インタビュー
[TGS 2019]「VRカレシ」にはすべての愛と情熱が詰まっている。プロデューサーの持田規実彰氏に作品への思いを聞いた
TGS 2019会期中に,そんな本作のプロデューサーであり,IVRの代表取締役でもある持田規実彰氏にインタビューする機会を得たので,制作時のこだわりや作品への思いを聞いてきた。
「VRカレシ」公式サイト
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[TGS 2019]カレシをひとりに絞れない。さまざまなシチュエーションを楽しめる「VRカレシTGS2019バージョン」を体験
東京ゲームショウ2019会場のIVRブースに,恋愛ゲームアプリ「VRカレシ」が出展されていた。ここでは,舞台「喫茶はるかぜ」をイメージした特設体験ブースが用意され,キャラクターごとに異なるVRシーンを楽しめる「VRカレシTGS2019バージョン」が体験できた。ネタバレにならない範囲で内容をレポートしよう。
「VRカレシ」へのこだわりと愛がとにかくすごい
4Gamer:
4Gamerでお話を聞くのは初めてなので,まずは本作における持田さんの役割を教えてください。
持田規実彰氏(以下,持田氏):
その中で自社のオリジナルIPも生み出していきたいと考え,「VRカレシ」と「Vカツ」という2つの作品の開発を始めました。
4Gamer:
それはいつ頃から?
持田氏:
だいたい2年半くらい前ですね。
4Gamer:
東京ゲームショウ2018で披露されていましたが,初披露は開発1年半くらいのタイミングだったんですね。
持田氏:
そうなります。女性向けタイトルを扱うのも初めてですし,女性が好む男性像を作り出すのも初めてだったので不安はありましたが,ついにお見せできたという感じでした。
4Gamer:
穂波アキトはどのようにして生まれたんですか。
持田氏:
でも時間をかけた分,神がかったものができたので,今の自信につながっています。
4Gamer:
実際,昨年の反響はどうでした?
持田氏:
とてもよくて,「これはイケるぞ」と(笑)。ただ1つ残念だったのは,お客様の反応を見るまで不安で,ドキドキしていたため公式Twitter(VRカレシ@vrkareshi_IVR)を作るのを忘れていたことです。そのとき作っていれば,フォロワーとかも稼げたのかなと(笑)。そう思ったくらい想像以上に嬉しい反響をいただきました。
4Gamer:
そういえば最初は公式Twitterもありませんでしたね。そういう事情が……。開発当初は何人くらいのスタッフが携わっていたんですか。
持田氏:
最初は9人ほどでしたが,今は20人くらいの体制になっています。
4Gamer:
やはり反響があって?
持田氏:
そうです。TGSでの出展をきっかけに弊社を受けてくださる人もいて,やってよかったなと思いました。
4Gamer:
会社への影響も大きかったんですね。今年はブースの規模も10倍となっていますが,こちらの反響はどうでしょう。
持田氏:
おかげさまで期待したとおりの反応をいただけました! Twitterで「よかった」「この声優陣は反則だよね」といったポジティブなコメントを見かけて安心しましたね。
4Gamer:
私も体験したのですが,キャラクターはもちろん背景も細かく表現されていますよね。
持田氏:
結構頑張っているんですよ。例えば楠木ゆう(CV:鈴木千尋)のVRシーンで出てくる料理も,ホカホカな雰囲気を出すため,スタッフがご飯を買ってきてレンジで温めて……という感じで,実際に3Dキャプチャを行って作りました。
4Gamer:
どおりでやけにリアルだなと……! 前回と比べて「VRカレシTGS 2019バージョン」のブラッシュアップされた部分があったら教えてください。
持田氏:
描画も見直して確実にブラッシュアップしていますし,スマホで遊ぶ用に最適化されています。前回はとりあえずゲームショウ用に作ってみた形だったので,かなりデータ量が重かったんです。端末が熱を持ってしまって頻繁にスマホを交換していました。
そういったこともあり,今回はあらためてスマホでプレイするという点を意識して制作しています。質を落とさず軽くするために,プログラマーとグラフィッカーが二人三脚で頑張ってくれました。半分ケンカになるぐらいお互いディスカッションして実現してくれました(笑)。
4Gamer:
自宅で快適にプレイできる日が楽しみです。配信は2020年初頭を予定されているとか。
持田氏:
はい。私も早くみなさんのもとに届けたいと思っています。
4Gamer:
アプリリリース時は,今の4人が実装されるのでしょうか。
持田氏:
山城洋介(CV:藤原啓治)は少しあととなりますが,配信を予定しているの現在その4人ですね。
4Gamer:
気になっていたんですが,アプリは彼らとのシチュエーションを楽しむものなのでしょうか。
持田氏:
シチュエーションというよりも,1人1人に主軸のストーリーが存在します。声優さんを選ぶと,その声のイメージにあったストーリーが展開されるといいますか。
4Gamer:
そうなんですか! てっきりいろんなシチュエーションをVRで楽しむものかと。
持田氏:
ちゃんとあるので安心してください。しかも結構ぐっとくるストーリーになっています。何章の何話があって,そのなかでキーとなるような,告白などの重要なシーンはVRで見られるという形です。
4Gamer:
通常パートとVRパートでメリハリを作っているんですね。
持田氏:
そうです。もう告白シーンとかは泣けちゃうくらいなんです。男の自分も女性になっちゃうくらい(笑)。男も惚れてしまうような声優さんに声を担当いただいたので,こういった作品に抵抗があるという男性にも遊んでほしいと思っています。
4Gamer:
キャラクターは今後も増えたり……?
持田氏:
リリース後の反響を見て考えようかと。すでにビッグネームの声優さんたちが出ているので,次の彼となると……。
4Gamer:
なんとなくプレッシャーを感じますね。アプリ開発のなかで一番苦労したことはなんでしょう。
持田氏:
やはりVRシーンです。全キャラクターすべて別のモーションアクターさんが演じているんですが,その動きを撮影して,その映像を観ながら声優さんに声をあててもらっています。それをまたグラフィッカーが調整していくんです。1つのシーンで結構入り組んでいるのと,シーンの種類も多いので時間もかかります。
4Gamer:
動きを見ながら声をあてているんですか。ゲームでは珍しい感じがします。
持田氏:
そこはちゃんとやりたいなと思っていて。今のところVRシーンだけで合計2時間半くらいの尺があるんですよ。すでにもう映画1本分というボリュームで。最終的に3時間くらいになるのかなって思っています。
4Gamer:
そのボリュームのVRシーンが,アプリに収録されるとは驚きです。やはり一部のVRシーンを見るためには課金が必要だったりすることも?
持田氏:
そういうのもあります。あと課金要素としては,彼らをコーディネイトできるモードが搭載されています。主人公(プレイヤー)の設定がファッションコーディネーターで,彼らにモデルを手伝ってもらうというのが共有のストーリー展開なんですが,その衣装のなかには“VRつき”もあるんです。ちょっとしたデートシーンとか,おもしろいものも仕込んでいます。
4Gamer:
どんな衣装があるのか楽しみです! そういえば本作はキャラメイクもできるんですよね。
持田氏:
はい。キャラメイクが入るので,例えば山城洋介の場合だと,しわの感じを薄めたり,濃くしたりできるので,好みの“イケオジ”を作れると思います。それと,季節ごとにイベント用のVRシーンも用意するつもりなので,1年中楽しめるものになっていますよ。
4Gamer:
細かいところにまでこだわっていて,「VRカレシ」への制作陣の熱を感じました。最後に読者へメッセージをお願いします。
持田氏:
スタッフ全員が自信をもって制作している作品なので,リリースされたらみなさんに満足してもらえると信じて,日々頑張っております。伝わるどうか分からないこだわりも詰まっています。この作品のなかにすべての愛とか,情熱とかを込めていて,1作目にして早くも私の集大成みたいな気持ちです。ぜひ注目してください!
4Gamer:
ありがとうございました!
なお,持田氏の頭の中には,すでに3作くらいの新たな構想があるとのこと。実現のためにはまず「VRカレシ」の成功と,組織作りが必要になってくるそうだ。この作品をとおして,IVRに入りたいという人が出てきてくれればとも話していた。
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