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[GDC 2019]HTC「Vive」は「VR界のNetflix」を目指す。基調講演で定額制遊び放題とモバイルVRの拡充をアピール
内容の多くは,2019年1月に行われたCES 2019での発表を踏襲したもので,新しいハードウェアやサービスの発表はなかったのだが,Viveプラットフォーム全体の状況が分かる内容だったので,簡単にまとめてみたい。
定額制サービス「Viveport Infinity」への参加をデベロッパに呼びかける
いわく,対応するVRコンテンツ数は3倍に増加し,有料サービス「Viveport」を利用するユーザー数や,コンテンツのセールス数も3倍に増えたという。それに伴い,VRコンテンツのデベロッパが受け取る収入も3倍に増加したとのこと。
とくにVRゲームタイトルの増加は目覚ましく,2018年で1000以上のVRゲームがVive版で登場したそうだ。ひと頃のブームは沈静化したVR市場だが,順調に成長しているというわけである。
そんな状況にあって,HTCがいま最も力を入れていると言えるのが,4月2日にサービス開始予定の定額制VRコンテンツ配信サービス「Viveport Infinity」だ。既存の定額制VRコンテンツ配信サービスである「Viveport」の場合,1か月間にプレイできるタイトル数は5本までという制限があった。それがViveport Infinityでは,本数制限がなくなって遊び放題になるのが大きな違いである。
料金プランは1か月あたり12.99ドルか,1年間で99ドルの2つ。5本制限のあるViveportは,月額6.99ドルだったので,倍近い金額になるとはいえ,本数制限を気にすることなくVRコンテンツを楽しめるようになるのは有意義だろう。
またSteiber氏は,Viveport Infinityへのコンテンツ供給は,VRコンテンツを手がけるデベロッパにとっても収入増をもたらすと主張する。たとえば,新しくViveport Infinityに参加するデベロッパの場合,利益の配分率はデベロッパ側が8割と多めになっているのだという。さらに,ユーザー1人あたりの支払い額自体は,今までのViveportよりも増加するので,その点でもデベロッパの収入増につながるほか,定額制サービス契約者数の増加も見込まれているので,損はさせないというわけだ。
また,Viveportで配信するコンテンツはHTCによるプロモーションも幅広く行われるそうで,開発したタイトルのディスカバラビリティ(見つけやすさ)向上に悩むデベロッパにとっては,それも利点の1つとなるかもしれない。
Qualcommとの協業を拡大し,Mobile VRに力を入れる
基調講演の後半は,HTCとパートナー企業による協業を拡大するプランの説明が行われた。とくに,一般的なVRでPCやゲーム機本体に当たる演算機能をVR HMD内に内蔵した「Vive Focus」のようなスタンドアロン型VR HMDは,Mobile VRで存在感を増しており,今後の成長市場として注目を集めている。そのMobile VR分野に対して,パートナー企業と協力して働きかけを強めていくというのが,HTCのプランというわけだ。
Qualcommは,SnapdragonシリーズのSoCを軸にしたプロセッサやMobile XR向けリファレンスデザイン,ハードウェア仕様の開発を行い,HTCはソフトウェア開発キットの提供やコンテンツ配信プラットフォームであるViveportを通じてソフトウェア流通での支援を行うという。
Facebookも,ゲーム用途を重視したスタンドアロン型VR HMD「Oculus Quest」の発売を2019年春に予定するなど,Mobile VR分野は2019年もさまざまな製品が投入される模様であり,今後も注目していく価値はありそうだ。
Vive 日本語公式Webサイト
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