インタビュー
「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」が目指した“心機一転”。アークシステムワークス・石渡太輔氏と関根一利氏が語る,新時代の格闘ゲームとは
また,これまでの2Dドット絵から3Dグラフィックスへと生まれ変わり,まるでセルアニメを再現したかのようなそのビジュアルは大きなインパクトがあり,格闘ゲームファン以外のゲーマーからも注目を集めている。その本作は一体何を目指し,どのようにして生み出されたのだろうか。
今回4Gamerは,本作のゼネラルディレクターを務め,またキャラクターデザインから作曲まで手がける石渡氏にその思いの丈を語ってもらった。インタビューには統括バトルディレクターとしてゲームデザインを担当したパチこと関根一利氏にも同席してもらい,ゲームシステムの意図についても聞いている。両氏の格闘ゲーム哲学が垣間見える,格闘ゲームファンには興味深い話題が続く内容となっているので,シリーズファン,そして格闘ゲームファンはぜひご一読いただきたい。
「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」公式ポータルサイト
「心機一転」を目指したギルティギア。「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」が生まれたわけ
4Gamer:
前作「GUILTY GEAR2 -OVERTURE-」(以下,GG2)から,石渡さんとしては実に7年振りの新作となる「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」(以下,GGXrd)ですが,企画としてはいつ頃からスタートしたのでしょうか。
構想という意味では,GG2の制作が終わった直後から考えてはいました。ディレクターの山中(ギルティギアシリーズ制作ディレクター・山中丈嗣氏)と,「格闘ゲームとして,新たなギルティを作るなら,どんな形だろうか」と構想を練っていたのですが,正式に動き出したのは1年半ぐらい前になります。
4Gamer:
GG2はRTSでしたから,格闘ゲームのギルティギアを石渡さんが手がけられるのは,本当に久しぶりになりますね。もちろん「GUILTY GEAR XX ΛCORE PLUS R」など,シリーズとしては連綿と続いていたわけですが。
石渡氏:
格闘ゲームを手がけるのは,「GUILTY GEAR XX #RELOAD」(以下,#R)以来ということになりますから,10年以上経ってしまいましたね。#Rを作ったときに,格闘ゲームはやり尽くしてしまったと感じて,そこからまた“新しい格闘ゲーム”を模索しはじめた結果が,これだけのスパンが空いてしまった理由です。
4Gamer:
なるほど。では,その答えがようやく見つかったわけですね。
石渡氏:
ええ。今作で言えば,単純な話,それはビジュアル的なインパクトなんですよ。格闘ゲームというジャンルにおける,新たなスタンダードとなりえるビジュアルを提示すること。それが出来れば,2D格闘ゲームにおける新時代の到来につながるものとなるはずだと。
4Gamer:
確かに本作のビジュアルは,大きなインパクトがあります。3Dグラフィックスを駆使した2D格闘ゲームはこれまでにもありましたが,ここまでセルアニメに近い表現を実現しているのは,画期的と言っても過言ではないと思います。
石渡氏:
ありがとうございます。単にビジュアルと言いきってしまうと,なーんだと思われてしまうかもしれませんが,これが実はすごく重要で。ビジュアルというきっかけ一つで,新しいプレイヤーが入って来てくれるかもしれない。あるいはかつてのプレイヤー達が戻って来てくれるかもしれないわけですから。彼らが生み出す格闘ゲームの新時代を,僕は見てみたかった。
4Gamer:
おっしゃることは,とてもよく分かります。格闘ゲーム最大のエンドコンテンツは,なんといってもシーンを作り出すプレイヤー達自身ですからね。かつての「ヴァンパイア」や「バーチャファイター」がそうであったように,格闘ゲームの裾野を広げ,一時代を築いたタイトルは,常に革新的なビジュアルを備えていたように思います。
では,そこで2Dグラフィックスではなく3Dグラフィックスを選んだ理由は?
石渡氏:
2Dグラフィックスによる表現では,すでに弊社には「BLAZBLUE」シリーズがありますし,ドット絵をこれ以上突き詰めていっても,あれ以上のものを作るのは難しい。なので,2Dグラフィックスという線は最初から考えていなかったですね。
一方で,3Dグラフィックスについては,セルアニメのように見える表現を研究しているチームが社内にありまして。別企画のチームだったのですが,これを格闘ゲームに活かせないだろうか,というところから話が転がっていった,というのが経緯になります。
4Gamer:
ということは,本作はビジュアルありきで動き出したタイトル,ということなんですね。
石渡氏:
それもあながち間違いではないですが,順番で言うならコンセプトの方が先ですね。GGXrdで僕等が目指したのは,新しいプレイヤーが入って来やすい,間口の広さを持ったシンプルな格闘ゲームです。……まあギルティギアなので,シンプルといっても限度はあるわけですが,新しいシステムをまた継ぎ接ぎして載せていくようなことはしたくなかった。
4Gamer:
確かにこれまでのギルティギアシリーズは,システムをどんどん追加する形で進化してきたように思います。それこそが当時のプレイヤー達が望んだことであり,結果としてギルティギアシリーズは大ヒットになったわけですが。
石渡氏:
コアなプレイヤーは,常に新しいものを求めますからね。今だってそれは変わらないはずです。そうやって格闘ゲームとしての新しさが求められる中で,同時に間口の広さを実現するにはどうすればいいのか。それが「追加」ではなく「拡張」を目指すこと,そしてビジュアルの更新によるインパクトという,本作の目指す方向性となりました。
4Gamer:
第1回のロケテスト時にも,「心機一転」というキーワードでその事をおっしゃっていましたね。この「心機一転」というキーワードについてですが,ストリートファイターIVが登場したとき,カプコンの小野プロデューサー(小野義徳氏)が,「原点回帰」というキーワードを掲げていたのが思い出されます。本作の「心機一転」というコンセプトも,この「原点回帰」に近いものと考えていいのでしょうか。
石渡氏:
GGXrdの企画書にも,実はその言葉(原点回帰)はあったんですよ。ただストリートファイターとギルティギアでは,恐らく帰るべき原点が違うんです。ストリートファイターの原点というのは,すなわち格闘ゲームそのものの原点じゃないですか。でもギルティギアはそこまでは戻らない。爽快感や疾走感を重視しつつ,さらに奥の深さを合わせ持った格闘ゲーム。それがギルティギアだと思うんです。
4Gamer:
戻るべき原点が異なっていると。
石渡氏:
そう思います。パチくんはどう思う?
あくまで自分の感覚なんですが,ストリートファイターの良さって「クラシック」な面白さだと思うんですよ。対してギルティギアは「モダン」な面白さなんです。そのギルティギアが原点に戻るのなら,そのモダンさ,つまりロマンキャンセル(以下,ロマキャン)が生み出す駆け引きは,やっぱり外せない。
石渡氏:
自由度の高いシステムは,ギルティギアらしさの一つだよね。例えばプレイ中でなくても「あそこでロマキャンしたらどうなるんだろう」と妄想してしまうような。
パチ氏:
当時感じたロマキャンの新しさを,どう「拡張」すれば新しくなるのか。それがGGXrdで自分に課せられた,一番の課題だったと思ってます。
4Gamer:
なるほど。その「拡張」をどうやって実現したのかは,後ほどうかがわせていただくとして,グラフィックスについてもう少し聞かせてください。3Dグラフィックスを採用した2D格闘ゲームは,先のストリートファイターIVをはじめすでに幾つかありますが,そのメリット,あるいはデメリットについてはどうお考えでしょうか。
石渡氏:
3Dグラフィックス化によるメリットは,やはりカメラアングルを自由に変えられることによる,演出の幅の広さがあると思います。反対にデメリットとしては,後付けの演出――例えば“手から虫が出る”とか“手が6つになる”とか――が難しいことでしょうか。2Dグラフィックスなら,絵を新たに書き足すだけで済むんですが……。
4Gamer:
3Dグラフィックスの場合,モデルから作り直す必要が出てくるわけですね。
石渡氏:
そう,最初から設計に組み込んでおかなければならないんです。とくにギルティギアの場合は,ミリアの髪の毛や,ザトー=ONEの影の表現など,モーフィングを多用する表現が多い。これらをどうやって3Dグラフィックスで再現するかは,開発初期からかなり研究を重ねました。
あと細かいところでは,キャラクターの見え方と,実際のコリジョン(当たり判定)に違和感が無いようにするというのも,苦心した点ですね。
4Gamer:
見た目と当たり判定がズレてしまうのですか?
石渡氏:
ええ。3Dグラフィックスになると,当然カメラの位置によって画角が変わるので,キャラクターの立ち位置によってキャラクターの見え方も変わってしまうんですよ。GGXrdは,3Dグラフィックスであっても2D格闘ゲームなので,キャラクターのコリジョンは平面で持っています。そのすり合わせをしないと,プレイしていて違和感が出てしまうんです。
4Gamer:
おお,なるほど。プレイヤーには分からないところに苦労があるのものなんですね。ちなみに工数についてはいかがでしょうか。どちらが楽だとか,感じられますか。
石渡氏:
それは正直,あまり違いはないと思います。どうせ時間の許す限り作り込んでしまうわけですから(笑)。
バラエティ豊かな14名のプレイアブルキャラクター達
4Gamer:
ではグラフィックスの話題に関連して,キャラクターについてもうかがわせてください。本作に登場するプレイアブルキャラクターは,ボスキャラであるラムレザル=ヴァレンタインを含めて14名ですが,これらはどういう基準で選んでいったのでしょうか。
石渡氏:
まず開発がスタートした時点で,出せるキャラクターの数は決まっていました。当然ソルやカイといったコアメンバーは外せませんから,残りの枠内でプレイフィールに富んだメンバーを揃えるべく,選んでいった感じですね。
4Gamer:
ここはあえてファンの言葉を代弁するつもりでお聞きするのですが……この14名の中に,ディズィーとブリジットが入っていないのは,一体どういうことなのでしょう。ギルティギアシリーズには,数多くの人気キャラクターがいますが,この2人はもう,ギルティギアを象徴すると言ってもいいキャラクターじゃないですか?
石渡氏:
いや,お気持ちは分かります(笑)。キャラクター人気で選ぶなら,その2人はまず間違いなく入ったハズです。ただ今回は,人気ではなくプレイフィールに重きを置いて選んだので,その結果外れることになってしまった。企画当初は,僕もどちらかは絶対入るだろうと思っていたんだけど。
パチ氏:
ディズィーはともかく,ブリジットは確かにキャラクター人気は高いんですが,実はプレイヤー人口はあまり多くないんですよ。単純に使用率で考えれば,むしろザッパとかジョニーの方が多いくらいで。
石渡氏:
ブリジットは,ちょっと操作が難しいんだよね。
パチ氏:
自分はキャラクターのチョイスには関わっていないのですが,プレイフィールの幅の広さという観点から見ると,今の14キャラは妥当だと思っています。例えば,特殊な飛び道具を持ったキャラを1人入れるとして,ヴェノムとブリジットのどちらを入れるかと考えると……。
4Gamer:
プレイの自由度を考えれば,ヴェノムになるのは頷けますね。
石渡氏:
実をいうと,今回プレイアブルキャラクターの最後の1枠を争ったのは,スレイヤーとジョニー,そして紗夢の3キャラだったんです。そこでスレイヤーを選んだ理由は,新規プレイヤーにとって扱いやすいキャラクターであることでした。
4Gamer:
うむむ。では新キャラクターであるベッドマンはいかがですか? これまた硬派というか,ギルティギアらしいキャラクターが来たな,と感じたのですが。
石渡氏:
ベッドマンは,ストーリープロットの段階で,怖いキャラクターがほしい,ということだけが決まっていたキャラクターなんです。GGXrdでは,素直に悪役と呼べるキャラクターが必要だったので。
4Gamer:
つまり,ストーリーに大きく絡むキャラなんですね。
石渡氏:
ええ。そこから「ベッドに縛り付けられた状態で戦う」とか,「夢の中では好き放題できて,相手に関係なく一方的に強い」とかのキャラクターコンセプトができあがっていきました。ビジュアルも,その時点で今のものに近いものがあがってきて。それを元に,格闘ゲームのキャラクターとして組み立ててほしい,というオーダーをパチくんに出したんだよね。
パチ氏:
その最初のやり取りをすごく良く覚えてます。石渡さんから「ベッドマンだ」と言われて,「本当にベッドマンって名前なんですか?」「うん,ベッドマン」「仮名とか通称なんですよね?」「いや,ベッドマン」。……もう,しばらく頭を抱えましたよ(笑)。
(一同笑)
パチ氏:
バトルコンセプトも,「戦っているんだか戦っていないんだか良く分からないキャラにしてくれ」とか言われて,「いや,これ格ゲーだよ?」って(笑)。そこでまた,頭を抱えることになって。
石渡氏:
ああ,幻と戦っているような感覚がほしい,という話はしたかも(笑)。
パチ氏:
そのオーダーが“ダッシュ時に攻撃を受けると自動的に当て身になる”という,今のベッドマンの特徴になったんです。あと夢というキーワードが,“必殺技を使用したとき,その同じ位置から再び攻撃が発生する”という特性を持った「デジャブ」という技になり,相手をかく乱しながら戦う方向性にまとめていきました。
石渡氏:
覚醒必殺技のヘミジャックなんかは,“メリーさんの電話”の怪談のように「何かが突然後ろにいたら気味悪いよね」というネタから生まれたんだよね。
パチ氏:
ほかにも必殺技のタスクBが回転ベッドだったり,覚醒必殺技のサイノソイダルヘーリオスで,目覚まし時計が鳴っているのに本人がまったく起きなかったりだとか,怖さの中にもコミカルな要素をあえて入れるようにしています。ツッコミどころを残しておいた方が,ビジュアル的にも映えるものになりますから。
ヘミジャック |
タスクB |
4Gamer:
……お話を聞いて改めて思うんですが,やっぱりGGXrdって硬派なタイトルですよね。既存キャラクターの選択にせよ,この新キャラクターにせよ,普通はここまで振り切れない気がします(笑)。
石渡氏:
そ,そうですかね? 僕の中で硬派というと,やっぱりストリートファイターシリーズのようなイメージなので,そう言われると嬉しい半面,ちょっと意外に感じてしまいます。
4Gamer:
いや,だってシリーズの再起動となるタイトルなわけですから,人気キャラクター総ざらいとなるのが普通だと思うんですよ。新キャラクターだって,「まあ,どうせ女の子なんだろうな」くらいには,ファンだって思っていたハズです。そこへ来て,このベッドマンですから。しかもこれ,“素直な”悪役なんですよね?
石渡氏:
そのつもりなんですけど……(パチ氏に向けて)そんなに硬派かな,これ?
パチ氏:
まあ,今の格闘ゲーム全体を見渡してみると,確かに硬派かもしれません(苦笑)。
石渡氏:
あ,新キャラクター案はほかにもあって,“屁こき番長”っていう女キャラがいたんですけど……。
4Gamer:
……はい?
石渡氏:
超デカい鉄下駄を履いて,素手で戦う女の子なんですが,もう平気で屁をこいたり,「今日も朝からいいクソが出た!」みたいな台詞をしゃべるという。「昔のガキ大将みたいに,あっけらかんとしたノリのキャラクターっていいよね」っていう雑談から出てきた案だったんですけど……でも開発の連中から「ちょっとそれは待ってくれないか」って言われちゃって(笑)。
(一同爆笑)
パチ氏:
そういえば,“ハンバーガー親父”っていう新キャラ案も,確かありましたよね?
石渡氏:
ソルステージのモブとして登場している,ハンバーガーを食いながら怒ってる保安官ですね。あれも実はプレイアブルの可能性があったキャラクターで。でも「ちょっとキャッチーさが足りないんじゃないの?」といさめられてしまいました。僕としては,もう,出す気満々だったんですけどねえ。
4Gamer:
では,今後要望が集まれば,彼らがプレイアブルキャラクターとして追加されるかもしれない?
パチ氏:
いやいやいや! バトルコンセプト考えるのは自分なんですからね。番長はともかく,ハンバーガー親父なんて「こいつが戦うのかよ?」ってキャラじゃないですか。
4Gamer:
では戦うハンバーガー親父が見たい人は,ぜひアークシステムワークスまで要望を送ってほしい,ということで(笑)。
ポチョムキンはどうしてこうなった?
4Gamer:
一方で,既存キャラクターについてもビジュアルが大きく変わったキャラクターが多くいます。その代表格がポチョムキンだと思うのですが……。
いやあ,ポチョムキンを初めて見たときは,開発チームもザワつきましたね。「……えっ,これ誰?」って(笑)。
(一同笑)
石渡氏:
そこは先のキャラクターチョイスの基準にも絡むのですが,キャラクター全体のバランスを考えたうえで,デザインにも調整を加えているんです。キャラクター達がズラッと勢揃いしたときに,ポチョムキンが上半身裸だと,ちょっとむさ苦しすぎて(笑)。
4Gamer:
マッチョから一転して,カートゥーン風味のデザインになりましたね。海外を意識したデザイン変更なのかな,という気もしたのですが,実際はどうなのでしょうか。
石渡氏:
意識したというか,影響を受けた部分はあると思います。実はあのポチョムキンのラフを描いたのは,ちょうどアメリカにいた時だったので。FanimeConという,向こうのマニア向けイベントに参加したときだったのですが,その熱気に当てられて創作意欲が湧いてきた。その結果生まれたのが,あのデザインなんです。
4Gamer:
そうなんですね。言われてみると,GGXrdのキャラクターデザインは,全体的にカートゥーンに寄った表現になっている気もします。ベッドマンなんて,そのまま「スカルガールズ」に登場しても違和感がなさそうですし。
僕個人としては,海外市場を意識した部分というのは,少なからずあるんだと思っています。ソルの体型なんかも,以前よりパンプアップしているのは,実はそういう狙いもあって。華奢な男がたくさん出てくるよりも,ちょっと肉付きのいい男の方が,海外ウケしそうじゃないですか。……まあ,個人的な好みも大きいんですけど(笑)。
パチ氏:
開発初期のソルはもっと細かったですよね。でも,石渡さんとデザイナー2名が,ソルの肩幅についてかなり長い議論を重ねて,今の形になったみたいです。
4Gamer:
森プロデューサー(森 利道氏)は,「BLAZBLUE」シリーズではあまり海外市場を意識しないと言っていましたが(関連記事),石渡さんは逆なんですね。
石渡氏:
そうですね。デザイン面だけでなく,そもそもGGXrdのグラフィックス表現自体,海外を意識したものになっていると思います。むしろこういう表現でなければ,うちのような会社が海外で戦っていくのは難しい時代ですからね。
4Gamer:
こういう表現というのは,セルアニメ調のシェーダーということですか?
石渡氏:
ええ。例えば「Call of Duty」シリーズや「HALO」シリーズのような,シェーダー技術をけん引するタイトルを作っている海外スタジオと,同じで土俵で戦っても勝ち目はないわけで。でも日本人ならではの発想で,海外にはできないものを作っていけば,それは大きな武器になり得ると思うんです。
4Gamer:
なるほど。ポチョムキンのデザイン一つ見ても,それだけの想いが込められているわけですね。
ええ,まあ(笑)。そういう意味では,ミリアなんかも思い切ってイメージチェンジしたキャラクターですね。従来の青・白・黄という色合いはほかのキャラクターとも被りますし,ちょっとヒロインとしてのキャッチーさに欠けるかなと。各キャラのカラーテーブルを比較してみると,ちょうど黄色が穴になっていたので,黄色をメインカラーに据えてデザインし直すことにしました。他社作品を眺めてみても,黄色のヒロインは被っていないようでしたし。
4Gamer:
確かに,黄色のヒロインは珍しいかもしれませんね。となると,ブリジットやディズィーをはじめ,歴代のキャラクター達が3Dグラフィックスになったらどうなるのか,ますます楽しみになってきました。
石渡氏:
それはもう,僕自身も楽しみなくらいです。ただ,これは声を大にして言っておきたいのですが……これまでのシリーズで使っていたキャラクターが,GGXrdには登場しないからって「リストラされた」とか言われるのが,すごく悲しい!
4Gamer:
確かに,格闘ゲーマーはそういう言い方しますね(笑)。
石渡氏:
リストラなんかじゃないですから! こちらとしても,もう泣く泣く削ったくらいなので。もしシリーズが続けられるのであれば,いつの日か必ず皆さんの持ちキャラを追加して見せるつもりです。なので今のところは,GGXrdのキャラクターを愛していただければと思っています。
4Gamer:
了解しました(笑)。個人的にも,このグラフィックスで動くブリジットやディズィーが見られる日が来ることを,期待させていただきます。
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