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AMD,エントリー向けCPU「Ryzen 3 3000」シリーズと「B550」チップセットの概要を公開
これらの製品の詳細について,AMDがより踏み込んだ内容を明らかにしたので,簡単にまとめておきたい。なお,Ryzen 3 3300X/3100の国内向けメーカー想定売価は順に,1万3980円(税込1万5378円),1万1980円(税込1万3178円)となっている。発売日は,いずれも5月23日の予定だ。
内部構成が異なるRyzen 3 3300XとRyzen 3 3100
まずはおさらいを兼ねて,Ryzen 3 3300XとRyzen 3 3100の概要をまとめておこう。両製品は,以下のようなスペックのCPUだ。
- Ryzen 3 3300X:4コア8スレッド対応,定格クロック
3.8GHz, 最大クロック 4.3GHz, L2キャッシュ容量2MB, 共有L3キャッシュ容量16MB, TDP 65W - Ryzen 3 3100:4コア8スレッド対応,定格クロック
3.6GHz, 最大クロック 3.9GHz, L2キャッシュ容量2MB,共有L3キャッシュ容量16MB, TDP 65W
スペックを見る限り,Ryzen 3 3300XとRyzen 3 3100の違いは動作クロックだけのように見える。だが,AMDによると,両CPUは内部構成が異なるそうだ。
これもおさらいになるが,第3世代Ryzenは,7nmプロセスで製造される「CPU Complex Die」(以下,CCD)と,14nmプロセスを用いてメモリコントローラやPCIeのコントローラを実装したI/O Dieという2つのシリコンダイで構成されたCPUである(関連記事)。CCDの内部には,4基のCPUコアを束ねたCCX(CPU CompleX)が2基あるので,CCD 1基で最大8コア16スレッドのCPUが構成できるというのが第3世代Ryzenの特徴だった。
そうなると,Ryzen 3 3300X/3100は4コア8スレッド仕様であるから,CCD中のCCX 1基を無効化したCPUと推測する人が多いだろうと思うが,この点が異なるそうだ。AMDによると,Ryzen 3 3300XはCCX 1基を無効化しているが,Ryzen 3 3100は,2基のCCXはそのままに,CCX内のCPUコアをそれぞれ2基ずつを無効化しているのだという。
なお,CCX単位で設定されている共有L3キャッシュ容量は,どちらも合計16MBなのが面白いポイントだろう。
このような構成の違いがあるので,性能面でも若干の違いが出てくるはずだ。つまり,Ryzen 3 3100では2基のCCXをまたがるデータのやり取りで遅延が大きくなるのに対して,Ryzen 3 3300XではCCXをまたがるやり取りがないので,遅延は小さくて済むことになる。
ことゲームに関しては遅延がフレームレートを左右するので,Ryzen 3 3300Xのほうが有利になるはずだ。Ryzen 3 3300XとRyzen 3 3100にはこのような違いがあることを,ゲーマーも押さえておくべきだろう。
Core i5下位モデルやCore i3に対抗する
Ryzen 3 3300X/3100
AMDは,両CPUの性能も明らかにしている。
AMDによると,Ryzen 3 3300Xの競合CPUには,Intelの「Core i5-9600」(6C6T,定格クロック3.1GHz,最大クロック4.6GHz)を,Ryzen 3 3100の競合としては,「Core i3-9100」(4C4T,定格クロック3.6GHz,最大クロック4.2GHz)を想定しているそうだ。
AMDは,Ryzen 3 3300X/3100が,競合以上のマルチコア性能を有するのに加えて,ゲーム性能でも肩を並べるとアピールしている。とくに,ゲーム用PCをなるべく安く手に入れたいというゲーマーや,セカンドPCを組みたいゲーマーにとって,Ryzen 3 3300X/3100は面白い製品になりそうだ。
B550チップセットは“将来のZen 3”にも対応
続いてはB550チップセットの詳細を見ていこう。
発表時に明らかとなったとおり,B550は,PCIe Gen 4およびUSB 3.2 Gen 2と,デュアルGPU構成に対応するミドルクラス市場向けのチップセットである。注意が必要なのは,PCIe Gen 4に対応するのは,CPUに直接つながったPCIeインタフェースのみという点だ。チップセット以下のPCIeインタフェースは,PCIe Gen 3のままである。この点が,すべてのPCIeインタフェースがGen 4対応の上位モデル「AMD X570」チップセットとの大きな違いだ。
これまでのミドルクラス市場向けチップセットであるB450搭載マザーボードだと,第3世代Ryzenが対応していたPCI Gen 4やUSB 3.2 Gen 2が利用できないのがネックだった。第3世代Ryzenの機能をフルに使えて,マザーボードのコストを抑えられるB550マザーボードの登場を歓迎するPCユーザーは少なくないだろう。
別の観点から見ると,最上位モデルのX570チップセットは,チップセット側でもPCIe Gen 4に対応するために,空冷ファンを搭載するマザーボードがほとんどだ。だが,B550であれば,ダウンリンクを含めて従来どおりPCIe Gen 3のままなので,チップセットの空冷ファンがない製品でも不都合はなさそうに思える。この点も歓迎するPCユーザーは多いのではないだろうか。
さらに,AMDによると,B550チップセットは将来登場する「Zen 3」アーキテクチャベースの次世代Ryzenにも対応ことを明らかにした。B550は将来性もあるので,広く利用されることになるのではなかろうか。
AMDのRyzen 3 3300X製品情報ページ
AMDのRyzen 3 3100製品情報ページ
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Ryzen(Zen 2)
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