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UL,スマートフォンのVR性能を測るベンチマークアプリ「VRMark」をリリース。VR HMDがなくてもテストは可能
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印刷2018/06/15 17:59

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UL,スマートフォンのVR性能を測るベンチマークアプリ「VRMark」をリリース。VR HMDがなくてもテストは可能

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 フィンランド時間2018年6月14日,ULは,VRベンチマークアプリ「VRMark」のAndroid版をリリースした。
 Android版VRMarkは,GoogleのVRプラットフォームである「Daydream」に対応するスマートフォンを前提としたベンチマークアプリで,端末がAndroid向けVRアプリをどれくらい快適に実行できるかを3種類のテストで検証するものだ。ベンチマークテストは,Daydreamに対応していないAndroidスマートフォンでも実行可能である。
 なお,すでにリリース済みのPC版「VRMark」とアプリの名称は同じであるものの,完全に異なるテストなので,スコアを比較したりはできない。


 ラインナップは,Google Playからダウンロードして無償で利用できる「VRMark app for enthusiasts at home」(以下,無償版)と,企業向けで499ドルの「VRMark Professional Edition」(以下,Professional Edition)の2種類となっている。

VRMarkの無償版は,Google Playから入手可能(左)。右は無償版を起動した直後の画面で,後段で説明する「Amber Room」テストが選択されていた
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 Android版VRMarkの最低動作環境は下に示したとおり。なお,ULによる最低動作環境にストレージ容量の記述はないが,筆者が確認した限りでは,アプリ本体とテストデータを合わせて約242MBのストレージ容量が必要だった。

  • OS:Android 7.0
  • メモリ:1GB
  • グラフィックス:OpenGL ES 3.1,もしくはMSAAをサポートするOpenGL ES 3.0


エントリー向けから次世代向けの高負荷テストまで3種類のテストを用意


 PC版VRMarkは,処理負荷や使用するAPIが異なる3種類のテストを「Room」という名称で用意していたが,この方式はAndroid版VRMarkにも受け継がれており,以下に示す3種類のテストを用意している。

  • Indigo Room:処理負荷の低いテストで,第1世代のDaydream対応デバイスでも長時間快適に動作するように設計されている
  • Purple Room:Indigo Roomよりも処理負荷の高いテスト。第1世代のDaydream対応デバイスでは,ループ1回分はうまく動作しなくてはならないが,端末が発熱して処理性能が低下する可能性があるという
  • Amber Room:次世代のモバイルVRコンテンツを想定した最も負荷の高いテスト。Indigo RoomやPurple Roomで高いスコアを記録した端末に適したテストとのこと

Indigo Roomを実行中の画面。中東風の建物内をイメージしており,建物の外は深い青色の夜空となっていた
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Purple Roomを実行中の画面。こちらも建物の雰囲気は似ているが,遠景が紫色がかった空である
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Amber Roomを実行中の画面。遠景には中東風の建物が建ち並び,空には飛行船が飛ぶという,いかにも負荷の高そうなテストだ
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 さらに,これら3種類のテストには,以下に示す3種類のテストモードがある。

  • Peak Mode:1回のテストを実行することで,VRアプリにおける端末の最大性能を計測して,スコアで結果を示す
  • Sustain Mode:10回,1時間,または1日以上連続してテストを実行し続けることで,端末をVR用途に長時間使用した場合の熱による影響や動作の安定性,バッテリー消費を計測するテスト。結果は「Passed」(合格),または「Not Passed」(不合格)で示す
  • Experience Mode:VRヘッドマウントディスプレイに組み込んで,実際にVR体験の品質を確認する。スコアや合否判定はない

画面右上の歯車型アイコンをタップすると,設定画面を開くメニューが表示された。なお,「Privacy policy」をタップすると,WebブラウザでULのWebサイトを開く
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 簡単にいえば,VRアプリにおける端末のピーク性能を計測したいのであれば,Peak Modeを使えばいい。ただし,無償版ではテストによって利用できるテストモードが異なる。無償版のIndigo Roomで実行できるのはExperience Modeだけだ。同様に無償版のPurple RoomはSustain Modeのテストループ10回分と,Experience Modeの2種類。無償版のAmber Roomは,Peak ModeとExperience Modeの2種類を実行可能となっている。無償版で端末のピーク性能を測りたいのであれば,Amber Roomを使えというわけだ。
 なお,すべてのテストで全テストモードを実行したいのであれば,Professional Editionが必要となる。

「Settings」をタップすると,VRMark本体や各テストのバージョン,問題が生じていた場合のレポートといった設定を行う画面が表示された(左)。「VR settings」をタップすると,「Google VRサービス」の設定画面に遷移した(右)。Google VRサービスがインストールされていない場合,インストールをうながすメッセージが表示されるだけであるが,VRMarkの実行は可能だ
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 ULが公開した「VRMark Technical Guide」を見てみると,Daydream対応デバイスであれば,Indigo RoomとPurple Roomは60fps,Amber Roomは20〜30fpsで実行できるのが合格ラインであるようだ。そこで,筆者が所有するDaydream対応のスマートフォン「Galaxy Note8」(NTTドコモ版,Android 8.0アップデート済み)と,シャープから借用しているDaydream非対応のスマートフォン「AQUOS R2」でテストを行ってみた。

 まず,Amber RoomでのPeak Modeでは,Galaxy Note8のスコアが「1445」であったのに対して,AQUOS R2は「4790」と,ちょっとビックリするほどの差が付いた。映像の動きを見ても,AQUOS R2のほうが圧倒的になめらかであり,搭載SoCのGPU性能差だけでは説明がつかないほどである。

左がGalaxy Note8,右がAQUOS R2でAmber RoomのPeak Modeを実行した結果。3.3倍ものスコア差は予想以上だ
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 一方,Purple RoomのSustain Modeは,両端末とも不合格となってしまった。思った以上に厳しい結果というところか。

Galaxy Note8で,Google VRサービスの開発者向け機能を使ってフレームレートを画面上に表示してみた様子。Purple RoomのExperience Modeにおけるフレームレートは45fps前後が多く,50fpsを超える瞬間はまれだった(左)。右はAmber RoomのExperience Modeにおけるフレームレートで,15fps前後とかなり厳しい結果だ
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 余談気味だが,Daydream Viewを使ったことのあるGalaxy Note8でVRMarkの各テストを実行する場合,VR settingsの「ヘッドセット」欄で,Daydream ViewではなくCardboardシリーズを選んでおかないと,テストシークエンスがスタートしたときに,「Daydream Viewのゴーグルに端末をセットしろ」という画面が出てしまい,テストが進まなくなる場合があった。VRMarkを試してみたいという人は,注意してほしい。

 Daydream対応のAndroidスマートフォンは,まだまだ数が少ないのが現状でだ。しかし,スマートフォンをVR用途でも使ってみたいと考えている人にとって,VRMarkは製品選びにおける参考の1つにはなるだろうし,単純に自分のスマートフォンがどれくらいのVR向け性能を持つのかを調べてみるだけでも,なかなか面白いのではないだろうか。

ULのVRMark製品情報ページ(英語)

「VRMark」ダウンロードページ

  • 関連タイトル:

    VRMark for Android

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