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[TGS 2019]メイは成長したのではなかった? 開発陣への質疑で「NEW GUILTY GEAR (仮)」の新情報が続々と明らかに
そこで行われたゼネラルディレクターの石渡太輔氏と,開発ディレクターの片野 旭氏に対する質疑において,本作に関するさまざまな新情報が明らかになったので,本稿ではその模様を届けする。
「NEW GUILTY GEAR (仮)」公式サイト
ゼロから再構築した新しいGUILTY GEAR
――本作は“完全新作”を謳っていますが,ナンバリングタイトルではないのでしょうか。
石渡太輔氏(以下,石渡氏):
ナンバリングタイトルか否かというところは,現時点ではお答えできません。多くのプレイヤーに本作をどのように受け止めてもらうか,模索している段階なんです。
片野 旭氏(以下,片野氏):
少なくとも「Xrd」シリーズではありません。
石渡氏:
アークシステムワークスとしては,GUILTY GEARシリーズの新作というより,まったく新しい格闘ゲームを作ったというスタンスを,本作では強調したいと考えています。
――では,Xrdシリーズは「Rev 2」で完結を迎えたという認識でよいのでしょうか。
石渡氏:
難しいところですが,Xrdシリーズとしては「Rev 2」で完結と考えていただいて間違いありません。ただ物語としては,今作とそのまま地続きになっています。
――8月に公開されたティザートレイラーでは,ドレッドヘアの二刀流の剣士が最後に登場しました。このキャラクターについて,現時点でお話しいただけることはありますか。
石渡氏:
あのキャラクターを最初のトレイラーに登場させたのは,誰も見たことがないビジュアルを,まず皆さんにお見せしたかったのが理由なんです。完全新作であるというアピールの一環ですね。ただバックボーンなどを紹介してしまうとネタバレになってしまうので,細かい部分はまだお話しできません。ただシリーズ内のこれまでの歴史に,何かしら因んでいるキャラクターではあります。
――あの新キャラクターは,どんなインスピレーションから生まれたのでしょうか。
石渡氏:
キャラクターのバラエティとして,我々の引き出しにこれまでなかったもの。その答えの一つだと思っています。
――一方,今回のTGS 2019で公開されたトレイラーでは,メイの参戦が明らかになりました。ビジュアルが大きく変化しましたが,これは作中での時代設定において,かなり時間が経過した,と考えてよいのでしょうか。
石渡氏:
Twitterなどで話題にしていただき嬉しい限りですが,あれは単に絵柄が変わったと捉えていただくのがよいと思います。設定的に遙か未来だとかそういうことではなく,今回のグラッフィックスでメイを描いたらこうなりました,というだけですね。
片野氏:
10年後か? みたいな意見もありましたが,そんなには経ってないですね。
石渡氏:
そんなにというか,もう全然です(笑)。
片野氏:
具体的にどれくらい後の話なのかは,続報や本編を楽しみにしていてください。
――現在発表されているキャラクターは4名ですが,ローンチ時には登場するキャラクターはどの程度を想定していますか。
石渡氏:
すべてをフルスクラッチで作り直しているので,労力はかなりかかっています。ローンチの段階ですべてのキャラを揃えることは難しいでしょう。
片野氏:
「Rev 2」からどの程度のキャラクターが参戦するのかを,皆さん気にしてらっしゃると思いますが……「できるだけ期待に応えられるよう開発を進めたい」といったところですね。プレイヤーの皆さんが,キャラクターに愛着を持っているのは理解していますので。
――映像面の強化は,PVを拝見してよく分かりましたが,格闘ゲームとしての中身についても,変化はあるのでしょうか。
石渡氏:
本作は,その“中身”が最も変化する部分だと考えています。Xrdシリーズと比べて,というより,GUILTY GEARシリーズとしてもかなりの変化があります。
――トレイラーでは,相手を吹き飛ばした後に,ステージが変遷する演出がありましたが,これは単なるPV上での演出ではなく,ゲームシステムの1つと考えてよいのでしょうか。
片野氏:
はい。
石渡氏:
何をするにせよ,我々の格闘ゲームの哲学に基づき,常にバランスを考えたうえで制作しています。なので,ただの演出ということはありえません。
――ということは,この変遷が発生することで,対戦に何らかの影響,恩恵などが発生するわけですね。
石渡氏:
従来の格闘ゲーム,あるいはGUILTY GEARの問題や課題を解決しようとして出てきたアイデアの1つで,新しいプレイフィールを実現するシステムなのは確かです。それがメリットなのかデメリットなのかといった部分については,今の時点ではちょっと……。
片野氏:
まさに今調整を進めているところですし,ゲームシステムの軸になる部分ですので,続報をお待ちください。
――本作を理解する,大きなヒントになりそうですね。
片野氏:
石渡の言うように,問題点の解消という側面もありますが,爽快感やゲームシステムの面でも,とても重要な要素になると考えています。あれが発生したときが,試合が盛り上がるタイミングだと分かるようにしたいんです。
――近年のアークシステムワークスの格闘ゲームには,初心者が入りやすいゲームシステムが取り入れられています。本作にもそういったシステムは導入されるのでしょうか。
石渡氏:
“初心者向けのシステム”が必要ということは,そもそもそのゲームが難しいのではないか,というのが個人的な見解です。ですので,本作では“初心者向けのシステム”が必要のないゲームを目指して開発を進めています。
なので従来のGUILTY GEARのように覚えなくてはならないシステムがいくつもあったり,使いこなすのが難しいシステムというのを考え直し,ゼロから再構築することを目指しています。
片野氏:
初心者向けにするというよりは,シンプルにするといったほうが近いと思います。まだ具体的にはお話できませんが,例えば「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」(PS4 / Switch / PC)とは別の方向ですね。それでいて,より幅広いプレイヤーに遊んでいただけるゲームにしたいと考えています。
石渡氏:
ゲームの入口はシンプルにしつつ,シリーズが培ってきた奥深さは維持するつもりです。つまり,掘れば掘るほど発見があるゲームですね。そこは死守したいところです。
片野氏:
見た目で「難しそう……」となるのを払拭したいですね。連打コンボなんかは確かに簡単なんですが,一方で,見ていても何が起きているのか分からないという問題もあって。格闘ゲームをまったくプレイしない人が見ても,何をしているのかが分かるというのが目標なんです。
石渡氏:
そこが本作のキーワードですね。
――かなり挑戦的なタイトルになりそうです。
石渡氏:
本作そのものが大きなチャレンジだと思っています。これまでのシリーズでは,どの部分をパワーアップさせるかや,何を減らしてシンプルにするかといった調整をしてきましたが,今回は違います。まずはゼロから構築したうえで,これまでの経験から良かったものを取り入れるというスタンスなんです。
片野氏:
自分にとっては,日本のみならず全世界に届くタイトルにするというのが,本作における最大のチャレンジですね。アークシステムワークスのタイトルは,これまで日本のプレイヤー向けのアプローチをまず考えていて,大会でも日本のプレイヤーが強い傾向にありました。今回はゲームシステムの面でもプロモーションの面でも海外に向けたアプローチを増やし,世界中にファンを増やしたいと考えています。
――具体的にはどんなアプローチでしょうか。
片野氏:
ゲーム外ですと,やはりeスポーツという側面はやはり外せないと考えています。もちろん面白いゲームであることが大前提ではありますが,大会などのイベントにもこれまで以上に力を入れて行きたいですね。
石渡氏:
GUILTY GEARシリーズは,これまでアーケードの環境であったり,家でもアーケードスティックを使って遊ぶのが主流でした。しかし海外に目を向けると,ゲームパッドで遊ぶ人がむしろ多いんです。なので,ゲームパッドで違和感なく遊べるようにはしたいと思っています。
片野氏:
アーケードの話が出たので補足させてください。本作のプラットフォームがPS4というのは,先んじて発表していますが,PS4独占というわけではありません。ほかのプラットフォームについては続報をお待ちください。
ついでに先ほどのステージで伝えきれなかった話なんですが,ボーカル曲はXrdシリーズに引き続き,今回も橋本直樹さんに担当していただきました。石渡太輔作曲の元,サウンドにもこれまで以上に力を入れていますのでお楽しみに!
[TGS 2019]石渡氏によるPV解説も行われた「NEW GUILTY GEAR (仮)」,ステージイベントレポート。装い新たなメイの参戦も明らかに
アークシステムワークスは本日(2019年9月13日),同社が2020年内の発売を予定している「NEW GUILTY GEAR (仮)」のステージイベントを,TGS 2019のセガゲームスブースにて開催した。開発チームの石渡太輔氏と片野 旭氏がティザーPVを解説し,メイの参戦も明らかになったイベントの様子をレポートする。
先ほどは絵柄が変わった話をしましたが,同様に音楽も路線が変わっているかもしれないですね。
――これまでの話を総合すると,国内外のプレイヤー間で発生した技術の差を,一度リセットする意図があるように感じられます。
片野氏:
日本と世界に限らず,シリーズを長く遊んできたプレイヤーとそうでないプレイヤーの間には,操作技術に大きな隔たりがあります。それ自体は否定すべきことではないのですが,「完全新作」であるならば,そこはフラットにして遊んでいただくほうが望ましいのではないかと思っています。
石渡氏:
またこれまでシリーズを作ってきて,問題や課題が分かっていながらも,GUILTY GEARであるが故に直せない部分というのも多くありました。そうしたものに,ここで一度メスを入れておきたい,という考えもあります。
――従来のGUILTY GEARは,高難度の連続技をいかに戦術に取り入れるかが重視されていたように思います。技術差を一度フラットにするということは,そうしたゲームデザインを変える,さらには必殺技コマンド自体がなくなるといった方向性もありえるのでしょうか。
片野氏:
そういった方向性がないとは言い切れませんが,高度な技術を駆使するプレイヤーが称賛を受けるといった方向性自体は,否定したくない気持ちがあります。あの人にしかできない連続技,この人にしかできないテクニックというのは,格闘ゲームの大きな魅力の一つなわけですから。
繰り返しになりますが,我々は決して底が浅いゲームが作りたいわけではありません。フラットにするというのは,どちらかというと先行者優位な部分ですね。これまでのGUILTY GEARは,技術云々とかではなく,単純に古くから遊んでいるプレイヤーが得をする側面が大きかったので。
石渡氏:
アークシステムワークスの格闘ゲームは,他社のものと比べてマニアックであるとか,難しい操作を要求されると思われがちな側面がありました。でも,よくできた格闘ゲームというのは,例えシステムがシンプルであっても,突き詰めるとどうしても難しくなっていくものだと思うんです。
――よく分かるお話です。
石渡氏:
これまでのGUILTY GEARは,例えるならギターでどれだけ早弾きできるかに特化したシリーズとして進化してきました。なので,今回は早弾きで勝負するのは止めようということにしたわけです。ただ,もちろん本作も突き詰めようとすれば,もちろん難しくなってくるはずです。それが競技としての奥深さなので,それって当然のことですよね。
――分かりました。「ARCREVO America 2019」では初の試遊台が設置されるそうですが,その時点でのプレイアブルキャラクターはどうなるのでしょうか。
片野氏:
プレイアブルキャラクターの数などは,続報をお待ちください。ただ,もちろん対戦台は用意しますし,試遊では新しいシステムを多くのプレイヤーに体験いただければと思っています。そのうえで,感想をフィードバックいただけたらうれしいですね。
――ひとまず完結を迎えたXrdシリーズですが,今後「Rev 2」をアップデートが入ることはあるのでしょうか。
片野氏:
今この場で発表できる予定はありません。ただ,今現在も「Rev 2」を楽しく遊び,技術を研ぎ澄ましているプレイヤーは大勢いますし,新作が発売されるからといって,そうした方々を切り捨てるつもりはありません。引き続きプレイしていただくためのフォローは,もちろん今後も続けたいと思っています。
石渡氏:
従来のシリーズでしかできないことに惹かれるプレイヤーというのは,当然いると思っています。新しいGUILTY GEARでアプローチできない部分への期待に,Xrdシリーズで応えたい気持ちは強いですね。
――最後の質問になります。石渡氏はクリエイターの中でもとくに多才な方だと思いますが,ご自身ではどんな能力に優れているとお考えでしょうか。
石渡氏:
僕はすべてに自信がないですね。ただ,何かやらないと気が済まない性格なんです(笑)。
――本日はありがとうございました。
「NEW GUILTY GEAR (仮)」公式サイト
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GUILTY GEAR ‐STRIVE‐
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