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Google,スマートフォン組み込み型VR HMD「Daydream View」を1万2000円で国内発売。第2世代モデル
2016年11月に発売となった第1世代モデルは国内発売されなかったので,日本市場には初お目見えとなる。本稿では,東京都内にあるGoogleのオフィスで開かれた新製品発表会の様子と,Daydream View実機の写真を中心にレポートしよう。
発表時点における国内でのDaydream-ready phone認定端末は以下のとおり。Google純正のスマートフォンであるPixelシリーズは,日本では販売されていないため,リストには入っていない。
Googleは以前から,スマートフォンを使うVRゴーグルとして,ダンボール製の「Cardboard」を展開している。簡易でカジュアルを指向したCardboardとは異なり,GoogleはDaydream Viewを,モバイルVRに最適化した,より快適で高性能なVRゴーグルであるとしている。Nartker氏は,とくにDaydream Viewの第2世代モデルが採用する光学系について触れ,「モバイルVRではベストな光学系を設計した。PCやゲーム機用のHMDに匹敵する」とアピールしていた。
なお,質疑応答で筆者は,Daydream-ready phoneとして認定されたスマートフォンは,似たようなスペックを備えながら認定されていないスマートフォンと何が違うのか,認定に必要な要件はなにかと,Nartker氏にたずねてみた。
Nartker氏によると,認定スマートフォンはベストなVR体験ができるようにチューニングを施されており,CPUやGPUが高い性能を有することや,スムーズなヘッドトラッキングに必要なセンサー類を備えること,それに加えてクリアでにじみのないディスプレイを備えることが,認定に必要であるとのことだった。そうした理由により,Daydream-ready phone認定スマートフォンでは,VRアプリを快適に利用できるというわけだ。
では,国内発売となるDaydream Viewの実機を見ていこう。
Daydream Viewは,樹脂製の筐体を布系素材で覆った,シンプルでソフトなイメージの外観をしている。頭部を固定するヘッドバンドも柔らかく伸縮性のある素材を使っており,PlayStation VRやRiftのような,既存のVR HMDとはだいぶ印象が異なるところがポイントだ。
公称重量も約261gと軽い。160g前後の重量があるハイエンドスマートフォンを組み込んでも,総重量は420g程度で,大半の10インチ級タブレットよりも軽いほどである。
DaydreamはVRアプリ開発者へのサポートが充実
渡邊氏によると,今回披露された釣り★スタVRは,2017年5月にグリーが行ったイベントで使用したバージョンをベースに開発したもので,北米やオーストラリアなど,すでにDaydreamが販売中の地域では配信中のアプリであるという。国内でも,Daydream Viewの発送開始日である12月13日からプレイできるようになる予定とのこと。
名前から想像がつくとおり,釣り★スタVRは,ガラケー時代に大ヒットした「釣り★スタ」の要素を現代的なVRゲームに落とし込んだものだ。最大6人でのマルチプレイにも対応している。
また,VRアプリの品質を担保するための仕組みが用意してあることも,魅力の1つであるという。Googleは,Daydream対応アプリに対して審査を行っており,その要件となる「Daydream App Quality Requirements」というガイドを公開することで,開発者が良質なVRアプリを制作できるようにうながしているという。渡邊氏は,このガイドが非常によくできていると賞賛し,これからモバイルVRのアプリを作ろうという人には,参考になるものだと述べていた。
そのほかにも,渡邊氏らのチームが使ったゲームエンジン「Unity」のほか,「Unreal Engine 4」といったメジャーな開発環境がDaydreamに対応を済ませていることや,Googleが提供する「Google VR SDK」が充実していること,さらに,VR空間での移動やカメラの動かし方といったVRアプリにおける基本要素のサンプルコードとなる「Daydream Elements」が公開されていることなども,Daydreamの長所であるということだった。
なお,渡邊氏に,既存のモバイルVR環境であるCardboardや,Samsung ElectronicsのVRゴーグル「Gear VR」向けのアプリをDaydreamに移植するのは難しいのかとたずねたところ,ゲームエンジンが対応していることと,Google VR SDKが充実しているおかげで,移植もスムーズに行えるとのことだった。
2018年初頭に,Daydreamプラットは2.0へアップデート
最後に,遠くない将来にGoogleが予定しているという,Daydreamのアップデートについても説明しておこう。
Nartker氏によると,Googleでは2018年初頭を目標に,Daydreamプラットフォームのアップデート(Daydream 2.0)を予定しているという。とくに重点を置いているのは,VR体験の使い勝手を向上させることと,VR体験の共有である。
たとえば,VRアプリ内からAndroidの通知領域や設定を使いやすくする「Daydream Dashboard」を導入するそうだ。また,VRアプリの映像をビデオ録画する仕組みも導入予定であるとのこと。とかくプレイヤー以外からは何をやっているのか分からないと言われることのあるVRアプリだが,ビデオを録画することで,その様子を共有しやすくなれば,多くのユーザーをVRの世界に引き込みやすくなるのは確かだろう。
ハイエンドのスマートフォンが必要になるというハードルはあるものの,スマートフォンベースのモバイルVR機器としては将来性が有望な製品だけに,Daydream Viewは,ゲーマーにとっても見逃せないデバイスになるかもしれない。
Google StoreのDaydream view販売ページ
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