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UL,スマートフォンのVR性能を測るベンチマークアプリ「VRMark」をリリース。VR HMDがなくてもテストは可能
Android版VRMarkは,GoogleのVRプラットフォームである「Daydream」に対応するスマートフォンを前提としたベンチマークアプリで,端末がAndroid向けVRアプリをどれくらい快適に実行できるかを3種類のテストで検証するものだ。ベンチマークテストは,Daydreamに対応していないAndroidスマートフォンでも実行可能である。
なお,すでにリリース済みのPC版「VRMark」とアプリの名称は同じであるものの,完全に異なるテストなので,スコアを比較したりはできない。
ラインナップは,Google Playからダウンロードして無償で利用できる「VRMark app for enthusiasts at home」(以下,無償版)と,企業向けで499ドルの「VRMark Professional Edition」(以下,Professional Edition)の2種類となっている。
Android版VRMarkの最低動作環境は下に示したとおり。なお,ULによる最低動作環境にストレージ容量の記述はないが,筆者が確認した限りでは,アプリ本体とテストデータを合わせて約242MBのストレージ容量が必要だった。
- OS:Android 7.0
- メモリ:1GB
- グラフィックス:OpenGL ES 3.1,もしくはMSAAをサポートするOpenGL ES 3.0
エントリー向けから次世代向けの高負荷テストまで3種類のテストを用意
PC版VRMarkは,処理負荷や使用するAPIが異なる3種類のテストを「Room」という名称で用意していたが,この方式はAndroid版VRMarkにも受け継がれており,以下に示す3種類のテストを用意している。
- Indigo Room:処理負荷の低いテストで,第1世代のDaydream対応デバイスでも長時間快適に動作するように設計されている
- Purple Room:Indigo Roomよりも処理負荷の高いテスト。第1世代のDaydream対応デバイスでは,ループ1回分はうまく動作しなくてはならないが,端末が発熱して処理性能が低下する可能性があるという
- Amber Room:次世代のモバイルVRコンテンツを想定した最も負荷の高いテスト。Indigo RoomやPurple Roomで高いスコアを記録した端末に適したテストとのこと
さらに,これら3種類のテストには,以下に示す3種類のテストモードがある。
- Peak Mode:1回のテストを実行することで,VRアプリにおける端末の最大性能を計測して,スコアで結果を示す
- Sustain Mode:10回,1時間,または1日以上連続してテストを実行し続けることで,端末をVR用途に長時間使用した場合の熱による影響や動作の安定性,バッテリー消費を計測するテスト。結果は「Passed」(合格),または「Not Passed」(不合格)で示す
- Experience Mode:VRヘッドマウントディスプレイに組み込んで,実際にVR体験の品質を確認する。スコアや合否判定はない
なお,すべてのテストで全テストモードを実行したいのであれば,Professional Editionが必要となる。
ULが公開した「VRMark Technical Guide」を見てみると,Daydream対応デバイスであれば,Indigo RoomとPurple Roomは60fps,Amber Roomは20〜30fpsで実行できるのが合格ラインであるようだ。そこで,筆者が所有するDaydream対応のスマートフォン「Galaxy Note8」(NTTドコモ版,Android 8.0アップデート済み)と,シャープから借用しているDaydream非対応のスマートフォン「AQUOS R2」でテストを行ってみた。
まず,Amber RoomでのPeak Modeでは,Galaxy Note8のスコアが「1445」であったのに対して,AQUOS R2は「4790」と,ちょっとビックリするほどの差が付いた。映像の動きを見ても,AQUOS R2のほうが圧倒的になめらかであり,搭載SoCのGPU性能差だけでは説明がつかないほどである。
一方,Purple RoomのSustain Modeは,両端末とも不合格となってしまった。思った以上に厳しい結果というところか。
余談気味だが,Daydream Viewを使ったことのあるGalaxy Note8でVRMarkの各テストを実行する場合,VR settingsの「ヘッドセット」欄で,Daydream ViewではなくCardboardシリーズを選んでおかないと,テストシークエンスがスタートしたときに,「Daydream Viewのゴーグルに端末をセットしろ」という画面が出てしまい,テストが進まなくなる場合があった。VRMarkを試してみたいという人は,注意してほしい。
Daydream対応のAndroidスマートフォンは,まだまだ数が少ないのが現状でだ。しかし,スマートフォンをVR用途でも使ってみたいと考えている人にとって,VRMarkは製品選びにおける参考の1つにはなるだろうし,単純に自分のスマートフォンがどれくらいのVR向け性能を持つのかを調べてみるだけでも,なかなか面白いのではないだろうか。
ULのVRMark製品情報ページ(英語)
「VRMark」ダウンロードページ
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VRMark for Android
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