プレイレポート
カードの戦略×ボードの戦術で雌雄を決する,将棋チックな新作スマホゲーム「破軍・三國志」のプレイインプレッション
本稿では,元プロ野球選手の古田敦也さんも出演するということで話題を集めた本作の魅力を,プレイインプレッションを交えつつ介していく。
古田敦也さん,諸葛孔明になる。スクエニのスマホアプリ「破軍・三國志」のボイス収録現場に潜入
「破軍・三國志」公式サイト
TCGとボードゲームが融合した
タイトル名のとおり,三國志の世界で展開する本作だが,まずはTCGの側面から紹介するとしよう。プレイヤーはさまざまなテーマに分かれた「大将」(各勢力の君主,デッキ)を自由に選択し,駒として動かす主戦力の「将兵」と,ダメージやドローなどの効果を持つ「宝物」を最大4枚まで加えて,全30枚のデッキを構築する。
将兵カードには「刀兵」「弓兵」といった兵士や,「関羽」「夏侯惇」といった武将が属しており,出陣時,戦闘時,ターン開始時などに発揮する特技(特殊効果)が,それぞれ異なる。ただし,各カードは大将ごとに設定された“血盟”が一致しないと,デッキには組み込めない。血盟が孫策の「周瑜」は劉備デッキには入れられないということだ。大将と将兵の特性,手持ちのカードプールと相談し,デッキを編成していこう。
将兵カードはゲーム内通貨,あるいは有料通貨を使用し,ガチャで入手する。一方,宝物カードはガチャからは入手できず,将兵カードの分解時に入手できる“桃”を使って交換する。宝物カードは複数枚を合成すると,より効果の高いカードへと進化するので,4枚の限られた切り札を用意する意味でも,余剰の将兵カードは将来的な保険をかけつつ,積極的に分解するといいだろう。
デッキの運用テクニック,各カードの効果などは,スマホ向けのデジタルTCGを遊んだことがある人には理解しやすく,馴染みやすいものとなっている。しかし,初心者にはゲーム開始時から情報量が煩雑に見えるかもしれないので,最初にガチャを引いたら,入手したカードに合わせて大将を選び,デッキを自動編成し,バトルしてみるといいだろう。難しいことは置いといて,とりあえず対戦の楽しさを体験するのがオススメだ。
本作のメインコンテンツ「戦記」では,シナリオを進めつつ,敵将との戦いをとおして,三國志の歴史を追体験できる。シナリオは各大将ごとに用意されており,黄巾党の蜂起から始まる三國志の成り立ちを,さまざまな視点から見ていくものだ。
戦記はナビゲートキャラクターの「大喬」と「小喬」の対話を中心に進行する。大喬が物語の語り手となり,小喬が相槌を打ちながら,主要人物達のやり取りが挿入されるのだ。歴史の重みを感じさせつつも,どこか小気味のよい,独特な雰囲気で進んでいくのが印象的である。
もちろん,本作はPvPに対応しているため,全国のプレイヤー同士によるバトルも楽しめる。対戦形式は,レーティングを競い合う「争覇戦(ランクマッチ)」,勝敗を気にせず楽しめる「演習(カジュアルマッチ)」のほか,サービス開始後はランキングや報酬を賭けた「月間イベント」が提供される予定だ。
デッキを用意したら,戦記を進めて,バトルに挑んでみよう。対戦では自陣・敵陣に分かれた5マス×5マスのボード上で,双方がターンごとにカードを配置・使用し,駒の移動・攻撃を繰り返しながら,盤面の制圧に臨んでいく。勝利条件は相手の大将のライフを0にすることだ。
将兵カードには,相手に与えるダメージを表す「武力」,どれだけのダメージに耐えられるかを表す「兵力」,そして出陣時に要求される「コスト」が表記されている。コストは自軍の「兵糧」から引かれる形だが,兵糧は戦闘開始時に“1”からはじまり,1ターンに1ずつ増加する仕組みなので,序盤から強力なカードをプレイすることはできない。
序盤,中盤,終盤,どのタイミングの戦術に比重を置くかはデッキ内容と相談だ。ドローエンジンになりえる宝物カードは,デッキに投入できるのが最大4枚までなので,当てにしすぎてはいけない。本作は将兵カードにも“サーチ系のドロー効果”が多々付与されているので,将兵を用いて手札やデッキを回すのが基本方針と言える。また,戦闘開始時には手札の引き直しができるので,手札事故のリスクはここで軽減しておこう。
将兵カードには種別として,騎兵に対して先制攻撃できる「甲兵」,配置後にすぐ行動できる「騎兵」,2マス先に遠隔攻撃できる「弓兵」,騎兵と弓兵の利点を併せ持った「突騎兵」,さらにユニーク系の「軍師」「文官」が存在する。
カードの動きも,前後左右の4マスに移動できるもの,歩のように前進だけできるもの,銀将のように前方3マスと両斜め後ろに動けるもの,王将のように周囲9マスに移動できるもの(※大将のみ)と,それぞれ異なる。移動,攻撃,効果を読んで一手ずつ詰めていく思考力が求められるが,将棋のようで,将棋ではない,そんなプレイフィールになっている。
しかし,駆け引きはそれだけではない。盤面ではカードを特定の形に配置すると,大将ごとの「陣形」を発動できる。陣形には一直線にカードを並べる,三角形にカードを並べるなどさまざまな形状が存在し,発動時に陣形内のカードにさまざまな特殊能力が付与される。
とはいえ,相手との盤面の押し引きの中で成立させなければならないため,既存のTCGにおける手札のプレイングやデッキ回しに加え,それこそボードゲーム的なプレイヤースキルも求められる。しかし,陣形効果は劣勢を覆す一手となりえるので,自身で使うも,相手に使われるも,常に意識しておくといいだろう。
ほかにも盤面の最奥,敵本陣にカードを進めて「帰投」させると,そのカードは盤面から消え,自身の山札に戻る。そして帰投した際,たとえば甲兵なら敵将に2ダメージ,文官なら兵糧が1回復,軍師なら手札が1枚増加と,種別ごとの副次効果が発生する。
基本的にカードは盤面に残しておくほうが良いと思ったが,カードが山札に帰ることで,同カードの再プレイの機会が得られるので,状況次第かもしれない。コストの問題は置いといても,出陣時の特技を再度使用できることや,中には“帰投時に盤面のカードに特殊能力を付与”といった特技を備えるカードも存在するので,場合によっては大きな利点につなげられるからだ。
ちなみに,最初は誰しもが“敵のいない列に騎兵をおいて,敵本陣に即突撃させて,敵将に2ダメージ”という,ダメージスペル的な騎兵の使い方にたどり着くと思う。帰投は実際にやってみると,そのメリットとデメリットが見えてくるので,とりあえず試してみるのが大切だろう。
なお,デッキシステムの紹介時に説明していなかったが,本作ではデッキ内に「先鋒」という枠が存在する。これは“戦闘開始時にコスト4以下のカードを1枚だけ初期配置できる”というもので,各プレイヤーの戦術のキモとなる大事な枠だ。
一例を挙げると,黄巾党の武将達は先鋒として,“ハンデス1枚+ドロー2枚”の毎ターン効果を持つ「輜重兵」を出してきて,豊富なハンドを保ちながら,低コスト主体のウィニー(アグロ,ビートダウンとも)を仕掛けてくる。
黄巾党は戦記の序盤で戦う相手ながら,この輜重兵を放置していると物量で押し負けることもあるので,なるべく早めに潰さなければならない。このように,先鋒の存在は自身のデッキテーマの加速であると同時に,相手に対応を強要するカードを設定しておくのが望ましいのだ。
本作の将棋をモチーフにしたTCG×ボードゲームのスタイルは,実のところ「手軽に1戦」とは言い難い。それはカードや盤面の情報量の多さを指すわけではなく,本作の一進一退の知略的攻防を1度遊び始めると,プレイしたことのない人には想像できないほど,思わず熟考せざるを得ない中毒性が秘められているからだ。骨太に付き合いたいスマホゲームを探している人は,ぜひ本作の動向を追ってみてほしい。
「破軍・三國志」公式サイト
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