インタビュー
「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」開発陣インタビュー。発表から現在まで,事象干渉に立ち向かったBBDWの軌跡とは
2008年に展開がはじまったBLAZBLUEシリーズは,ハイクオリティな対戦ツールであると同時に,長大にして重厚な物語を備えているのが特徴の作品群だ。物語面ではこれまでにも数多くの外伝作品が生み出され,格闘ゲームの枠を越えた壮大な世界観でファンを魅了してきた。
そしてこのBBDWこそ,シリーズの顔役“ラグナ=ザ=ブラッドエッジ”の終着点が描かれた「BLAZBLUE CENTRALFICTION」(以下,BBCF)から続く,2017年に発表された正統続編作品なのである。
しかし,発表当初こそ2018年リリースと告知されていた本作は,一時的にその音信が途絶えていた。それでも2021年に入り,再起動の発表や事前登録の再開を皮切りに,このたび配信日も間近に迫ってきた。
とはいえ発表から約3年半もの期間。その裏ではなにが起こっていたのか? 今回はBLAZBLUEシリーズの総合プロデューサーである森 利道氏をはじめ,BBDWの開発責任者であるリンクトブレインの藤田 稔氏,同社開発ディレクターの鎌田新平氏へのインタビューを実施した。
数年もの間に積もり積もった疑問をぶつけてみたところ,森氏らの返答はなかなかに【ガントレットハーデス】(伏せ字の意)であった。
「BBDW」物語のキーが隠されたPVを公開。レイチェル,アラクネ,ナオトなどキャラクター情報も更新
アークシステムワークスは本日(2021年2月4日),スマホゲーム「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」の公式PVをはじめ,新キャラクターとゲームシステムの情報を公開した。レイチェルやアラクネなど,BBシリーズの人気キャラは健在だ。
「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」
公式サイト
「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」ダウンロードページ
「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」ダウンロードページ
発表から約3年半,土台から生まれ変わったBBDW
その裏側ではなにが起きていたのか?
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。森さんにはこれまでもBLAZBLUE関連で数多く登場してもらっていますが,久々のインタビューともあり,まずは皆さんの自己紹介からしていただければと思います。
森 利道氏(以下,森氏):
ではあらためまして,アークシステムワークスの森です。BLAZBLUEシリーズのプロデューサー,および原作者,およびキャラクターデザイン,およびシナリオライターなどをやらせていただいております。
最近はおおむね,リンクトブレインの皆さんに迷惑かけてます!
藤田 稔氏(以下,藤田氏):
藤田です。リンクトブレインの創業者で,現在はBBDWの開発責任者……つまり“会社として責任を取る人”という立場になります。
本日はよろしくお願いいたします。
鎌田新平氏(以下,鎌田氏):
ゲームの中身を作る開発ディレクターを担当しています,鎌田です。リンクトブレインがBBDWの開発に携わりはじめてから,一貫して自分がこの役職に就かせてもらっています。
4Gamer:
最初に直球ですが,BBDWは2017年に発表されました。この時間経過からもすでに紆余曲折が察せますが,まずはどのような流れでリンクトブレインが同席することになったのか。そこから教えてください。
森氏:
ざっくり言うと,一緒に【事象干渉によりデータ破損】していた【事象干渉によりデータ破損】が【事象干渉によりデータ破損】してしまい,プロジェクトのいろんなものが闇に食われちゃったからです。
そこでどうしようかと考えているとき,いやもう「どうすんだよ!」どころの話じゃなかったんですが,藤田さんから「ウチで作れないか」という相談をいただき,そこから全面的に手を組むことになりまして。
※【事象干渉】:「意思」のある者が「事象」を「観測」することで,存在や事象(物事)に対し「干渉」する行為。これを行使できる者は世界でもごく僅かにしか存在しない。
4Gamer:
ちょっと事象観測に乱れがありますねえ……。
森氏:
いろいろと予想外のゴタゴタで時間を費やしたものの,各社で連携し,開発を進められたから,やっと今に至る。
というのが,ボカしつつのこれまでの流れです(笑)。
藤田氏:
BBDWの発表は2017年8月ですが,我々の参加は2018年の夏ごろでした。「とりあえずモーションからでも」と関わることにしまして。
森氏:
リンクトブレインさんには当初,BBDWのグラフィックスやキャラクターモーションを担当してもらっていたんです。そのクオリティも非常に信頼できるものだったので,いろいろと座組の変更を迫られているとき,藤田さんに提案され,彼らになら全部任せられると思ったんですよ。
藤田氏:
我々としても,イイお付き合いができると思ってのことです。
森氏:
だから藤田さんがいなければ,鎌田さんたち開発スタッフが尽力してくれていなかったら,BBDWは間違いなく立ち上がれなかった。僕は昔から「ゲームを作った人たちの名前がクレジットされないのはおかしい」と言い続けてきましたから。今回のような場で,BBDWの再起動を語る以上,リンクトブレインの方々には絶対に来てほしかったんです。
開発中なんか,常に困難と危機の連続でしたしね。「コレでアーク辞めることになったら藤田さん,一緒に会社作りましょうよ!」とか言っちゃったりしちゃうくらい追い詰められていたりして(笑)。
藤田氏:
そんなこともありましたねえ(笑)。
森氏:
本気で,僕が藤田さんの立場であれば(このプロジェクト自体)切っていました。それくらい,僕やBBDWの関係者は窮地に立たされていました。なので,BBDWが存続できたのはリンクトブレインさんのおかげなんです。藤田さんたちの協力で,なんとか会社も説得できて,どうにか食らいついて,ようやくリリースまで漕ぎ着けられた。
あらためてですが,これまで本当にありがとうございました!
藤田氏:
いえいえ。BBDWの存在は我々にとって,ある種のチャンスだと思っています。だからこそ食らいついたという思惑もあります。
それに我々も長く携わってきたプロジェクトですから。途中で消滅させてしまうのは寂しいですし,スタッフの士気にも関わりますし。
森氏:
この世界,お金の損失は取り返せても,人に使わせてしまった時間だけは取り返せませんからね。とくに若いスタッフたちにとって,BBDWに関わった時間がムダになるなんてこと,絶対させてはいけません。
そればかりは絶対にできないから,なにがなんでも作り上げる。BBDWの道のりはそういう葛藤との戦いでもありました。
4Gamer:
折れかかったプロジェクトを立て直すというのは,どんな業界でも尋常な苦労では済みませんよね。ちなみに,リンクトブレインが開発の中心となったのはいつごろの話になるのでしょう?
藤田氏:
2018年の終わりから2019年の初めくらいですね。
当初の予定では,そこから約1年で完成まで持っていく手はずだったのですが……森さんもこだわりが強いお人ですので。
森氏:
そこで僕ですか!?
藤田氏:
それはいいとして(笑)。問題はグラフィックスも含め,我々が全面的に引き受ける段階で出来上がっていたゲームの構造物です。それらはゲームデザインの根本から見直す必要があるものばかりでした。
そのため,森さんや鎌田さんを中心に仕様から練り直すはめになったので,開発期間が余計に伸びてしまったわけです。
4Gamer:
安直な質問ですが,作り直した理由はなんでしょう。
森氏:
ぶっちゃけて言うと,それ以前に出来上がっていたモノが全然使えなかったからです。いろいろあって,どうにかかき集めたデータの中には,グラフィックスや基礎設計などがありました。当初はそれらを流用し,ゲームを構築しようと試みたのですが,到底使えるものではなく。
だからゲームの面白さのためにも,土台を作り直す必要がありました。それをするとなるとグラフィックスも更新する必要が出てきてと……ほんと藤田さんと鎌田さんにはいろいろご迷惑おかけしましたっ!
4Gamer:
土台から直すとなると,素材も流用とはいきませんものね。
藤田氏:
キャラクターのバトルモーションも,我々の合流以前はさまざまな会社さんに依頼して作ってもらっていたようでしたしね。
これも大部分が作り直しか,再調整になりましたけど!
森氏:
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
でもおかげさまで,素材面はリンクトブレインのグラフィッカーさんが演出面も含め,非常にがんばってくれました。すごく熱量のあるものに仕上がっていますよ。そういうせっかくの良い素材を,チグハグな土台で台無しにしたくないじゃないですか? だから「もう少し,もう少し」と検討を重ねていったところ,想定以上に時間がかかってしまってと。
4Gamer:
実際,全体の制作体制はどのようになっているのでしょう。
鎌田氏:
原則,シナリオやキャラクターの設定を森さんからいただき,我々がそれをもとに仕様書を制作し,具体的な内容を詰めていく流れです。
もちろん,アークさん側には森さんに受け手として立ってもらい,物語や登場人物,細かな挙動すらも逐一見てもらっています。森さんの目を通さない仕様やデータが実装されることはありません。
4Gamer:
シナリオ執筆はやはり,森さん中心のチームが担当ですか。
森氏:
当然,リンクトブレインさんのシナリオライター陣にも携わってもらっていますが,中核部分は僕,熊川くん(熊川秋人氏),駒尾真子先生と,シリーズ初期からBBCFまで書き続けてきた面子で変わらずやっています。BBDWを遊んでもらうファンの皆さんに「こんなのBLAZBLUEじゃない!」と思われてしまうのが一番困りますからね。
4Gamer:
実際に遊ばせてもらいましたが,UIやシステムはもちろん,効果音ひとつ取っても“BLAZBLUEらしさ”を随所で感じられました。
藤田氏:
BBDWはこれまで大小さまざまなトラブルが発生し,事実スケジュールも遅れました。でも,我々が入ってからの遅れは停滞ではなく,今にして思えばそういったBLAZBLUEらしさを形にしていく時間,より良い作品にしていくためのポジティブな時間だったように思えます。
森氏:
ですねえ。企画初期は少人数開発で,見積もりも甘かったところがあります。けれど,配信日が目前に迫った今となっては,それからの選択と判断はいい結果につなげられたと思っています。
これは間違いなくBLAZBLUEだ!
BLAZBLUEらしさとスマホ向けRPGの境界
4Gamer:
さて,当のBBDWはどのようなゲームになりますか。
森氏:
膨大な量のシナリオを提供する,ストーリー重視のスマホ向けRPGです。そのうえでキャラクター育成や戦略的なバトルなど,RPGとしての基礎的な遊びの部分もしっかりと作り込んでいます。
4Gamer:
BLAZBLUEらしさを感じさせるべく,それらをスマホ向けRPGで再現するにあたり,意識した点や苦労した点はありますか。
鎌田氏:
BLAZBLUEのゲーム体験の再現はもちろん大切なんですが,スマートフォンゲームらしい理解の容易さとか,手触りの軽快さが損なわれないよう,それらを両立するシステム構築に注意しています。
例えば「オーバードライブ」など,格闘ゲーム側の仕組みの一部をそのまま導入しつつも,初見の人が触れたとき,直感的に把握できる絵面にするなど随所に手を加えています。「これは間違いなくBLAZBLUEだ」と感じてもらえるようにしながら,シリーズに初めて触れる人にも単体のRPG作品として楽しんでもらえる。それを成立させるのが難解でした。
4Gamer:
森さんから「こんなふうにしたい」とオーダーしたりは?
森氏:
僕はもう「とにかく気持ちいい手触りにしてくれ!」としか言っていません。攻撃がヒットしたときの気持ちよさ,必殺技を叩き込んだときの気持ちよさ,そういう攻撃の快感を最大にしてくれ,と。
それにスマホ向けRPGって,たとえ強い敵が出てきても「勝って当たり前」だと思っているんです。その間に立てた戦略がどうあれ,プレイヤーさんが積み上げたものが爽快感に変わる瞬間って「やった倒した!」という結果じゃないですか。だから,とにかく格好よく気持ちよくと。
藤田氏:
鎌田さんが苦労したのはそこですね。森さんの考える爽快感と,スマホ向けRPGであることと。BBDWはサービス運営型のゲームですので。
森さんが追求する「格ゲーらしい大ダメージの爽快感」と,運営を続けるために必要な「キャラクターの獲得や育成をしたくなる動機作り」を両立させるのは,市場を見ても分かるとおり簡単じゃないですから。
森氏:
それで言うと,僕なんかもう,運営要素ほぼ皆無な提案しかしてませんでしたね(笑)。うまくまとめてくれてよかったです!
4Gamer:
逆に,開発チームから提案が挙がってきたりは。
鎌田氏:
ウチはもともとデザイン面で協力していましたが,そもそもデザイナー陣がBLAZBLUEのファンだったんです。僕が「ここまでやってくれればいい」と指示しても,デザイナーから「いや,BLAZBLUEならこうでしょ」と,ファン目線の自発的な案が出てきたりして。
バトル構造も当初は“攻撃側と防御側”しか存在しない単純なものを考えていたのが,内部で「それじゃBLAZBLUEじゃないだろ!」と議論が発生しまして。そうした開発メンバーの熱意も,らしさと手軽さのすり合わせに体当たりしてくるので,諸々の調整が一番大変でした。
4Gamer:
BBDWのキャラクターに「前衛」「後衛」など,ポジションの概念が含まれているのもそういった議論の末なんでしょうね。
鎌田氏:
はい。ポジションもあとから導入した仕組みですね。これについては森さんから「バトルキャラたちにちゃんとした役割を与えたい」というオーダーがあり,それを反映した部分でもありますが。
森氏:
僕は「前衛・後衛の要素はあったほうがいい」とぶん投げただけなんで。鎌田さんたちがきちんと詰めてくれたから,前衛・後衛・前後のどちらでも活躍できるオールマイティの仕様に仕上がりました。そこでバトルキャラクターに“ユニットとしての性格づけ”ができたんです。
4Gamer:
そういった性格づけの意図も教えてもらえますか。
鎌田氏:
BBDWではユニット4体でチームを編成しますが,ここで言う“ユニット”とは,主人公すなわちプレイヤー自身が持っている駒であり,戦略の主体がプレイヤーにあることを前提にしています。
例えば将棋もそうですが,各駒に個性や役割があると,組み合わせ次第でさまざまな戦法が生まれます。それと同じで,ユニットに配置や属性といった明確な方向性を与えると,戦略の幅も爆発的に広がります。
4Gamer:
たしかに。
鎌田氏:
BBDWでは,どんなキャラクターでも最高ランクまで育てられますが,キャラ総数はサービスにあわせて増えていきます。そうなると個性が生きなくなるキャラも出てきがちなので,可能な限り役割とバリエーションを生み出せる構造にしたかった。それが編成面の主な意図です。
また,大多数の人たちは好きなキャラでチームを組みたいはずです。それを実現させるのも,戦略の幅広さの確保だと考えていました。
4Gamer:
正式配信までもう間もなくとなりますが,ゲーム内では「物語を読み進める」「ユニット編成を考える」「さまざまなバトルに臨む」,それ以外の遊びやコンテンツは予定されているのでしょうか。
鎌田氏:
まだハッキリと言えませんが,プレイヤー同士で互いの進行状況を共有しつつ遊べるような,コミュニケーションを活発化できるコンテンツを構想中です。あとは対戦ですよね。BLAZBLUEですし。
森氏:
ただPvPは実験的な導入からになるので,まずは1対1での疑似的PvPをと考えてます。通常バトルとは多少仕組みも異なるはずですので,当面はサブコンテンツのように捉えてもらえればと。
4Gamer:
では,アップデートの頻度はどれくらいを予定していますか。
藤田氏:
リリースからしばらくの間は頻度高め,それもイベントだけではなく,新規コンテンツも送り出したいと考えています。
大型コンテンツはできれば半年以内に提供したいです。
森氏:
BBDWはリリース段階で“小説1冊分以上”のテキスト量になりますが,以降も章ごとに同じくらいの十数万字をどっさりお届けするんですよね。自分で蒔いた種ですが,完全に(僕を)殺しにきてます。
4Gamer:
ファンには朗報ですね(笑)。ちなみに新規コンテンツでとくに注目してほしいものや,推したいものがあればうかがいたいです。
森氏:
個人的に注目しているのは「ダンジョン」ってやつです。
仕様書を受け取ったときから「これ超面白そう!」と思っていたので,出来上がりを今から楽しみにしています。他人が書いた企画書や仕様書を読んで,素直に面白そうと思ったのは本当に久方ぶりでしたし。
藤田氏:
あー,そういえばそうだ。森さん,いつもはケチばっかつけてるのに,ダンジョンの仕様書だけは最初から絶賛だった。
一同:
(爆笑)
クリエイターの夢は“神話”の創造
12年に及ぶ蒼の物語は,BBDWで神話に至るか
4Gamer:
BBDWではプレイヤーが主人公となり,物語を体験するんですよね。
森氏:
はい,これまでのシリーズでその一端が語られてきた「蒼の物語」「暗黒大戦」「イシャナ」などをキーワードに,プレイヤー自身がBLAZBLUEの世界で試練を乗り越えていきます。おなじみのキャラクターは当然登場しますし,新規のキャラもたくさん用意しています。
あと,初見の人には新鮮な新規シナリオですが,もしかしたらファンの人ほど序盤で「あれ? これおかしくない?」といった,歴史や世界観の齟齬を感じるかもしれません。ただ,それらの錯覚も含めての物語づくりをしているので,疑問を抱えたまま読み進めてみてください。
4Gamer:
あらためて,BBDWはシリーズの“正伝”と言えるのでしょうか。
森氏:
そうです。正伝で間違いありません。BLAZBLUEの歴史のどのあたりなのかは「お楽しみに!」といったところですが。
シリーズをよく知っている人なら,オープニングムービーのとあるシーンを見た時点で,思わず「クソがっ!」と叫ぶかもしれませんね!
4Gamer:
どういうニュアンスなのか気になります(笑)。
また一例として,BBシリーズの関連作品「XBLAZE」シリーズで初登場した“御剣機関”ですが,本作ではヒロイン「シエル=サルファー」の所属として登場しますよね。これまでその詳細が明らかにされていない謎の機関ですが,今回の物語には深く関わってくるのでしょうか。
森氏:
御剣機関については,なぜ創設され,どんな奴らが動かしているのか,といった部分もBBDWでハッキリするかと思います。
御剣機関の設定は最初から存在していて,XBLAZEシリーズや小説「BLAZBLUE−ブレイブル−:ブラッドエッジ エクスペリエンス」にも大きく登場しているのに,本編には出ていませんでした。その理由も納得できるように明かしますので,分かる人は期待してください。
4Gamer:
今おっしゃられたように,BBシリーズの関連作品,いわゆる外伝作品の登場人物たちも参戦するのでしょうか。
森氏:
ええ。すべて残さず余さず,出す気マンマンです!
4Gamer:
それと,聞いちゃっていいのか分からないんですが。公式サイトなどを見るに,死神ことラグナの姿が不自然なくらいありません。それ自体は彼の物語の終着点である,BBCFのストーリーを読了していれば納得ですが,メインビジュアルにはラグナがしっかり映っていてと。
……つまるところ,ラグナはBBDWに出るんですか?
森氏:
それはナイショで。
4Gamer:
やはり。なんと言いますか,楽しみがめじろ押しです。一方でさまざまな作品,それぞれの時代の登場人物がひとつの作品に集うこと。これも過去作に前例はありますが,BBDWでもそうなってしかるべき設定,あるいはなんらかの理由付けがあるものと考えてもいいのでしょうか。
森氏:
設定あり,ご都合ありですが,僕としては最初から(BLAZBLUEの世界を)こういった形にしたいと思っていてのことです。境界やエンブリオといった概念自体,スターシステムを実現させ得るものですからね。そこをベースにしているだけあって,物語の整合性は欠けさせません。
その反面,BBDWの課題は「これまでの物語を知らないと分からない」にしないことです。そこにハードルを設けないために,主人公はあくまで“なにも知らぬプレイヤー”であることを強く意識してきました。
4Gamer:
BBDWを機に,初めてBLAZBLUEを遊ぶ人も少なくないはずです。そのうえで,森さん的に「BBDWだけでも十分楽しめるけど,十二分に楽しむために予習するならこれ」というタイトルがあれば教えてください。
森氏:
やっぱりBBCFでしょう。あれはストーリーモードを遊んでいただければ,それまでに発生した事件や事象を自然と知ってもらえる作りを心がけたものです。物語最序盤で過去を振り返る選択をすれば,ココノエとカグラにガッツリ解説してもらえます。なによりBBCFはほぼ全キャラが参戦しているので,好きなキャラも見つけやすいんじゃないかな。
あと,物語後半でナインやレリウスが語るシーンがあります。その場面では蒼の物語の核心に触れているので,そこだけでも予習・復習はバッチリです。全ルートをしっかり読むだけでも20時間分くらいのボリュームがあるので,ビジュアルノベルとしても楽しめますし。
4Gamer:
正直,BBCFの終わり方は美しすぎて「本当にあそこから続けられるのか?」と不安に思っていましたが。こうして話を聞いて,まだBLAZBLUEの世界が続くことをハッキリと実感できました。うれしいです。
森氏:
ついでに,これも以前から言っていますが,BBCFまでの物語は“ラグナ=ザ=ブラッドエッジという男の物語”です。BLAZBLUEの世界はこれからも続いていきますし,今回のBBDWこそ新たに続く物語です。
4Gamer:
期待しておきます。続けてゲーム外での展開について。BBDWでは公式生放送「ぶるらぼ」で情報を発信していくのでしょうか。
森氏:
そうですね。アプリの配信以降も定期的にやれたらなと。
ただ,僕としては開発陣を表にひっぱり出してばっかりでは悪い気もするので,鎌田さんらに事前にキチンと確認を取ったうえで,基本的には僕からゲーム内容や新規情報をお伝えする形を検討しています。
4Gamer:
「ぶるらじ」もそうですが,BBシリーズは情報発信の場でもエンタメ的に楽しめる仕組みを重視してきましたよね。ぶるらぼでも近い精神を感じましたが,やはり一貫した考えなどがあるからでしょうか。
森氏:
実は僕,スクウェア・エニックスの吉田直樹さんが大好きなんですよ。吉田さんって表の場で,自分が作ったものを自信を持って「好きだ!」「面白い!」と言ってアピールしてるじゃないですか? 吉田さんが登壇するプロデューサーレターライブを初めて見たとき,感銘を受けました。僕も,ああいう姿勢がすごく大事だと思っていたので。
それに倣ってと言ってはなんですが,僕も僕が関わるコンテンツでは「開発者も楽しんでますよ!」という偽りのない気持ちを口にしていきたい。そういった心境で,ぶるらぼも続けたいと思っています。
4Gamer:
時勢もあって漠然とした話になりますが,BBDWが長期展開していくとして,将来的にやってみたいことはありますか?
森氏:
僕はもうストーリーを書き続けなきゃいけないので,将来に至っても「はい! がんばって書きます!」としか言わないでしょうね(笑)。
でも,藤田さんや鎌田さんの展望なら聞いてみたいかも。
藤田氏:
えーっと,いわゆる“シーズン2”まで続けたいですかね。
あと,YouTubeやTwitterでは海外の方々からの反応を多くいただけたので,海外展開も視野に入れていきたいです。もちろん,僕だけで決められることではないので,今後の状況を見ての願望となりますが。
森氏:
こないだの第1回ぶるらぼとかも,英語のコメントめっちゃ多かったですもんね。海外ファンの熱量もほんとスゴイです。
4Gamer:
開発ディレクターの鎌田さんからはいかがでしょう。
鎌田氏:
僕はやっぱり,キャラクターそれぞれに焦点をあてたストーリーとか,魅力あるBLAZBLUEキャラの掘り下げをしていきたいです。
好きなキャラクターの内面を深堀りしつつ,高難度クエストの攻略や新スキンの獲得を目指す,なんかの流れです。いっぺんに実装するのは難しいので,やるとしても少量ずつになると思いますが。
森氏:
すでに120キャラくらいいるのに? 大仕事なんてもんじゃないよね。インタビューで言質とられちゃいますよ!
鎌田氏:
ええ,これは必ずやります。
森氏:
マジかよ,言っちゃった……。
4Gamer:
ぜひ記録しておきます。そういったキャラクターの数を見ても歴史がありますし,シリーズも初代「BLAZBLUE CALAMITY TRIGGER」のアーケード版から数えれば約12年です。これを踏まえて,最後に質問が。
森氏:
ええ,どうぞ。
4Gamer:
これまでのように“BLAZBLUEという,ひとつの世界・ブランド”を長く育てる,もしくは物語を積み重ねて増大させていくこと。単純にシリーズ化,IP化と言うべきかもしれませんが,森さん自身がそれを成そうとしているのは,一体どのような原動力があるからなのでしょう。
森氏:
もともとゲームって,長い時間を愛されるコンテンツじゃないですか? だからこそ世界観はなおざりにしたくない。掘り下げれば掘り下げるほど奥深さを感じられるものにしたい,というのがまず1点。
もうひとつは誰も彼もと同じ,僕も“神話”を作りたいからです。
4Gamer:
神話,ですか。
森氏:
大小やジャンルに関わらず,コンテンツの作り手ってのは根っから神話を生みたがります。例えば「スタートレック」や「スター・ウォーズ」って,物語構造や歴史大系が完全に神話ですよね? そうできるような世界観は懐が深くて,その場所を使って多種多様な遊びができる。僕はコンテンツの本質が“遊び”にあると考えているので,そういう世界を作り,神話づくりに挑戦し,遊びたい。それが源にあります。
BBシリーズの本編には明確な“本筋”がありましたが,いくつも送り出した関連作品や,それこそBBDWを見ていただければ分かるとおり,「いろんな遊びができる世界」をそのまま表現しています。長い間,BLAZBLUEという物語を作り続けてきた僕の意図は,すべてそこなんです。
4Gamer:
多様な展開こそ,望むところだと。ただ,やはりというか格闘ゲームとしてはじまったコンテンツだけに,いつか格ゲーに回帰することを期待してしまうのは私だけじゃなさそうですが?
森氏:
もちろん,BLAZBLUEの原点は格闘ゲームですので,いつかはそこに戻る,いえ帰るつもりでいます。そのためのBBDWでもあります。BBDWが続いていった先で,そういったことも考えていきたいですね。
4Gamer:
その言葉だけで今後もついていけます。ではお時間ですので,BBDWを待ち望むファンの人たちへ,各々メッセージをいただけますか。
鎌田氏:
2年ほど開発してきて,やっとここまでたどり着けました。でもBBDWの物語がはじまるのはここからです。ゴールどころか,ようやくスタートラインに立っただけです。完結までの旅程は長いですので,皆さんと一緒に楽しみながら歩んでいける,そんな作品にしていきたいです。
藤田氏:
アークシステムワークスさんが大切にしてきたBLAZBLUEという作品。そのファンの皆さんに満足してもらうのは絶対として,BBDWからはじめてくれた人全員にも楽しんでいただける,そんな絶妙な味つけを目指しました。皆さまぜひとも,BBDWを手に取ってみてください。
森氏:
BLAZBLUEをはじめたときから,ラグナがたどり着く終着点はすべて決めていました。それと同じように,BBDWもすでに終わらせ方を決めています。なんだったらシーズン2のラストまで構想しています。
でもストーリーって,モノ作りの世界では珍しく「結果より“経過”」が大事で,結果に至るまでにどれだけ面白いものを重ねていけるかが重要だと,僕は考えています。BBDWでは長い長い時間をお付き合いいただくはずなので,開発一同,より良い経過をお届けしたいと思います。
「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」
公式サイト
「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」ダウンロードページ
「BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR」ダウンロードページ
- 関連タイトル:
BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR
- 関連タイトル:
BLAZBLUE ALTERNATIVE DARKWAR
- この記事のURL:
キーワード
(C)ARC SYSTEM WORKS
(C)ARC SYSTEM WORKS