「くたばれ、正論。」
2021年1月11日,さまざまなゲーム関連イベントへ積極的に提携・協力されていたり,マンガ
「ゲーミングお嬢様」 でもドゥビドゥバ飲まれていたりする
レッドブル 様が,このキャッチコピーを用いた広告で物議を醸していらっしゃいましたわね。
確かに,正論ばかり吐いて責任を追うことやドラスティックな改革を避け続け,末端の根腐れを幹まで腐ってキノコが湧き出すまで放置,というより腐敗を後生大事に抱え込んでる脳味噌お排泄物様は,明日にでも「人間がロードローラーに轢かれたら『トムとジェリー』よろしくペラッペラになるのかしら大実験」の被験体になってほしくありますわ。でも近年は「繊細チンピラ」とか「お気持ちヤクザ」とか呼ばれる別種の脳味噌お排泄物様がロジカルな意味での正論を踏みにじるケースも多々あり,果たして正論というものに起き攻め瞬獄殺をブチ込んで滅殺すべきかどうかを一概に述べるのは難しい世の中でありますわね。
ただ筆者としては,そもそも正論が何をもって正論たりえるのか,その「正しさ」とは何なのかと問いたいですわ。とある女性軍人は,「時の流れは人の価値観を変える。国の指導者も替わる。だから“絶対敵”なんてものはない。私達は時代の中で絶えず変化する“相対敵”と戦っているの」とおっしゃってました。そう,数学や物理学ならまだしも,人間の語る「正しさ」や「誤り」はコインの裏表,両頭蛇のアンフィスバエナ,どっちが主かなんて曖昧模糊のモッコモコですの。
ゲームメディアにしたって,1990年代初頭にはソフトバンク様の
「BEEP!メガドライブ」 がAV女優の方々を編集部に招いてリアル脱衣麻雀をするとか,アスキー様の
「ファミコン通信」 が家庭用ゲーム機向けの非正規アダルトゲームを特集するとかやってましたのよ。ソフトバンク派生の4Gamerにしても,KADOKAWA Game Linkage様の
「ファミ通」 にしても,今日(こんにち)ではとてもじゃないけど実施できない「間違ってる」企画かと思いますけど,当時はそれが「正しさ」でしたわ。まあ,
「当時の感覚から言っても,やり過ぎ感は否めないよなー」 みたいな話はさておきましてよ。
正論が何か,極論が何かは,時代・社会・立場によって簡単に変わってしまいますわ。今のゲームメディア編集者が1990年の記事,あるいは2050年の記事を見たら「間違ってる」と思うことは多いでしょうし,逆に今のゲームメディアを1990年の編集者様方,あるいは2050年の編集者様方がご覧になられたら,「間違ってる」とおっしゃるはずですわ。
でも人類史というもの自体,人々が「旧態の正論」を疑うことで新たな地平を切り開き,同時に「新しい正論」で過ちを犯し,それらを繰り返して少しずつ前に進んできたのでしてよ。もし人間が旧態の正論に甘んじてばかり,新しい過ちを恐れてばかりの個体だらけだったら,未だに太陽は地球の周りを回っていて,“ゲーム”という言葉はシェイクスピアの「夏の夜の夢」に登場するナイン・メンズ・モリスなどを指していたでしょうね。
それに正論だの常識だのは言われんでも知ッッッてるに決まってんですわ!
通りすがりのお婆ちゃんを殴っちゃダメ! 知らない人のお家を焼いちゃダメ! 拾ったお餅は食べちゃダメ! 序文にネタを詰め込んで無闇に引き伸ばしちゃダメ! そんなことは理解(わか)っていらしてよ! 問題なのは精神面の話であってな!? 私は初めから正論なんて求めていませんわ!! 正論が人をキレさせることはいくらでもありますが,人を救った例は有史以来一度も存在しませんわ!! 私が求めているのは銀座の一等地に建つ超高級スイーツ店のプディングのような甘ったるゥい仮初めの慰めの言葉なんですわ!! オギャアアアアアア!! ギョエエエエエエエエ!! キィヤアアアアアアア!!
というわけでレッドラム(シャイニング)だかレッドホーン(タカラトミー)だかはともかくとして,正論へのブチのギーレェは,「少年ジャンプ+」版「ゲーミングお嬢様」第1回の鮮烈なパンチライン(一部改変)ですわ。
「正論だの極論だのより,結局のところ私に一番役立つのは私自身の暴論ですわ」 の一言で済む話に1400文字くらい使いましたわね。
そんな「ゲーミングお嬢様」の単行本が,2月4日に集英社様から発売されましたわ。それに,遠隔地のサル達が芋を海水で洗って食べるようになるシンクロニシティ現象(※ニューエイジ思想家の創作であり,現実とは異なります)のごとく,なぜか
「ゲーム×お嬢様」 というテーマのマンガが複数リリースされていますのよ。そんなわけで,今回は最近のゲームマンガでやっていきますわ!
お嬢様口調で! もしウザかったら関西弁だと思いこむとなんぼかマシですわ。
ゲーミングお嬢様
集英社様の
少年ジャンプ+ で連載されていらっしゃる「ゲーミングお嬢様」(原作:大@nani様,作画:吉緒もこもこ丸まさお様)は,お嬢様学校・聖閣東芸夢学園を舞台に,リュウ使いの祥龍院隆子様が,ご学友の格ゲーお嬢様方と
「ストリートファイターV」 (
PC /
PS4 /
ARCADE )だのボードゲームだのでキャッキャウフフ
(with殺意) するコメディ作品ですの。先ほども述べましたが,2月4日に単行本の第1巻がジャンプコミックス(およびジャンプコミックスDIGITAL)レーベルから発売されまして,YouTubeのジャンプチャンネルでは上坂すみれ様によるアフレコ動画が公開されるなどといった謎の竜巻旋風も巻き起こっていますわ。
【CV. 上坂すみれ お嬢様】『ゲーミングお嬢様』1巻発売記念スペシャルPV? 祥龍院隆子の名言?まとめてみた(おまけ付)【少年ジャンプ+】
VIDEO
今回,本連載の「今日(こんにち)のレトロゲーム」というテーマをジャイアントスイング(タマ姉)でブン投げてマンガ特集にするのは単に筆者の趣味ですけれど,「ゲーミングお嬢様」に盛り込まれているネタは,炎のコマをイメージ像で放ってみるとか,「
Hit Box 」を取り出してシグルってみるとか,セクシーコマンドーを唐突に繰り出してみるとか,対象年齢が実際高め。わからん殺しforボーイズ&ガールズな風が時折吹き抜けていきますわ。
また,無料公開中の「
GAME23 」では,温泉旅館のゲームコーナーにて,そういう施設にありがちな旧世代タイトルを隆子様がプレイされる様子を見られますの。筆者も学生時代,学校のイベントで旅館などへ行くたびに「TiLTの誌面以外で
『ライジンピンポン』 初めて見たぜ!」とか「ウギャア
『デスクリムゾンOX』 じゃねえか,やるしかねえ!」とか(どちらも当時は「ちょい古」ですわね)してましたし,こんな連載を読んでる読者諸氏もソレ系のアレな方々が多いかと思いますが,それも含めて二重にノスタルジックですわね。
そんな「ゲーミングお嬢様」の“オリジナル版”が「
ジャンプルーキー! 」で鮮烈デビューを飾ったのは,2019年12月4日のこと。大@nani様のイラストレーションは,ご本人もおっしゃるようにアレですけど,「このお排泄物マンガは何ですの?」と覗き込んでみたゲーマーのお嬢様方は,あるあるやら,身につまされるやら,「ないないそれはない」となるやら,とにかく腹筋を鍛えられる羽目になりましたの。
こんな奇天烈なマンガが誕生したきっかけというのは,大@nani様が「身の回りの格ゲー勢の発言まとめ」というネタ画像をTwitterで公開したところ,その中の
「あーこっから負けたら俺お嬢様になる…俺お嬢様…クソわよッッ!!」 への反響が大きかったことにあるそうですわ。前々からマンガのネタとして構想していた「女子3バカの日常もの」とブチギレてる格ゲーお嬢様が融合して,「ゲーミングお嬢様」のイメージが固まったのだとか。件のネタ画像,源流をたどれば恐らく映画監督・市川 崑様のタイポグラフィに行き着くのですけど,とんだバタフライエフェクトもあったものですわ。
ただ,奇天烈ながら一発ネタで終わらず安定飛行を続けたのは,なかなかどうして大@nari様の人間性能ですわ。それにより,ジャンプルーキー!などで活動されていらしたうえ,こちらも格ゲープレイヤーでいらっしゃる吉緒もこもこ丸まさお様が作画担当としてアサインされて,少年ジャンプ+版の「ゲーミングお嬢様」が爆誕したというわけですわね。
少年ジャンプ+版はカプコン様の許諾を取られていまして,ジャンプルーキー!版では伏せ字だった「ストV」のタイトルとキャラが実名で登場していますの。まったくの余談ですけど,週刊少年ジャンプのマンガを原作とした,カプコン様の
「天地を喰らうII 赤壁の戦い」 は神ゲーですわ。現在だと
「カプコン ベルトアクション コレクション」 (
PC /
PS4 /
Xbox One /
Nintendo Switch )でお遊びになられるのがよろしくてよ。
近年,SNSでの広まりやすさとの適合性もあって「既存の“エモい”シチュエーションを描き直したようなマンガ」が支持を得がちですわね。それもまた序文で述べたような「正しさ」の1つですけれど,「ガロまでは行かないけどアフタやIKKIくらいは」的な嗜好の筆者としては奇声を上げがちですの。でも,「ゲーミングお嬢様」のようなゴリマッチョパワーワードガン攻めマンガが商業に登場すること,それを集英社様が「ジャンプ」の看板を掲げたプラットフォームから展開されることは,「世の中どうも捨てたもんじゃねえな」って思えますわね。それはそれとして少年ジャンプ+の“Tシャツを作る”ボタンを「ゲーミングお嬢様」に対応させてほしいですわ。
対ありでした。〜お嬢さまは格闘ゲームなんてしない〜
「ゲーミングお嬢様」は,言ってしまえば格ゲーマーの男衆を擬人化したものなので“汚さ”が溢れかえっているのですけれど,KADOKAWA・メディアファクトリーブランド様の「月刊コミックフラッパー」で連載されている,
「対ありでした。〜お嬢さまは格闘ゲームなんてしない〜」 (著:江島絵理様。以下「対ありでした。」)は女子校を舞台にした「格ゲーマー少女の物語」なので,格ゲーおじの汚さなんて微塵も無い綺麗な世界ですわ。
嘘ですわ。 格ゲーマーは「相手が嫌がることをうまくできる」ほど強いので,綺麗な格ゲーマーは死んだ格ゲーマーだけですわ。
例に漏れず,こちらのお嬢様方の口からも
「オイオイオイど〜〜〜〜した糞雑魚ッ!!!」 「ここで確実に殺すッッ」 「次は殺す!!!」 といったお排泄物ワードがたくさん飛び出しましてよ。これまた余談ですけど,文字組みバランスのためかフラッパー様は縦中横のエクスクラメーションが3連ですのね。
単行本は第2巻がMFコミックス フラッパーシリーズから1月21日に発売されたばかりですが,早くもアニメ化が決定していますの。また,YouTubeのKADOKAWAanimeチャンネルではファイルーズあい様と長江里加様によるアフレコ動画が公開されていますわ。
ファイルーズあい&長江里加出演!お嬢さま×格ゲー!『対ありでした。〜お嬢さまは格闘ゲームなんてしない〜』コミックス第1巻発売記念PV
VIDEO
「対ありでした。」の主人公は,オフ戦仲間と離れ,オンラインマッチで対戦ポイントを増やすだけの虚しいプレイにも辟易して格ゲーを手放してしまった深月 綾様。そんな彼女ですが,環境を変えようと入学した黒美女子学院で,隠れて格ゲーに熱狂していた“白百合さま”に対戦相手としてタゲられ……もとい運命の出逢いを果たし,再び格ゲーの世界を歩んでいくというお話ですわ。
まだ「ゲーミングお嬢様」はレトロとこじつけられたものの,本作は本当にレトロ感ゼロですわ。劇中に出てくる大会が,「ゲーミングお嬢様」は
“嬢劇” ,「対ありでした。」は
“EXjp” というのも格ゲーマー的な世代差を感じさせられますわね。
ただ第2巻のあとがきによると,本作の「ゲームが禁止されている女子校の寮で格ゲーマーの女子達が,協力しながらも競い合う」という設定は,「1990年代のゲーセンに惹かれつつも,その思い出を持たない」という江島様が考案された,
「私が“思った”ゲーセン」 なのだそうですわ。中高生のころ,深夜のゲーセンにたまっていて,世間から隔絶されたような非日常感や,補導目的に巡回している警官を避ける緊迫感,居並ぶブラウン管に照らされた薄暗い店内という独特の情感に酔っていたゲーセンおじは,二段ベッドの下段を毛布で囲んだ空間が液晶ディスプレイのバックライトで照らされている「対ありでした。」の情景に“あのころ”を幻視することウケアイですわ!
ングッ!?
フゥー……今,毛布で囲んだ二段ベッドの中に格ゲーおじが4人ほど入り込んでる様子を臭気までイメージしてしまい,ちょっと気分が悪くなりましたわ。幻視の解像度を上げ過ぎたらダメですわ。
悪役令嬢転生おじさん
ゲームでお嬢様でおじさんと言ったら,少年画報社様の「月刊ヤングキングアワーズGH」に連載されている
「悪役令嬢転生おじさん」 (著:上山道郎様)も見逃せませんわね。これは妻子持ち公務員おじの主人公・屯田林憲三郎様(52歳)が,乙女ゲームの悪役令嬢として転生したという導入でスタートするコメディ作品ですの。単行本は,第1巻が少年画報社様のヤングキングコミックスレーベルから2020年12月16日に発売されましたわ。
「ゲームを題材にしたマンガ」の一種ではあるものの,厳密に言えば「乙女ゲームを題材にしたコンテンツで用いられがちなテンプレートをパロディしたマンガ」……オタクならサラッと飲み込めますけれど,改めて考えてみると結構なハイコンテクストですわね。屯田林様も,そんな劇中設定をサラッと飲み込めるオタクですが,52歳ともなるとファミコンブーム到来すら中学生のころだったりするので,語る「いにしえのオタク知識」も1970年代のアニメだったり,これまたレトロゲーム感はありませんわ。内容的にも「おじ知識でファンタジー世界を攻略する(悪役令嬢のロールをほっぽらかして)」といった感じですので,ゲームゲームした話は今のところありませんし。
ただ1990年代に少年期を過ごして小学館様の「月刊コロコロコミック」を読んでいらした方々には,同誌で上山様が連載されていた
「怪奇警察サイポリス」 や
「鉄鋼闘機ガイラ」 が印象深い人がは少なくないのではないでしょうか? て言うか筆者がモロにそれでして,ドラえもんとかビーダマンとかミニ四駆とかやってる傍らでバケモンをブッ殺したり巨大ロボが格闘していたりするのが童心に衝撃的でしたわ。1990年代の児童マンガ誌は妙に先鋭的でして,何か様子のおかしいマンガ……コロコロなら
「電撃ピカチュウ」 ,ボンボンなら
「ロボットポンコッツ」 とか
「ゲームウルフ隼人」 とかには狂気の色が節々で煌めいていましたわ。それらの原作/関連ゲームと共に,芋づる式で脳から混沌としたノスタルジーが溢れ出しますわね。あと上山道郎様の弟君であられる上山徹郎様のお話もしたいのですけど,さすがに脱線が無限列車編なので割愛しますわ。
それはそれとして,大@nari氏のようなまっさらな新人から上山道郎氏のような大ベテランまで,
「ゲームとお嬢様をテーマにしたマンガ」 を描かれているのは面白い現象ですわ。そうこれが,かつて凝固しなかったグリセリンが世界中で一斉に凝固するようになったシンクロニシティ現象(※都市伝説であり,現実とは異なります)! ここ数年中に,ここ日本……いやマンガ界に,どエラいお嬢様方が上陸する! 強者(もののふ)に会うため気が向くままに! でも敗北を知りたいとか言ってる海王は敗北を熱望しながら現時点まで無敗なので一度も勝ったことがない!!(グラップリングお嬢様!)
16bitセンセーション 私とみんなが作った美少女ゲーム
ガラッとマンガのカラーが変わりますわ。KADOKAWA・ファンタジア文庫/ドラゴンマガジン編集部様の編集企画で,2020年9月に単行本が刊行されました
「16bitセンセーション 私とみんなが作った美少女ゲーム」 (著:若木民喜様,原案:みつみ美里様&甘露樹様)は,1990年代のアダルトゲーム業界の開発現場をコミカルに描いた,事実じゃないけど事実的なイメージをもとにしたフィクションとでも言うか,そんな感じのマンガですの。人物は戯画化されていますが,時代背景のリアリティという点では他の追随を許さない生々しさがありますわね。格ゲーブーム真っ只中の時代でしたので,劇中には家庭用ROM版の
「ガロスペ」 (※原文ママ)で対戦している描写もありましてよ。
もともと同人誌として刊行されておりましたので,いろいろ実名で出てくるものがあるのですが,そのほとんどがKADOKAWA版でもイキになっていますわ。巻末クレジット表記のマルシー(権利表記)を見ると編集者様のご苦労が偲ばれますので,エンディングまで泣くんじゃないですわ。
本作の1巻で描かれているのは1992〜1995年。PCゲーム業界的にはDOS/V規格がNEC陣営を脅かし,そしてWindows 95という巨大黒船が到来……といった時代ですわね。ただ,先述のように1990年代の筆者はコロコロやボンボンを読んでいるようなキッズでしたので,当時のアダルトゲームなんて……ん? 1996年くらいになると友人の家に「98MULTi CanBe」があって,最初はコンパイル様の
「ディスクステーション」 収録ゲームをやってて,そこから……いえ昔のことなので一切覚えていませんわ。お酒,お煙草,おエロゲ,その他諸々は20歳とか18歳とか適切な年齢になってから初体験したに決まってますわ。
この時代,アダルトゲームというニッチな世界に生きる道を見出した20代の若者が格ゲーをやり,上山様が「怪奇警察サイポリス」の連載終盤で敵との格ゲー対決を盛り込み,
「ハイスコアガール」 のハルオ達も格ゲーまみれの中学生活を過ごし,コロコロでもボンボンでも格ゲーのマンガや記事が載っていたりして,なんかすげえ時代でしたわね。そんな「かつての大ブーム」である格ゲーの後継作を,そのころカケラも存在してない「対ありでした。」勢がプレイしてるというのは(「ゲーミングお嬢様」勢は設定どうこうより概念的存在なので置いときましてよ),現実と虚構の境目が曖昧になっている顔で言いますけれど不思議な感覚がありますわ。
ハイスコアガールDASH
画像は「デジタル版月刊ビッグガンガン 2020 Vol.01」のもの
先ほど名前を出した,かつ「レトロゲームとお嬢様のマンガつったらまずコレだろ!?」な「ハイスコアガール」(著:押切蓮介様)ですが,その続編にあたる
「ハイスコアガールDASH」 (同著)がスクウェア・エニックス様の「月刊ビッグガンガン」で連載中ですわ。単行本はビッグガンガンコミックスレーベルから第1巻が3月25日に発売される予定でしてよ。
「ハイスコアガール」の物語は劇中の1996年で終わりましたが,「ハイスコアガールDASH」の物語が始まるのは2007年。主人公は中学教師の職に就いた日高小春様ですわ。日高様が担任する生徒のうち,物語の中心となるのが無趣味かつ無感動な少年・山井真治様と,問題のある家庭で育った少女・片桐美和様。日高様の胸中に
「ヴァンパイア」 熱が燻り続けているのはもちろんのこと,山井様は奇怪な青年・有栖様に誘われる形でアーケード版
「ヴァンパイア ハンター」 と接触,片桐様はPSPの「
ヴァンパイア クロニクル ザ カオス タワー 」を心の縁(よすが)としているとあって,「ヴァンパイア」シリーズを中心に三者および周辺人物の運命が交錯するようですわ。
ちなみに「ハイスコアガール」のゲーマーお嬢様である大野様は,“らしき人物”が日高様の回想に登場しますが,2007年時点の動向や容姿はまだ明かされていませんの。今後どうなるのか,ドキドキワクワクがドンドコドン(タイトー)のダダンダーン(KONAMI)ですわ。
というわけで
「ゲーム×お嬢様」 ひいては
「ゲームを題材にしたマンガ」 が今アツい! ……のですけれど,昨今のレトロゲームブームにかかわらず「レトロゲームを主題にしたマンガ」って,そんなに無いですわね。て言うか無くはないのですけれど,レトロゲームって“マンガのコンセプト”に置きにくいから,「ハイスコアガール」のような特例を除いて長期連載や大ヒットになりにくいんですわ。
マンガのコンセプトと,それをどう描くかというのは非常に難しいですわ。最近の「ゲームを題材にしたマンガ」と言えば,小学館様の電子レーベル「
スペリオール・ダルパナ 」で展開され,「ビッグコミックスペリオール」の最新号(2021年2月12日発売 第5号)に出張連載の第3話が掲載されております
「ケッペキゲーマー」 (著:あまの様)もありますが,障害という重いテーマに対する描写は綿密な一方,ゲーマーをコンセプトとしているにもかかわらずゲームの描写が(現時点では)具体的なビジョンを廃したマクガフィンじみていて,いちゲーマーとしては首を捻らざるを得ませんの。
そもそもレトロゲームをコンセプトに置くとなると,往々にして許諾取りが大変なのですが,KADOKAWA様の「
ヤングエースUP 」で連載されていました
「ゲームやるから100円貸して!」 (著:ナカノ様,原作:ザワ様)は“有名レトロゲームのデッドコピー(海賊版)”をコンセプトにしていらして,なかなか良いセン行ってましたわ。ただ主人公がイケメンでいらっしゃって……何て言うかこう,すがやみつる様が
「ゲームセンターあらし」 の企画時にコロコロの編集者様から「ハンサムな少年は面白くないので,ブサイクな子供にしてください(大意)」と言われたような,そういうとこあるじゃない? 男性でなくお嬢様で言えば,中身がおじさんだとか,卑語暴言を吐くとか,バーサスシティを対戦相手側に蹴り飛ばすとか,そういうのが無いと“刺さる”お嬢様になりにくいんですわ。
ただ,ゲームという要素を活かしつつ,マンガとしての面白さを考えつつ,“刺さる”要素も考えなければいけないとなると,もう常人が耐えられる域を超えた三重苦ですわよね。そこでアレですわ。もし
“レトロゲーム×お嬢様” ,あるいは
“シューティングゲーム×お嬢様” だの
“クソゲー×お嬢様” だのといった企画がどこかにあって煮詰まらずスタックされていましたら,企画協力なり監修なり編集なりの相談を筆者が“個人的に”お受けいたしましてよ! まあマンガ編集はページ隅の4コママンガくらいしかやったことねえから分かんねえですけれど! お値段応相談で! マネーで! じぇじぇこで!(マネタイジングお嬢様!)
……あ,おカネは超絶欲しいのですけど,本記事中で貼ってる物理本のAmazonアソシエイトリンクには,マケプレ価格で値段が釣り上げられてるものがあります(※記事公開時点)ので,購入のときは注意してほしいですわ。そんな詐欺みてえなもんを買っていただいて4Gamerに小銭が入ってもマジお排泄物ですし,何より筆者に直接おカネが入るわけではないですし。重版分の出荷を待ちましょうぜですわ。