イベント
日本最北端の街,稚内で行われた「『Frostpunk』極寒体験会」の模様をレポート。詰め掛けた地元の人により会場は温かな雰囲気に包まれた
「……はい?」
その話が筆者の耳に入ったのは年の瀬も迫った2019年12月だった。あまりにも突然だったので最初はまったく話についていけなかったが,どうやら2020年2月20日にDMM GAMESから発売されるPC(DMM GAME PLAYER)/PS4向け日本語版「Frostpunk」の「極寒体験会」なるイベントが1月23日に北海道の稚内で行われるということだった。
「Frostpunk」は,ポーランドのデベロッパ 11 bit studiosが手がけるサバイバルシミュレーションゲームだ。大寒波により崩壊したロンドンから逃げ延びた人々が寒さに対抗すべく蒸気を使ったテクノロジーを発展させ,地球最後の都市を築き,生き残びていく,という物語が描かれる。
そんな“極寒の世界”が舞台となる「Frostpunk」のPS4版を,「厳しい寒さの中でプレイしてもらおう!」というコンセプトのもと,真冬の稚内市で体験会開かれることになったらしい。
というわけで,日本最北端の街で行われたFrostpunkの体験イベントの模様をレポートしよう。
厳しいサバイバルが描かれるゲームとは裏腹に体験会は温かい雰囲気に?
体験会のレポートの前に,Frostpunkのゲーム内容について軽く触れておこう。本作の舞台は大寒波により崩壊した世界。最高気温がマイナス20度で,マイナス70度を下回る気温も珍しくない。
凍てつく世界でプレイヤーに課せられた使命は,「街のリーダーとして,住民とインフラを管理し,一定期間人々を生き延びさせること」だ。
画面だけ見ると,街をひたすら大きくしていく,「シムシティ」のようなゲームにも見えなくもないが,本作の人々は今日を生き延びるので精一杯。必死に手を尽くしても,救いきれない犠牲が出るくらいシビアな世界なので,悠長にしているとバタバタと人が倒れていく。
序盤は街の中心にある蒸気機関設備と80人の住民しかいないので,とにかく街を暖かくするために石炭と木材集めに奔走することになるし,草も生えぬ極寒の地では食糧難にも見舞われる。
また,極寒のサバイバルの中で,プレイヤーはリーダーとしてさまざまな厳しい選択を迫られる。「労働力不足解消のため,子供を働かせるのか否か」「重度の凍傷に見舞われた患者の手足を切断してでも助けるのか」など,選択は常にプレイヤーの倫理観が問われるようなものばかりだ。
Frostpunkの体験会が行われた稚内市は,人口約3万3000人の日本最北端に位置する街だ。体験会当日は最高気温がマイナス2度,最低気温がマイナス3度。今年は全国的に暖冬となっており,現地の人の話によると稚内も例年より暖かいそうだ(2019年1月の稚内は最高平均気温マイナス2度,最低平均気温マイナス6.3度,気象庁調べ)。
晴天に恵まれたこともあり,体験会が行われた北防波堤ドームには,地元の人が多く詰めかけていた。イベントの冒頭では,Frostpunkの国内プロデューサーである早稲田 誠氏(DMM GAMES),国内ディレクターの小守寛章氏(DMM GAMES),マーケティングディレクターのPatryk Grzeszczuk氏(11 bit Studios)が来場者に挨拶を行い,体験会がスタートした。
早稲田 誠氏 |
小守寛章氏 |
体験会には性別年齢問わずさまざまな人が,早稲田氏や小守氏の説明を受けながらゲームを楽しむ様子が見られた。
前述のとおりFrostpunkはかなり難度の高いゲームなので,多くの人は石炭を切らせてしまい住民が倒れていく事態に見舞われていたが,なかには着々と街を大きくしていき,設備を拡充していく強者の姿も。
開発者と参加者,メディアが混ざり合って談笑する様子も見られるなど,ゲームや稚内の気温とは裏腹に体験会は終始温かな空気に包まれていた。低温による液晶モニターのマシントラブルなどもなく,和やかな雰囲気のままイベントは終了した。
真冬の稚内かつ平日の開催ということで,当日まで参加者がどれだけ集まるのかまったく分からなかった本イベントだが,ふたを開けてみれば予想を上回るほどの人が詰めかけるという結果になった。
例年より高い気温だったことあり,参加者が集まりやすかったことが大きかったのかもしれない。
The Last Autumnの国内展開は準備段階。Patryk Grzeszczuk氏インタビュー
最後に,イベント中に行われたPatryk Grzeszczuk氏へのインタビューをお届けしよう。最新DLC「The Last Autumn」のコンシューマ版についても触れられているので,目を通してほしい。
――イベントに対する率直な感想を聞かせてください。
Patryk Grzeszczuk氏(以下,Grzeszczuk氏):
北海道は前から大好きだったんですが,来るのは初めてなのでとても嬉しいです。今でこそ0度を上回る気温の日もありますが,昔のポーランドはマイナス20度を下回ることもあったので,寒さには慣れています(笑)。
――DMM GAMESからFrostpunkの国内展開を持ち掛けられたときの感想を聞かせてください。また,Grzeszczukさんは日本市場どう見ていますか。
Grzeszczuk氏:
私は子供のころから「ストリートファイターII」「メトロイド」「Castlevania(悪魔城ドラキュラ)」など日本のゲームで育ってきたので,日本で自分たちのゲームが出せることになったときはとても嬉しかったです。
昨年は「Moonlighter」もリリースできましたし,11 bit studios自体が日本国内の方にとって馴染みがあるものになってきたのは喜ばしいことですね。
――前作の「This War of Mine」から11 bit Studiosの作風が,プレイヤーの行動の善悪がはっきりと決められないような社会派の内容になりました。その理由をお聞かせください。
Grzeszczuk氏:
善と悪でくっきりと分けられるような世界観のゲームにしたくなかったというのが大きな理由の1つです。難しい選択を迫って,プレイヤー自身に「自分にとっての正しい道」を考えてほしかったんです。
――シミュレーションゲームは,一般的にマウスで操作するPCの方が遊びやすいとされていますが,Frostpunkはゲームパッド操作への最適化は行われているのでしょうか。
Grzeszczuk氏:
コンシューマ版への最適化はFrostpunkのチャレンジした部分と言えます。コンシューマ版はPC版と同一の体験をお届けすることを目指して,ほぼあらゆるコマンドに2クリック以内でたどり着けるようにするなど,さまざまな最適化をしています。
コンシューマ機でプレイヤーにベストな体験をしてほしいと思い,慎重に調整を進めていったので,PC版のリリースから1年間を要しました。
――昨年のREBOOT Develop 2019(関連記事)では,ゲームバランスにも若干の調整を加えるという話がありましたが,具体的にどのような調整をされのでしょう。
Grzeszczuk氏:
ゲームの難度自体はPC版と変わっていません。ただ,コンシューマ機はPCに比べてマシンパワーが落ちるので,AIの思考パターンを独自に組んでいます。このノウハウはPC版にもフィードバックされていて,低いスペックのPCでゲームを動かすときのAIの思考として採用されています。
――1月29日に欧米で最新DLC「The Last Autumn」が配信されますが,コンシューマ版への展開予定はありますか。
Grzeszczuk氏:
公式に「リリースする」と明言はできませんが,それに向けての準備は進めている……という段階です。詳報をお待ちください。
――ありがとうございました。
「Frostpunk」公式サイト
Published in Japan by DMM GAMES. 2019(C)11 BIT STUDIOS S.A., FROSTPUNK and 11 BIT STUDIOS are trademarks and/or registered trademarks of 11 BIT STUDIOS. All other marks and trademarks are the property of their respective owners. All rights reserved.
Published in Japan by DMM GAMES. 2019(C)11 BIT STUDIOS S.A., FROSTPUNK and 11 BIT STUDIOS are trademarks and/or registered trademarks of 11 BIT STUDIOS. All other marks and trademarks are the property of their respective owners. All rights reserved.