プレイレポート
「ASTRAL CHAIN」プレイレポート。主人公とレギオンとをつなぐ“鎖”を制御する感覚が新しい,プラチナゲームズの新作アクション
本作は,主人公と,主人公が従える生体兵器「レギオン」を同時に操りながら戦う,一風変わった操作感のアクションゲームだ。制作は「ベヨネッタ」や「NieR:Automata」といった個性的なアクションゲームを手掛けてきたことでおなじみのプラチナゲームズ,キャラクターデザインは「電影少女」や「ZETMAN」などの作品で知られる漫画家の桂 正和氏が担当している。
その特徴的な世界観とデザイン,そして“鎖”を制御する新感覚のアクションが魅力の本作のプレイレポートをお届けしよう。
「ASTRAL CHAIN」公式サイト
群がる敵をアストラルチェインで一網打尽
2体のキャラクターと“鎖”を操る新感覚のアクション
本作の舞台は,隕石の落下によって異界との接点ができた地球だ。地上には異界とつながった扉(ゲート)が出現するようになり,ゲートから現れる「キメラ」と呼ばれる異形生物によって地球は汚染されていく。
キメラや異界の物質の影響を受けた人間は,最終的に「偏移体」と呼ばれる怪物に成り果てる。その災厄を逃れた人々は海に浮かぶ巨大な人工島「アーク」に移り住んだが,ゲートはあらゆる時間,あらゆる場所に出現しうるもので,それはアークも例外ではなかった。そう,アークは,人類の安息の地にはなり得なかったのである。
プレイヤーは,アークに現れるキメラや偏移体から人々を守るために設立された組織「特務局 特殊災害対策課 ネウロン」の一員である主人公を操作し,生体兵器「レギオン」を駆使して戦うことになる。
レギオンとは,捕獲したキメラを装甲で拘束して,指揮者となる人間と精神をつなぐことで従えたもの。レギオンと精神を同調させてキメラと戦い続けることは,同時に異界の存在との同調を深めていく行為でもある。“諸刃の剣”であるレギオンとともに挑む終わりなきキメラとの戦いの先で,主人公を待つ運命とは──。謎の深い物語が進行していく。
人間とレギオンとの精神の同調は,アクションゲームとしての本作を特徴づけるものにもなっている。プレイヤーは主人公だけではなくレギオンも操作するのだが,主人公の攻撃は[ZR],レギオンの発動や攻撃は[ZL]というようにボタンが左右に振り分けられているので,両者を混乱せずに動かせる。
スピーディーなアクションバトルに,2体のキャラクターを同時に操作するという他に類を見ない操作感が魅力的だ。Joy-Conのおすそ分けでの協力プレイも可能なので,気の合った仲間とのプレイも盛り上がるだろう。
主人公が攻撃したあとに左腕のデバイスが光ることがある。このときタイミングよく[ZL]を押すと,主人公とレギオンが協力して敵を追撃する「シンクアタック」が発動。これによって敵が怯んだり,空中に浮いたりしたら,さらなる追撃をきめるチャンスだ。
レギオンに新たな技を覚えさせることで,攻撃以外の行動からシンクアタックにつなげられるようになる。操作に慣れ,多彩なシンクアタックを意のままに制御できるようになると,バトルはますますテンポアップし,ずっとこちらの攻撃ラッシュが続くかのような,えも言われぬ爽快感が味わえる。
なおレギオンは,ある程度は自動的に戦ってくれる。敵には背後からの攻撃でよりダメージを与えられるので,主人公とレギオンで敵の前後を挟むような位置で戦うだけでも,ある程度は有利にバトルを進められる。
レギオンの発動には制限時間があるため,出現させたままにすることはできない。また制限時間を示すゲージがレギオンの体力を兼ねており,レギオンが敵の攻撃を受けるとゲージが減少し,それだけ早く消失してしまう。
一度消失してしまうと再発動までに時間がかかるので,レギオンが攻撃を受けそうなときは発動を解除し,一旦仕切り直すのがコツだ。
ゲームタイトル名にもなっている「アストラルチェイン」(以下チェイン)も,本作の特筆すべき要素のひとつだろう。その名のとおり,主人公とレギオンをつなぐ“鎖”で,敵をひっかけたり囲ったりすることでさまざまな効果が得られるのだ。
[ZL]をホールドしながら[Rスティック]でレギオンを移動させ,敵をチェインで囲ってしまおう。これによって,敵の動きを一定時間封じる「チェインバインド」が発動する。これが成功するとなかなか気持ちがいい。操作に慣れてくると,主人公とレギオンを器用に動かして大量の敵を素早く拘束することも可能だ。
[ZL]をホールド中は,主人公をレギオンの位置まで一気に移動させる「チェインジャンプ」が使える。敵を挟むような位置で発動すれば,レギオンの方に高速移動しながら攻撃することが可能だ。安全な位置にレギオンを移動させておけば,ヒット&アウェイのような戦法も取れる。
チェインは[ZL]をホールドしている間だけ敵に引っかかるので,基本的にチェインバインドやチェインアタックの条件が“偶然”整ってしまうことはない。しっかり意図を持ち,狙って仕掛けていくものだからこそ,自分の手でチェインの動きを制御できたときに得られる達成感は格別だ。
プレイヤーが扱えるレギオンは全部で5種類あり,状況を見極めて切り替えることでバトルを有利に進められる。それぞれ操作感や技の性質が異なるので,敵との相性によって使い分けたり,また特定の種類を使いこんでみるのもいいだろう。
なお筆者は,「新しいレギオンを使ってみたい」という気持ちが,ゲームを先に進める大きな動機になっていた。それくらい各レギオンの使い心地は異なるし,またそれぞれに異なる魅力があるのだ。
ビースト・レギオン 素早い敵との戦いを得意とし,姿の見えない敵を嗅覚で追うこともできる。主人公がビースト・レギオンに搭乗し,高速で走り抜けながら戦うことも可能だ |
アックス・レギオン エネルギーフィールドで敵の攻撃をある程度防ぎつつ,カウンターを決めていくスタイル。設置型のボムも使用できるので,多数の敵に囲まれたときに有効なレギオンだ |
プレイヤーが選べるのはレギオンの種類だけではない。主人公の武器「エクスバトン」は,警棒型(ノーマルモード),銃型(ブラスターモード),大剣型(グラディエイトモード)の3形態を切り替えることができ,これらのモードとレギオンの組み合わせによっても戦い方は変わってくる。
スキが小さいノーマルとソードの組み合わせで手堅く戦ったり,ブラスターとアローの組み合わせで遠距離戦に特化したり,あるいはレギオンに前線を任せつつ,主人公はシンクアタック主体で攻めるといった具合に,自由な組み合わせで自分のスタイルを作り上げよう。
レギオンを操り情報収集。バトルをつなぐ「捜査パート」も丁寧な仕上がり
本作はシンプルなステージクリア型のアクションゲームではなく,各章に「捜査」パートが存在するのも特徴となっている。ネウロンは警察の一部局という位置づけなので,キメラ絡みの事件の捜査を行ったり,犯罪で困っている人を助けることもあるのだ。
レギオンはバトルだけではなく,捜査パートでも頼もしい存在として力を振るってくれる。たとえばキメラの活動した痕跡を見つけて追跡するには,レギオンの力が不可欠だ |
逃げる被疑者をチェインバインドで拘束したり,主人公が怪我人を運んでいるあいだに襲ってくる偏移体をレギオンで撃退するなど,レギオンを使える主人公ならではのトラブルの切り抜け方もある。捜査パートでもアクションパートと同じ操作でレギオンを扱えるので,バトルで練習したことが捜査に役立ったり,その逆でバトルに使える新たな動かし方に気付けたりすることもあるのだ。
被疑者にレギオンを当てて動きを止め,チェインバインドで捕まえる |
警察というより探偵の仕事のような気もするが,怪しい相手を尾行したり,警戒厳重な建物に忍び込むなんていう展開も |
本作の捜査パートは質,量ともに充実しており,さらにRPGのサブクエストに相当する要素も豊富に用意されている。本作の難度には攻撃や回避をサポートしてくれる「守護」というものがあり,これをONにすれば捜査パートやレギオンの強化をメインにした楽しみ方も可能だ。
筆者が本作の大きな魅力になっていると感じたのが,主人公とレギオン,そしてチェインを“制御する楽しさと爽快感”を主軸に据えたアクションゲームであるところだ。
ひたすらアクションを楽しみたいという人は,しっかりとレギオンの強化を行えば捜査パートはメインのものだけをこなしつつでも十分にゲームを進められるので,歯ごたえのある戦いを中心に楽しめるだろう。
一方で,アクションは苦手だが世界観やキャラクターで興味を持ったという人に向けた,遊びやすさや楽しめる部分への配慮がなされているのも印象的だった。アクション部分は「守護」でイージーにこなしつつでも,捜査パートをすみずみまでプレイすることで,キャラクターの魅力やストーリーをじっくり堪能できるからだ。
プレイヤー各々が好きな要素を好きなように,自分のスタイルで心ゆくまで味わえるゲームに仕上がっているので,アクションゲームファンはもちろん,世界観やデザインが気になったという人もチェックしてみてほしい。
「ASTRAL CHAIN」公式サイト
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