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インタビュー

ゆくゆくはゲーム化も。ファンとともに成長していく声優コンテンツ「GOALOUS5」の仕掛け人・ジークレスト代表&プロデューサーへインタビュー

 2019年5月16日,ジークレスト(※)の新たな女性向けIPプロジェクトが発表された。これは,男性声優5人からなるユニット「GOALOUS5(ゴーラスファイブ)」が,世界を声福(征服)するために,さまざまなメディアをとおして活動を行っていくプロジェクトだ。

※サイバーエージェントの子会社

「GOALOUS5(ゴーラスファイブ)」として活動するのは
画像左より深町寿成さん,仲村宗悟さん,寺島惇太さん,小松昌平さん,熊谷健太郎さんだ
画像集 No.005のサムネイル画像 / ゆくゆくはゲーム化も。ファンとともに成長していく声優コンテンツ「GOALOUS5」の仕掛け人・ジークレスト代表&プロデューサーへインタビュー

「GOALOUS5」公式Twitter


 「ゲーム化を目標とした女性向けIP」とのことだが,「女子ゲーNO.1」を掲げるジークレストがなぜ今,声優発信のコンテンツを作るのか? 4Gamerは今回,ジークレスト代表取締役社長の大辻純平氏と,本プロジェクトのプロデューサーにインタビューをする機会を得た。新たな試みに挑戦するジークレストの今後の事業戦略や,新プロジェクトについて聞いたので,チェックしてほしい。


ゲーム以外からスタートする
ジークレストの新たな試み


ジークレスト代表取締役社長・大辻純平氏
画像集 No.002のサムネイル画像 / ゆくゆくはゲーム化も。ファンとともに成長していく声優コンテンツ「GOALOUS5」の仕掛け人・ジークレスト代表&プロデューサーへインタビュー

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずはお2人の経歴をお聞きしたいです。大辻さんは「ボーイフレンド(仮)」などさまざまな女性向けコンテンツに関わってこられたんですよね。最初はどういうきっかけでゲーム制作に携わったのですか?

大辻純平氏(以下,大辻氏):
 僕は2007年に新卒でサイバーエージェントに入社して,最初はAmeba(※)に所属していたんです。そこで3年目ぐらいから「Amebaの中でゲームを作ろう」という話になって,ゲームを作り始めました。

※サイバーエージェントが運営するネットサービス

4Gamer:
 となると,フィーチャーフォンの時代からモバイルゲーム制作に携わっていたんですね。

大辻氏:
 はい。約10年ほどになります。当時,Amebaは女性ユーザーが多かったため女性向けコンテンツを手掛ける機会が多かったんです。

4Gamer:
 その頃から女性向けコンテンツも。

大辻さん:
 そうですね。ただ,男性も集めたプラットフォームにしたいという思いもあって,男性向けのゲームも作るようになりました。「ガールフレンド(仮)」もそのうちの1つです。

4Gamer:
 Amebaではずっとプロデューサーを?

大辻氏:
 最初はそうでしたが,だんだんとマネジメント方面を担当するようになっていましたね。そしてAmeba内のゲーム部署がQualiArts(※)として子会社化された際に,取締役に就任しました。

※QualiArtsは「オルタナティブガールズ」(iOS / Android)や,「ガールフレンド(仮)」などを提供するゲーム会社

4Gamer:
 QualiArtsから,ジークレストに異動されたのはどういった経緯があったのでしょう。

大辻氏:
 それは「あした会議」がきっかけでした。サイバーエージェントグループ独自の文化なのですが,新しい事業や,組織をこう変えていきたいという提案を,合宿形式で発表する会議があるんですよ。

4Gamer:
 面白いですね。

大辻氏:
 そこで「ジークレストの女性向けゲームをさらに強化したい」という提案を自分からして異動することを決めました。それが2017年の5月のことなので,ちょうど今ジークレスト歴は2年くらいになります。

4Gamer:
 女性向けコンテンツの運営にも携わっていた大辻さんだからこそ,ジークレストの女性向けゲームをもっと強化できるという想いがあったんですね。
 続いて,プロデューサーさんの経歴も教えてください。

プロデューサー:
 メディアの運用や,女性向けコンテンツのプランナーなどを2年ほど経験したあと,サイバーエージェントのグループ子会社であるニジスタに入社しました。そこで声優さんを扱うコンテンツなども運用するようになり,今年の1月にジークレストに異動しました。
 これまでの経験を活かした新たなものを生み出したいと思っていて,ようやく今回こうしてお話しできる段階までになりました。

4Gamer:
 ということは,今回のプロジェクトはプロデューサーさんがいたからこそですね。本プロジェクトにおいて大辻さんはどういった部分をご担当されていたのでしょうか?

大辻氏:
 僕は事業としてどうなのか,もう少しこうしたらいいんじゃないかと口を挟むくらいで,言うなれば見守る担当ですね(笑)。プロジェクトの内容は,基本的にはプロデューサーに任せています。

4Gamer:
 なるほど。ちなみに,この企画はどのくらい固まった段階で大辻さんに提案されたんですか。

プロデューサー:
 最初はわりとふわっとした状態でした。番組配信や楽曲制作,イベントの開催,キャラクター化を経てストーリーを展開していき,最終的にゲーム化するジークレスト発の声優企画をやりたいです,と枠組みの部分を伝えました。

大辻氏:
 最初その話を聞いたとき,ちょうどいいタイミングだなと思いました。というのも,会社としてもファンを獲得してからゲーム化を目指す企画を,複数本始めようと思っていたところだったんですよ。

4Gamer:
 なんと。でもなぜそういう方針に?

画像集 No.003のサムネイル画像 / ゆくゆくはゲーム化も。ファンとともに成長していく声優コンテンツ「GOALOUS5」の仕掛け人・ジークレスト代表&プロデューサーへインタビュー
大辻氏:
 昨今の女性向けゲーム業界は,競争も熾烈で開発費も高く,運営がうまくいかずに閉じてしまうケースが非常に増えてきていますよね。

4Gamer:
 たしかにそうかもしれません。

大辻氏:
 面白いゲームを作り,ユーザーに喜んでもらうことがゲーム会社の主軸だと思うので,出したからには長く続けたいのは当然です。でも現実は気持ちだけではどうにもなりません。とくに弊社はオリジナルのIPを制作し,それを長く運用することを目標としているので,目標実現のために何が必要なのか会社としても考えていました。

4Gamer:
 それでゲーム以外から始まるプロジェクトを。

大辻氏:
 はい。みなさんご存じのように,ゲームを1本作るのにはとてつもない開発費がかかります。無事に出せたとしても,うまくいくとは限りません。もし運営が続けられなくなってしまったら,ゲームを遊んでくれているお客様に悲しい思いをさせてしまいます。

4Gamer:
 ユーザー目線ですが,そのときのつらさたるや……。

大辻氏:
 そうですよね。僕たちもできるだけそれは避けたいと思っています。それで今回のプロジェクトのように,ゲーム以外のところからお客様の支持を集めることができたら,ゲーム化したときにある程度長くゲームを運用することができるんじゃないかと。

4Gamer:
 そこでまずは小さくスタートし,どんどん成長させていくプロジェクトを考えられたのですね。

大辻氏:
 そういうことです。そのなかの1つに声優発信のものがあってもいいだろうと考え,企画にGOを出しました。従来の声優プロジェクトとは異なり,僕のなかでは新しいIPを生み出すことを前提としたプロジェクトと捉えています。
 キャラクターを作って,キャストのみなさんに声をあてていただくのが,これまでのベーシックな作り方でしたが,今回はその逆のパターンをやっていくイメージですね。

プロデューサー:
 最初にお客様の目に触れるのは番組ですが,今後はさまざまなメディア展開をとおしてこのコンテンツに触れていただこうと思っています。そしてみなさまと一緒に成長させて,ゆくゆくはゲーム化を目指したいです。

大辻氏:
 お客様との約束は破りたくないので,現段階で「絶対にゲームを出します!」とは言えないのですが,ゲーム化するところまでのビジョンを描いていることは知っていただきたいです。
 まずは小さい規模からスタートして,たくさんのお客様からの支持をいただいたらゲーム化する。こういった施策を会社としても今後,複数本やっていこうと思っています。


目標は世界声福(征服)!
キャスト陣のアイデアが反映されたコンテンツ作り


4Gamer:
 では具体的にプロジェクト「GOALOUS5」についてお聞きしたいです。コンセプトが「世界声福(征服)」とは面白い発想ですよね。戦隊ものをイメージしているにもかかわらず,悪の組織とは……。

プロデューサー:
 じつはキャストのみなさまのアイデアも含まれています。

4Gamer:
 え! ということは,コンセプトの段階からキャスト陣が関わっているんですか。

プロデューサー:
 はい。まずはコンセプトを何パターンか考えて,キャストのみなさまを含め作家やスタッフの方々と打ち合わせを実施しました。そこでキャストのみなさまから「世界声福(征服)」という奇跡のワードが登場し,「世界声福(征服)するために結成された5人組が,声を武器に人々を虜にする」というコンセプトに決まりました。

大辻氏:
 僕もその会議の様子を覗いたんですけど,すごく楽しそうで盛り上がってました。

プロデューサー:
 打ち合わせでキャストのみなさまが出してくれた提案を取り入れつつ,よりコンテンツとして楽しくなるように味付けしていきました。悪の組織なので衣装も黒を基調にしたりとイメージを大事にしました。ちなみに先日Twitterを開設したのですが,フォロワー数=声福(征服)度となっています(笑)。

4Gamer:
 こだわりと遊び心が感じられます。最初の段階から会議に関わることで,キャスト自身のコンテンツに対する愛も深まりますし,そういった熱が伝わるのはファンとしても嬉しいですよね。

画像集 No.001のサムネイル画像 / ゆくゆくはゲーム化も。ファンとともに成長していく声優コンテンツ「GOALOUS5」の仕掛け人・ジークレスト代表&プロデューサーへインタビュー

大辻氏:
 そこは大事にしたいですね。このプロジェクトは,コンテンツが成長していく過程を番組をとおして見られるので,キャストのみなさんやスタッフ陣のコンテンツに対する温度感が直接伝わりやすいと思います。そのため彼らが心から楽しんでくれていると,お客様もついてきてくれるんではないかと。
 ちなみに先日1回目の収録が終わりまして,僕も映像を見せてもらったんですがとても楽しそうで,面白くなっていると思います。

4Gamer:
 第1回の番組配信は5月22日17:00からでしたよね。楽しみです! 続いて,話せる範囲で今後の展望を教えていただけますか。

プロデューサー:
 最初は番組が主軸になりますが,あくまで大きなプロジェクトの一部分でしかありません。楽曲やイベントもそうですが,いずれメンバーを2次元キャラクター化して,そこから新たなストーリーを生み出して,大きく成長させていけたらと思っています。

大辻氏:
 番組は序章に過ぎません。そこから生まれていくものを楽しんでほしいです。

4Gamer:
 もしキャラクター化される場合,キャスト陣の要素を取り入れたりも?

プロデューサー:
 もちろん見た目を似せたり,性格を取り入れたりすることもできると思います。キャストのみなさまと相談しつつ,リアルからキャラクターを生み出す方法を考えていく予定です。生まれたキャラクターたちが,どんな物語を作っていくのかも楽しみにしていただきたいです。

4Gamer:
 物語もキャスト陣やファンと一緒に成長していくわけですね。彼らのユニット名でもある「GOALOUS5」は,どんな意味が込められているんですか。

プロデューサー:
 ゴーラスという言葉は,ロシア語にすると「声」という意味があります。でもロシア語だと読めないので,目標を意味する英語を使って「Goalous」という言葉を作りました。2つの意味が持てますし,響きも悪の組織っぽいですよね。「5人の声優による5つの声が集まり,声の力で目標に向かう」という意味を込めて「GOALOUS5」という名前にしました。

4Gamer:
 大辻さんはユニット名についてアドバイスなどは?

大辻氏:
 よっぽど酷い名前でなければ止めません(笑)。それに,プロジェクトメンバーが楽しんで作っているので,そこに私がビジネス的に介入することは基本しないですね。楽しく仕事ができる場を作って,それを守っていく役目だと思っています。

4Gamer:
 現時点で苦労されている点や,今後不安な面などありますか。

プロデューサー:
 おそらくまだ苦労する前の段階だと思っているので,プロジェクトが本格的に動き出してからいろいろ苦労すると思います。

大辻氏:
 たくさんある声優プロジェクトのなかで,どう差別化していくか,どんな新しい魅力を発揮していくのかが苦労するポイントになると考えています。
 ファンのみなさまと成長させていくぶん,具体的なゲーム化までの道のりがイメージできないのは不安でもあり,今までにないわくわく感もあります。

4Gamer:
 反響も楽しみですね。ジークレストの新規プロジェクトというだけで,期待値は高いと思います。

大辻氏:
 ジークレストをご存じの方は,一体何を始めたんだろうと思うでしょうね。会社としては引き続き「女子ゲーNO.1」というテーマは変わらず,先陣をきって新しいことを幅広くやっていくつもりです。今年も,新しいことをいくつか提案できるかと思います。

4Gamer:
 それは楽しみです! 今年は「星鳴エコーズ」iOS / Android)の配信も控えていますし,「夢王国と眠れる100人の王子様」iOS / Android)も4周年を迎えるなど,まだまだ注目ですね。

大辻氏:
 はい。新しいコンテンツに目が行きがちですが,「夢王国と眠れる100人の王子様」をはじめ長年楽しんでいただいているコンテンツの海外展開や,アップデートも行っていきますので,引き続き注目していただけると幸いです。

画像集 No.004のサムネイル画像 / ゆくゆくはゲーム化も。ファンとともに成長していく声優コンテンツ「GOALOUS5」の仕掛け人・ジークレスト代表&プロデューサーへインタビュー
4Gamer:
 今日お話を聞かせていただいて,ジークレストは新しいことが始めやすい環境だというのが伝わってきました。それに以前から「推しメン休暇」をはじめ,スタッフが働きやすい環境を率先して作られていますよね。

大辻氏:
 そうですね,かなり特殊な会社かと。作る側に楽しむ余裕がなかったりすると,お客様にもそれが何かしらの形で伝わってしまうと考えていて,まずは社員自身に楽しくゲームを作ってほしいと思っています。全部が全部は難しいですが,楽しくモノづくりができる環境は整えたいですね。

4Gamer:
 そういう考えのもとで作られたんですね。個人的にも「推しメン休暇」がとてもいいなと思っていて。最近新たに取り入れられた施策などはありますか。

大辻氏:
 最近だと「もくもくタイム」ですかね。

4Gamer:
 モクモク……タバコを吸っていい時間ですか。

大辻氏:
 「黙々」です(笑)。平日の一定時間,ミーティングを禁止して作業に集中できる時間を作りました。これは先ほどお話した「あした会議」のジークレスト版である「女子ゲーNO.1会議」という女性向けゲーム市場でNo.1になるための新しい事業や,組織をこう変えていきたいという提案をする会議で,クリエイターからの要望で生まれたものです。

4Gamer:
 ネーミングがちょっとかわいいですね。

大辻氏:
 名前が浸透しないとルールに慣れないので,名前にはこだわっています。

4Gamer:
 そういった環境作りでモチベーションを上げているんですね。そのモノづくりを楽しむ雰囲気がファンに伝わっていくと,本プロジェクトもどんどん成長していきそうです。では,そろそろお時間になりましたので,最後に読者へのメッセージをお願いします。

プロデューサー:
 すでに番組の第1回目を収録したのですが,面白い内容になったと確信しています。今後は,番組だけではなくいろいろな取り組みをしていきますので,みなさんも一緒に参加する気持ちで楽しんでいただけると嬉しいです。まずは番組スタートにぜひご注目ください!

大辻氏:
 キャストのみなさま,ファンのみなさま,ジークレストの3つが揃うことで成長していくプロジェクトです。全員で楽しみながらコンテンツを育てていきましょう。これまで僕らが提供してきたものとは違う化学反応が見られることを,僕自身も期待しています。先ほども話したとおり,長く愛されるコンテンツを目指して作っていくので,みなさんも期待していてください。
 また今年は本プロジェクト以外にも「星鳴エコーズ」など,さまざまなコンテンツをお届けできると思います。「夢王国と眠れる100人の王子様」のプリンスアワードも,これまでと違った形で開催する予定ですので,楽しみにしていてください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

「GOALOUS5」公式Twitter

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