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グラフィックスニーズの8割をカバー可能に? Intel,Broadwell-Hの統合型GPU「Iris Pro Graphics 6200」の性能をアピール
そんな中で,6月24日にIntelの日本法人であるIntel(以下,Intel)は,都内で同製品群の記者説明会を開催した。基本的には既報の内容を踏襲した内容であるが,Intelが第5世代Coreプロセッサについてどんなことをアピールしていたのか,ざっくりとまとめてみたい。
IntelのiGPUは9年で100倍の性能アップを達成
まずおさらいしておくと,6月2日に発表された第5世代Coreプロセッサは,デスクトップPC向けが5製品,高性能ノートPC向けも5製品の計10製品がラインナップされている。具体的な製品構成は発表時の記事を参照してほしいが,ざっくり説明しておくと,プロセッサナンバーの末尾「H」がハイエンドノートPC向け,「R」「C」がデスクトップPC向けとなる。
ちなみに,プロセッサナンバー末尾に付いた「C」の意味は,「Contents Creator」だそうで,コンテンツ制作用途に適したCPUという位置づけらしい。
Iris Pro Graphics 6200は,シェーダの演算ユニットにあたる「Execution Unit」(EU)を48基集積したGPUコアと,高速で容量128MBのオンチップDRAM「eDRAM」を組み合わせたものだ。Haswellマイクロアーキテクチャ世代のCPUに搭載されていたiGPU「Iris Pro Graphics 5200」の場合,EU数は40基でeDRAM容量は64MBという仕様だったから,順に1.2倍,2倍という規模になったわけである。
Broadwell-Hは最新の14nmプロセスで製造されるが,トランジスタ増加分のほとんどをiGPUに費やしてあるとのことで,実際,「シリコンダイの約50%の面積をiGPUが占めている」(小澤氏)そうだ。
いわく,トランジスタ数の増加分をiGPUに費やすという強化によって,3Dグラフィックス性能はもちろん,動画のトランスコードやGPGPU演算の性能も向上しているとのことである。
ちなみに,これはHaswell世代のIris Pro Graphics 5200も同様だが,eDRAMはグラフィックスメモリ側だけでなく,CPUがアクセスするメインメモリのキャッシュとしても利用できるという。そのeDRAMが64MBから128MBへと倍増していることは,CPUの演算性能も引き上げることになるそうだ。
IntelがiGPUに取り組み始めた2006年当時のiGPUに比べると,Iris Pro Graphics 6200は,「3DMark 06」での比較でおよそ100倍もの性能を達成しているという。2006年当時のiGPUは実に非力だったので,100倍の性能といわれてもピンとこない面もあるが,9年間かけて100倍の性能向上というのは,印象的な数字ではある。
説明会では,Iris Pro Graphics 6200の性能をアピールするデモとして「Canon Cinea RAW Development 1.3」(以下,Canon CRD)というキヤノンの4Kシネマカメラ向けのソフトウェアの実演が行われた。Canon CRDはRAW撮影した4K動画のデータを,リアルタイムでRAW現像しながら再生するというソフトウェアで,撮影現場での映像確認といった用途が想定されているようだ。
デモでは,Haswell世代の「Core i7-4790K」と,Broadwell世代のCore i7-5775Cを搭載するPCによる再生フレームレートの比較が行われた。前者は20fps程度がせいぜいなのに対して,後者では40fps程度での再生を実現できている。CPUクロックはCore i7-4790Kのほうが上なので,Iris Pro Graphics 6200のパワーが生かされた結果というわけだ。
ちなみに,Canon CRDは,Intelが無償で配布しているソフトウェア開発キット「Integrated Native Developer Experience」(Intel INDE)を使うことにより,Iris Pro Graphics 6200へ最適化されているとのことだった。
「グラフィックスに対するニーズの8割をiGPUで対応可能」
「何を言われようと,IntelのiGPUに興味はないよ」というゲーマーは,多いかもしれない。ただ,ユーザー数の多いIntelのiGPUがゲームグラフィックスのベースラインを決めるという要素もあるので,iGPUの性能が向上することは,ゲームグラフィックスの向上につながるはずだ。ゲームにおける実力は,製品で検証してみる必要があるものの,Intel製CPUでiGPUの性能が向上すること,それ自体は,ゲーマーとしても歓迎できることだろう。
Intel 日本語公式Webサイト
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