台北市のランドマークであるTaipei 101に,GIGABYTEは今年もプライベートルームを用意していた
|
例年どおり,COMPUTEX TAIPEI 2016メイン会場の1つであるTaipei World Trade Centerにブース,その近くにあるTaipei 101にプライベートルームを展開しているGIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,
GI
GA
BY
TE)。
Taipei 101の36階プライベートルームは,
COMPUTEXへ毎年参加している報道関係者にとっては「いつもの場所」なのだが,同社はここで,
Thunderbolt 3接続型グラフィックスボックス,「
GeForce GTX 950」搭載の小型ベアボーン「BRIX」の新作など,PCゲーマーの気になりそうな新製品をいろいろ展示していた。
いくつかピックアップして紹介したい。
SilverStoneの筐体&電源に,GIGABYTEの制御系で高い拡張性の実現を狙うグラフィックスボックス
今までは,毎年探すのに苦労していたほどだったのに,COMPUTEX TAIPEI 2016では,裏テーマと言えるのではないかと思えるほどそこかしこで見かける外付けグラフィックスボックス。GIGABYTEが開発途上版として展示していた「
GP-T3GFx」は,SilverStone Technology(以下,SST)が開発した筐体と,やはりSST製となる定格450WのSFX電源ユニットを採用し,Thunderbolt 3周りをはじめとした根幹部分をGIGABYTEが開発したという,GIGABYTEとSSTのダブルブランド製品だ。
GP-T3GFx
|
本体前面下部にはSSTのロゴ。本体背面側にあるケーブル取り回し用窓の設計が,言われてみれば確かにSSTっぽい
|
|
縦に長いその形状からも想像がつくように,GP-T3GFxは,グラフィックスカードを縦に配置して使う仕様だ。本体前面のカバーは手で軽く引けば外れるようになっていて,容易に中を覗き込めるのだが,何というか,全体的にとても余裕のある内部構造になっている。
このあたりは,煙突構造にノウハウを持つPCケースメーカーとしてのSSTによるノウハウが見える部分と言えるだろう。
本体前面カバーを取り外して内部を見たところ。天板から少し下がったところに“中蓋”があって,そこにグラフィックスカードと電源ユニットがぶら下がるような格好になっていた。内部にかなりの余裕があるのも見て取れよう
|
上面排気なので,天板部は大部分がスリット。持ち運ぶための取っ手もある。手前見える丸いのは電源ボタンだ |
“中蓋”部。電源ユニットには電源ケーブル,グラフィックスカードにはDVIケーブルがつながっており,別途Thunderbolt 3ケーブルも差さっている |
搭載する電源ユニットはPC用そのもののようで,グラフィックスカード補助電力用の8/6ピンケーブルのほか,マザーボード用の電源ケーブルもそのまま残っていた。なお,右の写真をよく見ると,グラフィックスカードに外気を運ぶための120mm角吸気ファンがあるのも分かる
|
|
動態展示の全体図。写真向かってGP-T3GFxの左にあるデモ機から左端のディスプレイへ,GP-T3GFxからは右端のディスプレイへそれぞれビデオ出力していた
|
プライベートルームでは,デモ用のPCに差してあるグラフィックスカードからビデオ出力を行いつつ,マザーボードとThunderbolt 3接続したGP-T3GFx側のグラフィックスカードから別のディスプレイへビデオ出力する動態展示が披露されており,いかにも製品化が近そうだ。その点を指摘したところ,GIGABYTEからは,「現状だと長尺のカードを取り外すのに難儀するので,内部構造の最適化を行おうとしているところ。まだ(リリースまでは)もう少し時間がかかる」と,結構具体的な「まだ出ない理由」が返ってきた。
GIGAYTEによると,3スロット仕様のもの,300mm超級のものなど,できる限り多くのグラフィックスカードとの互換性を確保すべく動いているとのこと。驚くべきことに,他社製グラフィックスカードもサポートするつもりだそうだ。ひょっとすると,Thunderbolt 3接続型外付けグラフィックスボックスの決定版を作ろうとしているのかもしれない。
GeForce GTX 950搭載の「大きくて小さい」新型BRIX
GIGABYTEの小型ベアボーンシリーズ「BRIX」の新作として展示されていた「
GB-BNi7HG4-950」は,110(W)
×
110(D)
×
220(H)mm,容積にしてわずか2.6Lという筐体にGeForce GTX 950を搭載することで,エントリーミドルクラスの3D性能を獲得したBRIXだ。
GB-BNi7HG4-950
|
通常モデルより気持ち小さめのフットプリントで,高さは数台分といった外観が大きな特徴。ビデオ出力インタフェースは本体向かって右奥で後方,それ以外のインタフェースは左奥で斜め後方を向くという,ユニークな構造になっている。
各種インタフェースの配置。USBは3.1 Type-A,3.1 Type-C,3.0 Type-A各1となる
|
底面吸気(左),上面排気で(右),天板部に手をかざすと,温い空気が出てくるのを感じられた
|
|
ビデオ出力インタフェース
|
搭載するCPUは第6世代Coreプロセッサで,メインメモリはPC4-17000 DDR4 SDRAM SO-DIMM
×
2に対応。ストレージ用スロットとしてはM.2 2280
×
2という,思い切った仕様だ。標準でMini DisplayPort
×
3+HDMI 2.0(Type A)による4画面出力に対応する点や,本体側で1000BASE-T LANをサポートしつつ,外付けアンテナによりIEEE 802.11ac準拠の無線LANをサポートするのもトピックと言えるだろう。
Thunderbolt 3もサポートしてくれるとより面白かった気がするが,残念ながらそこは未対応である。
4画面出力のデモ(左)。右は本体と付属のアンテナによる高さ比較
|
|
価格未定ながら日本でも夏以降に発売とのことだ。
ちなみにこちらは,BRIXのチームが開発中だという,「単体グラフィックスカードを差し替えられる小型PC」。筐体内温度が70℃を超えると筐体のカバーがぱかっと開くギミック付き。現状は見るからに「開発中です」といった趣で,製品化を果たすにしても,しばらくかかりそうだ。なお,一部では「PlayStation 3みたい」と言われているらしいが,全然そんな印象は受けなかった
|
|
日本でも欲しい!? 湾曲液晶パネル採用のゲーマー向けAiO
厳密に言えばGIGABYTE製品ではないのだが,GIGABYTEのパーツを採用したパートナー企業が開発したという,34インチ,解像度3440
×
1440ドットの湾曲液晶パネルを採用するゲーマー向けAiO(液晶一体型PC)ベアボーン「
Loop Gaming AIO Barebone」も紹介しておきたい。
Loop Gaming AIO Barebone。PCとして動作していた
|
これは表から見ると湾曲液晶ディスプレイそのものなのだが,背面に回ると,アクリルパネルの奥に,CPUが液冷化されたG1 Gamingマザーボードと,3連ファン仕様のGIGABYTE製グラフィックスカードなどが見え,AiOだと分かるという一品である。
これまでも「単体グラフィックスカードを差せるAiO」というのはいくつかCOMPUTEXで出ていたのだが(
一例となる関連記事),ここまで洗練されたデザインの製品を見るのは初めてだ。
展示機の主なスペック
|
GIGABYTEとしては,システムビルダーなどに対して「皆さんと同じパートナーの一社が,こういう製品を作っていますよ。ぜひ製品作りの参考にしてください」と伝えるためのデモ展示であり,GIGABYTEがこれをそのまま日本に持ってくるとかこないとかいう話では全然ない。その点は注意してほしいが,これなら日本でも受け入れられるのではないかと思わされたのも確かだ。GIGABYTEブースを訪れた国内システムビルダーが一念発起することを期待したいところである。