任天堂から,2019年9月20日に発売予定のNintendo Switch版「
ゼルダの伝説 夢をみる島 」が,E3 2019の任天堂ブースでプレイアブル出展されていた。1993年に発売された同名のゲームボーイ作品が,26年の時を経てどのように生まれ変わったのか。さっそくプレイしてきたので,興味深かったところや気がついた点を紹介していこう。
発売日発表の反響は大きかったようで,開場と同時に試遊待ちの人々で大行列に。すぐに並んだ筆者も,プレイできるまで1時間半近くかかった
試遊台には,ゲームのさまざまなシーンを再現したミニチュアが飾られていた
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2019/06/12 01:28
本作の物語は,航海の途中で巨大な嵐にあって海に投げ出されたリンクがコホリント島に流れ着き,島に暮らす女の子であるマリンに救われるところから始まる。
試遊も,このゲーム冒頭からのスタートとなった。とあるゲームの誰かとよく似ている,おじさんのタロンから盾を受け取り,海岸に流れ着いたという剣を取りに行く。
視点は“2Dゼルダ”でおなじみの見下ろし型だが,フィールドは画面切り替え方式から通常のスクロール方式に変更されている。
これまでにない雰囲気となったグラフィックスは,第一報が出たときは正直「思っていたのと違うな……」と感じたが,実際に見てみると絵本や童話の世界のような温かみと「ゼルダ」シリーズらしさがあり,プレイしているうちに受け入れることができた。
TVモードでの操作方法は,Lスティックで移動,Bボタンで剣を振る,R/ZRボタンで盾を構える,Aボタンが話しかけたり,物をつかんだりといった動作,X/Yボタンがそれぞれ,セットしたアイテムを使用するというものだった。
ゲームボーイ版では剣と盾を含む装備やアイテムをA/Bボタンにセットするため,アイテムの組み合わせによっては攻撃や防御ができなかったが,それに比べるとかなり遊びやすい。
またゲームボーイ版では,ジャンプや物を持ち上げるといった通常動作もアイテムをセットしなければ使えなかったが,+ボタンで開くサブ画面を見ると,X/Yボタンのアイテムセット欄とは別にある,剣と盾が表示されている欄に,いくつかの空きスロットがあった。詳細は不明なのだが,もしSwitch版でこのスロットに“常に使用するアクションをセット”できるようになっていたりするとかなり嬉しい。
剣を拾い,謎のフクロウに導かれて「ふしぎの森」に進む。ここで面白かったのが,視点が少しズームになったところだ。村や海岸,平原といった場所では周囲を広く見渡せたが,これによって薄暗く視界が悪い森の緊張感が“さりげなく”出ており,リンクの冒険への没入感が高まった。
また,音楽の新アレンジも素晴らしい。剣を拾うまでに流れる,目覚めたばかりのまどろみの中にあるような曲や,のどかなメーベの村の曲,怪しげな空気が漂うふしぎの森の曲が,それぞれの持つ雰囲気をそのままに生まれ変わっている。
Nintendo Direct E3 2019の映像で流れた「タルタル山脈」の新アレンジ曲にゲームボーイ版のものらしき音が入っているのを聴いて震えた筆者は,Switch版の楽曲にはかなり期待している。
ゼルダの伝説 夢をみる島 [E3 2019 出展映像]
VIDEO
リンクをはじめとしたキャラクター達の動きも面白い。とくに気に入ったのが,ふしぎの森に出てくる剣と盾を持ったモリブリンだ。ゲームボーイ版では,剣での攻撃を弾かれないように突っついて倒した盾持ちのモリブリンは,Switch版では盾でぶつかり,相手の腕が上がったところを斬って倒すのだが,この一挙手一投足が,ゲームボーイ版の雰囲気そのままに“生き生きとしていて,ちょっとコミカル”なものとなっていたのだ。
ほかにも,ふしぎの森に現れるいたずらタヌキや,森の近くに住む魔法使いのお婆さんなどのあんなシーンやこんなシーンも,空気感はそのままに懐かしくも新しいものとなっていたので,ゲームボーイ版を遊んでいたプレイヤーは,その変化も含めて楽しめるだろう。
剣を拾うときに,ほどよい位置にウニを置いたり,「かわいそうだけど仕事のため!」とコッコ(ニワトリ)をいじめたり,ショップで高額なスコップを手に店主の目をくらませようとしたり……など,気になるところを確かめながらプレイし,最初のダンジョン「テールのほらあな」に向かう途中で試遊終了となった。
筆者は小学生の頃にゲームボーイ版をプレイして以来,「ゼルダの伝説」シリーズの大ファンなので,「ゼルダの伝説 夢をみる島」は今でも自身のオールタイムベストと呼べるほど思い入れのある作品だ。そのぶん期待だけでなく不安もあったのだが,今回の試遊でその遊びやすさやオリジナルの空気感を大事にした作りに触れ,その不安もほぼなくなった。
今回確かめてみたコッコやショップの店主の反応については,実際にゲームをプレイしたときの楽しみを奪うことになるので明言は避けるが,「変わったところ,変わらないところはいろいろあるが,筆者個人としては納得できる内容」とだけ伝えておきたい。テキストは英語だったので,あの独特の言い回しは確認できなかったが,デモ版の丁寧な作りを見ている限り心配は無用だろう。
あんなダンジョンやこんなダンジョンの部屋を好きなように組み替えて遊べる「パネルダンジョン」も発表され,しっかり“新作”としての期待を持てるのも嬉しいところ。発売まではまだ3か月あるが,「早くダンジョンの謎解きにも挑戦したい!」と待ちきれない思いだ。