プレイレポート
ただの運ゲーで終わらない,思考フル回転の戦略対戦にアツくさせられる「ポケモンコマスター」プレイレポート
現役プロ棋士に初めて勝利した「将棋ウォーズ」のHEROZが開発を担当し,AI(人工知能)がプレイヤーの代わりに次の一手を提案してくれるサポート的なシステムが導入されたことでも注目されている。自ら構築したデッキで相手プレイヤーと白熱のデュエルを楽しめる本作の概要を,実際にプレイしたインプレッションとともに紹介していこう。
「ポケモンコマスター」ダウンロードページ
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チェスや将棋の感覚で対局できるシンプルなルール
ゲームの舞台は,数々の高級ホテルが立ち並ぶカルモンテ島。プレイヤーは,この島で開催されているポケモン・フィギュア・ゲーム(PFG)世界大会に参加し,ホテルの各フロアでクエストをクリアしながら最上階で待ち受けるオーナーを目指していく。
本作では6体のポケモンを組み合わせたデッキを使い,1対1のデュエル(対局)を繰り広げていく。ルールはいたってシンプルで,互いに1ターンに1体ずつポケモンを動かし,相手陣地のゴール地点へ先にたどり着ければ勝利となる。
ときには進路を妨害したり,隙をついて懐に潜り込んだりと,自分のゴールを守りながら相手のゴール地点を目指す。フィールドの状況を見ながら6体のポケモンを配置していき,戦況をコントロールしていこう。
ポケモンごとに進めるマスの数“MP”が定められている。MP3は切り込み隊長,MP2は遊撃手,MP1は自陣の壁役にと,機動力ごとにデュエルでの役割分担をしておこう |
隣り合ったポケモンにはバトルを仕掛けられる。バトルに負けたポケモンはフィールド外のポケモンセンターへと送られてしまい,ほかのポケモンが倒されるまではフィールドに復帰できない |
始めたばかりの段階では,フィールドのどこへ進むべきか「なるほどわからん」と感じることも多いだろう。筆者のオススメとしては,最初の内はAIに任せてある程度の立ち回りを観察し,デュエルの流れを掴んでおくこと。慣れてきたら判断を委ねる回数を減らしつつAIなしでも勝利できるまでデュエルを重ねていけば,大体の流れや勝てるシチュエーションの作りかたを把握しやすい。
AIを使うべきか,頼らざるべきかはあくまでプレイヤーの自由で,頼ることで必ず勝てるものでもなく,任せっきりにしていたら負けていたこともあった。基本的なコマ運びは理にかなって進めてくれるが,最終的な勝敗はプレイヤーが局面に介入することが重要であり,いかに使い分けるかがこのゲームのキモと言えるだろう。
ポケモンバトルは,互いにスピンさせたルーレットでワザを決定する。一度のバトルでワザを発動できるのは1体のみで,どちらのポケモンがワザを繰り出せるかは,ピースの色の相性やワザのダメージによって決められる。
ルーレットには,青,紫,白,赤の,2〜4種類のピースが割り振られており,青は回避や防御,紫はどくやねむり,とぶなどの特殊なワザ,白は相手を気絶させフィールドから除外できるダメージワザ,赤はワザが発動しないミス状態,という具合に分類される。
青>紫>白>赤の順に発動の優先度が高く,青と紫が出た場合は青のワザが発動し,紫同士の場合は★の数が多いほうが,白同士はワザダメージの高いほうがワザを繰り出せる。ポケモンのタイプによるダメージの変化は起きず,引き当てたワザで勝敗が決まるため,バトルが起きるたびに勝つか負けるかの駆け引きに思わずハラハラとさせられる。
レア度の高さだけがすべてではない
デッキ構築で勝てる戦略が生まれる
兎にも角にもデュエルで重要となるのは,立ち回りの方針となるデッキだ。ポケモンのデッキ編成にコスト制限はなく,自由にポケモンを組み合わせることができる。レア度の高いEXのポケモンを組み込めば単純に勝率が上がっていくものでもなく,ポケモン同士の連携を意識したデッキ作りをすることでデュエルの幅が広がり,デッキ構築の底抜けの楽しさをジワジワと体感できる。
レア度の高いEXのポケモンももちろん強いが,レア度が低くクエスト報酬でも入手できるビッパやオニスズメのほうが汎用性に富み,デュエルで安定した活躍を見せてくれることもしばしば。レア度に関係なくどのポケモンにも活躍の場を見つけられるのは,ファンとして嬉しいポイントではないだろうか。
ダメージ50のいあいぎりはピースも大きく繰り出しやすいため,壁役として活躍してくれる。序盤のデュエルで「ビッパはなぜこんなに強いんだ……」と衝撃を受けた |
オニスズメはMP3で機動力が高い上に,とぶが発動すればバトル相手を乗り越えられる。敵として戦うときは,とぶに用心しないとストレート負けすることがあり厄介 |
筆者もアレコレとデッキを考えた結果,オニスズメ,フシギダネ,サボネア,ケンタロス,ミニリュウ,ピカチュウで構成した“とぶ+どく+ねむり”チームに落ち着いた。プレートはプラスパワー×2,きゅうそねこをかむ×1,ポケモン入れ替え×1という組み合わせだ。
ケンタロス,フシギダネ,サボネアはフィールド中央付近で待機させ,けりとばす,どく・ねむりで相手を足止めし,ピンチ時には自分のゴール地点まで駆けつけられるようにしておく。オニスズメで相手のゴール付近に乗り込んだら,プレートを使って攻撃力が高めのピカチュウやミニリュウと交代する戦法だ。
個々のレア度は高くないが,ポケモンごとの役割や連携を意識したこのデッキに変えてから負けにくくなり,3つ目のホテルまで進むことができた。この点を踏まえても,編成のバランスや連携を意識したデッキ作りはデュエルにおけるキーポイントとなりそうだ。
ワザのダメージを-20にする“どく”,一時的に行動不能にする“ねむり”といった特殊状態を活用すれば,ワザのダメージが低めな編成でも戦いやすい |
最近気になっているのがヌメラ。ミスの確率が低くムラサキのピースが広めで使い勝手がいい。ぬめぬめかいひを引き当てれば,ゴール地点を塞ぐポケモンを押しのけて強制的にゴールできてしまう |
バトルに“運”はつきもの。リスクマネジメントが肝心
ポケモンバトルの勝敗がルーレットで決することもあり,バトルに関してはプレイヤー自身の“運”に左右される部分がある。「それって結局“運ゲー”では?」と思うプレイヤーも少なくはないだろう。いや,いや待ってください,運ゲーと決めつけるのは早すぎますよ!
確かに,その時々の運によって負けられない局面でミスを連発することもあれば,計ったかのように勝利が続くこともある。しかし,ある程度ポケモンやプレートが揃ってくると,見える世界がガラリと変わってくると強く主張しておきたい。
例えば,ミスの確率が低いポケモンでデッキを構成する,大事な局面ではワザのダメージをアップさせるプレートを使用するなど,リスクマネジメントに努めることでポケモンバトルに負ける確率を低くすることができるのだ。
戦術面においても,相手のポケモンが持っているワザのダメージや,青,紫色の厄介なワザがないかをリサーチしておくことでリスクをコントロールできる。バトルを仕掛けて相手のポケモンを退けることは正義ではあるが,確実に負ける相手,特殊なワザで返り討ちに遭いそうなリスクの高い相手には,自分からバトルを仕掛けず進路を塞ぐだけに留めるのも有効な判断と言える。
加えて,相手のポケモンを自分のポケモンで囲い込む“包囲”を利用することでもフィールドから除外でき,ワザのダメージが高く歯が立たない相手も撃退できてしまうのだ。フィールドを進む際は,相手のポケモンに囲まれないよう意識しつつ,包囲できる位置に誘い込むのも作戦の1つだろう。
戦うリスク,バトルに勝てる勝率を考慮した上で,勝負の仕掛けどころを見極める。勝つための最良の判断を考え,リスクマネジメントをガリガリと企てることこそがデュエルの醍醐味なのではないだろうか。
ポケモンのレベルを上げるとピースの幅を広げられ,ミスの発生する確率を若干ではあるが低くできる |
勝利条件には,エントリーポイントを塞いで相手を行動不能状態にするウェイト勝ちという方法も。相手を完膚なきまでに追い詰めるこの方法で勝てたときの気持ちよさといったら…… |
プレイヤー同士がマッチングするランクマッチでの腕試しは白熱必至だ。正攻法でいくか,裏をとるか,囮を使っておびき寄せるか,手持ちのフィギュアでは歯が立たない相手には“包囲”を駆使して……と,相手が生身の人間であるからこそ,先の読めない展開に思考をフル回転させられる。この一手先の戦況を読み合う緊張感に時間を忘れて没頭してしまうことも。
デッキの構築や戦略立てといった面白さの核にたどり着くまでに,やや時間のかかる面はあるが,頭脳戦にアツくなりたい,無限に広がる戦術の沼にはまってみたいプレイヤーは,公式Twitterの攻略情報を参考にしつつぜひ本作をプレイしてみてほしい。
「ポケモンコマスター」公式サイト
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(C) 2019 Pokémon. (C) 1995-2019 Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc. Developed by HEROZ, Inc.
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