プレイレポート
サイバーパンクな戦士がチームバトルを繰り広げる「Bleeding Edge」。Ninja Theoryの主要スタッフに“こだわり”を聞いた
同作のデベロッパであるNinja Theoryと言えば,2017年の「Hellblade: Senua's Sacrifice」によって,その名が広く知られるようになったイギリス・ケンブリッジのスタジオだ。同社は2007年にリリースされた「Heavenly Sword 〜ヘブンリーソード〜」をはじめ,3D格闘ゲームに強くインスパイアされたタイトルを手掛けているが,「Bleeding Edge」もそうしたNinja TheoryのDNAが感じられる作品になっている。
「Bleeding Edge」公式サイト
サイバーパンクなキャラクターが4人対4人で激突
「Bleeding Edge」はメカニカルな人体改造が可能になった未来が舞台だ。サイバーパンク風のクレイジーなファイターたちが,闘技大会「ブリーディングエッジ」に集結して痛快なチームバトルを繰り広げていく。
ポップなアートワークはBlizzard Entertainmentの「オーバーウォッチ」を想起させるが,「Bleeding Edge」ではキャラクターの背後にカメラを置く三人称視点を採用している。
12人のファイターには「タンク」「ダメージ」「サポート」という3種類のクラスがあり,攻撃タイプは「メレー」「レンジ」「ハイブリッド」が存在する。[RB][Y][B]ボタンにアサインされた3種類のスペシャルアタックと,[LB]ボタンのスーパーアタックがキャラクターを個性付ける攻撃手段だ。スーパーアタックはそれぞれのファイターに2種類用意されているが,ファイター選択時にいずれかを選ぶことになる。
スペシャルアタックの多くにはクールダウンタイムが設定されており,スーパーアタックは攻撃を加えてエネルギーを溜めると使用可能になる仕組みだ。
対戦では左アナログスティックの方向操作に,右トリガーでの回避を加える「Evade」が重要になるだろう。相手のコンボ攻撃などをうまく回避できれば,反撃の機会が訪れるはずだ。
また,左トリガーでは特定の敵をターゲッティングすることが可能。4人対4人のチーム戦では標的を見失いやすいので,必要なテクニックと言える。
各ファイターの詳細は公式サイトを確認してほしいが,扱いやすさはさまざま。レンジ攻撃といえども,スナイパーのように長距離から狙撃することはできないようだ。筆者が確認した限り,射程はかなり短く,格闘ゲームに近い印象を受けた。
[メレー / ダメージ]のDaemonは,[Y]ボタンのステルス能力を使って動き回り,敵の背後をとることができれば,一定時間ノックアウト状態に追い込める。
スーパーアタックはターゲット中の敵に対して,大ダメージのメレー攻撃を加える「Death Mark」,または少し離れている敵にも複数の攻撃を瞬間的に加える「Shadow Strike」が用意されている。
自前のホバークラフトに搭載した銃で攻撃しつつ,仲間の体力を回復するビームを放ったり,壁を出現させて相手の行く手を阻んだりできる。スーパーアタックは短時間ながら仲間を蘇生させる「1UP」,または一定の範囲内にいる仲間のアーマーレベルを上昇させる「Upgrade Protection」。ヒーラーらしいキャラクターだ。
マップに発生する“イベント”が勝利のカギに?
「Bleeding Edge」のゲームモードは2種類用意されている。
「オブジェクトコントロール」は3か所の拠点を制圧すると,その時間経過に応じてポイントが加算されていくというルールだ。いわゆる「ドミネーション」に近いが,相手をキルすることでもポイントが追加される。
一方,「パワーセル」はマップに点在する黄色いエネルギー源が入ったキャニスターを回収し,別の場所まで運び込むことが目的となる。相手をキルしてもポイントは得られないが,保有中のキャニスターを奪い取ることが可能だ。こちらは「キャプチャー・ザ・フラッグ」のバリエーションといったところだろう。
2種類のゲームモードのルールを見れば分かるとおり,「Bleeding Edge」はチームプレイを重視している。常に8人のプレイヤーが戦っているということはなく,仲間が倒されたら一旦後退して,仲間の復帰を待ったりすることも必要だろう。
また,リスポーン時にはファイターの変更が可能だ。
ローンチ時点では5種類程度のマップが用意されるようだ。いずれも両陣営に公平なシンメトリックの構成になっており,それほどサイズは大きくはないものの高低差がある。さらに自陣のリスポーンポイントからホバーボードを使って,高速移動によってホットスポットに向かうことになる。
それぞれのマップには“イベント”が用意されており,床から炎が噴き出すピットがある「Skygarden」や,上下線の列車が高速で突っ走っている「JerseySink」が印象的だ。炎のピットは付近に誰もが操作できるスイッチがあったり,列車の侵入直前にはレール部分が光ったりする仕掛けも存在する。これらをうまく活用できれば,戦いの流れを変えられるかもしれない。
Ninja Theoryの主要スタッフに聞く“誕生の経緯”
「Bleeding Edge」のクリエイティブディレクターを務めるラーニ・タッカー(Rahni Tucker)氏,シニアデザイナーのジェラルド・プーン(Gerald Poon)氏によると,同作は両氏を含む4人程度でスタートしたプロジェクトだったそうだ。タッカー氏は「DmC Devil May Cry」(2013年)のコンバットデザインを担当しており,Ninja Theoryの伝統である格闘アクションを受け継ぐ形で「Bleeding Edge」のコアデザインを構築したという。そして2015年,正式に開発チームとして発足している。
「4人対4人」というプレイヤー数について,プーン氏は「当初から試行錯誤を繰り返してきました。プロトタイプの時点では,MOBAのように複数のレーンや防衛目標のタワー,ミニオンたちが存在する,5人対5人のゲームとしてテストを続けていました。しかし,キャラクターたちの攻撃手段はメレー攻撃が軸になるので,キャラクターが集まることで画面がゴチャゴチャになったしまったのです」と話してくれた。
実際,8人対8人や3人対3人のケースも試してみたそうだが,ファイターの組み合わせによって生み出される戦術のバリエーションは4人対4人が最適だったという。
一方,アニメーターのワーウィック・メロー(Warwick Mellow)氏は「アビリティやスーパーアタックなどを派手に見せたいものの,乱戦でもエフェクト面が煩雑にならないようにするのは大きなチャレンジでした。一人称視点であれば,透明性の高いエフェクトにすることで前方が認識できます。三人称視点の場合,とくにキャラクターが多くなればなるほど,カメラの調整が難しくなります」と語っていた。
サイバーパンク風の世界やキャラクターも「Bleeding Edge」の特徴だ。リードアーティストのアーロン・マクエリゴット(Aaron McElligott)氏にインスピレーションを受けた作品を尋ねると,「攻殻機動隊」や「AKIRA」といった日本のアニメ作品を挙げつつ,「我々の好きな未来の世界を舞台にしたアニメには,シリアスでディストピア風の設定が多い」と続けた。
そして,「Bleeding Edge」のアートスタイルが軽いノリの賑やかなものへと固まっていったため,「よりカラフルな色使いの街並みで溢れた『鉄コン筋クリート』を参考にさせていただいた」と答えてくれた。
また,マクエリゴット氏は「サードパーソンシューターの特性上,なるべくプレイヤーの視界に入る壁や床にはアートワークを多用せず,ゲームプレイの邪魔にならないように工夫しています」と語る。そのうえで,「アーティストとしてプレイヤーの皆さんにお願いしたいことは,たまにはカメラを上に向けて世界を眺めてください。給水塔のような建物がリンゴの形になっていたり,虫食い部分も用意していたりと,我々のチームは細部にまでデザインにこだわっています」と述べていた。
Boneyard |
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「Bleeding Edge」に登場するファイターたちは,ダチョウのような足を持っていたり,あごが大きく外れて火炎を噴射したり,下半身が乗り物と一体化していたりと,かなり“突き抜けている”。メロー氏によると,「すべてキーフレームの手作りアニメーションにこだわった」とのこと。「Nidhoggr(火を噴くロックンローラー)のように,ひと癖もふた癖もあるファイターたちを,ただのゲームキャラクターではなく,“人”として感じてくれたら嬉しいです」と語っていた。
確かにファイターたちはルックスも攻撃方法も個性的だ。彼らがどのような人生を送ってきたのか――という点も気になるところ。そこでオリジンストーリーの公開予定について尋ねたところ,タッカー氏は「4年以上かけて生み出してきたキャラクターたちですから,そのような展開は我々の夢です」と高揚した様子で答えてくれた。
ただし,Ninja Theoryのなかでも少数精鋭のチームで活動しているため,そこまでは手が回らないのが現状だそうだ。公式サイトには簡単な生い立ちが紹介されているが,ファンの盛り上がり次第では,世界の拡張も必要になるだろう。
今回の取材では,そうしたサウンド面に注意を払うことができなかったものの,氏は「ビギナーに“音を感じさせない”というのは,サウンドデザインとしてはナチュラルに視覚とフィットしているということ。決して悪いことではありません」と説明してくれた。
Mekkoは北海道出身というオリジンストーリーが用意されており,ゲーム内では「日本人のアクセントによる英語」を話すという。まさに音声に凝りまくったファイターなのだ。日系人のボイスアクターを起用し,その音声をコンピューター制御の発声のように加工しているとのことだ。
なお,eスポーツへの参入については「ゲーマーの手応え次第」といったところのようだが,プーン氏は「小さい開発チームだから,ファンの要望にしっかりと応えられる」「今後,何年にもわたって継続的にサービスを提供する」と語り,確たるロードマップが存在することを強調していた。
さらに開発チームでは,「画面4分割プレイ」の可能性も議論されているそうだ。タッカー氏は「現時点では技術的に乗り越えなければならない壁が多いのですが,将来的には実現したい」と展望を話してくれた。
「Bleeding Edge」はXbox OneおよびWindows 10向けに,3月24日のリリースが予定されている。PC版はSteamでも販売され,ストアページも公開されている。独特の世界やファイターに惹かれるものがあるなら,“ブリーディングエッジ”の戦いに飛び込んでほしい。
「Bleeding Edge」公式サイト
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