インタビュー
「黒い砂漠MOBILE」開発者インタビュー。12月開始予定のグローバル版は早くも300万人オーバーの事前登録者数を集める
[G-Star 2019]Pearl AbyssがG-Starに初出展し,新作の4タイトルを一挙発表。次期フラッグシップRPGは「紅の砂漠」
Pearl Abyssは本日,韓国・釜山で開幕したG-Star 2019で,発表会「Pearl Abyss Connect 2019」を開催。次期フラッグシップRPGの「紅の砂漠」をはじめとする,4タイトルを発表した。各タイトルのトレイラーも公開されているので,現地レポートとともにお届けしよう。
今回は,G-Star会場で黒い砂漠MOBILEの総括プロデューサーを務める,ジョ・ヨンミン氏に直接話を聞く機会を得られた。現在の日本サービスの感触や,12月に予定されているグローバル版などを中心に話を聞いてみたので,プレイヤーは目を通してほしい。
正式サービスから9か月が経過した「黒い砂漠MOBILE」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
ジョ・ヨンミンさんは,今年2月に日本で開催された「ローンチ発表会」(※4Gamer関連記事)以来のご登場になりますね。
ジョ・ヨンミン氏:
久しぶりに日本のメディアの取材に対応できて嬉しいです(笑)。
こちらこそ,よろしくお願いします。
4Gamer:
「黒い砂漠MOBILE」日本語版の正式サービス開始から,約9か月が経過しました。現在の日本サービスに対する手応えは,いかがですか。
ジョ・ヨンミン氏:
日本でも多くの方が遊んでくれており,とても感謝しています。
2019年2月に黒い砂漠MOBILEを日本でローンチしたとき,スマートフォン向けMMORPGでここまで本格的なタイトルは,他にはほとんどありませんでした。その状況は現在も大きく変わっておらず,開発および運営会社として誇りを持ちつつサービスを行っています。
4Gamer:
黒い砂漠MOBILEは日本のほかにも,韓国や台湾でサービスが行われています。他国と比較して,日本人ならではの特徴的なプレイスタイルなどは見られますか。
ジョ・ヨンミン氏:
ちょっと予想外だったのは,戦利品などのアイテムを倉庫に溜め込む人が多いことですね。先行してアップデートが行われている韓国語版の情報を参考にしているケースもあるのでしょうけど,それを差し引いても,物持ちが良いプレイヤーが多い印象です(笑)。
4Gamer:
ああ,なんとなく分かる気がします(笑)。
ちなみに,韓国や台湾ならではの傾向はあるのでしょうか。
ジョ・ヨンミン氏:
そして台湾のプレイヤーは,韓国サーバーのアップデート情報に敏感です。来るべき台湾サーバーのアップデートに向けて,価値が高まりそうなアイテムなどを事前に確保するんです。
4Gamer:
そういった国別のプレイヤーの傾向を踏まえたうえで,カルチャライズなどは行われているのでしょうか。
ジョ・ヨンミン氏:
台湾サーバーに関しては,韓国のプレイヤーと傾向が似ているため,最新のアップデート内容を早めに導入する体制を整えています。ですが日本サーバーは,かなりの手を加えています。アクセサリの仕様や商店のラインナップなどは,まるで別物といえますね。
また,日本サーバーではカルチャライズで補いきれない場合に,ゲーム内イベントで補うこともあります。
4Gamer:
ゲームバランスの調整に関して,日本サーバーの運営を通じて参考になった部分はありますか?
ジョ・ヨンミン氏:
日本向けのカルチャライズで興味深かったのは,クエストなどの報酬でアイテムを渡すとき,NPCの会話やストーリー背景などの演出を丁寧に作ることで,プレイヤーの愛着や満足度が高くなったんです。そして,その要素を韓国や台湾のサーバーに逆輸入させたところ,同様に良い反応が得られました。
先ほども申し上げたとおり,韓国や台湾はキャラクター性能に興味津々な人が多く,開発元としてもそちらに意識が向いてしまいがちなんです。日本サーバーの運営を通じて,ゲームプレイを通じて得られる体験そのものの大切さを,あらためて感じさせられました。
12月には黒い砂漠MOBILEのグローバル版が配信
4Gamer:
ジョ・ヨンミン氏:
まだプロモーションは行っていないのですが,すでに300万人の事前登録者数が集まっています。今後は本格的なプロモーションも行うので,さらに伸びが期待できます。
4Gamer:
300万人ですか。それはすごい。
個人的に昔から気になっていたのですが,PC版「黒い砂漠」が登場した頃から,アートやゲーム内グラフィックスなどが,特定の国にターゲットを絞っていない印象を受けるんです。このIPは,最初からワールドワイド展開を見越していたのでしょうか?
ジョ・ヨンミン氏:
はい,そのとおりです。
おっしゃるとおり,特定の国のプレイヤーの趣向には寄せていないことも,今回のグローバル版が高い注目を集めている要因のひとつなんでしょうね。
4Gamer:
対象国が多いので大変そうですが,グローバル向けのカルチャライズは行いますか。
ジョ・ヨンミン氏:
欧米圏のプレイヤーは,ゲームプレイの体験そのものを重視する人が多い印象ですね。具体的にいうと,オートバトルの利用率が低く,周回プレイなどでも手動操作でこなしてしまう人が多いんですよ。現在,この手動操作の面白さを引き立てる方向で,カルチャライズができないか検討しています。
あとは,グローバル版は約150か国に対応する予定なのですが,ネットの環境がよくない国も含まれています。その点を考慮し,グローバルで同じ時間にアップデートが実装されて,一緒に楽しめるように頑張っています。
「黒い砂漠MOBILE」グローバル版の公式サイト
ハイエンドなMMORPGとして新技術にも対応
4Gamer:
ジョ・ヨンミン氏:
もちろん,それは常に感じています。黒い砂漠MOBILEの韓国語版が登場してから2年あまりが経過していますが,客観的に見ても,今もなおトップクラスのクオリティだと思います。
仮に,これからもっと良いゲームが登場し,そちらに一時的に人が流れたとしても,我々は今までと変わらず充実したアップデートを続けます。ですので,戻ってきた方がいつでも楽しめるゲームにするように頑張りたいと思います。
4Gamer:
なるほど。
ジョ・ヨンミン氏:
なので,現在の課題は,新規プレイヤーや復帰プレイヤーが遊びやすい環境を整えることです。
サービス開始から9か月が経過し,当時から継続してプレイしている人はキャラクターがだいぶ育っています。新たに興味を持った人や復帰プレイヤーが「どうせ今からプレイしても追いつけないし……」と萎えてしまうと,もったいないですからね。
4Gamer:
先日の発表会で,新作タイトル4作品が発表されましたが,黒い砂漠MOBILEの総括プロデューサーとしてどのように見ていますか。
ジョ・ヨンミン氏:
社内で常に情報共有を行っており,お互いに良い刺激を与え合っていますよ。
黒い砂漠から派生して生まれたシャドウアリーナに関しても,社内のテストプレイに参加しています。バトルロイヤルゲームは現在のトレンドで,それが我々の得意とするMMORPGと融合しており,とても期待しています。
4Gamer:
ジョ・ヨンミン氏:
現在の黒い砂漠MOBILEは,ハイエンドなスマートフォン向けMMORPGとして定着しています。今後,さまざまな技術が登場しますが,それらへの積極的な対応をアピールする意味で,今回は5GやGalaxy Foldに対応したバージョンを出展した次第です。
4Gamer:
スマートフォン関連で,現在もっとも注目している技術はありますか?
ジョ・ヨンミン氏:
やはり5Gですね。パケットの速度が断然違いますし,大規模バトルでもラグなどを感じずに遊べますから。
かつて3Gから4Gに切り替わったときも,スマートフォン市場が大きく変わりましたが,今回も同様のことが起こりうるでしょう。しかも前回と比較して,スマートフォン向けのゲームが浸透しているので,ゲーマー視点ではより大きな変化を体感できるでしょうね。
4Gamer:
そろそろお時間のようなので,黒い砂漠MOBILEの長期的なビジョンについて教えてください。
ジョ・ヨンミン氏:
黒い砂漠MOBILEは韓国語版の登場から2年が経過しましたが,現在もクオリティには手応えがあります。しかし,この先に何年も経過すると,他社さんのタイトルも追い上げてくるでしょうし,黒い砂漠MOBILEのアドバンテージが薄れるかもしれません。
そのときに何が求められるのかというと,コミュニティを築き,プレイヤーの運営チームに対する信頼関係を築いておくことだと思います。ですので今まで以上に,コミュニティに対する施策に力を入れていきたいですね。
また,来年は日本で黒い砂漠MOBILEのオフラインイベントを開催し,皆さんと直接お会いできる機会を設けたいと考えています。
4Gamer:
それでは最後に,黒い砂漠MOBILEのプレイヤーにメッセージをお願いします。
ジョ・ヨンミン氏:
先ほどもお話ししたとおり,日本サーバーは独自仕様を盛り込んでいますが,このときは皆さんからのフィードバックをもとに判断を行っています。皆さんの声に積極的に耳を傾けていますので,これからもフィードバックしたり,フィードバックに応えたりする,良い関係になっていきたいと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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