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「Elin」,クラウドファンディングで6350万円の調達に成功。6000人近い“妹”たちがバッカーに。ワァオー
前作「Elona」がフリーゲームであったことを考えれば,どれだけのファン……いやここではElonaらしく“妹”と呼ぶが,妹たちが前作をどれだけ楽しんだのか,そして続編を心待ちにしていたのかが伝わる結果と言える。バッカーの数は5925人だ。
妹の皆さんにとっては釈迦に説法かもしれないが,Elonaは15年以上前(2006年)にリリースされたゲームであり,なぜここまでの支持を得ているのか分からない人も多いと思うので,簡単に紹介しておこう。
Elonaは,ゲーム開発者のnoa氏が開発したローグライクRPGだ。前述のとおりフリーゲームであり,公式サイトでは“安定板”のver1.16finalと,“開発版”のver1.22(安定板より要素は多いが,開発中として公開されたバージョン)がダウンロードできる。
また,Elonaをベースにほかの開発者が手を加えた「ヴァリアント」と呼ばれるさまざまなバージョンも存在し,noa氏による公式のElonaとはまた違った要素やバランスでも遊べる。
Elonaがどんなゲームかを一言で表すのはちょっと難しいが,あえて言えば「なんでもアリ」だろうか。プレイヤーはイルヴァと呼ばれる世界で,船の難破によりノースティリスの地に流れ着く。洞窟で目覚めたプレイヤーは,そのままほっぽり出されて,あとはもう好きにしろよ状態になる。
十数年前にリアルタイムで遊んでいた人,30代後半以降の人なら,「オフラインのMMORPGっぽい感じ」と言われると分かるかもしれないが,今や「自由度の高いMMORPG」自体が限られているので,それも伝わらなそうだ。とにかく,ノースティリスのどこに行って,何をやってもいい。
ただ,この「何をやってもいい」のカオス具合は,Elonaはかなりぶっ飛んでいる。ベースはローグライクRPGなので,基本的な流れとしては,メインシナリオを追いかけながら,ランダム生成のダンジョンに潜って,レベルを上げたり強力なアイテムを探したりすることになるだろう。
しかし,そんなのを無視して,街でひたすら依頼を請け負って日銭を稼いでもいいし,街の人からアイテムを盗んだり,旅の途中で出会った商人を襲ったりなど,悪いことをしてもいい。なんなら,街で適当に人を殺して落としたアイテムを奪ったところで,罪に問われることすらない(NPCにもよるけど)。
この程度は序の口で
- 人型ですらないかたつむりで冒険を始める
- 王都に原子爆弾を仕掛けて吹っ飛ばす
- 食人に目覚めて,殺した人の肉を料理する
- 捕まえたモンスターと結婚する
- 街の人を酔わせて「気持ちいいこと」で金を巻き上げる
- 牧場で少女を繁殖させる
などなど,普通のゲームの感覚からすれば,狂ったプレイはいくらでもできすぎて,例を挙げるとキリがない。とにかく自由で好き放題できるのがElonaというゲームである。
全体的に難度は高く,本当にあっさり死ぬし,操作も昨今のゲームと比べたら独特でとっつきづらいので,慣れるまでは非常に人を選ぶ。ただ,うっかり深く踏み込んでしまうと,抜け出せなくなってしまう魅力がある。
筆者は,「Elinのクラウドファンディングも始まったし,改めてElona遊んでおこうかな」と,ゴールデンウィークに安定板を最初から遊び始めたのだが,気づいたら連休が全日なくなっていた。毎日十数時間,どっぷりとElonaに浸かる日々は最高に楽しかったが,最終日に「連休,溶けちゃった……」と後悔したのは言うまでもない。圧倒的な自由度は,そのぐらいハマれる“沼”なのだ。
新作Elinも圧倒的な「自由度」と「カオスさ」が特徴
そんなElonaの続編であるElinは,前作と同様に圧倒的な「自由度」と「カオスさ」が特徴の作品になることがアナウンスされている。硬派なローグライクRPGのゲームプレイはそのままに,前作を遥かに上回るボリュームとなり,新たに拠点建設・運営機能なども追加されるようだ。
平面的だったグラフィックスも,クォータービューで立体的に描かれ,これまでとまた違う印象のノースティリスの様子が,Kickstarterページでも公開されている。
2023年下旬に,Steamでのαテスト公開が予定されており,今後はこれに向けて開発が進んでいくことだろう。今回のクラウドファンディングで,さまざまなストレッチゴールも達成……というか,ものすごい勢いで集まっていく資金に対して,随時ゴールが追加されていったように見えたが,とにかくさまざまなコンテンツの追加も発表されている。
マルチプレイ機能,空飛ぶ賭博飛空船,電力と動力の仕組みの実装,莫大な借金を抱えてスタートするクエストなど,Elonaにはなかった要素の数々に期待ができそうだ。触手の怪物に襲われるジュア様のクエストってなんだ。
ちなみに,今回のクラウドファンディングで,高額プレッジに申し込んでいる人は“願い”の権利を得ている。これは,願いのランクに応じて,新しいアーティファクトや魔法,種族,機能といったゲームコンテンツの開発を要望できるというもので,要は妹たちの「これ欲しい!」を叶えるために,noa氏たちが奔走してくれるわけだ。
妹たちの願いなんて,どれだけ濃いモノが出てくるのかという感じだが,noa氏は権利者にアンケートを取っていて,その一部をKickstarterページで公開している。事前アンケートなので,本当に願われるかは分からないが,「柴犬が欲しい」「ねこの模様を増やして欲しい」といった微笑ましいものや,「パンティの主張が強過ぎるので、ストッキングを追加して欲しい!」という“癖”全開の海外ファン,「年上の妹または年下の姉または巨大な妹を追加して欲しい!」という妹の概念をぶち壊すものなど,すでにカオスすぎてヤバイ。
……筆者も願いの権利者の1人として,彼らに負けない“癖”をぶつけられればと思う。
無事に資金調達に成功し,ストレッチゴールや願いが追加されたElinの世界がどのようなものになるのだろうか。完成を楽しみにしながら,今後も本作を見守っていきたい。
「Elin」Kickstarterページ
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Elin
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