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「遊戯王 デュエルリンクス」世界No.1デュエリストのコバヤシシュウヘイ選手にインタビュー。勝負に対する考え方や今後の意気込みを聞いた
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印刷2019/11/07 15:00

インタビュー

「遊戯王 デュエルリンクス」世界No.1デュエリストのコバヤシシュウヘイ選手にインタビュー。勝負に対する考え方や今後の意気込みを聞いた

画像集 No.001のサムネイル画像 / 「遊戯王 デュエルリンクス」世界No.1デュエリストのコバヤシシュウヘイ選手にインタビュー。勝負に対する考え方や今後の意気込みを聞いた
 2019年11月3日に千葉の幕張メッセ国際展示場にて,「遊戯王オフィシャルカードゲーム」(以下,OCG)の大会「Yu-Gi-Oh! CHAMPIONSHIP SERIES JAPAN TOKYO 2019」(YCSJ TOKYO 2019)が開催された。

 世界各地で開催されている大型デュエルトーナメント「Yu-Gi-Oh! CHAMPIONSHIP SERIES」の日本大会として,2018年の東京と大阪で初開催された本大会。参加者の定員は前回大会の2000人から3000人とさらに大規模になり,また,入場無料のフリー対戦が楽しめる「デュエリストフェスティバル」も同時に行われたことで,全国から多くのデュエリストが集まった。

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 多くの熱戦が繰り広げられた会場にて,2019年8月にドイツで行われたeスポーツ世界選手権「Yu-Gi-Oh! World Championship 2019」(WCS2019)の「遊戯王 デュエルリンクス」iOS / Android,以下,デュエルリンクス)部門の優勝者であるコバヤシシュウヘイ選手にインタビューする機会を得た。今回はOCGの大会に参戦したデュエルリンクスの世界No.1デュエリストに,デュエルリンクスの今後や「勝負をするための心構え」などを聞いたので,本稿でお届けしよう。

 さらに,体調不良により大会に参加できなかったOCGプレイヤーのコサカコウキ選手に,メールインタビューを行った。WCS2019の「一般の部」で優勝し世界一となったコサカ選手に,世界トッププレイヤーになった心境を聞いたほか,これからOCGの大会に参加したいというデュエリストへアドバイスをもらっているので,こちらもチェックしてほしい。

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「遊戯王 デュエルリンクス」公式サイト



コバヤシシュウヘイ選手インタビュー


4Gamer:
 残念ながら今大会では決勝戦トーナメントまでは残れませんでした。

コバヤシシュウヘイ選手(以下,コバヤシ選手):
 いつもはデュエルリンクスで試合をしていますが,今回は純粋に紙のカードでの対戦だったので,やはり感覚が違いますね。

4Gamer:
 デュエルリンクスと違って難しいところはありますか。

コバヤシ選手:
 もちろんデュエルリンクスにもちゃんとした勝負がありますが,アプリとしてちょっとした時間で誰でも楽しめるカジュアルな部分もウリで,複雑なルールもある程度アプリの方がサポートしてくれます。ところが,紙でやると全て自分で管理しなければいけませんからね。

4Gamer:
 「遊☆戯☆王」シリーズに触れたのはいつごろだったんですか。

コバヤシ選手:
 小学生の時でしたね。そこから中学になって本格的に大会とかに出るようになりました。
 その後,受験もあって一旦離れてたんです。7年間ぐらいブランクがあって,今年からデュエルリンクスを始めて,久しぶりに復帰したという感じで……。

4Gamer:
 今年から始めて世界大会優勝は凄いですね。それでもOCGだと難しいものはあると。

コバヤシ選手:
 元々はOCGをやっていたんですが,ブランクもあったし,カードの種類もとんでもないことになっていますよね。あらためてOCGでの勝負でどこまでやれるかと思って今回挑戦したんですが,悔しい結果になってしまいました。

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4Gamer:
 いつからこういった大きな大会に出るようになりましたか?

コバヤシ選手:
 ゲーム内の大きなイベントで,2か月に1回ぐらいオンラインの全国大会があるんですが,プレイし始めて3週間ぐらいのときに開催された大会が,1位になると世界大会の挑戦権もらえるという内容だったんです。
 なんとか世界に行きたい思って,猛練習して3日間の大会で2日目まではトップだったんですが,経験不足もあって残念ながら3日目で落ちてしまいました。

4Gamer:
 3週間でトップが取れるだけでもすごいですよ。

コバヤシ選手:
 ありがとうございます。そのときは3日目で落ちましたが,それでもゲームに対するアプローチは間違ってないなと思ったんです。少なくともOCGをやっていて土台はあったので。

4Gamer:
 7年間のブランクをものともせず。

コバヤシ選手:
 ブランクと言っても,大会に出ていなかっただけで,普通に誰かと遊びでプレイする機会はありました。その中で「対人における勝負の差の詰め方」を感覚ではなく,言語化できないかと考え始めました。

4Gamer:
 言語化ですか。面白いですね。

コバヤシ選手:
 その言語化したものを実践したらどうなるかと,大学時代にそれまで苦手だったスポーツ系の部活に入って試したんです。苦手なジャンルというマイナススタートで,自分のロジックを元に結果が残せればすごいじゃないですか。マイナスからプラスに結果を持っていける訳ですから。
 世界大会への挑戦に関しても,もし僕がデュエルリンクスのサービス開始当初からやっていたら,そんなにやる気になってなかったと思うんですよ。始めて半年という短い期間で世界大会に出るという目標を立てて,そこに向かってモチベーションを高めて,自分を追い込んで競技的にやりたかったんです。

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4Gamer:
 ゲームはもちろん,ほかのことにも活かせたと。
 ここからはプレイヤーとしての話を聞かせてください。まず1日に何時間くらい練習してるんでしょうか。

コバヤシ選手:
 そうですね……。長い時だと12時間くらいですね。3日間連続でやるとかもありますよ。12時間と言ってもトータルでそれぐらいで,アプリで試合をやってるのは半分ぐらいです。

4Gamer:
 残りの時間は何をしているんですか。

コバヤシ選手:
 思考している時間ですね。どうすれば勝てるのか,どこかにヒントがないかと常に探り続けています。むしろ,僕の場合はそっちの方が重要ですね。さっきの話につながるんですけど,「どうやったら勝てるか」という「勝負の差の詰め方」をずっと考え続けているので,同じ時間やっている人にも追いつけるし,追い越せるのかなと。
 長い時間をかければそのぶん知識は蓄積されていくので,できるようになるのは当たり前だと思うんです。フィールドが変わったときにそれが役に立たなくなってしまうこともありますが,根本にある勝負に対する思考や心構えっていうのは変わらないので,そこにアプローチすれば知識は活かせますから。
 OCGであれデュエルリンクスであれ,ここは変わらない部分だと思います。

4Gamer:
 デュエルリンクスはOCGに比べてまだ歴史は短いですが,今後デュエルリンクスの大会はどのように大きくなっていくと思いますか。

コバヤシ選手:
 アプリのゲームですが,今後はカードと同じように皆で集まり,対面しながら勝負できるようになっていくんじゃないかと思ってます。
 あと,難しい部分だとは思いますが,新たに始めやすい環境を整えてほしいなと。多くのカードから自分のデッキを組めるというのが「遊☆戯☆王」の魅力ですが,世界が広いぶん新規の人がなかなか入りづらい。僕も今日の大会に備えて情報収集や練習はしたんですが,対戦中に見たことがないカードがたくさんありました。デュエルリンクスでもそれは同様だと思うんです。

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4Gamer:
 今後,大会に出場したいと考えている新規のデュエリストにアドバイスがあればお願いします。

コバヤシ選手:
 「強くなって大きな大会に出る」のではなく,「大きな大会に出て強くなる」という考え方を持ってほしいです。
 勝つにはまずは経験が必要だと思うんですよね。そのためには自ら踏み出すことと,強い人と会うことです。今回の大会もそうですが,たとえ負けてしまったとしても決勝戦のハイレベルな戦いを見て,自分と何が違っているのか比較できるんですよね。そこが強くなるきっかけだと思うんです。

4Gamer:
 最後にこの記事を読んでいるデュエリストや「遊☆戯☆王」ファンに向けてメッセージをお願いします。

コバヤシ選手:
 今年の世界大会ではデュエルリンクスのトップを取れましたが,僕は頂点に立ったと思っていません。デュエリストの世界は例えるなら,頂点がある三角形ではなく台形なんです。ある程度幅はありますが,僕と同じレベルのプレイヤーは横に一杯ひしめいているんですよ。
 今回はたまたま僕がそこからちょっと飛び出しただけ。この台形を少しでも三角形に近づけて頂点を取ろうとするよう,思考し続けることが日々の練習です。実力はもちろん必要ですが,カード運もあるので「絶対勝てる」ということはありませんし,逆に誰にでも勝つチャンスがあるものだと思います。僕と一緒に頑張りましょう!



 まさにスポーツ選手のような論理的思考で勝負に向かい合っているコバヤシ選手。「将来はプロのデュエリストとして仕事ができそうですね」と訪ねると,「僕は純粋に対戦が楽しみたいので,仕事にしようとは考えてません(笑)」と,あくまで1プレイヤーであると語った。デュエルリンクスの大会でどのような活躍を見せるのか,そしてどういった道に進むのか。コバヤシ選手の今後に注目したい。

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コサカコウキ選手メールインタビュー


4Gamer:
 いつからOCGの大会に出るようになりましたか。

コサカコウキ選手
コサカコウキ選手
※写真はWCS2019のもの(関連記事
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 ゲームとして真面目に取り組み始めたのは2012年あたりです。非公認大会をメインに出場していたのですが,知り合いがみな代表になっていることに感化され,今年初めて店舗代表戦に挑戦しました。

4Gamer:
 世界のトッププレイヤーになり,周辺や心境の変化はありましたか。

コサカ選手
 そういったことはとくには感じてないですね。世界大会前も終わったあとも考え方などは一貫しています。

4Gamer:
 普段はどのようなペースで練習していますか。1日にどれくらい時間を掛けているか教えてください。

コサカ選手
 週1日やるかどうかですね。多めにやっても1日に5時間くらいです。

4Gamer:
 今後の大会に挑むうえでの意気込みを聞かせてください。

コサカ選手
 (2020年2月開催の)YCSJ名古屋で入賞を目指し,その後は世界大会に向けて少しずつ調子をあげていけるように調整していきます。来年こそは危なっかしいプレイはなるべく少なめでいけるよう,万全の態勢で挑みたいです。

4Gamer:
 これからOCGを始める人や,大会に出ようと考えている人にメッセージやアドバイスをお願いします。

コサカ選手
 楽しいと思えることが大前提です。相手も同じ人間なので,意思疎通などはしっかりとやるということを意識できれば楽しめるはずです。
 最初は対戦相手がいなくても,公認大会や今回のYCSJのようなイベントに参加していくと,徐々に友好の輪は広がっていくと思います。なので,とりあえずは始めてみてから考えましょう! 動き出さないと始まらないですから。
 はじめは緊張すると思いますが,そんなに心配しないでください。サラッと出てみると案外大したことないですよ(笑)。

写真はWCS2019のもの(関連記事
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 最後に「Yu-Gi-Oh! CHAMPIONSHIP SERIES JAPAN TOKYO 2019」の模様をお伝えしよう。
 予選を勝ち抜いた64選手によって行われる決勝トーナメントは,約4時間近くの長丁場という戦いに。過去大会でも活躍していたデュエリストのほか,国籍や性別を問わずさまざまな選手が健闘を見せた。
 大型モニターやステージ観覧席で多くの人が戦いを見守った決勝トーナメントを勝ち抜いたのは,オカダマサユキ選手とチョウタクヤ選手。オカダ選手は「インフェルノイド」デッキ,チョウ選手は「未界域」+「暗黒界」デッキで決勝に挑んだ。
 先攻のチョウ選手のデッキは,1ターン目に最速で相手をカード切れにするというものだが,決勝でこれがうまく噛み合わず逆にオカダ選手に追い詰められる状況となり,そのまま投了宣言。オカダ選手が自身のターンを迎えることなく優勝するという結果に終わっている。

予選終了後,決勝トーナメントスペース以外はフリーのデュエルスペースとなり,参加者たちは自由に対戦を楽しんでいた
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YCSJ / デュエリストフェスティバル 公式サイト

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