プレイレポート
PC版「Destiny 2」のプレイレポート。太陽系を股にかける不死身のガーディアンとなって,人類を救え
ハイスペックなPCと対応ディスプレイを所有していれば,4K解像度やHDRレンダリング環境でのプレイも可能だ。
「Destiny 2」公式サイト
前作「Destiny」ではPC版が発売されなかったこともあり,以前から興味はあったがプレイできなかった,というPCゲーマーも少なくないだろう。そんな人々にとっては,待望のPC版の登場になるわけだ。
7月27日にPlayStation 4版のβテストの模様を掲載しているが,今回はPC版のプレイレポートをお届けしたい。なお,PC版の運営はBlizzard Entertainmentの「Battle.net」で行われているため,プレイするには「Battle.net」のアカウントが必要になる。
上記のとおり,「Destiny 2」は環境さえ許せば高解像度によるリッチなゲーム体験が可能だが,今回のプレイはフルHD(1920×1080ドット)で行っており,ゲーム画面もそれに準じている。この点は,あらかじめご容赦願いたい。4KでHDR対応のディスプレイなんて,持ってないんです。
お気に入りのガーディアンを作成し,侵略者レッドリージョンから太陽系を救え!
「Destiny 2」の舞台となるのは我々の住む地球を含む太陽系だ。だが,地球のすぐそばには,まるで月のような巨大な球体「トラベラー」が浮かんでおり,人類のほとんどは,「トラベラー」が地球に落とした影の部分にある,「シティ」と呼ばれる巨大都市に住んでいる。
かつて人類は宇宙に進出し,広大な領域を支配していたが,ある敵によって地球の文明は崩壊してしまう。それから数百年,技術と文明を失った人類は,未知の存在であるトラベラーの力によって維持されたシティを中心とした,限られた範囲のみで暮らしており,ここが人類最後の砦になっている。
主人公はトラベラーから不思議な力,「光」を授けられた人々によって組織されたガーディアンのメンバーで,シティと人類を守るために戦い続けている。
ある日,主人公がシティに戻ってくると,通信が途絶しており,シティがただならぬ状況に置かれていることに気がつく。ガウルが率いるレッドリージョンが,トラベラーの秘められた力を求め,地球に侵略してきたのだ。味方のガーディアン達と共に侵略軍を必死に食い止めようとする主人公だったが,敵司令船を停止させ,敵のボス,ガウルに対面したところで,急に力を失ってしまう。力の源であるトラベラーが,ついに奪われてしまったからだ。
主人公と同じように力を失ったガーディアン達が次々に敗北や撤退を繰り返す中,ついにシティは陥落する。人類最後の砦の,あまりにもあっけない最期だ。
命からがらシティを逃げ出した主人公のガーディアンは,レッドリージョンを倒しトラベラーとシティを取り戻すべく,生き残りのガーディアンと共に決死の反撃作戦を開始するのだった。
……というのが導入部分の展開だ。本作は続編ということもあっていろいろな説明が少なく,出てくる固有名詞も多め。“2”から始めた人(つまりPCゲーマー)にはちょっと分かりにくいかもしれない。とりあえず最初は,「巨大な球体(トラベラー)と,それに力を授けられた守護者ガーディアン」というあたりを理解しておけばいいだろう。
さて,ゲームを始めると,まずはガーディアンの作成画面となる。作成画面では,顔,性別,人種,髪や肌の色など,プレイに直接関係ない部分と,プレイスタイルに影響を与える「クラス」が設定できる。一度設定してしまうともう変更はできないが,プレイヤーは3体までガーディアンを保存でき,一部のアイテムやお金などを共有できるので,まずは1体作ってゲームに慣れ,それから本番用のキャラクターを作るという流れもアリだろう。
クラスは3つあり,「タイタン」が戦士系,「ハンター」がシーフ系,「ウォーロック」が魔法使い系というイメージだ。使える武器に違いはなく,見た目とスキルが異なる。MMORPGのように,クラスにタンクやヒーラーといった明確な役割が与えられているわけではなく,射撃だけを考えるなら,どのクラスを選ぼうとあまり違いはないという印象だ。
地球を侵略してきたガウルは分かりやすい敵役であり,また仲間のガーディアン達は,ときに深刻に,ときに軽口を叩きながらプレイヤーに協力してくれる。「人類の危機を救う」というテーマはやはり王道中の王道であり,さまざまな未来的ガジェットや演出も加わって,キャンペーンモードはまるで1本のSF映画を楽しむようにプレイできる。
キャンペーンを進めると新たな惑星がアンロックされ,そこで次の冒険に挑めるようになる。地球のほか,地表のほぼすべてが水で覆われた土星の衛星タイタンや,美しい大自然に未知の機械文明が発達した小惑星ネッススなど,ロケーションはどれも印象的だ。各惑星へ自由に移動することも途中で可能になるので,メインの物語を追いつつ,サブクエストやアイテム探しを堪能してほしい。
マップは多いが,そのぶん,1つの惑星の広さはそこそこだ。とはいえ,歩いて回るには広いので,効率よく移動するにはスパローと呼ばれるエアバイクがほしいところ。
レベル20で購入できるスパローは,いつでもどこでも召喚できるので非常に便利。レッドリージョンに侵略されている最中だけあって,どの惑星も敵だらけだが,たまには全力でバイクを飛ばすのも楽しいだろう。
レベルを上げてスキルを取得し,自分に合ったサブクラスを探そう。武器は剣がインパクト大
本作の成長要素は,敵を倒したりミッションをクリアしたりすることで経験値を取得し,それを使ってレベルアップするというものだ。レベルが上がれば上位の武器と防具が装備できるので,直接的な能力が上がるほか,レベルアップや特定のサブミッションをこなすことで手に入る強化ポイントを使って,クラスごとに用意されたスキルをアンロックできる。このスキル選びが,本作をプレイするうえでの大きなポイントになる。
サブクラスは,特定のイベントをこなすことでアンロックでき,例えばタイタンなら「センティネル」「ストライカー」,そして「サンブレーカー」が選べるようになり,メニューでいつでも切り替えることができる。
例えばウォーロックのサブクラスである「ドーンブレード」と「ストームマスター」は,一定時間強力な攻撃を繰り出すといったタイプで,「ボイドウォーカー」は,超強力なエネルギー弾を1発だけ敵に投げつけるというものになっている。「ボイドウォーカー」のエネルギー弾が当たれば,たいていの敵を倒せるが,外すと目も当てられない。
さらに,同じサブクラスでもグレネードの種類や近接攻撃など,いくつかのスキルが選べるので,自分の好みのキャラクターが作れるはずだ。
筆者が今回,主にプレイしたウォーロックで面白いと感じたサブクラスは,ボイドウォーカーで,こいつは吸収というスキルを持っている。これは「敵を倒すたびに体力が回復する」という特殊効果が付与されるもので,さらに貪欲というスキルを持っていれば,グレネードのクールダウンタイムが短縮される。
以上の2つのスキルを持ったボイドウォーカーの場合,体力が減ったら,むしろ敵のどまんなかに突っ込んでガンガン敵を倒していけばいいわけで,ポンポン撃てるグレネードにより,瞬間的な火力は相当なものになる。敵の攻撃を無視して片っ端からなぎ倒し,ダメージを強引に回復させる戦法は爽快で,もはや別のゲームをやっているような感じだ。
ボスの中には攻撃にノックバック効果が付いていたり,近づくと自爆するタイプの敵もいるので,万能というわけではないが,慣れてくると大量のザコが回復アイテムにさえ見えてくる。
ガーディアンを強化する各種装備は,倒した敵をルートしたり,落ちているクレートを開けて入手するが,種類やレア度は基本的にランダムだ。クエストの報酬として手に入ることもあるが,この場合も,レア度こそ事前に確認できるものの,何がもらえるかはあくまで運次第となる。
本作は(原稿執筆時点で)レベルキャップが20で,ここまではかなりあっさり到達できる。そのため,それ以上のキャラクター強化は装備するアイテムに関わってくるのだ。
さまざまな種類の武器の中で異彩を放っているのが,名前もそのままの「剣」だ。エネルギーが続く限り強力な斬撃ができ,強攻撃となるアッパーカットは,一撃で中ボスすらなぎ倒すほど。おまけに剣を装備すると視点が1人称から3人称へ変わるという懲りようで,当然ながら遠距離戦にはまったく向かないが,敵陣に飛び込むタイプの戦法やスキルとの相性は抜群だ。
正直,剣ばっかり使っていた筆者は,途中で何のゲームを遊んでいるのか混乱することさえあったが,敵に斬りかかる動作は非常にカッコイイし実用性も高いので,拾ったらぜひ使ってみてほしい。
マルチプレイのメインはCo-opの「ストライク」と対戦の「クルーシブル」
「Destiny 2」は前作と同様,キャンペーンと,オンラインでの協力/対戦がシームレスに楽しめるという構造になっている。ソロでも十分に楽しめるが,やはりほかのプレイヤーとの協力や対戦も存分に遊んでみたい。
3人のパーティ「ファイアチーム」を組めば,キャンペーンを含めてマップに用意されたクエストやアクティビティを全員で楽しめるし,Co-opの「ストライク」や,ほかのプレイヤーと対戦できる「クルーシブル」は,ソロプレイがメインの人でも気軽にマルチプレイに参加できる。
ストライクは3人のプレイヤーがチームを組み,敵が多数待ち受ける一本道を進んで,最後の強力なボスを倒すことが目的となるモードだ。敵はすべてNPCなので雰囲気的にはキャンペーンに近いが,敵の数や強力さは段違いに高く,不用意に突っ込んだりすると簡単にやられてしまう。ステージによっては道中に罠的なギミックが用意されており,これを突破できないうちに敵にやられて全滅といったことも起きる。
慣れないうちは大変だが,事前のプレイヤー募集なども必要なく,簡単にチームプレイが体験できて強敵と戦えるので,ソロに飽きたら気軽に参加しよう。何度か体験した人がチームにいれば,サクサク進めるので,キツいと感じる場面も少ないはずだ。
一方のクルーシブルはマルチプレイ対戦で,4人対4人で純粋に戦いの腕を競うものだ。本作では,あくまでもアクティビティの1つと位置づけられており,見た目や装備はキャンペーンのものがそのまま使われるという特徴がある。また,対戦を重ねることで報酬がもらえることもある。
レベルや武器のパワーによって強さに差が出ない,つまりレベルアドバンテージ無効という設定なので,長時間プレイした人の高レベルキャラクターがビギナーを一方的に倒してしまうことはないだろう。とはいえ,本当に始めたばかりだと十分なアイテムやスキルさえ入手できてない可能性があるので,最低限,得意だと思える武器が手に入るまで待ってもいいだろう。
オンライン対戦は大きく「クイックプレイ」と「対戦モード」に分かれており,前者が気軽にプレイできるカジュアルなルール,後者がフレンドなどときっちり連携したほうがベターなガチ気味のルールになっている。まずはクイックプレイで対戦のコツを覚えておくのがオススメだ。
クイックプレイには,チームデスマッチの「クラッシュ」,ドミネーションとも呼ばれる陣取り合戦の「コントロール」,相手のキルだけではポイントにならず,落ちた記章を拾って初めてポイントとなる「闘魂」の3種類のモードが用意されており,その中から1つがランダムで選ばれる。個人的には自由にモードを選べてもよかったと思うが,どれもルールが単純で,ある意味似ているので,これでもいいかもしれない。
対戦モードでは,上記のとおりにプレイヤー同士の連携が重視される厳しめのルールが採用されており,モードとしては,攻撃側が爆弾の設置を目指し,防御側がそれを防ぐ「カウントダウン」と,限られたライフを共有し,リスポーンに厳しい制限がかかる「ライフリミット」の2つがある。
どちらもラウンド制で,1回の対戦時間は短く,参加人数が少ないため,1人欠けるとそのまま決着がついてしまうことが多い。
そのため,両チームともなるべくやられないよう慎重に立ち回ることになり,スコアが拮抗したときの戦いは非常にアツい。クイックプレイのほうが人気があるようだが,こちらも一度は試してみよう。
いずれにしても本作のマルチプレイは,4人対4人と参加人数が少なめなので,各プレイヤーの責任は大きくなる。孤立するとあっさりやられるので,基本は集団行動とし,自信がないうちはほかの味方に付いて行って援護に徹したほうが活躍できると思う。
フラッと行ったマップでたまたま出会った別のプレイヤーと,一期一会でイベントをこなすのが一番楽しいか
「Destiny 2」では,惑星ごとに用意されたマップに移動すると,チームを組んでいなくても,自動的に別のプレイヤーとマッチングするシステムになっている。キャンペーンを進めるため,ある星に移動してきたら,移動地点の近くで降下してきた敵とほかのガーディアンが激しく撃ち合っていた,という状況に遭遇するのも珍しくない。
敵の中にはクレートを隠し持つ重要なターゲットなどもいて,気が向いて一緒に戦っていたら,いつの間にか宝が転がっていたということもある。こうした,シングルとマルチがシームレスにつながった本作のシステムでは,この何気ない共闘が,結構楽しかったりするのだ。
この要素を使った「公開イベント」が定期的に用意されており,敵の襲撃を防いだり,大型の機動兵器を始末したりなど,かなり規模の大きなバトルが楽しめる。同じ場所にいれば誰でも参加できるほか,報酬もなかなかおいしいので,筆者は繰り返し挑戦してしまった。
難度的には,ソロではかなり厳しいという感じだが,ほかのプレイヤーが参加してくる可能性も高いので,地図で探して開始場所に行ってみるといいだろう。
筆者は前作をプレイしておらず,今作から始めたので,物語の固有名詞やゲームの基本ルールを理解するのにやや時間がかかったのだが,キャンペーンが中盤に入り,スキルなどの仕組みが理解できるようになると,ぐっと楽しくなってきた。
基本はFPSなので,射撃のテクニックはある程度必要だが,スキルを組み合わせた「効果的な戦い方」が分かってくると敵のラッシュもさほど苦でなくなる。むしろ,「もっとザコを持ってこい」などと考えるようになっていたのが,自分でも驚きだ。
今回は時間の関係上,エンドコンテンツである「レイド」までガッツリやり込むというわけにはいかなかったのだが,キャンペーンを主軸にマップを回って公開イベントやサブクエストに参加し,気が向いたらストライクやクルーシブルをやってみるといったプレイでも十分楽しめた。
若干説明不足という部分もあるが,それは,オンライン作品ならではの「フレンドに聞こう」ということなのだろう。
「Destiny 2」は2017年12月6日に拡張パックの「オシリスの呪い」の発売が予定(関連記事)されており,今後も定期的なアップデートが行われることは間違いない。「2から始めるのは難しいのでは……」と考える人もいるかもしれないが,ハードルが高いわけではなく,ボイスも含めてローカライズもしっかりしているので,興味がある人はぜひ手に取ってほしい。
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