インタビュー
[EVO2014]EVO開幕直前「ウルトラストリートファイターIV」座談会。ウメハラ選手ら6名のトッププレイヤー達が語るウルIVとトーナメントシーンのこれから
うまいプレイヤーが使っているキャラは損をする?
4Gamer:
キャラランクの話からは少し離れますが,今作では海外での家庭ゲーム機版の発売に合わせ,アーケードでの稼働から約1か月ほどでバージョンアップが行われました。結果的に,近年の格闘ゲームでは異例ともいえるスピードでのバランス調整になったわけですが,この点について,皆さんはどう考えているのでしょう。
ウメハラ選手:
例えば「ガンスリンガーストラトス」とかなら,調整がすごく頻繁に行われるものなので,逆に気にならないんですよ。そもそもあれはキャラクターよりも戦術に対する習熟度が求められるゲームなので,今使ってるキャラが,1か月後にはまったく使われなくなっても問題ない。でも,格ゲーでキャラの強さがころころ変わるのは,個人的には合わないなと思った。
ときど選手:
キャラを決めて,腰を据えて練習する意味がなくなっちゃいますね。
ウメハラ選手:
ウルIVが,もし今後も短いスパンで調整されるんだとしたら,取り組みの方向性を変える人が増えるだろうね。調整の度,常に強いキャラクター3人ぐらいからキャラクターを選ぶみたいな。それって,格闘ゲームの醍醐味をなくすと思うんだよな。
かずのこ選手:
皆で同じキャラを使うわけだから,個性は出しにくくなるでしょうね。
4Gamer:
ただ一方で,調整を重ねていくことで,これまでよりバランスの取れたゲームになる可能性もあると思うのですが。
ときど選手:
そうそう。キャラの個性を活かしつつ,どのキャラクターでも戦える方向性に調整してくれるなら,僕はこのやり方もアリだと思います。今回かなり早いタイミングで調整されたので,今後も短いスパンで調整されるんじゃないかって思ってるんですけど。
板橋ザンギエフ選手:
Ver.1.02もそんなに遠くないって気がするよね。
ウメハラ選手:
たださ,俺は格ゲーの調整でいつも思うことがあって……結局,うまいプレイヤーが使ってるキャラが損するんだよ。
一同:
あ〜。
ウメハラ選手:
ウルIVでサガットや豪鬼が弱くなっているのって,どう考えても(ボンちゃん選手とときど選手を指して)こいつらのせいに見えるわけ。逆に,実はかなり強いのに,あんまり目立たなかったキャミィやフェイロンは変わってない。それってつまり,うまい奴の頑張り損ってことだろ?
ボンちゃん選手:
いいよウメちゃん! そういうのもっと言って!
4Gamer:
そう言われると,元もそんな印象ですね。
ときど選手:
Xianが活躍してなかったら,弱体化されなかったかもしれない(笑)。
かずのこ選手:
せっかく頑張って活躍しても,それでほかのプレイヤーから恨まれるんじゃね……。
ウメハラ選手:
なんかさ,これって「バトルガレッガ」※みたいだと思うわけ。勝ち続けると難しくなっていくから,わざと死んで難度を下げなきゃっていう。
※1996年に稼働を開始した,ライジング制作のアーケード用シューティングゲーム。残機数や自機のパワーアップ状態などに応じて難度が変化するシステムが搭載されていたため,ALLクリアを目指すためには,スコアラーでなくとも点数稼ぎを狙い,エクステンドしたら自爆して難度を下げる,という攻略が必要とされた。
4Gamer:
動画配信を前提としたトーナメントコミュニティの盛り上がりがあるために,うまいプレイヤーが目立ちやすくなったのはあるかもしれません。どの目線で調整すべきなのかは,格闘ゲームに限らず,競技性が求められるゲームの永遠の課題なのかも。
板橋ザンギエフ選手:
調整でキャラが強くなったり弱くなったりは全然いいんだけどさ,俺としてはVer.1.01みたいに,変更しといて「やっぱ止めます」っていうのはちょっとって思うな。
ももち選手:
ダルシムの立ち中Kとか,ガイの武神旋風脚とか,ケンのしゃがみ中Kとかね。キャラのコンセプトというか,調整の方向性が一貫していないように見える。ケンのしゃがみ中Kが強くなったときは,ああこういうキャラにしたいのねって思ったけど,1か月そこらで元に戻されると,じゃあ何がしたかったんだよって(笑)。
ウメハラ選手:
あと,人気のないキャラを調整しようってときに,ただ攻撃力上げただけ,みたいなのが多いじゃない。面白くないから人気がないのに,そこを変えないでどうするの? って思う。弱体化するにしたって,豪鬼みたいに戦い方が変わるような調整だったら歓迎なんだけど。
ときど選手:
豪鬼はVer.1.01でめちゃくちゃ楽しくなりましたからね。
ボンちゃん選手:
戦い方が変わる調整だと,使う側もいろいろ考えられるから楽しいんだよね。一応サガットも,強ニーセビダ(強タイガーニークラッシュ→EXセービング〜キャンセルダッシュ)がヒット時+3から+4になったってのがあるんだけど……。
ももち選手:
でも,それだと今までできたことが簡単になったってだけだよね。+5だったらしゃがみ中Pとか立ち強Kがつながるから,コンボを探す楽しみが生まれると思うんだけど。
ウメハラ選手:
サガットはどういう調整だったら良かった?
ボンちゃん選手:
タイガーショットはVer.1.01のままでもいいから,ももちが言ったみたいに新しい要素で火力を上げられれば面白かったんじゃないかな。
ウメハラ選手:
もうちょっと火力に寄ったキャラにするってこと?
ボンちゃん選手:
立ち回りが弱くなったんぶん,もうちょっと火力があってもいいでしょ?
ウメハラ選手:
ふうん。あ,でも面白いかどうかってことなら,強いキャラがユンだってこと自体は,個人的には良いことだと思ってるんだよね。ゲームの展開が速くなるから。例えばこれでバイソン最強です,ダッシュストレートで200減りますとかだったら,もう皆こう(※しゃがみガードのポーズを取りながら)なるしかないわけで。
ボンちゃん選手:
タメキャラが強くても,絶対良いことないよね。勝とうとする行動がタメだから,どうしても自分から攻められない。
ときど選手:
それこそ,タメキャラ使ってる人まで「弱くていい」って言う始末ですよ。いっそ,前タメ技とか付ければいいのに。
ウメハラ選手:
誤解を恐れずに言うと,正直ストIVのタメキャラは,ある程度弱くても仕方ない面があると思う。あれは初心者でも簡単に動かせるようにああなってるんだから。もしくは,上級者向けにタメ分割をつけるとか。ちょっとタメて歩いて,またタメてソニックとかストレート打てたら,使ってるほうは面白いよ。
ボンちゃん選手:
それはちょっと強すぎじゃない?
ウメハラ選手:
それはその分火力下げたり,色々調整したりすればいい。これは殺意リュウの話だけど,弾抜けを持ってるタメキャラと対戦するときに,今だと飛び道具持っている側が攻めなきゃいけないんだよ。それって,弓兵が弓を構えたまま戦士に向かって近付いていくってことじゃない。そんなのおかしいだろ!
4Gamer:
まあ,確かに(笑)。
ちょっと気になっているのは,今回のアップデートに絡んで,日米のリリース時期が複雑なことになっていることですけど,この辺りはどう思われますか。アーケード版の稼働で日本が先行する形になった一方で,家庭用ゲーム機版は海外の方が早いわけですよね。海外では「日本は1か月先にプレイできてズルい」という声もあるみたいですが。
ウメハラ選手:
赤セビやウルコンWがもっと強力なシステムだったら,確かにズルかったかもしれないけど。これまでの話どおり,その辺りはあまり影響ないわけで,大して変わらないんじゃないかな。
ときど選手:
うん,新要素の重要度がもっと高かったら,ちょっとズルかったかもしれない。でも,新キャラだってみんな調整されちゃいましたからね。
ウメハラ選手:
そもそも環境を考えれば,アーケードがある日本が有利なのは,今に始まったことじゃない。日本のアーケードと同じタイミングで,海外では家庭用ゲーム機版が出る。それくらいでやっと対等なんじゃない?
4Gamer:
なるほど。ガチプレイヤーにとっては,時期はあまり影響ないってことですね。むしろ調整の内容の方に言いたいことがあると(笑)。
ウメハラ選手:
そう。結局調整について言いたいのは,どうすれば面白くなるのかを考えて欲しいってことで。トーナメントのガチプレイヤーなんて,一応持ちキャラはいるけど,みんなキャラを変えようと思えば変えられるだろうし,自分のキャラが強かろうがなんだろうが,大した影響はないんで。だから,面白さを優先して作ってもらえた方が,みんな嬉しいよね。
トーナメントに参加する意議
4Gamer:
ちょっと話はズレるんですが,ウメハラさんは以前,「自分はただ大会に出るのではなく,極まった試合を見せたい」と言っていたじゃないですか。ほかの皆さんは,大会に出る意義をどうとらえているんでしょうか。
ときど選手:
まず,賞金が高ければ意欲は上がりますよ。
ボンちゃん選手:
それは絶対そうでしょ。
4Gamer:
ときどさんは,国内のプロ格闘ゲーマーの中でも,とくに数多くの大会に出場してきましたよね。
ときど選手:
今まではそうでした。とにかく勝って存在感を示すことが,プロとして求められていることだと考えていたので。でも,これはウルIVのアップデートにも関連する話ですけど,今後格闘ゲームがもっと良いものになっていくためには,今までのやり方ではいかんなと。
4Gamer:
というと?
ときど選手:
表面的な戦術だけでなく,もっと深い戦略を,時間をかけて考えていくべきなんじゃないかって。そのほうが自分だけのスタイルを確立できるし,最終的には勝てるようになる気がするんだ。だからEVO2014も,ウルIVと「THE KING OF FIGHTERS XIII」( AC / PC / PS3 / Xbox 360,以下,KOF XIII)の2タイトルに絞るつもりです。
板橋ザンギエフ選手:
へえ。これまでと比べると,随分絞るんだね。
ときど選手:
ウルIVはもちろん,KOF XIIIも勝ちにいきますよ。練習に付き合ってくれているプレイヤー達がもの凄く応援してくれてますし,それに応えるのが自分の役割だと思うんで。
ももち選手:
俺は勝つのはもちろん大事だけど,やっぱり結果だけがすべてではないと考えてます。
ときど選手:
そう。ももちはそうなんだよ。
板橋ザンギエフ選手:
確かに。ももちは内容を詰めていくプレイヤーという気がする。
ウメハラ選手:
たぶんね,結果がすべてだと格闘ゲームは歪むんだ。ゲームバランスが完璧だったら,皆が勝つことだけを考えても,競技として十分成立するんだけど,現状はそうではないわけだし。
4Gamer:
ああ,なるほど。そこでバランスの話につながってくると。かずのこさんはどう思いますか。
かずのこ選手:
うーん,俺はただゲーセンでゲームを遊んでいて,大会で勝つのが楽しいので,今もその延長線でやってる感じかなあ。
板橋ザンギエフ選手:
俺も根っこはそこかな。大会毎にそれぞれ違うコンセプトがあると思うんだけど,自分がそこに価値を見出せるなら,どんな大会でも出るよ。
ももち選手:
でもさ,例えばウルIVの世界大会の優勝賞金が1億円だったら,俺はたぶんユンを使うと思う。こんなことを言ったら元も子もないんだけど,格闘ゲームって,純粋な競技として取り組む価値がまだ生まれてないんじゃないかな。
ときど選手:
そうなんだよな。だって1億円だったら,板橋ザンギエフと言えどもユン使うでしょ?
板橋ザンギエフ選手:
そりゃ1億だったら本気のユン出しちゃうよ!
ウメハラ選手:
俺はもう,ユン読みでバイソン出すね。
ときど選手:
ああ,バイソンは絶対使えるようにしておかないと。
ウメハラ選手:
でも,そういう駆け引きになるじゃない。そうなると,大会では絶対に見られないキャラが,さらに増えてしまうことになる。
ももち選手:
Evolutionくらいの大規模な大会で優勝しても,賞金は100〜200万ぐらいなわけで,悲しい言い方をすれば,まだその程度にしか認知されていないってことなんです。だから,まずは勝敗以外の価値を見せられるようにしていかないと。
ときど選手:
そうやって面白いものを見せるほうが注目が集まるし,注目が集まれば,その分ゲームにとってプラスになる可能性も増えるわけだから。
ウメハラ選手:
……まあでも,格闘ゲームは麻雀と比べたら全然マシだと思うけど。麻雀なんて,2日かけて100半荘打っても,実力差が全然分からないからね。麻雀の100半荘なんて,格闘ゲームの3試合先取……いや,2試合先取くらいのものだから。
4Gamer:
えっ。それはつまり,麻雀が相当な運ゲーだってことですか?
ウメハラ選手:
だって格ゲーで3試合先取なら,ある程度うまい人だったらガチャプレイの素人には100%負けないじゃない。でも麻雀の100半荘は,どれだけ強くてもガチャプレイに負ける可能性がそれなりにある。
ボンちゃん選手:
いやいや,100半荘やればさすがにガチャプレイには負けないだろ。……ガチャプレイだぞ?
ウメハラ選手:
俺,雀荘で働いていたときに,3日続けて来て3日とも鬼勝ちして帰っていったガチャプレイヤー見てるから。あれはとんでもないゲームだよ。そう考えるとね,俺らはいいゲームをやってると思う。
ボンちゃん選手:
それはでも……いや麻雀の話はいいや(笑)。それは置いてといて,人それぞれ勝ちたい大会ってあると思うんですよ。例えば僕は一発勝負のトーナメント形式より,実力差が発揮されるリーグ戦の方が価値があると思ってるし,そこで勝ちたい。自分が納得できるルールの大会であれば,意欲は高まりますね。
ウメハラ選手:
ああ,俺もリーグ戦だったら,ちょっと賞金が少なくても出るかもしれない。やっぱり,大会に出るからには,ある程度納得の行く勝負をしたいから。
4Gamer:
EVO2014のあとには賞金制の公式全国大会も控えていますが,これは個人戦と3on3共に,予選はシングルエリミネーション制と聞いています。
ウメハラ選手:
1回負けたら終わりだし,3on3に至っては,自分が勝ってもほかの2人が負けたら終わりだから,かなりシビアなルールだよね。
板橋ザンギエフ選手:
最初に2人が負けたら,3人目に回ってこないんだっけ。
ときど選手:
いやあ,これはウメさんと組む人はプレッシャーですよ!
4Gamer:
ある意味,実力を反映した結果になるとは限らない大会形式ですが,それでも出場する?
ウメハラ選手:
出場はします。でもそれは,俺達が日本に住んでるからで。もし俺が海外に住んでたら,期待値が低過ぎるからまず出ないと思う。もっと賞金制の大会がいっぱいあったら,とにかく数出てってやり方もありえるけど。今はまだ大会ごとの差が大きいから,より注目される大会に向けて取り組まざるを得ない。
ボンちゃん選手:
それは間違いない。
ウメハラ選手:
まあそれでも,国内の公式大会で100万円も出るようになったわけで,昔と比べたら賞金額もずいぶん上がったよね。
板橋ザンギエフ選手:
本当にそうだよ。公式全国大会なんて,トロフィーだけでもおかしくない時代があったんだから(笑)。
ウメハラ選手:
まあ自分の場合,賞金もそうなんだけど,大会に出ることによって得られるメリットを考えるようになったというのが,より正確かな。名誉や注目度だって今はメリットにつながるわけで,そういう意味では,名誉だけの為に戦っていた昔とは,どうしても変わらざるを得ない。ちょっといやらしい話ではあるけれど,それはこの場の全員に共通する意識なんじゃないかな。
目前に迫ったEVO2014に向けて
4Gamer:
ここからは,目前に迫ったEVO2014についてもう少し聞いていこうかなと。ウルIV部門において,海外の注目プレイヤーというと誰になりますか。単純に,当たりたくない相手でもいいんですけど。
ボンちゃん選手:
僕はもう,間違いなくXiao Haiだね。
ときど選手:
あー,Xiao Haiはユン使いそうだなあ。
ももち選手:
彼の性格を考えると,一番強いキャラを使ってくるだろうから,たぶんユンでしょ。
ウメハラ選手:
でもボンはサガットだし,Xiao Haiがユンを使ってくるならいけるんじゃない?
ボンちゃん選手:
サガットに対しては絶対キャミィを当てるって,Xiao Hai本人から聞いてるんだよね。今のサガットにキャミィを被せられたら,たぶん終わります(笑)。
板橋ザンギエフ選手:
俺はプレイヤーっていうよりキャラかなあ。ザンギとホークどっちで行くにせよ,ガイルがキツい。
ときど選手:
アメリカにはDieminionがいますからね。
板橋ザンギエフ選手:
あれは嫌だよね。俺はガイル戦あんまり経験多くないから,当たったらきっと処られる(処理される)気がする。
ももち選手:
俺はInfiltrationとXianですね。豪鬼と元だけじゃなく,2人ともEVO2014用に新しいキャラを仕上げてくる可能性があって,しかも絶対強いじゃないですか。とくにInfiltrationは,ロレント辺りで分からん殺し(未知の連係などによる初見殺し)を狙ってくる可能性もありそう。
4Gamer:
Infiltration選手は,剛拳も使いこなしますよね。
ボンちゃん選手:
剛拳もめちゃくちゃうまいよ。僕はCanada Cupで,過去2年間にわたってInfiltrationの剛拳にやられてるんですよね。だから,僕と当たったらたぶん出してくると思う。
ももち選手:
今のバージョンだと,サガットで剛拳は相当キツイんじゃない?
ボンちゃん選手:
うん。スパIVでは,タイガーショットと波動拳の全体フレームが同じだったんだけど,今回はこっちの隙が3フレーム増えてる。だから撃ち合いになると厳しい。まあ,戦える範囲だとは思うけど。
4Gamer:
では,ウメハラさんは?
ウメハラ選手:
俺は殺意リュウになって,当たりたくない海外プレイヤーが増えたんだよね。例えばJustin WongやRicky Ortizが使うルーファスとか,PR Balrogのバイソン辺りは,殺意リュウの強みが生きない組み合わせなんだけど,そういうキャラはなぜか海外に多くて。Infiltrationに対しても,たぶんリュウの方が戦いやすいんだろうな。
板橋ザンギエフ選手:
それなら,リュウと使い分ければいいんじゃないの?
ウメハラ選手:
いや,リュウはもういいです。
(一同笑)
かずのこ選手:
僕はバイソンがキツいから,PR Balrogとは当たりたくないですね。しかも,海外大会ではこれまで一回も当たったことがないっていう。
ウメハラ選手:
さらに言うと,PR Balrogは相手の攻め手を捌くのがすごくうまいから。キャミィ戦然り,ルーファス戦然り。
4Gamer:
総合すると,EVO2014の要注意人物はPR Balrog選手だと。
ウメハラ選手:
うん。俺もできれば当たりたくない。
ボンちゃん選手:
殺意リュウであのバイソンとやるのは相当面倒だろうね。僕はサガットだから全然良いけども。
ウメハラ選手:
え,今のバージョンでも?
ボンちゃん選手:
全然大丈夫でしょ,PR Balrogだったら。
ウメハラ選手:
言ったな。あ,ここはきっちり書いておいてくださいね。
(一同笑)
4Gamer:
キャラランクではユンが別格という評価でしたが,海外ではXiao Hai選手以外にユンを使ってきそうなプレイヤーはいないんでしょうか。
ウメハラ選手:
GamerBeeはユンを使えるけど,ウルIVではメインキャラのアドンが強いから,そっちを使ってくるんじゃないかな。それに,ほかの人がウルIVになってからユンを練習し始めても,さすがにEVOには間に合わないと思う。
ときど選手:
うん,ユンがそういうキャラじゃないってのは,(かずのこ選手を指差して)僕もちゃんと認めてるから。だから,単純に当たりたくないプレイヤーって意味では,僕はもうかずのこ一択ですね。2試合先取ならギリギリ勝てるかもしれないけど,3試合先取だとちょっと……。
かずのこ選手:
あー,なるほど。なるほどね〜。
4Gamer:
分かりました。では最後に,EVO2014に向けた抱負を一人ずつ語ってもらって,締めにしたいと思います。まずはウメハラさんから。
ウメハラ選手:
今回はキャラも強いし,もちろん優勝を狙いますが,やっぱりこれまで5年連続でベスト8に残っているので,そこは継続したいなと。期間は短いですが,なるべく完成度の高い殺意リュウを見せたいですね。
ときど選手:
えー,僕はこれまで豪鬼を使っていて,PR Balrogから「起き攻めだけで勝ちやがって!」とか良く言われてたんですが,僕自身そのとおりだと思っていて。今回はその起き攻めが弱体化したことで,空いた穴を補うだけの地力が出せるのか,という戦いになると思っています。この短時間で果たしてそれができるかは,自分でも楽しみですし,観戦してくれる人達にも,ぜひその辺りを見てもらいたい……いや,これ言っちゃって配信に乗る前に負けたら,相当寒いんじゃないか?
ウメハラ選手:
そこは,みんな抱えているリスクだから(笑)。
ときど選手:
あとKOF XIIIではワタクシ,優勝候補筆頭でございます。とくに知識面では海外のプレイヤー達に大きく水を開けていると思うんですが,海外勢は海外勢で,豊富な対戦経験でつちかった地力を持っている。そこのぶつかり合いは,かなり熱いんじゃないかと。
ボンちゃん選手:
僕はEVOでの順位が年々上がってきているんで,今年はもう一つ順位を上げて,ベスト8を狙いたいですね。それと北米のキャラランクでは,どうやらサガットが下から2番目らしいんだけど,そんなことはねえ! ってことを僕が証明しますんで。応援よろしくお願いします。
ももち選手:
俺はボンちゃんとは逆で,年々順位が下がっていってるので,今年はベスト8に入って,最終日に残りたいですね。最終目標はもちろん優勝なんですけど,まだそこまで言える力はないと思ってるんで……。
ウメハラ選手:
「EVO優勝します」なんて,誰も言えないでしょ。
ももち選手:
ま,あくまでも目標だから(笑)。なんで,まずは最終日を目指したいと思います。
板橋ザンギエフ選手:
重量級は今回かなりイケる位置――それこそ個人的には,さっきのキャラランクなんかより上にいけると思っているので,がんばってその強さを皆に見せたいですね。とくにユン戦は,今回自分の見せ場だと思ってます。
かずのこ選手:
まだ発売から時間が経っていないせいもあってか,海外ではどうもユンが最強とは思われていないみたいなんですよね。だから赤セビとかディレイスタンディングとかの恩恵を一身に受けるユンを見ても,海外の人は怒らないでねっていう……。
(一同笑)
いやあ,EVO2013の「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」部門で,Chris Gが試合のたび50人ぐらいのギャラリーに追い掛けられているのを見て,今回そうなっちゃわないかドキドキしてるんですよね(笑)。
4Gamer:
皆さんのご活躍を期待しています。本日は長い時間,ありがとうございました!
EVO2014開幕直前企画ということで,「ウルトラストリートファイターIV」について好き放題語ってもらうつもりでこの座談会をセッティングしてみたのだが,蓋を開けてみれば,バージョンアップという施策についてや,格闘ゲームの競技性,トッププレイヤーたちがトーナメントに参加する意義など,コアでディープな格ゲー話で盛り沢山となった。中でもウメハラ選手は,これまでの4Gamerのインタビューではあまり見せることのなかった,“いち格闘ゲーム好き”としての顏をたびたび覗かせていたのが大変印象深い。……4時間にわたって,ほとんど笑いが絶えない座談会だったことも,最後に付け加えておこう。
ともあれ世界最大規模の格ゲーフェスティバル「Evolution 2014」は,日本時間の2014年7月12日に幕を開ける。先だってアメリカ・オーランドで行われたCEO2014(Community Effort Orlando Gaming Tournaments)では,韓国の雄,Infiltration選手が優勝を果たしたほか,海外の新たな強豪プレイヤーの活躍が見られたこともあって,EVO2014のウルIV部門は,これまで以上の激戦となることは疑いようがない。格ゲーファンは,EVO2014で見られるであろう好勝負に胸をふくらませていて欲しい。もちろん,寝不足には備えつつ。
――2014年6月16日収録
「ウルトラストリートファイターIV」公式サイト
「ウルトラストリートファイターIV」アーケード版公式サイト
「Evolution 2014」公式サイト(英語)
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