結のほえほえゲーム演説：第104回「死にそうだけど月に行きたいっていうお爺さんの願いを叶えるゲーム」

　ごきげんよう。女優・タレントとして活動しております。結です。

　ずっと気になっていた「To the Moon」というゲームの日本語版がNintendo Switch向けにリリースされました。本作は，カナダのゲームデザイナー，Kan Gao氏の個人スタジオFreebird Gamesが「RPGツクール」で制作したアドベンチャーゲームです。
　主人公はロザリン博士とワッツ博士。死を前にした患者の記憶に入り込み，記憶を改ざんし，やり残した夢を叶えるという仕事をしています。今回の依頼人である老人の願いは「月に行くこと」でした。
　ここまでのあらすじだと，メルヘンでロマンチックな物語を想像するでしょう。しかしッッ！　このゲーム，それだけじゃないんですよ。


　主人公達が老人の記憶に潜り，病床に伏す直前の老人に会いに行くと，なんと老人は「なぜ，自分が月に行きたいという夢を抱いたのか，まるで思い出せない」と言うのです。ん？　おかしいな。その理由から探るべく，老人の記憶をどんどんさかのぼり，過去を一つ一つ明らかにしていきます。

　病床に伏す直前の老人は「記憶をさかのぼるにあたって，プライバシーは守られるか」ということを気にしていました。こんなサービスに依頼しておいてプライバシーを気にする意味とは？　このわずかな違和感は徐々に大きくなります。老人の過去がひもとかれるにつれ，謎は深まっていくばかり。ロマンチックなだけでは終わらない，ミステリアスな世界にどんどん引き込まれていきます。


　「この人物は今どんな表情でしゃべってるんだろう？」と想像が広がることこそ，ドット絵アドベンチャーの醍醐味でしょう。すべてが細かく描写されていないからこそ，目の前に広がる光景がどんなものなのか，じわりじわりと想像し，実感していくことになります。時にはぬくもりを感じたり，時にはゾワッとしたり……。


　PC版がSteamで「圧倒的に好評」というだけあり，シナリオが素晴らしいです。日本語ローカライズは「UNDERATALE」などでおなじみのハチノヨンさん協力だそうで，シニカルなセリフの日本語訳に思わずニヤリ。程良い短編なので，何も考えずにサクッと飛び込んでみてはいかがでしょうか。
　私はちょうど6時間でクリアしました。なんとなく神ゲーな予感がするなぁと思ってプレイしてみたのですが，やはり間違っていませんでした。アニメ映画化も進められているそうで，楽しみです。


　この音楽がねぇ～たまらなく心地良いんですよねぇ～。単調なメロディなのに耳に残る不思議。Nintendo Switch版は1月30日までセールも行ってるそうですよ。

最近プレイしているゲーム（2020/1/25）
Nintendo Switch：「リングフィット アドベンチャー」
Nintendo Switch：「To the Moon」
PlayStation 4：「十三機兵防衛圏」
PC：「インペリアル サガ エクリプス」
iOS：「ロマンシング サガ リ・ユニバース」
iOS：「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」
iOS：「雀魂」

■■結（女優・タレント）■■
女優・タレントとして活動中。国内映画祭にて主演女優賞を多数受賞。幼少期からのゲーム好きが高じ，数多くのゲーム番組でMCを務め，イトキチ（糸吉）の愛称で親しまれている。

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