インタビュー
新世代のMMORPG「CARAVAN STORIES」がついに始動。“みんなとつくる”Aimingのビッグプロジェクトの全貌を開発者に聞いた
GamesIndustry.biz Japan Editionに掲載したこちらの記事で,その一端が語られ,発表から現在まで密かに開発が進められていたわけだが,Aimingに詳しく聞いたところどうやら“よくあるスマホ向けゲーム”ではないらしい。
従来であれば,こういった新作インタビューは配信付近のタイミングで行われることが多いのだが,具体的な配信日は未だ伏せられたままだ。とはいえ,市場に新たな風を吹き込むタイトルはMMORPGと長らく寄り添ってきた4Gamerとしても注目せざるを得ない。ということで,正式タイトルが発表されたこのタイミングで,開発者に詳しい話をうかがうことにした。
Aimingの一大プロジェクトがいかにして立ち上がったのか,開発とプロモーション両面における“挑戦”を,プロデューサーを務める高屋敷 哲氏と運営/広報ディレクターの川俣俊介氏に聞いた。
「CARAVAN STORIES」公式サイト
※画面は開発中のものです。スマホとPCで遊べるリッチなMMORPGを目指して
Aimingがグラフィックスにこだわり抜いたワケ
本日はよろしくお願いします。2016年8月にProject Caravanとして発表されて以来のインタビューとなりますね。ゲーム内容に関わる部分は高屋敷さんに,プロモーションに関しては川俣さんにお聞きしていきます。では,あらためてという部分もあると思いますが,まずは企画経緯からお話しいただけますか。
高屋敷 哲氏(以下,高屋敷氏):
今の技術力とハードのスペックをもって実現できる“グラフィックスにこだわったタイトル”を作ってほしいという,椎葉(※Aiming代表取締役社長 椎葉忠志氏)の指令が発端になっています。「幻塔戦記 グリフォン 〜新章〜」(iOS / Android。以下,グリフォン)の開発チームから精鋭を集め,去年の1月頃からグリフォンの作業をしながらCARAVAN STORIESの開発を進めています。
4Gamer:
椎葉さんが提示されたオーダーは“グラフィックスにこだわる”の1点のみだったのでしょうか。それであれば,スマホ向けで主流となっているものや,アクションゲームといった選択肢もあったのではないかと。
高屋敷氏:
最初のうちはグラフィックスとアート部分のオーダーだけでしたが,開発が進むにつれて“MMORPG”を作ってほしいという要望が出てきました。あと,オーダーが出されたときに社内外問わず上手く調整してスタッフを探してくるようにとも言われて(笑)。
4Gamer:
クロスプラットフォームで展開するとなると,おのずと開発規模も膨らんでいきますし,プロジェクトとしてもかなり大きなものですよね。であれば,最初からキッチリとしたテーマやバジェット,チームが用意されているものかと思っていました。
高屋敷氏:
たしかに大きなプロジェクトですが,立ち上げ時のスタッフは7,8人でした。3か月かけてプリプロダクション版(試作版)を作成し,椎葉のレビューがとおったら本制作へ進む流れでしたので,少数精鋭でスピード感を重視したんです。
それにメンバーがみな兼務でしたので,グリフォンを基幹システムにして開発を進めていました。今はもう原型はないですが,グリフォンのシステム上にCARAVAN STORIESのリソースをのせています。
4Gamer:
プロジェクトの規模と比べてみると,立ち上げメンバーはかなり少ない印象です。
高屋敷氏:
10年近く一緒に仕事をしているメンバーばかりなので,仕様をキッチリとまとめずともそれぞれが独立して動き,想像以上のものを上げてきてくれます。なので,設計図どおりに制作したというよりも,試行錯誤の中で固まったタイトルだと思います。
4Gamer:
では,スマホとPCのクロスプラットフォームに対応させることになった経緯というのは。
高屋敷氏:
これも椎葉とのエピソードになりますが,近い将来にApple TVのような形でテレビにスマホの画面を映して遊ぶプレイスタイルがくるかもしれない,だから50インチのテレビに映すことも考えて開発してほしいと。その延長線で,Unityで開発しているならPCやコンシューマにも移植できるよね,という流れからクロスプラットフォームの方向性が生まれました。
4Gamer:
50インチのテレビで見ても遜色ないグラフィックスに仕上がっているからこそ,スマホの画面で見たときの密度がすごいんですね。
高屋敷氏:
大画面で見たときのグラフィックスを基準に,薄っぺらさや粗さが目立たないようにしています。
さっきお話したMMORPGに挑戦する経緯ともつながることで,画面をポチポチするだけの単純なゲームを,わざわざテレビに映して遊びたくはないと思うんです。テレビでも遊びたくなるようなゲームを作る,これがプロジェクトの根幹にあります。
4Gamer:
手軽さをつきつめるのではなく,リッチなゲーム体験を目標にしたと。
高屋敷氏:
昨今のスマホ向け市場では,プレイヤーが冒険するためのフィールドを排除することで移動の手間や時間を省略し,効率化をはかったゲームが主流となっています。僕自身もそういったタイトルを作った経験がありますし,デバイスの特性やプレイシーンを鑑みても,そういったトレンドが生まれることは理解できるのですが,この手のゲームは僕らが子供のころ慣れ親しんだRPGとは,もはや別物なんですよね。
4Gamer:
スキマ時間に片手間でも遊びやすいシステムが確立されていますね。CARAVAN STORIESは,そこから逆行していて“フィールドを歩かせ,冒険させる”作りになっています。これにはどういった意図が?
高屋敷氏:
スマホという端末でゲームを始めるプレイヤーにも,昔ながらのゲーム体験を与えてあげたかったんです。テキストと立絵だけでは表現できないことって,やっぱりあると思っていて。フィールドを歩いてモンスターと戦い,ときには逃げ,道中でアイテムを集めるだけでも冒険はやっぱり楽しいもので,この体験から生まれる記憶は何ものにも代えがたい。重箱の隅をつつくように,フィールドをくまなく探索するだけで楽しめるようなゲームにしたいと,メンバーには常々伝えています。
4Gamer:
実際にテスト版をプレイしましたが,グラフィックスの緻密さもさることながら,フィールドの広大さに驚きました。スマホでここまでやるのかと。
高屋敷氏:
ありがとうございます。
4Gamer:
グラフィックスに関連することで気になっているのですが,本作は手描き風な温かみのあるグラフィックスをウリとされていますよね。なぜフォトリアルな路線にはしなかったのでしょうか。
高屋敷氏:
僕らがずっと作り続けてきた世界といいますか,「ラジアータ ストーリーズ」の開発経験がチームのベースにあって,タッチのあるグラフィックスが好きなんです。だから,フォトリアルな路線は最初から選択肢にありませんでした。
4Gamer:
タッチの柔らかさだけではなくて,陰影の付け方も独特ですよね。アウトラインがやや太めで,ハッチング処理によって手描きっぽさが出ています。
高屋敷氏:
グラフィックスにこだわったものを作るのであれば,トップクラスに目立ちたいと考えています。クレバーに考えてみても,市場的にフォトリアルな映像美を謳うタイトルは少なくはありません。そんな中で自分たちの強みを活かすなら,この路線で突き進むべきだと確信したんです。
ハードの進歩も著しいですし,フォトリアルな路線に振ってしまうといずれ劣化が目立つようになりますが,手描きっぽさを活かしたグラフィックスなら,そこまで時代を感じさせません。
4Gamer:
ここまでの企画の成り立ちのほかに,掲げている開発コンセプトがあるとのことですが,そちらについてもお話しいただけますか。
高屋敷氏:
“みんなとつくる”ですね。グリフォンの運営を始めたころからスマホゲームの運営は,いわばサービス業であると感じていて,遊び手の要望にどれだけ応えられるかだと思うんです。開発中であればプレイヤーからの意見を柔軟に取り入れやすく,よりニーズに合ったタイトルにできるのではないかと。そこで遊び手の声を反映させて作り進めていく,プレイヤー参加型の開発を目指すことにしました。
大きなサービスの拡大につながるとは思っていないですが,いろんな人を巻き込んで作るのはやっぱり楽しいんです。始まりは小規模なチームでしたけど,今は業界内の友人や外部会社を含め,20〜30社と協力して作っているんですよ。
4Gamer:
まさに,みんなとつくる,ですね。
高屋敷氏:
Aimingが基盤となっていますが,最終的には参画会社を発表したいと考えています。参画してくれた人達は単なる作業者ではないですし,外部から来た人達であっても重要なポジションについてもらい,知見を広げてもらっています。
4Gamer:
ちなみに,現在の完成度はどれぐらいなんでしょうか。
高屋敷氏:
パーセンテージでは表せないですが,これから細かな作り込みや追加コンテンツの実装をする予定ですので,まだ時間はかかりそうです。100%とは言わず,リリース時には120,130%といったところまで作り込みたいなと。
これからの作り込み部分でまだまだ人手を欲していますので,興味のある方はぜひプロジェクトに参加してほしいです。
4Gamer:
昨年の8月にスタッフを募集されていましたが,まだまだ人材は募集しているということですか。
高屋敷氏:
そうですね。立案当初に想定していた要素はすべて実装できていますが,豊富なキャラクターを活用する場を設けたいなと。例えばですが,50体のプレイヤーキャラで突き進むダンジョンをリリース時に入れられたら面白いかもしれません。あとは,多人数で対戦する要素をアップデートコンテンツとして用意したいです。
4Gamer:
開発がある程度進んでいることを考えると,開発経験者のほうがよさそうですかね。
高屋敷氏:
即戦力というのが絶対条件ですね。今から加入して試用期間を経て……となると結局何もできなかったとなりかねないので,バトルコンテンツなどを手がけた経験のある人が参画してくれたらうれしいです。興味がある方はぜひ!
描きたかったのはキャラクター達の群像劇
ソロプレイでも楽しめる新しいMMORPG
4Gamer:
タイトル発表時から,あまり情報が公開されていなかったゲームの詳細についてもお聞きしていきたいのですが,そもそもCARAVAN STORIESはどういった世界なのでしょうか。
高屋敷氏:
ヒューマン,エルフ,オーク,ドワーフ,ゲッシー,リザードマンといった6つの種族が共存している世界です。プレイヤーが最初に選んだ種族によって導入部のストーリーが変わります。サービスインのタイミングには,リザードマンをのぞく5種族がプレイアブルキャラとなり,アップデートのタイミングで追加をかける予定です。
4Gamer:
種族を見た感じ,ファンタジー寄りな印象ですね。
高屋敷氏:
僕自身が「ウォーハンマー」の世界観が好きで,オークはオーク,ドワーフはドワーフといった形で素直にキャラクターを作っています。プレイヤーキャラとしてオークを主人公にできるゲームは珍しいんじゃないかと。
4Gamer:
種族ごとに導入のストーリーが異なるとなると,オークで始めたときにどんな物語が待っているのか気になります。
高屋敷氏:
オークが住む地方から冒険が始まりますから,オークだらけの光景を目の当たりにすると思いますよ(笑)。
それこそ,JRPGではあまり目にしない,独特の雰囲気を味わえるかもしれません。
4Gamer:
種族によってスタート地点が違うのであれば,道中のクエストで仲間になるキャラクターもきっと変わりますよね。
高屋敷氏:
はい。種族ごとといっても,各エリアを訪れたら全部仲間にできるようになっていて,最終的にはすべてを網羅できるはずです。
4Gamer:
始まりは違えど,どの種族でもたどり着く場所は同じなんですね。それぞれの物語には共通のベースはあるんでしょうか。
高屋敷氏:
6種族が共存する世界にエニグマと呼ばれる正体不明のゲートが現れ,この世界を破壊しようと強大な敵・魔獣が送りこまれてきます。この世界の住民達は危機を回避すべく,種族の壁を越えて共闘するというのが物語の基盤です。
僕の得意分野でもあるんですけど,群像劇を描きたかったんですよね。
4Gamer:
群像劇ですか。
高屋敷氏:
オープンワールドと言ったらおこがましいですけど,それぞれの目的,時間軸で行動する世界が好きなんです。好き勝手に暮らしていたキャラクター達がいつのまにか冒険に巻き込まれていて,気付いたら同じ目的に向かっていくようなイメージです。
とはいえ,この世界の住民は魔獣に対抗することにそこまで興味を持っていなくて,自分たちが抱えている問題解決に終始フォーカスしています。この世界の人達はエニグマが来ていても自分のことに一生懸命なんです。世界が危うい状況だから,シナリオ上もっと興味を持ってもいいはずなんですけどね(笑)。
4Gamer:
そこはプレイヤーに委ねられている,ということかもしれませんね。プレイヤーとしては無視できない存在ですし。
高屋敷氏:
そうですね。エニグマと魔獣はレイドボスという位置付けで,ランダムであらゆるフィールドに出現します。登場演出中にどういった編成にするか作戦を立て,待ち時間のあいだにどれだけの人を集められるかがカギになると思います。
4Gamer:
1プレイヤーにつき6体のキャラクターでパーティを編成し,最大3人のプレイヤーで共闘ができるという話ですが,これはレイドも同様ですか。
高屋敷氏:
レイドも同様で,自分の画面上で一緒に戦えるのは3プレイヤーまでです。1つのフィールドに接続できるのは数十単位ですので,レイドの場合は同じボスと戦うルームがいくつも並行して存在していると考えていただければと。
4Gamer:
バトルに参加できなかった場合,観戦もできたり?
高屋敷氏:
もちろん。「剣と魔法のログレス いにしえの女神」(iOS / Android)と同じシステムをとっていて,プレイヤーがバトル中の場合はフィールド上で敵と戦っていることが分かるようになっています。それに接触するとエンカウントUIが表示され,参戦するか観戦するかを選べます。観戦する場合は俯瞰視点でどういった編成になっているかを見られるので,待っているあいだにレイドの対策を立てるといいかもしれません。
4Gamer:
レイドのような協力型のイベントは,他プレイヤーとの連携が不可欠ですよね。プレイヤーの中には,ソロで行動したい人もいると思うのですが,ゲームの内容的にそういった人でも楽しめるのか気になっています。
高屋敷氏:
それは最重要視しているポイントです。6人編成のパーティで冒険に出かけられるシステムは,MMORPGのように他プレイヤーと遊ぶことを前提としたゲーム性とはギャップがありますよね。
4Gamer:
たしかに。非同期型でない限り,MMORPGならばパーティメンバーとして他プレイヤーをつかまえる必要があります。このシステムはソロプレイを意識して導入されたということですか。
高屋敷氏:
そのとおりです。加えて,序盤に関してはソロプレイで遊ぶような流れにしているので,マルチエリアに到達するまでは1人で進行することになります。その後も,ソロパートでキャラクターを粛々と強化して,デイリーボスと戦うだけでも十分楽しめる想定ですし,そのほかのコンテンツも,他プレイヤーとコミュニケーションをとらずとも遊べる内容にしています。昔からMMORPGを遊んでいるプレイヤーにとっては,始めたときにほかのプレイヤーがいないのは嫌,という人もいるかもしれませんが。
4Gamer:
おひとりさま好きにはうれしいかもしれませんね。そこまでソロプレイに配慮されたのは,何か理由があるんでしょうか。
高屋敷氏:
対戦ゲームとして作ったグリフォンのプレイヤーデータを調査してみたら,想定以上にRPG部分だけを遊んでいる人が多かったんです。みんながみんなマルチプレイを遊びたいわけではないので,1人でも十分に遊べるコンテンツを用意すべきだと考えました。
寄り道こそが楽しい世界に
マニアックにこだわった動物達
4Gamer:
フィールド上の敵には,モンスターっぽいもののほかに,黒猫や,ヒヨコ,ヤギもいますよね。エリアによって出現する種類もちがっていて,テスト版をプレイしたときは,メインクエストそっちのけで動物探しに夢中になってしまいました。
川俣氏:
高屋敷がかなりの動物好きというのもあって,動物をかなりの比率で織り交ぜています。そこも大きなウリの1つかもしれません。
4Gamer:
モンスターや動物のほとんどを仲間にできるとのことですが,このシステムを導入されたきっかけというのは……?
高屋敷氏:
フィールドを探索させる楽しみの1つにしたかったのと,フィールドのモンスターと戦う理由付けのためでもあります。CARAVAN STORIESのレベリングは経験値ダンジョンがメインとなりますので,フィールドのザコ敵は経験値がかなり少ないです。
ザコ敵を相手にしたレベリングの反復を強要せず,1日数回挑戦できる経験値ダンジョンを利用してもらうことで,レベル上げによる負荷軽減をはかっています。スマホ向けタイトルでもありますので,プレイヤーの負担はできる限り減らそうと。
4Gamer:
モンスターが仲間になると,普段避けている敵でも仲間にしたいから戦ってみようという動機になり得ますね。
高屋敷氏:
フィールドでのバトルは,あくまでモンスターを仲間にすることや,アイテム収集を目的にしたかったんです。
4Gamer:
そういえば,序盤で何気なく登場するモンスターの中に,グリフォンのラットルがいてホッコリしました。
高屋敷氏:
よくご存じで(笑)。ラットルのほかにも,本作のベースとなったグリフォンのモンスターを登場させています。
4Gamer:
大型モンスターのマンティコアもフィールド上にいましたけど,これも仲間になりますか。
高屋敷氏:
ええ。仲間になったらちょっと小さくなるかもしれませんが。ちなみに,モンスターや動物も★6まで進化できるようになっていて,進化の具合によって姿が変わります。
4Gamer:
動物も進化するのは意外でした。
例えば,ヒヨコは鶏になり,鶏を進化させると尻尾がのびていってオナガドリになります。カピバラを育てると,なぜか絶滅種であるメガテリウムに進化して,低確率ではありますけどフクロウがオウルベアに,ユキヒョウがクアールになることもあります。特殊な進化は,ある程度育てるとアタリかハズレかが分かる仕組みです。
4Gamer:
仲間になるモンスターや動物は,同種であっても個体ごとにパラメータが変わる設定でしょうか。もし差があるのであれば,厳選しなければという意識が働きそうですが……。
高屋敷氏:
パラメータは原則固定にする予定です。延々と作業するレベリングのように,膨大な時間を使って仲間になるのを待つ,理想の能力を持った個体を捕まえるような仕組みにはしていないので,そこまでストレスにはならないかと思います。
4Gamer:
プレイヤーは気軽に仲間集めをできるわけですね。新しい動物を集めるだけでも地味に楽しいんですが,同種のモンスターや動物を複数体集めてパーティに編成できるのも,動物好きにはうれしいかもしれません。猫まみれのパーティとか。
高屋敷氏:
僕はパーティメンバーをゾンビだらけにするのが好きですね。表現的に調整が入るかもしれませんが,ゾンビは頭に刺さった剣を外して脳汁をバーッと出しながら攻撃するので,全員で攻撃するときの演出は壮観です。ステキな楽しみ方ではないですが(笑)。
川俣氏:
すごい光景ですよね。
高屋敷氏:
カマキリの勝利ポーズもなかなかよくて,6体集めて勝利ポーズをさせたときは,このゲームを作ってよかったなと個人的な達成感をかみしめました。
4Gamer:
高屋敷さんの生き物に対する愛がよく伝わってきます(笑)。こういった動物やモンスターも仲間にできることで,プレイヤーごとに違った編成を楽しめそうです。
高屋敷氏:
モンスターや動物達はネタ的な立ち位置だけではなくて,対戦コンテンツである“コロシアム”の中で活かされるようになっています。コロシアムをかいつまんで説明すると,10体のキャラクターでデッキを組み,自分のキャラバンを防衛しながら戦うタワーディフェンス系ゲームです。24時間挑戦できるコンテンツとして実装される予定で,非同期型のAI戦が主となりますが,定期的に同期型の対人戦イベントを開催します。
4Gamer:
コロシアムはユニットごとのコストや能力のバランスが重要になりそうですね。
高屋敷氏:
ヒーローユニット(クエストで仲間になるキャラ)は強めの性能ですがコストが高く,一方のモンスターや動物は低コストで小回りのきくユニットになります。高コストばかりで固めてしまうと,攻め入られたときに壁となるユニットを召喚できず押し負けてしまうので,低コストのモンスターでバランスをとるというわけです。
4Gamer:
キャラバンにはパーツでのカスタマイズ要素がありますけど,主砲や装甲板を付けておくとコロシアムでより活躍しやすくなるのでしょうか。
高屋敷氏:
そうですね。壊されないためにも武装は大切です。現段階のバージョンでは主砲の向きを考えてパーツを配置しないと,弾を前に撃ってくれない仕様だったりします。取り付ける場所もキチンと考えないとキャラバンの攻撃が届かないこともあるかもしれません。
4Gamer:
ああなるほど,主砲を極端に上へ向けて取り付けてはダメなんですね。なかなかキャラバンが攻撃してくれなくて,「なぜだ!」と思っていました(笑)。
高屋敷氏:
ちゃんとした説明は必要だと思いますけど,パーツの配置場所や角度に制約を設けすぎてしまうと個性が出にくくなってしまうと感じていて,あえてゆるめの設定にしています。パーツが本体に食い込んで見えるケースもあるようですが,それはそれで味があっていいかなと。
4Gamer:
キャラバンは「ドラゴンクエスト」でいうところの馬車のような存在で,冒険中はプレイヤーの後ろをついて歩いてきますよね。これって,他プレイヤーのキャラバンが歩いている様子も見られるんですか。
高屋敷氏:
ええもちろん。30人でLiveテストをしたときは,30体のキャラバンがぞろぞろとフィールドに集まっていて,なかなか壮観でしたよ。今は武装パーツしか実装されていませんけど,いずれはキャラバンをおしゃれにカスタマイズできるパーツも追加していくので,見た目でも個性を出せると思います。
4Gamer:
ヒーローユニットはクエストで,モンスターや動物はフィールド上で仲間にでき,装備のクラフトは専用施設で行えるようになっています。いわゆるガチャの定番のキャラと武器をゲーム内のシステムで入手できる形ですが,マネタイズ要素はどういった形で導入されるのでしょうか。
高屋敷氏:
原則として時間短縮にお金を使っていただく想定です。ヒーローユニットはガチャでも獲得できますけど,クエストで仲間にしなければ冒険へは連れて行けません。ただ,コロシアムのデッキには組み込めます。これを極めたい人はガチャで時短してもらえればいいですし,のちのちクエストで仲間にしたら,ユニットを合成して還元できる仕組みです。極端に言ってしまえば,1円も払わずに楽しめるようなタイトルになるかもしれません。
4Gamer:
ということは,サービス形態としては基本プレイ無料が前提ということですね。これだけリッチな内容だと,ほかの選択肢もありそうですが。
川俣氏:
たしかに月額のサブスクリプションタイプも選択肢としてあるのかもしれません。ですが,ここに関してはお金を払うことを前提にしたくないという高屋敷の強い想いがありまして。
高屋敷氏:
試作版が完成して椎葉にプレゼンしたときも「本当に無料にするの?」と言われました(笑)。はいと答えたら「まぁいいけど」と,GOサインをもらっています。
プレイヤーの遊びに応える包容力が魅力
気になるリリース時期は……?
インタビューのまとめとして聞いておきたいのですが,本作ならではの魅力はどこにあると思いますか。
高屋敷氏:
今までゲームを遊んできた人が親しみやすい内容であることでしょうか。たくさんの人が遊びやすいように,間口を広くストレスフリーを意識した作りにしています。機能過多なゲームは,少しでもつっかかりを与えてしまうとやる気をそいでしまうので,そこはできるだけ避けたいところでした。
川俣氏:
あとは,遊びの幅が広いことですね。オートモードでひたすらメインストーリーを進めてもいいですし,脇道にそれてアイテムやモンスターの収集に勤しんでもいいし,腕に自信がある人はコロシアムを極めてもいい。
プレイヤーによって遊びたいコンテンツは異なりますし,ゲーム側がどれだけ応えられるかが重要であり,本作はそれらに応えられると自負しています。どう遊ぶかはプレイヤー次第ですので,好きなプレイスタイルを選んでほしいです。
4Gamer:
親しみやすさと包容力ということですかね。
高屋敷氏:
そうですね。包容力といえば,世界観構築においても「ワンピース」のような包容力のあるものを意識しています。ベースはファンタジーですけど,ファスナーのある服を着てもいいんじゃないとか,ゆるい設定にしています。実際にヘッドフォン(らしきもの)を付けているオークがいたりとか。
4Gamer:
文明レベル的にはヘッドフォンが存在している世界なんですね。
高屋敷氏:
いえ,なんちゃってヘッドフォンなだけで,じつは聴診器です。
一同(笑)。
4Gamer:
キャラバンも機械的な見た目をしているので,そういった技術力があるんだろうなと勝手に思っていました。
高屋敷氏:
あれはどちらかというと魔法の力ですね。キャラバンを普通に買おうとすると大体2億円ぐらいする設定だったりします。
4Gamer:
馬車のような役割のほかに,ゴールドやマナを生み出す内部施設を設置できる便利機能も持っているので,その価格設定にはなんとなくうなずけます。
高屋敷氏:
細かい設定になりますけど,キャラバンは魔獣の中身を抜き出して作られたものなので,エニグマの内部に唯一侵入できる存在なんです。
先々の構想ですが,エニグマが正体不明のゲートという設定ですので,今後のアップデートで異世界からさまざまなものを送り込めるな……と。
4Gamer:
例えばですが,異世界から送り込まれたという設定で,既存のIPとのコラボもしやすそうですね。
高屋敷氏:
まさに,そういったコラボもしてみたいです。
4Gamer:
今後の展開というところで,気になる配信日ですが……。
配信時期は未定です。本日(2017年5月26日)ティザーサイトを公開していますので,時期に関しては今後の情報をご期待ください。
4Gamer:
スマホ向けタイトルの場合,発表からリリースまでのスパンが短い傾向にありますが,本作の場合はどうやら違う動きを見せそうですね。配信時期未定としながらも,なぜこのタイミングでティザーサイトを公開されたのでしょうか。
川俣氏:
端的にお答えすると,昨今のアプリマーケティングとは異なった挑戦的なアプローチをするためです。スマホ向けタイトルであれば発表からリリースまで短期間でのレールマップを設けますが,それは切り出せるゲームの情報が少ないからだと言えます。発表後すぐにリリースすることで,リスクを回避しているのも1つの理由かもしれません。
4Gamer:
CARAVAN STORIESはその例には倣わない形で打って出ると?
川俣氏:
ええ。このタイトルに関してはコンシューマ機向けタイトルのようなロングスパンでの情報出しをすべきだと感じたので,これまでのセオリーとは違ったプロモーション計画を立てています。
遊びの幅が広くコンテンツも豊富なタイトルですから,シッカリ時間をかけて“みんなとつくる”タイトルにしたかったんです。
4Gamer:
開発コンセプトのお話でも出てきましたが,プロモーションにも関係があるんですね。
川俣氏:
今回のプロモーション計画も,“みんなとつくる”が軸になっています。2016年8月の発表後さまざまな反響をいただきましたが,好意的な意見が多かったんです。クローズドな環境で作り続けるよりも,ご意見をいただきながらブラッシュアップしていくほうがタイトルのためになるだろうと。
4Gamer:
なるほど。
川俣氏:
まずは,ユーザーテストを定期的に行い,みなさんの意見をゲーム内に反映していく流れを作ります。最初のうちはクローズドな環境でテストを実施し,少しずつ規模を広げて,いずれはオープンβの形をとって,広い範囲の方から意見をいただく形にできればと。
4Gamer:
プロモーションのためだけではない,本当のテストということですか?
川俣氏:
ええ,みなさんの意見がゲームを変えるかもしれません。あとは,こういった形でゲームの開発段階から参加してもらい,一緒に作っていくことで,愛着を持っていただきたいという狙いもあります。
市場的に見ても,ユーザーにはすでにお気に入りのゲームがあるのは明白で,その中にCARAVAN STORIESをいかに食い込ませるかがカギになると思うんです。
4Gamer:
たしかに,自分の意見が反映されると,ふしぎと愛着を感じたり,その後どうなったか気になったりします。個人的な感想で恐縮ですが,スマホ向けという枠組みで見ると,長期展開に適した内容かつ相応の規模を持ったプロジェクトでなければ,なかなか挑戦できないプロモーションではないでしょうか。
川俣氏:
まさに挑戦です。今後のプロモーションで尖ったことを計画していますので,中には「そんなことまでするの?」というものもあるかもしれません。それらは,今までMMORPGに対してハードルの高さを感じていた人にも興味を持ってもらうものでもあるので,今後はゲーム好きの方のみならず,これからMMORPGに触れる方にもアプローチをしていければと思っています。
はやくゲームを出してと思う方もいるかもしれませんが,定期的に新情報を出していく予定ですので,こちらで本作の世界を少しずつ知ってもらえばと。
4Gamer:
どんなプロモーションが飛び出すのか,楽しみです。それでは最後に本作を心待ちにしている人へ向けてコメントをお願いします。
川俣氏:
今までのMMORPGの歴史を塗り替えるではないですが,スマホで遊べる新たな形のMMORPGを提供できると思っています。これまでこの手のジャンルに触れたことがない人にもぜひ触れていただいて,プレイヤーの輪を広げていきたいです。絶えずゲームの情報を出していきつつ,ユーザー参加型のテストやイベントも用意していますので,ぜひ参加してください。
高屋敷氏:
今日公開されたPVを見ていただくと,最後にコンティニューの文字があると思います。この続きも準備していますので楽しみにしていてください。
このプロジェクトは,スタッフ自身が楽しんで進めているものですし,スマホ市場でこれだけに大きなプロジェクトに関われることはなかなかないです。もし興味をもっていただけたら,何かしらの形でプロジェクトに関わってもらえたらうれしいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
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