プレイレポート
素材を集めて自由に船を作る「エアシップQ」のインプレッションをお届け。ものづくりの魅力に溢れた冒険に旅立とう
「エアシップQ」公式サイト
本作の物語は,悪い魔女によって猫の姿に変えられてしまった主人公の女の子(名前は不明)が,「かんごくじま」と呼ばれる場所で目覚める場面からスタートする。希望を失いかけていた主人公だったが,別の場所に閉じ込められている弟から通信が入ったことで,弟を救い出し,そして本来の姿を取り戻すべく冒険へと旅立つ決意をする。
そんなエアシップQのジャンルは,「サンドボックス・アクションRPG」と銘打たれている。ちなみに「サンドボックス」とは,箱庭世界の中で自由に何かを作り上げていくタイプのゲームのことで,「Minecraft」や「テラリア」といった作品が有名だ。
ゲーム内の世界は2Dグラフィックスでデザインされており,横スクロールアクションゲームのような感覚でプレイできる。アクション面の難度はさほどシビアではなく,広大な世界を探索したり,クラフト(ものづくり)に取り組めるのが大きな特徴だ。
基本的にゲーム内の世界は好きな場所を探索できるが,硬い物質や謎めいた気象現象によって行く手を阻まれる場所が多々存在する。そのため,新たなスキルをマスターしたり,謎を解いたりして,少しずつ行動範囲を広げていくことになる。
灰色の土と白い砂のコントラストが特徴的な浮遊島(DURBY ISLAND)を発見。カメラを引くと…… |
なんと,地形にかわいい猫が描かれていた! |
空飛ぶ船「翔船」に乗り込み,大空へ漕ぎ出そう
冒険の出発点となるかんごくじまを探索していくと,魔女にさらわれる前に姉弟が完成させていた空飛ぶ船「翔船」を発見できる。これで大空に飛び立てるようになるのだ。
エアシップQの世界には無数の浮遊島群「ラピュータ」が存在し,翔船は島から島へと移動するためには欠かせない手段となっている。主人公はさまざまな島を巡って,旅の目的を達成するために必要な力を手に入れ,そして弟と魔女の行方を追うことになる。
なお,ストーリーにはいわゆるメインミッションに相当する「ノルマ」が用意されており,定期的に目標や目的地が表示されるので,プレイヤーは迷うことなく物語を進められる。もちろん,一時的にノルマを忘れて,気の向くままにあちこちと探索するのも自由だ。
拾って工夫して作って広がる「エアシップQ」の世界
島を探索するうえで必要になるのが,クラフト(ものづくり)の能力だ。ここでは,主人公がどのようにして素材を集め,冒険や戦闘に役立つアイテムを生み出していくのかを見ていこう。
主人公の目の前にあるオブジェクトは,◯ボタンで切ったり崩したりして素材に変えられる。例えば,土手を崩せば土のブロックが素材として手に入る。ストックされた土のブロックにカーソルを合わせて◯ボタンを押すと,足元にそのブロックを置くことができるという仕組みで,土などの無機物系のブロックを積み上げれば,簡単に足場が作れるようになっている。
このように,拾った素材を簡単な操作で役立つ存在へと変えられるのが,エアシップQの醍醐味といえるだろう。
土手は耐久力が低いので,○ボタンで軽く叩けば崩せる |
土手の一角が崩れて土のブロックが出現。そのブロックを拾うと手元にストックされる |
頭上に宝箱を発見。しかし,主人公のジャンプ力ではとても届きそうにない |
土のブロックを階段状に積み上げれば足場に早変わり。これで宝箱を獲得可能だ |
オブジェクトを叩いて壊したときに,どんな素材が出現するかはそれぞれ異なるので,初めて目にしたものはなんでもかんでも叩いてみたくなるはずだ。石を壊せば石のブロックが出現し,樹木を伐採すれば丸太が手に入る。また,生き物を倒したときも一定の確率で素材がドロップするので,重要な採集ターゲットになっている。
手に入れた素材は,クラフトの材料として使うこともできる。例えば,羊から刈り取れる毛玉はそのまま加工すれば糸になり,さらに石のブロックと丸太が揃えば「石のハンマー」を作り出せる。地中に埋まっている鉱石は硬いので,土手や石とは違って生半可な道具ではビクともしないが,石のハンマーであれば採掘可能だ。
また,採掘すると鉄鉱石や石炭,ときにはダイヤモンド(!)といった希少金属が入手できる。
このように新たな素材によって優れた道具を作成できるようになり,その道具によって未知の素材を入手できたりと,ものづくりの可能性は徐々に広がっていく。
翔船の船体は素材のブロックで作られているため,叩いて部品の一部を回収したり,手持ちの素材を配置して修復したりできる。つまり,翔船の外装は自由自在にデザインできるというわけだ。
素材の中には翔船専用のものがあり,その一部は航行性能に影響する特殊な素材となっている。例えば,丸太と布から作成できる「帆」は,翔船の船足を高める効果がある。強風が吹き荒れるエリアに向かうときには,たくさん帆を張るといったように,航行計画に合わせて翔船をチューニングするといいだろう。
もちろん翔船の性能にこだわらず,ひたすらデザイン面だけを追求してもいい。世界でたった1隻しかない自分だけの翔船を作れることが,冒険をいっそう楽しいものにしてくれる。
やり込み派も満足できる「クエストモード」
エアシップQはパッケージ版が2500円,ダウンロード版にいたっては2000円(ともに税込)という良心的な価格であるだけに,ゲームのボリュームは比較的コンパクトにまとまっている。とはいえ,ストーリーモードはメインミッションのほかにもさまざまな要素が盛り込まれ,遊び応えは十分にある。
そのうえで,やり込み派の人に注目してほしいのが「クエストモード」だ。このモードには4つのクエストが収録されており,それぞれに異なるノルマの達成を目指すことになる。
クエストその1「せんかんドレスデン」 |
クエストその2「ブリトおおしま」 |
クエストその3「レッドドラゴンとうばつ」 |
クエストその4「パルアれっとう」 |
いずれのクエストもどのようにものづくりを進めるか,そして具体的にどんなアプローチでノルマ達成を目指すかはプレイヤーのアイデア次第。また,アドホック通信のネットワーク機能によって,最大4人でのマルチプレイにも対応しているので,友達と協力したり,誰が先にクリアできるかを競ったりといった楽しさも味わえそうだ。
誰でも親しみやすいゲームバランスが絶妙
近年,さまざまなサンドボックス型ゲームがリリースされているが,その中には自由度が高すぎて何をすればいいのかが分かりにくい作品や,極端に強い敵が登場する作品が少なくない印象がある。そのため,こうしたタイプの作品を敬遠している人もいるのではないだろうか。
その意味でエアシップQは,あまり高くない難度やストーリーに沿って進められる点など,遊びやすさが際立っている。もちろん,序盤にはチュートリアルが用意されているので,自然な形でゲームの基本操作を覚えられるのも見逃せないところだ。
ひたすらに興味の赴くまま世界を漫遊したり,手軽にものづくりを楽しんだりと,誰でも楽しめる作品といえるだろう。
「エアシップQ」公式サイト
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(C)Cygames, Inc. Powered by Miracle Positive
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