバートされ,打率は.214ながら8本塁打を記録し,野手2年目の今シーズンには開幕一軍スタートを勝ち取った期待の長距離打者。まだ一軍で期待どおりの活躍はできていないが,昨年の成績が反映されてか,ミートは38(F)と低めで三振持ちながら,パワーは68(C)で弾道3と長打が狙える能力になっている。

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福岡ソフトバンクホークス
新人選手:津森宥紀(投手・2019年3位)
 プロ初登板で最初の対戦打者に満塁打を浴びるも,その3日後に12球団のルーキーの初勝利一番乗りを決めた右サイドスロー。難しい場面でも肝の座ったピッチングを見せる姿や,左打者への強さも印象的だ。四球やシュート回転持ちでさらに対左打者Fだが,切れ味あるHシュートと変化量3のスライダーで,左打者相手にも強気のピッチングで勝負したいところ。

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若手選手:杉山一樹(投手・2018年2位 / 2年目)
 193cmの長身から投げ下ろす150キロ後半の速球と,縦に鋭く変化するスライダーが特徴。今シーズンは一軍昇格後に,さっそくパワプロ能力での最速155km/hを超える157km/hを記録した。コントロール35(F)の四球持ちで制球に難ありだが,球速安定感付きの速球+Vスライダーとナックルカーブで三振の山が築けるかも。

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東北楽天ゴールデンイーグルス
新人選手:津留崎大成(投手・2019年3位)
 ユニフォーム越しにも伝わる鍛え上げられた肉体と,力強い投球フォームが特徴。公式戦では中継ぎとして9試合登板で無失点と,新人とは思えない活躍を見せている。スタミナ39(F)で回復Fなので長いイニングや連投は難しいが,最速153km/hの直球と変化量3のパワーカーブ“マッスルカーブ”を活かして現実のような開幕ダッシュを切りたいところ。

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若手選手:小郷裕哉(外野手・2018年7位 / 2年目)
 辰己涼介外野手や太田 光捕手などの2年目の選手の活躍が目立つ楽天。昨シーズン,辰己選手とともに新人による2者連続本塁打という貴重な記録を残した小郷選手も,開幕からベンチ入りして結果を残している。自慢の俊足は78(B)で積極盗塁と積極走塁持ちで肩も66(C)。回復Fだが,打力と守備を伸ばせばスタメンでも安定した成績を残しそう。

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千葉ロッテマリーンズ
新人選手:横山陸人(投手・2019年4位)
 2019年ドラフトで最も注目を集めた佐々木朗希投手の,唯一となる高校出の同期入団選手としてもおなじみ。サイドスローから繰り出す最速148km/hの速球や変化量3のスライダーは魅力だが,コントロール,スタミナ共に低めで赤能力も多い。回復Fとスロースターター持ちで起用が難しそうだが,思い切ってショートスターターで育てるのもいいかも。

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若手選手:中村稔弥(投手・2018年5位 / 2年目)
 左腕から繰り出す140km/h中盤のストレートと,「亜細亜ボール」や「亜大ツーシーム」などと呼ばれる謎(?)の変化球を武器に三振を量産する。1年目にロングリリーフも経験しているからか,スタミナは50(D)と上々の数字。貴重な先発左腕としても活躍できそうだ。落差が持ち味の変化球は変化量4のフォークで再現されていた。

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北海道日本ハムファイターズ
新人選手:片岡奨人(外野手・2019年7位)
 小学生の時にファイターズのジュニアチームを受けて落選しているが,10年以上のちに念願の球団入りを果たした,地元ファンの期待も高い北海道出身の外野手。俊足と強肩が特徴で,走力は71(B)で肩力65(C)となかなかの能力だ。大学時代は打撃でも好成績を残しているが,プロで未知数なところもあってか,ミート,パワーどちらもF台だった。

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若手選手:野村佑希(内野手・2018年2位 / 2年目)
 期待の若手として触れないわけにはいかないのが,不振にあるチームの中で希望の光となった野村選手だ。骨折で戦線離脱となってしまったが,十数試合でファンに与えたインパクトは大きい。ミートは低く併殺持ちで,守備も肩力58(D)以外はF台で送球F持ちと課題は多いが,パワー56(D)と弾道4はスラッガーの素質十分で伸びしろを感じさせる。

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オリックス・バファローズ
新人選手:村西良太(投手・2019年3位)
 ひょうひょうとした雰囲気あるサイド気味の独特の投法が特徴の即戦力右腕。対左打者Fとシュート回転の赤能力持ちだが,最速152km/hの速球と変化量4のスライダーが武器となりそう。リリーフだけではなく先発起用もあり,このあたりも能力に反映されているようで,スタミナは53(D)と高めの数字となっていた。

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若手選手:本田仁海(投手・2017年4位 / 3年目)
 1年目に右肘の疲労骨折で2年目は育成スタート。2年目途中に支配下登録に返り咲き,3年目の2020シーズンは先発として練習試合やファームに登板している。怪我があったことも影響してか回復FとケガしにくさE,スタミナも38(F)と低めで先発は難しいが,怪我前より速くなったという最速154km/hの速球と縦横2種類のスライダーで三振が狙えそう。

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■セントラル・リーグ(セ・リーグ)


読売ジャイアンツ
新人選手:菊田拡和(内野手・2019年3位)
 “常総のバレンティン”の異名を持つ,チームの未来を担うであろう大砲候補で,堂々とした力強いバッティングフォームも魅力。ミート29(F)で三振持ちだが,パワー59(D)で弾道4という強振でホームランを狙いたくなるような能力で,高校出の1年目としてはパワー面の評価はかなりのもの。守備と捕球がF台なので,しっかり鍛える必要がありそう。

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若手選手:戸郷翔征(投手・2018年6位 / 2年目)
 長い腕を大きく振るフォームに目を奪われる2年目の右腕。開幕3連勝など新人王の期待も高まる活躍を見せている。150km/h超えの速球と,変化量のあるVスライダー,SFFに変化量1のカットボールが武器。現状はコントロール31(F)とスタミナ54(D)と数字は高くないが,実際の活躍を見ると選手能力アップデートでのパワーアップに期待できそう。

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横浜DeNAベイスターズ
新人選手:伊勢大夢(投手・2019年3位)
 ドラフト6位の蝦名達夫外野手とともに開幕一軍スタートを切った,背番号13の中継ぎ右腕。ドラフト2位の坂本裕哉投手とともに1年目からの活躍が期待できる。最速152km/hのストレートに変化量3のスライダー,変化量1のHシュートとHシンカーが持ち球。コントロールとスタミナはどちらもE台だが,両方伸ばせば,シーズン通して起用できそうだ。

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若手選手:櫻井周斗(投手・2017年5位 / 3年目)
 高校時代は清宮幸太郎選手(現・日本ハム)や安田尚憲選手(現・ロッテ)といった同世代のトップ打者を抑え注目を集めたサウスポー。コントロールは37(F)と低めだが,緩急○を活かして最速150km/hのストレートとスライダー,チェンジアップで投球を組み立てれば三振も取れそうだ。習得に取り組んでいるカーブが加わると投球の幅も広がるだろう。

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阪神タイガース
新人選手:小川一平(投手・2019年6位)
 1年目から中継ぎとして開幕一軍入りし,難しい場面での登板を経験しながらも着実に信頼を得ている。149km/hの速球とカットボール,自身が「パワーチェンジ」と呼ぶサークルチェンジが武器。コントロール36(F),スタミナ40(E)と低めなので,実際と同じように登板させたいのなら,まずスタミナを伸ばして球数を投げられるようにしたい。

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若手選手:島田海吏(外野手・2017年4位 / 3年目)
 2000年代に俊足巧打で活躍した赤星憲広選手の背番号53を託されたスピードスター。日本球界でも上位に入るであろう走力は87(A)と,Sランク一歩手前の数値だ。一軍での実績を残していないからか盗塁はFだが,走塁技術が身につけば盗塁王も夢ではない。大学時代には首位打者やベストナインにも輝いており,打力も今後の伸びが期待できる。

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広島東洋カープ
新人選手:宇草孔基(外野手・2019年2位)
 WBSC U-18ワールドカップや日米大学野球選手権大会など,プロ入り前から大きな舞台で活躍してきた。長打も放てるシュアなバッティングと盗塁が狙える脚力が特徴で,インコースヒッター持ちのパワー50(D)に弾道3,走力81(A)という能力値で表されている。守備関連は低めで送球はGだが,打力とともに伸ばせばレギュラーも近い。

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若手選手:山口 翔(投手・2017年2位 / 3年目)
 2019シーズンに初勝利を挙げた,150km/h超えの速球が武器の先発候補。スタミナ48(E)で球数はあまり投げられないが,球持ち○と球速安定という速球を活かすプラス能力,スライダー,カーブ,フォークという3つの変化球は魅力。コントロール37(F)で四球とシュート回転持ちのため制球には苦労するので,まずはコントロール強化が必要かも。

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中日ドラゴンズ
新人選手:岡野祐一郎(投手・2019年3位)
 26歳でプロ1年目のシーズンを迎えた即戦力右腕。冷静沈着なピッチングが特徴で,ポーカーフェイスや力配分といった能力が付いている。140km/h後半の速球に縦と横のスライダー,ツーシームファストと球種も豊富でコントロールは62(C),三振狙いも打たせて取る投球もどちらも行けそう。スタミナは高くないが,十分に責任投球回数をこなせる。

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若手選手:石川 翔(投手・2017年2位 / 3年目)
 昨シーズンは右肘の手術で登板0だったが,2020シーズンは開幕前の練習試合で150km/h超えの速球を披露し,復活の兆しを見せた期待の若手投手。ケガしにくさG,回復Fとローテーションと登板回数には気を遣う必要があるが,スタミナは52(D)あるので,ノビBの速球や落差のあるVスライダーを活かした投球の組み立て次第で5イニングは投げられそう。

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東京ヤクルトスワローズ
新人選手:武岡龍世(内野手・2019年6位)
 1年目のシーズンからファームで活躍する高校出身ルーキー。走攻守すべてが高いレベルにあり,それは高校時代から,同じ守備位置のOBである坂本勇人選手(巨人)と比較されるほど。開幕前の試合やファーム公式戦で長打や守備力を見せているが,パワーと守備はEランクと,走力70(B)と肩力64(C)以外はまだまだこれからといった感じだ。

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若手選手:長谷川宙輝(投手・2016年育成選手ドラフト2位 / 4年目
 多くの球界を代表する選手を輩出したソフトバンクの育成出身。子どものころはファンクラブにも入っていたという“燕党”で,新天地ではさっそく中継ぎとして活躍している。最速149km/hのストレートと変化量4のチェンジアップ,緩急○付きが特徴だが制球に難あり。スタミナ39(F)のため,ロングリリーフを任せたいなら鍛える必要がある。

※育成登録期間を含む。支配下契約は1年目

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どう選手をチェックし,パワプロ能力を決めるのか?

プロデューサーの森 博信氏に聞いてみた


4Gamer:
 パワプロの選手能力はどのように決めているのでしょうか?

「パワプロ2020」プロデューサー 森 博信氏(以下,森氏):
画像集#026のサムネイル/ 「パワプロ2020」でデータの少ないルーキーや若手の“パワプロ能力”はどうやって決まるの? 気になる選手をチェックして能力の決め方を聞いた
 12球団それぞれに担当者がおり,基本的には各球団の担当者が決めますが,その前に各能力値や特殊能力ごとに目安とする成績を協議し,方針を決めてから行っています。
 成績などから自動化できる部分は自動化し,セイバーメトリクスを考慮した査定補助ツールなども使っています。さらに「○○選手はもっとミート上げた方が良いんじゃないの?」みたいな,各球団の担当者が相互チェックも行っていますね。
 最後に12球団全体を見る担当者が1人いて,バランスを取るため各球団をチェックし能力をならしていきます。

4Gamer:
 ルーキーはどのように能力を決めているのでしょう。

森氏:
 プロ入り前の成績,50m走や遠投などの基礎データ,実際の試合映像などをもとに,ルーキー同士の比較やそれぞれが持つ強みと弱み,すでにプロ入りしている選手たちのプロ入り前との比較などをして決めています。
 基本的に球団は,チームに足りない部分を補強するためドラフトで指名するわけですから,球団ごとの指名意図なども考慮していますね。

4Gamer:
 まだ一軍経験が少ない若手選手や新戦力となる外国人選手はどのように評価しているのですか?

森氏:
 主にファームの成績や映像を中心に判断しています。ファームの試合やキャンプに足を運び,練習などを実際に確認することもありますし,監督やコーチなどの発言も参考にしますね。
 同じポジションで競合する選手と比べてなにが劣っているのか,体力面についてはどうかなど,一軍で出場していない理由も考慮して能力に反映しています。

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 新外国人選手の場合,海外リーグでの成績や映像を参考にしています。来日前から比較的情報が揃っているMLBの選手は能力を決めやすくはあるのですが,日本にきてみると前評判と異なるということが多いため,そのあたりは判断が難しいところでもあります。
 チーム合流後であれば,キャンプなどの映像を中心に重点的に確認していきます。

4Gamer:
 ルーキーに,“期待値”のような形でプラス査定しているなどはありますか?
 
森氏:
 先ほども少し触れましたが,球団は自チームの足りない部分を補強するためドラフト指名するわけですから,そのあたりがある意味,期待値と言えるのかもしれません。
 即戦力として期待されているようでしたら1年目からある程度活躍できそうな能力値にしますし,将来性を見込まれている選手に関しては「どこかに光るところがあるから指名されたはず」という観点から特徴的な部分を探し出していきます。
 もちろん前提に,“可能な限り根拠となる情報を集めて確証を得る”ということがありますが,未知数な部分に関しては,良いところを伸ばす方向で調整することはありますね。

4Gamer:
 例えば「プロ経験がある2〜4年目の若手」と「即戦力が期待できる社会人&大学出身」のような年齢が近い選手だと,能力の決め方が明確に異なる点はどこにあるのでしょう。

森氏:
 「プロ経験がある2〜4年目の若手」は,ファームを含む実際の試合成績や映像を参考にできる点でしょうか。ほかのプロ選手との比較ができるところも大きいです。
 一方「即戦力が期待できる社会人&大学出身」は,プロ入り後にどう変わるか見えないところがあるため,予測込みの査定になります。投手なら使う球種の変化がありますし,野手であれば,アマチュア時代に鉄壁の守備を誇った選手がエラーを頻発するケースなどがあります。
 このあたりは,私たちのこれまでの経験や過去の傾向を踏まえたうえで予測して決めている箇所が多いかもしれません。

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4Gamer:
 プロ経験がない。または少ないという選手の特殊能力を決めるポイントはどこにあるのでしょう。例えば足の速い選手で「走力は高いけど盗塁が赤(マイナス)能力」という能力調整を見かけますが,どういった形で判断しているのですか?

森氏:
 基本の身体能力に結びついている「走力」と「肩力」はプロ入り前から大きく変わらないケースが多いため,そのまま査定する傾向にあります。対して「盗塁」など技術を伴うものは,アマチュア時代に良かった場合でもプロでは活かせないケースもあるため,最初は控えめに査定する傾向にありますね。
 この辺りは,プロ入り後に随時確認を進め,更新していくところになります。

4Gamer:
 選手の能力値や特殊能力を決めるうえで難しいと感じるところはどこですか? 具体的な例があれば教えてください。

森氏:
 いくつかタイプはありますが,例として挙げると,

・打率や防御率の数字は高いが,セイバーメトリクスが良くない選手
・少ない出番で大活躍した選手
・実績はあるのに大不振だった選手

でしょうか。

 いずれも実際の活躍や選手の能力の本質などが成績と剥離しているケースです。どうしても表に見える数字の印象は強くなりますが,皆さんに納得いただけるものを残したなかで能力を調整するのは苦労する点ですね。
 ほかには,守った経験のあるポジションを外すタイミングや,練習はしているけれど試合では守ったことのないポジションをどう査定するかなども難しいところです。

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4Gamer:
 そういった能力付けが難しい選手で気をつけていることはありますか?

森氏:
 「ペナントモードで1年間戦ったとき」が大前提になっているので,「少ない出番で大活躍した選手」は強くしすぎないよう,逆に「実績はあるけれど大不振だった選手」は弱くしすぎないよう気をつけています。前者に関しては起用が増えれば成績は落ち着きますし,後者は怪我で成績が落ちていたりする選手は翌年以降に成績を戻す傾向がありますから。

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4Gamer:
 12球団が偏りなく,公平性を保ちながら能力を決めるうえで行っていることや注意していることを教えてください。

森氏:
 12球団の各能力値や特殊能力の数などの平均を比較できるツールを利用し,異常に偏っている球団がないか確認し,セイバーメトリクスを考慮した予想成績表示ツールで,現在の選手能力でペナントを戦った時にどれくらいの成績になるかチェックしています。

4Gamer:
 決まった能力はどのようにチェックするのですか? また,シーズン中には選手の活躍を反映したデータ更新がありますが,出来上がった選手のデータをゲームに反映するうえで大変なところを教えてください。

森氏:
 選手の能力は,ゲームバランスを確認する意味でも,査定した選手データを使って何度もペナントモードを何度も回してチェックしますね。
 大変な部分で言えば,チェックの期間があるため,査定から配信までにどうしても多少の時間が空いてしまうところでしょうか。シーズン中であれば,その間の成績の変化に関しても予測して査定をしなければなりませんから。
 想定以上に活躍する選手もいれば不振に陥る選手がいますし,新たにブレイクする選手も出てきます。このあたりは広くアンテナを張り,しっかりと実力を見極めて査定しています。なるべく旬のデータを配信できるようにと考えていますが……現状は選手データの配信日からご想像いただければと(笑)。 

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4Gamer:
 とくにペナントモードを楽しむプレイヤーからの期待が高いと思うのですが,育成選手(制度)は導入されないのでしょうか。育成選手の取り上げ方についての考えを聞かせてください。

森氏:
 ゲームには搭載されてはいませんが,すでに査定している選手も多いです。ドラフトの時の「チームに足りない戦力」として指名する選手には育成選手も含まれるはずなので,育成選手の能力の把握も必要なためです。将来的にゲームにも搭載できるといいですね。

4Gamer:
 最後にパワプロファンと4Gamer読者にメッセージをお願いします。

森氏:
 今作ではおなじみのモードにさらに新モードも加えた「史上最大級のモード数」でお届けしております。
 残念ながら日程の変わってしまったペナントは“if”として,「東京2020オリンピック」は今後実際に開かれるものを想像しながら楽しんでいただければと思います。実際の試合を再現した「LIVEシナリオ」は,もちろん毎試合配信いたしますので,現実のプロ野球とあわせてアツくなっていただけます!
 オススメしたいところがたくさんあるのですが,1人でも複数人でも楽しめる野球のいろいろな形の遊びを用意しておりますので,皆さんのお気に入りが一つできればいいなあと思っております。「パワプロ2020」ぜひ楽しんでください!

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