連載
[TGS 2016]原田勝弘氏と石渡太輔氏がトークを繰り広げた「『原田が斬る!』TGS出張版」をレポート
石渡氏:
今ここで出せるような話はないんですけども,イベントはできるだけいろいろなことをやっていこうという方針ですね。
原田氏:
EVOとかでは,たくさん人も集まっていますよね。
個人的にギルティギアは,あれだけ海外の人がプレイしているのに,上位が日本人ばかりになる珍しい格闘ゲームだな,という印象があります。日本人がやたら強いんですよね。
石渡氏:
それは日本でアーケードが先行してリリースされるので,海外の方が日本人より先に触ったり,同時に触ったりするのが難しいというのは,あると思います。
原田氏:
石渡氏:
ありがとうございます。
原田氏:
あれは業界内では,めちゃめちゃ評価が高いです。それこそ,頭がおかしいレベルだと思います。あんなことは思いついてもやらないですよ。
石渡氏:
それはスタッフにも言われました。最終的には,誰もやらないから自分達がやらないと,って納得してもらっていますけど。
原田氏:
ゲームを作っていると,自然なことを自然に見せる技術って評価されにくいんですよ。たとえば,左から右に見渡すときに,スムーズに見えているじゃないですか。これをゲームでやるとどうなるかっていうと,初期のころのFPSってけっこうカクカクしていたし,フレームレートが上がっても,なぜかスムーズに見えなかったんです。これを何年もかけて,カメラの画角を調整したり,アニメーションブラーを使ったりして,改良していったんです。
でもFPSで褒められるところって,ビルが崩れるとかエフェクトがすごいとか,派手なところなんですよね。根幹を支えている技術というのは,自然に見えるからこそ評価されません。
で,まさにギルティギアは,自然な2Dアニメに見えるじゃないですか。そういうのまったく詳しくない人が見たら,「繊細なアニメだね」で終わってしまいます。カメラを回せば3Dなのが分かりますし,回った瞬間に「うお! これはすごい!」ってなるんですけど,回るのはKOのときだけなんですよね。あれをなんでもっとゲーム中にやらないんですか? 僕だったら,これ見よがしに,すごい技がヒットするたびにカメラを動かします。
石渡氏:
やれなかったというところはありますね。本当はカメラのまわりひとつとっても,もっと自然にまわしたり,ほかのベストアングルにしたりできたと思うんです。でも,我々は少人数で作っているので,手が届かないところがあって。
一方で,2D格闘ゲームの延長線上にあるものなので,そのイメージを崩したくなかったというのもあります。演出として許容はできるけれども,基本は2Dゲームであってほしかったので。
僕らは結局,大手の海外メーカーとまともに同じ土俵で戦うだけの体力がないので,その中でどうやったら振り向いてもらえるかを考えると,クールジャパンを目指すしかないと思うんですよ。それはコンセプトとしてありましたね。
原田氏:
それは狙い通りですよ,振り向きますもん。
ハメコ。からは何か聞きたいことってあります?
ハメコ。氏:
お二人は,長いシリーズを手かけてきていますが,それゆえの苦労はありますか?
石渡氏:
どうやってこの作品を畳むかって苦労はありますね。どう着地させたら,やっている皆さんに納得していただけるかってところを考えています。
新しいスタッフが入ってくるたびに新しいアイデアも出てくるので,長くやっていてネタがなくなるということもなく,シリーズを広げようと思えばいくらでも広げられるとは思うんですね。それよりも,一度でいいからきちんと畳みたいです。それから先があるのであれば,畳んでから考えたいと思っています。
原田氏:
長くやっていると,プレイヤー層が若い印象のあるギルティギアであっても,30代40代になっているプレイヤーもいますよね。その世代がけっこうコミュニティをまたいでいるじゃないですか。そういう部分で苦労ってありませんか?
石渡氏:
たとえば野球で,今からメジャーリーガーを目指そうと思っても,いきなりメジャーリーガーと戦える土壌ってないじゃないですか。でも格闘ゲームにはあるんですよ。ですから,提供する側で,草野球ができるグラウンドを作る必要があると思っています。その一環として,イベントをやっていこうというのは,社内で検討しているところです。
原田氏:
今ってネットで意見を拾えるようになったじゃないですか。石渡さんは,ネットの意見って見ますか?
石渡氏:
僕の情報収集源は主にTwitterですね。自分自身はやらないんですけど,ゲームや会社に関連する情報を早く得られるので。
原田氏:
その意見には影響されるほうですか?
石渡氏:
影響はされませんけど,ゲームをリリースする段階で,どういう受け止め方をされているのか反応を見ている感じです。
原田氏:
なるほど。その反応で,「石渡死ね」とかネガティブなことを言われたときって,へこむタイプでしょうか。
石渡氏:
それはへこみますよ。やっぱり名指しですからね。
原田氏:
あ,久しぶりにへこむ人を見て安心しました。僕もすごいへこむんですけど,ゲーム業界には平気な人って多いんですよ。たとえばカプコンの小野さんは,何を書かれようがまったく動じないんです。
じゃあ僕達二人は,デリカシーがなくて思ったことを言っちゃうくせに,言われるとへこむってことですね(笑)。
ハメコ。氏:
もうひとつ僕から質問なんですが,もしお二人でコラボするとしたら,どんなことをしたいですか。
石渡氏:
もしできるなら,キャラクターを鉄拳に移すとかじゃなくて,鉄拳の中にいるソル・バッドガイの設定を起こすとかしたいですね。ソルに限った話ではないですけど。
ハメコ。氏:
鉄拳に出すとしたらポチョムキンですかね。
原田氏:
ギルティギアと鉄拳が組んだら驚かれるだろうね。やれるんだったら何か面白いことをやりたいけど,ここであんまり言っちゃうと,本当にやることになったときに困りますね(笑)。
石渡氏:
最後に僕から原田さんに質問していいですか? 鉄拳を最初に作ろうと思ったとき,どういうものにしようと考えていたのでしょうか。
原田氏:
それで,ずっと「バーチャファイター」を目指して鉄拳を作っていたんですが,鉄拳4ぐらいから初めて「鉄拳は違うゲームだぞ」と認識できた覚えがあります。
ハメコ。氏:
プレイヤーとしては,鉄拳3からバーチャファイターとは違うという印象がありましたけども。
原田氏:
それは,さっきの社員3人の話ではないですけど,鉄拳3のときにいろいろあって,プロジェクトのチームが30人以下になり,ゼロから作り直したからですね。だから,2と3の間ってえらい空いているんですよ。って,なぜか最後に僕の話で時間になってしまったんですけども。
ハメコ。氏:
それでは,今日の感想をお聞かせください。
石渡氏:
単純に楽しかったですね。原田さんと会話できただけで,僕の中では一財産が築けた感じです。
原田氏:
今回お話しして,石渡さんと内面の共通点がけっこう多いなと感じました。そういうことにしたいだけですけど。
何より,来場者の女性率が高かったのは,気分が良かったですね。今度からイケメンしか呼ばないようにしようかな(笑)。
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