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Intel,新社長の鈴木国正氏が2018年を振り返るプレスセミナー開催。2019年以降に登場する新技術を予告
今回は,2018年11月に同社代表取締役社長となった鈴木国正氏(関連記事)が登壇する初のプレスセミナーということもあり,同氏がIntelの現状と将来について,どのような見方をしているのかにも注目が集まった。そんなイベントの概要を簡単にレポートしよう。
2018年における主な活動にはeスポーツ分野への取り組みも
代表取締役社長に就任してから6週間ほど経った鈴木氏は,その間,国内外の企業や人々,友人たちと会い,経営の課題やIntelに求められているものについてコミュニケーションを積極的に取ったという。
そんな鈴木氏が,現状のIntelにおける短期的な課題として真っ先に取り上げたのが,CPUの供給問題である。Intel製CPUの供給が需要に追いつかなくなっており,世界的な品不足に陥っていることはよく知られた話だ。この話題を先に取り上げたのは,それだけ同社に寄せられる不満や批判が大きいことの裏返しかもしれない。
ちなみに会見後の質疑応答で鈴木氏は,CPU供給問題解消のため,14nmプロセスによる製造を行う工場に対してIntelが年初計画よりも10億ドル多い追加投資を行ったと述べていた。
さて,そんな供給面の課題に触れたうえで鈴木氏は,課題こそ抱えるものの,Intelが今なお半導体製造において世界最高水準の技術を有しているとあらためて強調してみせた。そして,コンピュータとネットワークから生み出される膨大なデータを顧客企業がどう使って何ができるのかを手伝うのがIntelの役目であり,創業50周年を超えた同社にとって,最大の機会が訪れていると続けている。
まず新CPUだが,4月にはノートPC向け第8世代Coreプロセッサを,10月には第9世代Coreプロセッサを発売。ゲーマーやコンテンツクリエイター向けの製品を強調できたと,鈴木氏は振り返る。
それに加えてeスポーツ分野では,Intelが共同で開催している国際的なeスポーツイベント「Intel Extreme Masters」(以下 IEM,関連記事)の盛り上がりについて触れたうえで,国内でもPCゲーム主体のイベントを主催するなど,ゲームに関わる取り組みを強めていることを強調していた。
2019年以降のIntelプロセッサに使われる技術への言及も
そんな中でも,デスクトップPC向け第9世代Coreプロセッサについては,半導体ダイとヒートスプレッダをつなぐ素材として,熱伝導性に優れたはんだを使う「Solder Thermal Interface Material」(STIM)を採用することで,放熱効率を高めているといった特徴が説明された。
ところで土岐氏は,去る12月12日に発表となった,Intelが将来投入する予定の技術についても,ごく簡単にだが紹介している。
その1つ,「ロジックチップの3次元積層技術」は,NANDフラッシュメモリで使われているような半導体ダイの積層化技術を,プロセッサにも応用できるようになったという話題である。現在のプロセッサでは,CPU部分とチップセット部分を別々の半導体ダイで製造した場合,パッケージ上に個別のチップとして実装したうえで,それらをインターコネクトによって接続するのが一般的だ。あるいは,CPUとチップセットを同じプロセスで作って半導体ダイ上に統合するというSoC(System-on-a-Chip)的な手法もある。
しかし,3次元実装技術をプロセッサに利用できるようになると,異なるプロセスで作ったCPUやチップセットの半導体ダイを,積み重ねて実装することが可能となると,土岐氏は述べる。CPUの性能面や実装面積の点で有利に働く技術だろう。
そのほかにも,2019年以降に登場するIntel CPUの統合型グラフィックス機能では,現在よりも大幅に内部演算ユニットを増量することで,1 TFLOPSもの演算能力を実現する予定であるという話題も氏は取り上げている。
単体GPUの演算性能が1 TFLOPSに到達したのは,2008年に登場した「Radeon HD 4850」の頃であり,PlayStation 4のGPUは1.8 TFLOPSの演算性能を有することを考えると微妙な気持ちになるのだが,CPU内蔵機能で今どきのゲームをプレイできるレベルになるのであれば,歓迎できる話ではないだろうか。
2019年における具体的なプランについての言及はなかったものの,ゲーマーにも関係するIntelのイベントや施策が増えることを期待したいところだ。
Intel 日本語公式Webサイト
- 関連タイトル:
第9世代Core(Coffee Lake Refresh)
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