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AMD,新型CPU「Threadripper PRO 5000WX」シリーズを発表。Zen 3世代のワークステーション向けプロセッサ
12コアから64コアまでの5製品を発売
ワークステーション向けのThreadripper PROは,Zen 2アーキテクチャベースの「Threadripper PRO 3000WX」シリーズが2021年に登場していた。一方で,同年にはZen 3アーキテクチャを採用するデスクトップPC向けの「Ryzen Desktop 5000」シリーズが登場しており,いずれはZen 3アーキテクチャ版のThreadripper PROを市場に投入すると,AMDも予告していた。それがいよいよ登場したわけだ。
Threadripper PRO 5000WXシリーズの製品ラインナップを前世代と比較して示したのが下のスライドだ。最大で64コア128スレッドというCPUコア/対応スレッド数は,前世代と変わらない。
ラインナップ上の特徴としては,Threadripper PRO 3000WXシリーズにはなかった24コア48スレッド対応の製品が,「Threadripper PRO 5965WX」として加わったことが挙げられる。それを含めて,Threadripper PRO 5000WXシリーズは全5製品となった。
また,前世代と比べて,全製品でベースクロックが100MHz,ブースト時の最大クロックが200〜300MHz向上したのもポイントだ。CPUコアもZen 3アーキテクチャとなって,クロックあたりの性能も向上しているので,合わせて大きな性能向上を果たしたとAMDは述べている。
対応ソケットは,Threadripper PRO 3000WXシリーズから引き続いて「sWRX8」である。そのため,I/O周りの仕様もThreadripper PRO 3000WXシリーズと変わっておらず,対応メモリはDDR4-3200で,メモリチャンネル数は8。PCI Express(以下,PCIe)4.0インタフェースを128レーン分備えている。
ライバルを圧倒する性能を持つThreadripper PRO 5000WXシリーズ
Threadripperシリーズの前世代は,Socket sTRX4に対応するハイエンドデスクトップPC(以下,HEDT)向け製品「Threadripper 3000」シリーズが先に登場しており,その後にワークステーション向けのThreadripper PRO 3000WXシリーズが出るという流れだった。
それに対してThreadripper PRO 5000WXシリーズは,ワークステーション向けの製品のみがラインナップされており,HEDT向けの製品は存在しない。背景にあるのは,ワークステーション市場におけるThreadripper系の好調さであるようだ。AMDによると,北米市場では,専門家(エキスパート)向けでPCケースのサイズが30リットル程度のPCにおけるThreadripper PRO 3000WXシリーズのシェアが60%に達しているそうだ。
Threadripper PRO 5000WXシリーズの投入は,その成功を盤石にするためというわけだ。競合のIntel Xeonプロセッサに対して,Threadripper PRO 5000WXシリーズは3Dレンダリング性能が39%も高いうえ,消費電力あたりの性能になると最大2倍に達すると,AMDはアピールしている。
このような高い性能を持つThreadripper PRO 5000WXシリーズは,ゲーム開発を含むエンターテインメント業界やソフトウェア開発,製造業における設計など幅広い分野において,ワークロードの効率化を実現するとAMDは強調している。
なお,先述したとおり,対応ソケットが前世代と互換性があるために,既存の多くのワークステーションが,Threadripper PRO 5000WXシリーズにアップグレードされて登場すると,AMDは予告している。かなり早いペースでThreadripper PRO 5000WXシリーズへの置き換えが行われるだろう。ゲーム開発現場にも,Threadripper PRO 5000WXシリーズ搭載機の普及が進みそうだ。
AMDのThreadripper PRO製品情報ページ
- 関連タイトル:
Ryzen(Zen 3,Zen 3+)
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