連載
“家基板”にUSB対応の簡易型コントロールボックスってどうよ。せっかくだからシュー太郎氏とEXAに行ってきた(「買い物Surfer」第8回)
昨今,ゲームのプレイ環境は多岐にわたる。PCや家庭用据え置きハードはもちろん,携帯ハードも据え置き機との垣根は極めて低くなっているし,スマートフォンは今では主流プラットフォームのひとつで,プラグアンドプレイ機による旧作のリバイバルも盛んだ。いろいろあるが,しかし“基板”以上にベストの選択と呼べるものなど存在するだろうか(反語)。
一般的な意味における“基板”とは,プリント基板(紙フェノール基板,ガラスエポキシ基板など)やプロトタイプ基板(ブレッドボード)といった電子回路のベースとするものの総称だが,ここで言う基板はアーケードゲームで用いる“ゲームを実装したコンピュータ”を指す。こちらの意味での“基板”には,単独のゲームが実装されたものや,家庭用ゲーム機同様に挿入するROMで起動させるゲームを切り替えるシステム基板の他,広義的にはPCと同構造のハードウェアや,業務用にカスタムされた家庭用ゲーム機なども含まれる。ざっくり言えば,携帯型電話機を“携帯”と略したり,USBフラッシュメモリを“USB”と略すような呼称が定着したものが,アーケードゲーム的な意味における“基板”というわけだ。
製造コストや運用的な問題から,ことプリント基板でアーケード基板をリリースしようなどということを今日び考える者は,奇特なインディーズゲーム開発者かエムツーの堀井直樹氏くらいだが,基板は素晴らしい。家庭用ハードに移植されたアーケードゲームは,大なり小なりのロード時間や操作遅延,フレームレートの微妙な差による操作感の違い,あるいは根本的な再現性の問題があったりするが,基板そのままでプレイすれば基板そのままなので基板そのままだ(トートロジー)。
そして何より,基板は雰囲気に秀でる。自宅で基板そのままのゲームをプレイすることには,「多くの人はこれを楽しめない」という優越感がある。コストや利便性を度外視するならば,あらゆるゲームは基板ないし専用設計ハードでリリースされた方が良いに決まっている。このように述べると「雰囲気がって……実利は無いってコト!?」と思われるかもしれないが,それはまったくその通り。最近の家庭用移植はクオリティが高いものが多いし,「MiSTer FPGA」(グレーゾーンなので詳しい解説は避けるが,オープンソースのゲーム向けFPGAプラットフォーム)なんてものもある。家基板(自宅で業務用基板をプレイすること)とか家筐体(自宅に業務用筐体を設置すること)とかをやっている人間は,簡単な解決策をわざわざ避けるアホか,イっちゃってるアホかのどちらかだ。
ただゲームという生産性の無い趣味において,雰囲気や気分といったものは至上命題だと言っても過言ではない。むしろ,そういった一見すると実利の無いアホに思えることこそが,歴史家ヨハン・ホイジンガがホモ・ルーデンスを提唱して「文化は遊びから生まれる」と述べたように,テクノロジーやカルチャー,近代的自我などの生育に寄与してきたのであり,原始人類の全個体が実利的な狩猟や採取のみに勤しんでいたら,社会は今日ほどの発展を遂げていなかったはずだ。つまり人類は,PCパーツを1677万7216色に光らせるなど「わざわざアホをやる」からこそ賢くなったわけで,かつ「女装は男にしかできない行為なのだから,最も男らしい行為である」といった風説が巷にあるのと同様,「わざわざアホをやる」こと自体が賢い行いだとも言える。
そう,目先の実利や短絡的な快楽に耽溺するならば実質的に野生動物と変わらないのであり,人間が真に人間たり得るためには,単に利口ぶるでも暗愚に甘んじるでもなく,「賢くアホ」という二律背反を自己に内在させなければならない。作家レイモンド・チャンドラーは,著作「プレイバック」で「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」と記しているが,それと同じく,強さ=超越性=賢さがなければ生きていけず,優しさ=寛容性=アホさがなければ生きていく資格がない。要するに,強く優しければウルトラマンゼットであり,強く優しくて燃える太陽を信じているならガンガンギギンのギンガマンなので,強さと優しさに力と勇気と輝きがあったら宇宙刑事シャリバンというわけだ。
閑話休題(あだしごとはさておきつ)。先ほどFPGAにちょっと触れたように,人類がアホであることによって成されたテクノロジーの発達は家基板にもさまざまな影響を与えており,近年は新たなデバイスがいろいろとリリースされている。前置きがクッソ長くなったが,筆者が担当する「買い物Surfer」第8回では,そんなデバイスのひとつである簡易コントロールボックス「CBOX」で,いろいろとやっていこう。
メスト博士のJAMMAその他の物語
アーケード用の汎用筐体は,モニタや電源,I/O,その他コインシューターおよび金庫などが内蔵されているため,業務で使うには便利だが,家庭での取り回しには優れない(関連記事)。そこで最低限必要な部分だけ引っこ抜いてまとめたものがコントロールボックスだ。一般的には汎用筐体からコンパネを切り取ったような形状をしており,おおよそ3〜7万円の価格帯(コンパネ別体型なら2万円台から)で販売されていた。
長らく汎用的に使えるとは言え,コントロールボックスの単価は高い。しかし中国・TIMEHARVESTの「CBOX」(Ver 2.0)は,筆者の購入価格で1万8700円(税込)という驚きの安さだ。それでいてRGB/S-Video/RCA(コンポジット)の映像出力に対応しているうえ,NEOGEO(AES)用コントローラおよびUSBコントローラを利用できる。筆者は欲しかったVer 3.0が売り切れだったので,少し機能の劣るVer 2.0を購入したのだが,そのような仕様違いのバリエーションが複数存在し,廉価モデルは1万円未満で販売されている。
こういった部分だけを見ると「安価なのにいたれりつくせり!」と思えるが,まず気を付けたいのが,本品には“ハズレ”の個体が少なからずあるらしいということだ。取り扱っているKVClab.の紹介ページでは「中国製品の品質管理はゆるい場合が多々ある」(大意)と説明されており,「当店では全数検査してから販売しています!」という売り文句が掲げられている(なので筆者も同店で購入した)。AliExpressなどから個人輸入での購入も可能だが,その時点から一定のリスクがあることは踏まえてほしい。とくにACアダプタに関しては,基板の故障につながる可能性があるので要注意だ。
CBOXと基板との接続は,JAMMA規格の端子を用いる。本体が小さいので,ハーネスを使わずとも基板にサクッと挿しやすいのは好ましい部分だ。RCA出力は,正直なところ“動作確認用”でしかないレベルの低品質ぶりなので,Ver 2.0ならRGB出力(端子はメガドライブ2準拠),Ver 3.0ならばコンポーネント出力を利用しよう。なおRGBにしろコンポーネントにしろアナログ信号なので,HDMIなどデジタル信号への変換アダプタを挟む場合は,相応の遅延が発生する。
ただ,本体が小さくて軽い分だけ,何かの拍子に動いたり落としたりしてJAMMA端子がすっぽ抜け,基板を壊してしまわないかとは少し不安になるところ。コントロールボックスの多くが重々しい金属筐体であることには,それなりの理由があるのだ。
JはJVSのJ
他スタッフの担当回ならば,あと2〜3段落くらい解説と所感に費やしたら総括に入りそうなところだが,「やりすぎくらいでちょうどいい」をモットーとする筆者の担当回では,もうちょっとだけ続く。もうちょっとだけね。
先述の通り,CBOXが対応しているのは古式ゆかしいJAMMAだが,アダプタを使えばJVSの基板も利用できる。JVSは,USBと同形状のポートを用いるJAMMAの後継規格で,俗に“新JAMMA”とも呼ばれるものだ(新と言っても,今や相当なレガシーだが)。
JVSも試してみたいところだが,筆者はJVS基板をほとんど持っていない。1点だけ,過去に別の記事で写真を使った「アイドルマスター」の基板はあるものの,これはカードリーダやタッチパネルなどインターフェイスが特殊なためセッティングがドチャクソ面倒臭い。
というわけで「JVSでのCBOX仕様例」を取材するため,筆者はギロッポンにあるexA-Arcadia(以下,EXA)の開発室を訪ねてみた。
●エリック・チャング氏
EXAの大統領(シュー大祭2022出演時の表記より。president!)。世界規模での半導体不足などによってEXA製品の値上げを余儀なくされるなどの逆風に晒されたりもしつつ,基板&ソフトのみならずデバイスや筐体の開発まで,アーケードゲーム振興のため日夜邁進中。
EXAはPCベース・JVS仕様のシステム基板だ。価格はマザーボード(PCパーツ的なものではなく本体の意)が29万9800円(税込。以下同様)で,ROMが6万5800円(キラキラスターナイトexa)〜24万9800円(怒首領蜂最大往生 EXAレーベル)。事業者向けにエイコーとアクエスが販売している他,一般ユーザもBEEPやKVClab.,WGC -World Game Circus-を通じて購入できる。財布に相応の余裕がある人は,じゃんじゃん買ってほしい。
EXAには独自のJVS→JAMMAアダプタがあるのだが,すでに完売となっている。ただし後継モデルとして,遅延をより改善したものを開発中とのことだ。
なおEXAの開発チームでは検証機材としてCBOXをストックしているものの,エリック氏としてはアダプタを介すなどすると必然的に遅延が発生するため好まないという。JVS基板でUSBコントローラを使用する場合は,低遅延を実現しているMellow PCBによる同人ハード「MP07-IONA-US」がオススメだそうだ(これも人気商品なので,売り出されるたびに早々の完売となるのだが)。
ただ,USBコントローラをサポートするということは,多種多様なコントローラを使える(可能性がある)ということでもある。小型コントロールボックスにはBEEPが販売する「KTB-1」シリーズなどもあるが,このUSB対応に興味があったからこそCBOXをセレクトしたのだ。
筆者は前々から「レバーレスアケコンってシューティングにも使えんじゃね?」と考えていた。レバーレスアケコンは「理論最速」――これに関しては,11年前に掲載されたハメコ。氏による「Hit Box」のレビュー記事を参照してほしい。しかし格ゲーで用いたレポートは巷に散見されるものの,他のジャンルで用いたレポートは乏しい。
格闘ゲーム用“レバーレス”コントローラ「Hit Box」レビュー。「理論最速」を夢見るキワモノの実用性や如何に
近年の格闘ゲームブームを牽引する北米から登場した驚くべきアーケードコントローラ「Hit Box」のレビューをお届けしよう。格闘ゲームの命といえるレバーを廃し,すべてをボタンに置き換えてしまったという“レバーレス”なこの製品。「理論最速」を目指した,その驚くべき使い勝手とは?
海外ではちょっと記事には書きにくい理由により「キーボードでシューティング」派が一定数存在すると聞くし,「ゴシックは魔法乙女〜さっさと契約しなさい!〜」でエリオなどを演じている高木美佑さんは東方Projectタイトルをキーボードでプレイしているという。筆者も「東方妖々夢」の頃はキーボードでPCゲームをプレイしていたので,キーやボタンの“押下”による操作が,いわゆる“ちょん避け”に有用なことは体感として承知だ。
なので比較実験をしてみたいが,筆者のシューティングゲームの腕前は,練習が仕上がっているとき&調子の良いときならば「怒首領蜂大復活ブラックレーベル」のノーマルENDや「虫姫さまふたりブラックレーベル」のマニアックをギリギリクリアできるかな〜できないかな〜どうかな〜という程度。自己客観的に考えて,それで操作性がどうこう言っても信憑性に欠ける。
あー,誰かSTGうま人(しゅーてぃんぐうまんちゅ)がいればなー……と思っていた矢先,灼熱のギロッポンにケイブを辞めてフヨフヨしていたシュー太郎氏を発見。血で血を洗う壮絶なダンスバトルの末,協力してもらえることになった。
●シュー太郎氏
かつて「ケツイ〜絆地獄たち〜」の腕前を買われてケイブに入社した男。入社当初は“新卒”と呼ばれていたが,今ではOBだ。次の行き先に関しては「今後も“シュー”していければいいなあ」と意気込んでいた。
パーペキな夏の日
検証のため,筆者はハメコ。氏がレビューを書いてから4Gamer編集部の倉庫に11年ほど眠っていたHit Boxと,私物の「リアルアーケードPro.EX Premium VLX」(以下,VLX)を持参していた。また,エリック氏にアナログ接続のネオジオパッド/スティックを準備していただけたので,これらとも比較することにした。
それにしても,この買い物Surferという連載,「ポンと買ったものでチョロっと記事書く」的なローカロリー指向の企画らしいが,なぜ筆者は私物の基板を引っ張り出したうえ,倉庫から11年前のデバイスを掘り返し,取材用機器を含めて8kg超の大荷物を抱え,炎天下にもかかわらず他社の開発室に足を運び,社外の人にテストプレイを頼んでいるのか,コレガワカラナイ(デッデッデデデデ!)。
まあ些事は置いといて,検証用タイトルの1本目は,東方Projectの二次創作作品として初のアーケード向けタイトル(そもそも上海アリス幻樂団の原作シリーズもアーケード未進出)の「東方電幻景」だ。ロケテストでも大盛況だった本作だが,今回触らせてもらったのは開発がより進んだバージョンで,まだ公表できないがCVがとてもいい感じになっていた。
ネオジオパッドにはショルダーボタンが無いため,[A/C](ショット/低速移動)を親指,[B](ボム)を人差し指で押すことになる |
ネオジオスティックでプレイしている様子。ボタンは横一列に[A〜D]が並んだ配置 |
CBOXが認識するボタン配置は,ゲーム側で標準とする配置とマッチしないことがある。EXAはタイトルによって設定メニューでボタンアサインの変更が可能な他,「東方電幻景」ではゲームスタート時にボタン設定を変更可能 |
4Gamer:
まず,ネオジオのパッドとスティックはどうでしょう。
シュー太郎氏:
スティックは言うことないですよ。パッドは,どうしても「1つの指で2つのボタンを押す」ってことになりますよね。ボムも押しにくいし……“できなくはない”って感じかな。
4Gamer:
VLXはUSB接続ですが,遅延は感じますか。
シュー太郎氏:
あるんだろうけど,東方ではそんなに影響ないですね。原作から“弾道を見切って避ける”タイプで,それを二次創作も踏襲しているから,遅延はあまり関係ない。
4Gamer:
そして目玉のHit Boxです。(ガキョーンとセッティング)さあ,どうなるか!
シュー太郎氏:
これは何が何……手の起き方が分からないな? ボタン配置が普通と違うのはゲームやEXA側で設定できるけど,上(への入力)が下(側に配置されているボタン)? もう無理じゃん。
――プレイを開始。
シュー太郎氏:
いや,キツいキツいキツい。無理無理無理。まあ左右と下は慣れれば問題ないんですよ。問題は上ですよね。これは頭がおかしくなる。
4Gamer:
「もっと慣れたらできそう」みたいな感じはありますか。
シュー太郎氏:
東方は左右の細かい“ちょん避け”を要求されるので,Hit Boxは向いてるっちゃ向いてると思います。でも,やっぱり「上ボタンが下にある」問題はどうしても直感的でないですから。それだけ直せればワンチャンあるかもしれませんが。
4Gamer:
筐体だったらコンパネを開いて簡単に配線を入れ替えられるんですけどね。もし“AC持ち”みたいな慣れ方をしたらイケるかも,とか?
※AC持ち……Dualshock 3を前後逆に持つスタイル。「ARMORED CORE V」の例外(イレギュラー)なプレイヤーに流行した。
シュー太郎氏:
フライトシムみたいに「下を押すと上に行く」みたいな感覚を持てれば……いや無理だな。
うーん,予想が外れた。と言うか,最大のネックは“親指の位置に上ボタン”という脳を混乱させる配置だ。フライトシムの場合,スティックの上下は「昇降舵を動かす」操作であり,「レバーを下に入れると上へ行く」というのは結果に過ぎないため,リバース操作を習得しやすい。しかしトップビュー形式のゲームで「下を押すと上へ行く」というのは“単に逆”なだけだ。これは「左のボタンを押したら右から饅頭が出てくる」のと「右手で饅頭を取ろうとしたら左手が動いた」くらい違う。
シュー太郎氏:
これって格ゲーでは“ジャンプがボタン操作になる”って話ですよね。
そうよそれそれ。逆に分かりにくい例え方をすれば,一種の「パックランド」状態なのだ。逆に分かりにくいけど。裏蓋を開けて配線を組み替えることも考えたが,あくまで今回は“素のHit Box”に関する実験として,遅延問題の検証に移ろう。遅延に関しては,ネオジオスティックとVLXで「怒首領蜂最大往生 EXAレーベル」をプレイしてもらった。
シュー太郎氏:
ネオジオスティックは何ら問題ない。というか,これで監修をやっていたので慣れちゃったんですよね。
強いて言うなら,最大往生は6ボタン配置にあわせた4ボタンのゲームなので,ネオジオスティックの横並びになった4ボタンだと少しやりにくいですね。ハイパーのボタンは親指のところにあった方がいい。
4Gamer:
そもそもNEOGEOのボタン配置って,まだ操作系が洗練されていなかった頃のデザインですからね。アーケードのコンパネも,横4つだったり,上下2つずつだったり,[D]ボタンだけ上にズレていたりと試行錯誤していたわけで。
シュー太郎氏:
今のゲーセンだと,この横並びっていうボタン配置は存在しないですから(笑)。
4Gamer:
よっぽどテキトーな店だとボタンが足りなかったりはしますけどね。「『プロギアの嵐』の連射が無ェ!」みたいな。
シュー太郎氏:
「怒首領蜂」が2ボタンとかね。
4Gamer:
そして,VLXはいかがでしょう。
シュー太郎氏:
アーケードに慣れてると,やっぱりこれですよ。差と言ったら三和かセイミツか,みたいな(笑)。
ケイブのゲームだったら「Xbox 360のパッドでしかプレイしていない」という人以外はこれでしょう。遅延は何フレームだ……?
エリック氏:
+2フレームくらいになっていると思いますよ。
※ここでは1フレーム=1/60秒。なおJAMMA規格の基板は60fps未満で動作するものが多く,設計によって1フレームあたりの実時間は多少異なる。
シュー太郎氏:
“ちょい感じる”くらいかな……まあ「〜最大往生」のCV-1000(ケイブの基板)から2フレーム遅延でしたからね。「〜最大往生 EXAレーベル」で1フレーム遅延になって,そこから+2となっても,オリジナルをやり込んだ人ならそれほど違和感は無いと思います。
エリック氏:
でもEXAはもっと遅延を減らして,“0フレ”版を作りますよ(笑)。
4Gamer:
(またとんでもないことをサラっと言ってる……)いちおう,Hit Boxはどうですか。
シュー太郎氏:
まだ東方は斜め移動が少ないから良かったんですけど,ケイブのゲームは斜め移動を要求されるシーンが多いので……ちょん避けするゲームでもないし,最大往生は東方以上にHit Boxには向いてない!
うーん,無理かぁ〜。いっそキーボード系だったらイケたかもなー。ホリの「タクティカルアサルトコマンダー」とかさ?
エリック氏:
「東方電幻景」のロケテストでは,プレイヤーから「キーボードには対応しないんですか」って声があったんですよ。
なるほど。やはり東方勢には「キーボードでプレイしたい」というニーズがあるようだ。「東方電幻景」のキーボード対応は,店舗オペレータが配線を頑張ってくれたら……というレベルだとは思うが,キーボード系デバイスとアーケードスティックの比較検証は気が向いたらやってみたいところだ。
シューティングゲームばかりプレイしてきたが,もちろんEXAにはシューティング以外のタイトルもいろいろと存在する。せっかくなので,注目タイトルの1つ「サムライスピリッツ零SPECIAL 完全版」をプレイさせてもらった。さまざまな逸話と紆余曲折の経緯を持ち,「サムライスピリッツ ネオジオコレクション」(PC / PS4 / Nintendo Switch / Xbox One)への収録が発表されたときも大きな話題となったタイトルだが,EXA版はNEOGEO版よりも遅延が低減されており,言うなれば“超・完全版”のエディションだ。まあ筆者もシュー太郎氏も,格ゲーは不得手なのだが……(なおエリック氏はEVO 2004で「バーチャファイター4 エボリューション」の準優勝を果たしたくらいに格ゲーを嗜む)。
exA-Arcadia版「サムライスピリッツ零SPECIAL 完全版」,ロケーションテストを7月14日から20日まで大阪と神奈川で実施
Show Me Holdingsは本日,exA-Arcadia版「サムライスピリッツ零SPECIAL 完全版」のロケーションテストを,7月14日から20日まで大阪・梅田と神奈川・厚木で実施すると発表した。今回は,しろー大野氏が描き下ろしたキービジュアルや復刻仕様の詳細が公開されている。
4Gamer:
Hit Boxって格ゲー用ですからね。ちゃんと格ゲーでもやってみないと。(覇王丸をセレクトしてスタート)……あれ? シュー太郎さん,コレ触ってみてください……。
シュー太郎氏:
え? うわ……めっちゃ出る! めっちゃ出る!!
出る。波動昇龍コマンドがサクサク入って,奥義 旋風裂斬と奥義 弧月斬がバリバリ出るのだ。
具体的な形容は難しいのだが,格ゲー下手の人間にありがちな「レバーが変なところに入る」が低減されるため非常に遊びやすい。Hit Boxが“Cheatbox”と揶揄されるのも納得できる。
もちろん格ゲーは必殺技コマンドだけで勝てるものではなく,本気でやるなら相応の慣れや立ち回りの研究,キャラ対策などが必要となるが,それにしても驚きのプレイフィールだ。
ゲーマーの人生の物語
そんなわけで,総評である。
★総評!
- CBOXは値段の割にはけっこう使えるが,品質的な不安と遅延問題は否めない。採用するなら“妥協”か“二軍”
- アーケードで慣れたプレイヤーなら,多少の遅延があるとしても「リアルアーケードPro.EX Premium VLX」が手に馴染む
- もしも「リアルアーケードPro.EX Premium VLX」の外装にアナログ接続のコントローラが組み込まれていたらベストかもしれない
- Hit Boxはシューティングゲームには向かない
- Hit Boxは下手な人間が触っても分かるほど格ゲーに向く
- 他人が慣れないコントローラを相手にするなどして苦しんでいる様子を見るのは面白い
- 他人が苦悶している様子は面白い
- 実に面白い
あくまでCBOXは簡易型のコントロールボックス。ガチ勢にはあまり役立つものではなく,すでにコントロールボックスを持っている人の「対戦用や予備用に」というセレクトや,各種ゲームデバイスには慣れているもののアーケード基板は触ったことがない人のエントリーモデルとしてなら向いている。短期的な増産以外でリプロダクトされることの無い基板は市場価格が高騰する一方なので,それを買い集めることを趣味にできるくらい経済的余裕のある人は,ちゃんとしたコントロールボックスや汎用筐体を買った方が良いだろう。温度感としては「オススメできなくはないけど太鼓判は押しにくい」といったところだ。
でもって,ついでに検証したHit Boxは,素直に格ゲーで使うのが一番だぜ!
■■早苗月 ハンバーグ食べ男(4Gamer編集部ではない)■■
4Gamer誌面の極北に棲まう人食いクリーチャー。しばらく前に編集部員でなく他部署所属となったので,「つまり俺の経歴は元4Gamerの,元アスなんちゃらクスの,元エンなんちゃらインってわけだぜ」と言ってみたり,社外の人には無駄な話の遠回りを避けて「4Gamerの〜」と名乗ったり,なんかノリで4Gamerの記事を作ったりしている。好きな太郎は小林。好きな小林は泰三。趣味は人を食った話。ハンバーグはあまり食べない。弱点はチェーンソー(胴体とかを真っ二つにされると死ぬ)。
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- 関連タイトル:
怒首領蜂最大往生 EXAレーベル
- 関連タイトル:
サムライスピリッツ零SPECIAL完全版
- 関連タイトル:
東方電幻景
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