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AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ
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印刷2022/03/08 23:00

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AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ

画像集#002のサムネイル/AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ
 2022年3月8日,AMDは,Zen 3世代のCPUコアを採用するワークステーション向けプロセッサ「Ryzen Threadripper PRO 5000WX」シリーズを3月上旬に発売すると発表した。発売に先立ち,AMDは,Threadripper PRO 5000WXシリーズの製品ラインナップや,性能の概要を明らかにしている。間違ってもゲーマーが個人で購入して使うようなCPUではないが,Threadripper PROシリーズはゲーム開発者側での採用も多いそうなので,本稿で概要を簡単にまとめてみたい。


12コアから64コアまでの5製品を発売


 ワークステーション向けのThreadripper PROは,Zen 2アーキテクチャベースの「Threadripper PRO 3000WX」シリーズが2021年に登場していた。一方で,同年にはZen 3アーキテクチャを採用するデスクトップPC向けの「Ryzen Desktop 5000」シリーズが登場しており,いずれはZen 3アーキテクチャ版のThreadripper PROを市場に投入すると,AMDも予告していた。それがいよいよ登場したわけだ。

 Threadripper PRO 5000WXシリーズの製品ラインナップを前世代と比較して示したのが下のスライドだ。最大で64コア128スレッドというCPUコア/対応スレッド数は,前世代と変わらない。

Threadripper PRO 5000WXシリーズ(右)のラインナップ
画像集#003のサムネイル/AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ

 ラインナップ上の特徴としては,Threadripper PRO 3000WXシリーズにはなかった24コア48スレッド対応の製品が,「Threadripper PRO 5965WX」として加わったことが挙げられる。それを含めて,Threadripper PRO 5000WXシリーズは全5製品となった。
 また,前世代と比べて,全製品でベースクロックが100MHz,ブースト時の最大クロックが200〜300MHz向上したのもポイントだ。CPUコアもZen 3アーキテクチャとなって,クロックあたりの性能も向上しているので,合わせて大きな性能向上を果たしたとAMDは述べている。

 対応ソケットは,Threadripper PRO 3000WXシリーズから引き続いて「sWRX8」である。そのため,I/O周りの仕様もThreadripper PRO 3000WXシリーズと変わっておらず,対応メモリはDDR4-3200で,メモリチャンネル数は8。PCI Express(以下,PCIe)4.0インタフェースを128レーン分備えている。

Threadripper PRO 3000WXシリーズ(左)とThreadripper PRO 5000WXシリーズ(中央)の違いを記したスライド。Zen 3アーキテクチャによるキャッシュ構成の違いや,ハードウェアレベルでマルウェアを防ぐAMD Shadow Stackへの対応もアピールされている
画像集#004のサムネイル/AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ


ライバルを圧倒する性能を持つThreadripper PRO 5000WXシリーズ


 Threadripperシリーズの前世代は,Socket sTRX4に対応するハイエンドデスクトップPC(以下,HEDT)向け製品「Threadripper 3000」シリーズが先に登場しており,その後にワークステーション向けのThreadripper PRO 3000WXシリーズが出るという流れだった。
 それに対してThreadripper PRO 5000WXシリーズは,ワークステーション向けの製品のみがラインナップされており,HEDT向けの製品は存在しない。背景にあるのは,ワークステーション市場におけるThreadripper系の好調さであるようだ。AMDによると,北米市場では,専門家(エキスパート)向けでPCケースのサイズが30リットル程度のPCにおけるThreadripper PRO 3000WXシリーズのシェアが60%に達しているそうだ。

北米ワークステーション市場では,Threadripper PRO 3000WXシリーズが大きな成功を収めている
画像集#005のサムネイル/AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ

 Threadripper PRO 5000WXシリーズの投入は,その成功を盤石にするためというわけだ。競合のIntel Xeonプロセッサに対して,Threadripper PRO 5000WXシリーズは3Dレンダリング性能が39%も高いうえ,消費電力あたりの性能になると最大2倍に達すると,AMDはアピールしている。

Intelの28コア56スレッド対応「Xeon Platinum 8280」と比べて,Threadripper PRO 5995WXは,3Dレンダリング性能が39%高く,消費電力あたり性能は2倍に達するという
画像集#006のサムネイル/AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ

Intelのワークステーション向けXeon W-3300シリーズと,Threadripper PRO 5000WXシリーズの機能を比較したスライド
画像集#007のサムネイル/AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ

 このような高い性能を持つThreadripper PRO 5000WXシリーズは,ゲーム開発を含むエンターテインメント業界やソフトウェア開発,製造業における設計など幅広い分野において,ワークロードの効率化を実現するとAMDは強調している。

コンテンツ制作向けソフトウェアにおけるThreadripper PRO 5995WXと,Intel Xeon W-3375(38コア76スレッド対応)の性能比較例。最大2倍の性能を持つそうだ
画像集#008のサムネイル/AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ

 なお,先述したとおり,対応ソケットが前世代と互換性があるために,既存の多くのワークステーションが,Threadripper PRO 5000WXシリーズにアップグレードされて登場すると,AMDは予告している。かなり早いペースでThreadripper PRO 5000WXシリーズへの置き換えが行われるだろう。ゲーム開発現場にも,Threadripper PRO 5000WXシリーズ搭載機の普及が進みそうだ。

Lenovoのワークステーション「ThinkStation P620」は,Threadripper PRO 3000WXシリーズを採用していたが,新たにThreadripper PRO 5000WX搭載モデルもラインナップされる
画像集#009のサムネイル/AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ

AMDのThreadripper PRO製品情報ページ

  • 関連タイトル:

    Ryzen(Zen 3,Zen 3+)

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