プレイレポート
[プレイレポ]人食い族の島で生き延びる「Sons Of The Forest」は“しっかり恐い”。そして,手作りの家での島生活が楽しすぎる!
Endnight Gamesのデビュー作「The Forest」の続編にあたり,プレイヤーは孤島で行方不明になった富豪を見つけ出すため,人食い族がはびこる恐怖の島でのサバイバルに挑むことになる。2023年2月24日にSteamにてアーリーアクセス版が配信され,ローンチから24時間で200万アカウントを獲得したことでも話題となった。
そんな「Sons Of The Forest」をプレイしてみたので紹介したい。なお筆者は前作「The Forest」を未プレイ,そしてホラーはあまり得意ではない。苦手意識を拭いきれないまま,ゲームをスタートしてみると……。
ヘリが襲われ,ヤバい島に墜落。どう考えても人捜しなんかしてる場合じゃない
サバイバル開始。まずは探索と“生き延びるため”の拠点を作る
さて,謎の島での生活が始まったものの,チュートリアル的なものはほぼなく,いきなりフィールドに放り出される。スタート地点はどうやらランダムのようで,最初にプレイしたときは雪山,新しいデータで始めたときは海岸だった。
「え,どうすればいいの?」という感じではあったが,ムービー中にバッグと小袋を拾っていたのと,左下に[I]キーでインベントリを開くというガイドが出てきたので,とりあえずバッグの中身をチェックしていく。その中に,斧やGPSマップといったアイテムが入った緊急パックがあるので,それを開けていく。このあたりは,捜索隊だけあって用意がいい。
何か行動をするときには,ちょっとしたガイドが左下に出てくることがあり,クラフトやマップの確認といった基本操作,「チームBを探す」といった目標などを確認できる。とはいえ,前述のとおりチュートリアル的なものはほぼなく,ほとんどの操作方法は自分自身でオプションの操作設定から見つけなければならない。全体的に説明は少なめな印象だ。
開始地点の近くに,何者かが倒れている。捜索隊仲間のKelvinだ。負傷しているようなので治療してあげると,メモで指示を出せるようになった。
Kelvinへの指示は,丸太や棒といった物資を集める,焚き火の準備をする,簡易的なキャンプの設営をするといったさまざまな種類がある。これが大変便利で,探索に出る前に丸太集めを指示しておくと,戻るころには建築に欠かせない丸太が大量に集まっているといったように,探索の拠点作りで重宝する。
この島はどういった場所で,一体何が起きているのか。それを知るにも,まずは生き延びるうえで重要となる拠点を築くことに。本作には体力やスタミナに加え,空腹や喉の乾き,疲労といったゲージがあり,それらを一定の数値に保てなければ,体力が減少し力尽きてしまう。なるべく食料や飲料水の確保しやすい場所を探したほうがよさそうだ。
雪山はとても生活しづらそうだったので,下山して湖のほとりに拠点を作ることに。
これが正解だった。水は湖で飲めるし,カメやウサギといった食用肉になる生き物も多い。空腹は焚き火で焼いた肉を食べるとゲージの半分回復,喉の渇きは湖の水でゲージの半分回復できるので,マップ探索と拠点の建設に集中できる環境ができた。
島のあちこちには,こちらを見つけると襲い掛かってきたり,仲間を呼んだりする凶悪な人食い族がいるため,戦う武器も必要だ。拠点づくりを進めながら,素材集めや狩りに必要な道具のクラフトも実行する。
もちろん拠点作りやクラフトもチュートリアルなどはない。自分自身で建築やクラフトのシステムを確認し,それを実践するのみである。集めた素材が入っているバッグを開き,作りたいもののレシピ通りに組み合わせる素材を選択し,それらを結合してクラフト終了。バッグのUIが少々特殊なため素材を見つけづらいのだが,目的のものがバッグのどこにあるのか漁る楽しさがあり,不便さはあるがほどよいアクセントにもなっているといった感じだ。
建築は,フィールドに直接素材を配置して組み合わせていく方法と,設計図を選ぶ方法がある。家を作る場合であれば丸太を配置するのだが,その組み合わせ方によって土台や壁,屋根を作ることができるというわけだ。建築についてのガイドブックは[B]を押すと開けるので,拠点を作る前にすべて確認しておくと,どういったものが作れるかが分かって建築後のイメージもしやすい。
家を造るためには,斧を装備して木を切り倒し,丸太を入手する必要がある。木を切り倒す作業は,斧で少しずつ木を削っていくのだが,これがとてもリアルで,削る方向によって木が倒れる方向も変わるのも面白い。
木は倒れると自動的に丸太に変わるので,これを2本ずつ拠点に持っていき,建築素材として活用しよう。少し大きな家を作ろうとすると,丸太が何百個と必要になってくる。この地道な作業が,刺さる人には抜群に刺さる魅力がある。かく言う筆者は,見事に建築の楽しさの虜になり,気が付けば島の探索を進めずに,1時間以上も家の素材集めや建築に時間を費やしていた。
さて,ここまで建築やクラフトの楽しさを伝えておいてなんだが,筆者がプレイした限りでは,自分で丸太を組み,オリジナルの拠点を作る必要性はほとんどない。セーブデータ保存と時間を進める機能が使える「テント」があれば不便はなく,それもスタート地点で入手できる「タープ」と「棒」の2つだけで作れるので,素材集めの苦労をしなくてもゲームは進められる。拠点を作るにしても,設計図を使ったもので十分だ。
しかし,1個ずつ丸太を組み合わせて家を造っていく感覚は,ほかのゲームではなかなか味わえない楽しさとやりがいがある。最初は小さなことからコツコツと。Kelvinに指示を出し,自身も探索を進めながら丸太を集め,建築知識と技術を蓄えて理想のマイホームを建築してみよう。
人食い族とのバトル! 動きが速くて攻撃は痛い。そしてやっぱり見た目が恐い
さて,ここからは本作のホラー要素を担う存在,人食い族に触れていこう。人食い族は,こちらがどこにいても,どこからか湧いて出てきては襲ってくる,めちゃくちゃ厄介な相手だ。武器を手に襲い掛かる者に,犬のように四つん這いになって動く者,変異してグロテスクな姿になった者。それらは見た目だけではなく,人間離れした動きも不気味で,ホラーがあまり得意ではない身としてはかなり恐い。
人食い族はかなり手ごわく,とくに強力な武器がないゲーム序盤の戦いは熾烈を極める。武器を持った人型の人食い族などは,こちらの攻撃をガードして反撃してきたり,飛びかかりからの連続攻撃を仕掛けてきたりと,かなり戦い慣れしている。その一撃は大きく,一度の攻撃で体力の4分の1ほどのダメージを受けることも。武器のリーチが短く,飛び道具もほとんどない序盤は,少しの油断であっさり死んでしまう。テントを利用して,こまめにセーブしておこう。
建築にハマった筆者としてとても苦労させられたのが,人食い族は人だけではなく建物も襲うということ。建築中の家の壁を壊そうと集まってきたり,探索から帰宅したら,どう入り込んだのか家の中に人食い族がいて大惨事になっていたりと,丹精込めて建築した我が家を破壊しようとするのだからたまらない。だがしかし,それが「より強固な家を!」という“建築家魂”に火をつけてくれる。
玄関を開けると,人食い族がお出迎え。滑稽な絵に見えるが,実際に遭遇するとかなりのホラー |
ドアをぶち破り,家の中で大暴れ。愛するマイホームが! |
ハイテク施設に不気味な洞窟,謎の女性……謎だらけの島を探索&サバイバル
建築やバトルの要素を紹介してきたが,もちろん主人公がこの島にやってきた目的を忘れてはいけない。ネタバレになるため多くは触れないが,3Dプリンターがある謎の施設に,いわくありげな洞窟,近づこうとすると走って逃げる白い水着の異形の女性など,この島には人食い族だけでなく,多くの謎が存在する。それらの謎が少しずつ解けていくゲーム進行が,プレイヤーの探究心を掻き立てる。最終的に主人公がどんな結末に辿り着くのかは,実際にプレイして確かめてみてほしい。
島の謎に迫りながら送るサバイバル生活は,“季節の変化”が生き延びるうえでの緊張感を与えてくれた。とくに,寒さでスタミナの上限値が減って行動しにくくなり,食料となる動物もほとんどいなくなる冬は過酷だ。ウサギ一匹捕まえるのもかなりの苦労で,秋の間に干し肉などの保存食を用意するべきだったと思い知らされた。このように,季節によって異なるサバイバルを楽しめるのも本作の特徴だ。
湖は凍り,カナヅチな人食い族がその上を渡ってくるようにもなる |
たまに出てくるウサギを見つけたら必死で追いかけ回していたが,スタミナも減っているので一苦労。このように空腹で苦しまないよう,冬を迎える準備はお忘れなく |
前作未プレイ&ホラーはあまり得意ではないプレイヤーとして気になった点としては,まず説明不足な部分が多々あるところだろうか。チュートリアルなどで懇切丁寧に教わるのではなく,自分自身で新しい目標を見つける行為自体を楽しむゲームではあるが,操作が多いわりには細かいガイドがないため,それらを覚えるまで少々時間を取られる。
ホラー部分については,島では陰惨な風景が広がり,人食い族の見た目や動きは不気味で,暗闇の中で不意にビクッとさせられるような場面が頻繁にあるといったように,心臓が弱い人やホラーが苦手な人にはおすすめしづらい。本作はマルチプレイに対応しているので,少し恐いけど気になるという人は,恐さを軽減するために仲間と一緒にプレイしてみるというのも一つの手だ。
謎の多い物語を一直線に追いかけるだけでも楽しいし,サバイバルや建築はなかなか本格的,そしてホラーとしても“しっかり恐い”ので,プレイヤー各々の楽しみ方が見つけられる作品だと感じた。その中でも建築は,丸太を組み合わせていちから家を造るというシステムの,自由度の高さと“DIY感”が魅力的で,ただ島で生活しているだけでも楽しい。全体的なグラフィックスの質も良く,没入感もなかなかのもの。アーリーアクセス期間でどのように育っていくのか,気になるタイトルだ。
- 関連タイトル:
Sons Of The Forest
- この記事のURL: