インタビュー
「千年勇者〜時渡りのトモシビト〜」のキャラクター達が見せる自然な動きの秘密とは。Live2Dを使った新たな表現方法について開発のキーパーソンに聞いてみた
同タイトルの大きな特徴は,スクウェア・エニックスの伊藤龍馬氏がデザインを手がけるキャラクター達がイラストそのままの絵柄で動くことである。その可愛らしい動きを実現しているのが,サイバーノイズの提供するミドルウェア「Live2D」だ。
Live2Dは,スマートフォンなどでマスコット系のアプリ(アニメキャラなどが動き出すもの)に多用されており,2Dイラストのキャラクターをそのままアニメーションさせるという技術なのだが,このようなゲームで使われた例はない。
千年勇者の場合,よく動くモーション以外に着せ替え要素にも注目してほしい。Live2Dで単にキャラクターだけの絵を動かすのと,各部の装備を自在に付け替えできるようにしたうえで,さまざまな動きを付けていくのは別次元の処理なのだ。しかし,このようなゲームでは初めて使われる技術でもあり,あまりの自然な表現に,ともすればプレイヤーは何がどう凄いのか気付かない可能性もある。
そこで今回,4Gamerでは,千年勇者の開発に携わった以下の4名に,同タイトルにおけるLive2Dを使った表現について,さまざまな角度から話を聞いてみた。このインタビュー記事を読んだあと,あらためて千年勇者をプレイしてみると,また違った視点からゲームを楽しむことができるかもしれない。
スクウェア・エニックス 特モバイル二部 伊藤龍馬氏 |
ハ・ン・ド 東京スタジオ ディレクター 黒須康允氏 |
ハ・ン・ド 東京スタジオ デザイナー 野田美由紀氏 |
サイバーノイズ 制作事業部長 石川源次郎氏 |
アバター表示という,これまでなかったLive2Dの使い方に挑戦
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは皆さんが千年勇者の開発にどのように関わったのか教えてください。
伊藤龍馬氏(以下,伊藤氏):
僕はキャラクターとモンスターのデザインを担当しました。
野田美由紀氏(以下,野田氏):
私は,龍馬さんからいただいたデザインを,Live2Dのツールを使ってモデル化し,モーションを付ける作業を担当しました。
黒須康允氏(以下,黒須氏):
私は,ゲーム自体の仕様の決定や,開発の進行管理を担当しました。今回のインタビューに関わるところでは,龍馬さんと野田とのやり取りの管理をしていました。
千年勇者には,サイバーノイズの開発した技術Live2Dを提供しています。今回の取り組みでは,Live2Dの新しい使い方を模索されるということでしたから,私はハ・ン・ドさんからの要望などをまとめるなど進行管理を担当しました。いただいたご要望に対して,弊社のエンジニアとデザイナーが必要となるエンジンの拡張,モデリング時のアドバイスをさせていただきました。
4Gamer:
では,Live2Dがどういった技術なのかから教えてもらえますか?
石川氏:
Live2Dにはいくつかシリーズがあり,千年勇者ではラスターデータ※1を扱える最新版の「Live2D Cubism」を使っています。
Live2D Cubismは,一般的な2Dの画像ファイルをLive2Dモデル化したり,アニメーションを付けたりできるエディタと,それらをリアルタイムで動かす専用のSDK※2で構成されています。その特徴から,キャラクターを前面に押し出すタイプのゲームやモバイルアプリによく使われています。
※1 ラスターデータ:ここでは一般的な2D画像データのこと。Live2Dには解像度に依存しないベクターデータを扱う「Live2D Vector」とイラストなどの画像をそのまま使うLive2D Cubismの2種類がある。
※2 SDK:Software Development Kit。いわゆる開発環境のこと。Live2Dのエディタで作ったデータを,ゲームプログラムから利用するためのライブラリなどが含まれる。
4Gamer:
なぜ千年勇者でLive2Dを採用しようと考えたんでしょうか。
黒須氏:
最初に,千年勇者のプロデューサー(スクウェア・エニックス 横山祐樹氏)と,「武器と防具をゲームのキーアイテムにしよう」というコンセプトを決めたんです。しかし武器や防具をアバターアイテムとして表示する場合,単にパーツを組み合わせて動かすだけだと奥行きの表現が難しく,少々シンプルな見え方になってしまいます
そこで,もっと動きを表現できないかといろいろ考えてみたところ,これまでキャラクターを動かすのに使っていたLive2Dが,アバターの表現にも使えるんじゃないかというアイデアが浮かびました。そこでサイバーノイズさんに打診してみたら,なんとかできそうだという感触が得られたんです。
4Gamer:
Live2Dというと,モバイルアプリでのマスコットなどの表現が代表的ですが,今回のような使い方を打診されたとき,サイバーノイズではどう捉えていたんですか?
石川氏:
弊社としてはLive2Dを,汎用的な2Dグラフィックスツールとして提供しています。ですから,実は,おっしゃられているようなマスコットの表現も,最初は想定していなかった使い方なんですよ。あれは各デベロッパさんから「こう使ってみたい」という要望があり,弊社がそれに応えたことで実現できるようになったんです。
そういう意味では,今回もLive2Dの使い方の幅を広げる取り組みの一つとして捉えました。
いい機会なので石川さんにお聞きしたいんですが,Live2Dでアバターを表現するという取り組みについて,当初はどう思いましたか?
石川氏:
今までとは,まったく異なるタイプの使い方ですから,求められている表現が可能なのか,あるいは,そもそもLive2Dが適しているのかという懸念はあったのは確かです。
しかしハ・ン・ドさんが,もともとのLive2Dの使い方を広げてくださったので,結果的には非常にうまくいきましたね。
野田氏:
作業中,分からないことがあって,サイバーノイズさんに質問すると,「今までにない使い方なので……」という答えが返ってくる状況だったんですよ(笑)。
さらには「せっかく実現してもらったけれど,ウチしか使わないんじゃないか」というような無理も聞いていただきました。
4Gamer:
例えば,どんな仕様が実現したのでしょう?
野田氏:
もともとの仕様だと,テクスチャ※3を貼り直すと,順番が一番上になってしまっていたんです。テクスチャの枚数が少ないケースなら,あまり問題はないのですが,今回のようにテクスチャが多いと,どこを貼り直したのか分からなくなってしまいます。そこで順番を変えないようにする機能を追加していただいたのですが,今回のようなケースが今後どれだけ出てくるかというと……(苦笑)。
※3 テクスチャ:部品一つ一つに貼る絵柄のこと。順序が変わると重ね合わせがおかしくなる
4Gamer:
なるほど。ところで,ほかの案件でLive2Dでは複数のキャラクターを表示するのが難しいという話を聞いたことがあったのですが,本作ではどうでしたか。
石川氏:
弊社でも負荷検証を行っていますが,複数キャラ表示がとくに問題になることはありません。さすがに数年前のスマートフォンでは厳しいケースもありますが,現在流通している機種やゲーム機なら大丈夫です。あとは,どの程度のクオリティのモデルを何体表示させるかという部分も関係していますね。
アニメーションのように動きを補完する動画を作っていくLive2Dモデリング
4Gamer:
Live2Dのウリは,描いた絵が,ほぼそのまま動くことですよね。キャラクターデザインにあたって,配慮したことはありますか?
僕は,これまでの経験のなかで得た3DモデリングやFlashでの知識を生かしつつ,そこで分からない部分は,野田さんとのやり取りの中で,随時,解消していきました。
4Gamer:
ご自身の絵が実際に動いているのを見て,どういう感想を抱きましたか?
伊藤氏:
これまでは,僕の絵がドット絵になったり,3Dモデルに変換されたりしてきましたから,描いた絵がそのまま動くのは不思議な感じでしたね。例えば,正面を向いていた顔が,こっちを向く過程で,「あれ? これは描いてないぞ!」という部分があって,とても面白いですし,「こんなにできるんだ」と驚きました。そのうち,僕は何も描かなくてよくなるんじゃないかな(笑)。
一同笑
4Gamer:
Live2Dのモデリングは,通常の3Dの作業と比較してどうでした?
感覚としては,アニメーターに近いんですよ。龍馬さんの原画をもとに,動画を描いていくような感じで,補完の動きを作っていくんです。一般的な3Dの作業とは,かなり違いますね。
4Gamer:
1体のキャラクターにつき,原画は何パターンくらいあるんですか?
野田氏:
基本的には,腕を広げて立っているパターンだけです。
4Gamer:
具体的には,手や足など身体のパーツのテンプレートに,ビットマップの絵を対応させていく感じなんですか?
野田氏:
いえ,そうではなく,基本は回転軸で骨構造を作り,Z軸部分の動きと動きの間を補間する動画を登録していく感じですね。
4Gamer:
それできちんと2Dモデルが動いてしまうんですか。凄いですね。
伊藤氏:
僕自身,「ファイナルファンタジー」シリーズで手がけていたこともあって,モーションについては結構うるさいほうなんですよ。でも,野田さんの付けるモーションはクオリティが高くて。
それでいて,野田さんは作業も速いんです。自分で言うのもなんですが,僕は短時間で多数の絵を描くデザイナーなんですよ。それでも野田さんに急かされる感じがありました。
野田氏:
いえいえ,私も必死でしたよ。
それに,もともと私は3Dデザイナーということで今回の件にアサインされていましたから,「いつもと違ってアニメーター的な作業なんだ」と納得できるようになるまでが結構大変でした。
4Gamer:
Live2Dの内部処理は,3Dのツールと同じようなものですか。
石川氏:
はい。エンジンは高速に動かすために,3Dのライブラリ上で実装されています。ただ,Photoshopのレイヤーのように,あくまで平面的なポリゴンを平面のまま自由に変化させることで立体的な表現を実現しています。
4Gamer:
なるほど。
Live2Dを使ってみて,感想はいかがですか?
野田氏:
従来のアニメーション作りよりも,試行錯誤はしやすいですね。モーションの微調整や,スピードを変えたいときに便利です。最初は,社内でも「手描きのほうが速いんじゃないか」という意見があったんですけれど,着せ替えのアバターで全職業の動きを描くのは現実的じゃないですよね。あとから動きや装備を調整,追加していくのも簡単ですので,Live2Dを使うほうが断然いいです。思った以上に細かく動かせるので,非常に面白いツールだと感じました。
野田の作業を見ていた社内のほかのデザイナーも「使ってみたい」と言っていましたよ。
野田氏:
千年勇者ではイレギュラーな使い方でしたから,今度はLive2D本来の使い方を試してみたいです。例えば,今回,キャラの立ち絵が止まっていますけれど,そもそもLive2Dは立ち絵に動きを付けるためにあるわけですから。今回は動かす部分が違いましたね(笑)。
4Gamer:
ちなみにLive2Dを使ったときの開発工数などは,使わないときと比較してどうなんでしょう?
黒須氏:
それは野田の言ったとおりで,Live2Dを使ったほうが少なく,目に見えて速いです。
4Gamer:
速さという点に限定すれば,ほかの3Dツールで2D的に表現するという選択もありますよね。
黒須氏:
そういう意味では,今回,龍馬さんのイラストのタッチにこだわりたかったという意図があります。Live2Dでは描き手の絵がそのまま動きますから。
伊藤氏:
そこは,本当にクリエイター冥利に尽きますよね。僕が携わってきたブラウザゲームというと,これまではコンシューマゲームで培った技術を落とし込むケースが多かったので,クリエイターとして技術で驚かされることがほとんどなかったんですよ。今回は,まったく新しい技術に出会えたので,本当に楽しいです。
アイデアが実現可能かどうか,都度検証しながら進められた開発
4Gamer:
それでは,逆に大変だったエピソードを教えてもらえますか? イレギュラーな使い方だったので,サイバーノイズさんに問い合わせても分からないことがあったというお話もありましたが。
Live2Dは,キャラクターがいろんな動きをする中で,パーツが干渉したときに,補間する機能が最大のウリだと思っています。しかし,千年勇者では,それを使うと動作が重くなってしまうので,いろいろ工夫して最小限の利用に留めました。
また,ケープを着て,かつフードを被っているような状況になると,衣装が腕や顔などの動きにも干渉します。そこで「ここを襟に変えられませんか」と龍馬さんにお願いしたことがありましたね。あとはブーツが関節に掛かってしまうと動かせなくなるので,膝下までのブーツにしてもらったりというような調整をしていました。
4Gamer:
なるほど。あえて機能を使わず,デザインの調整で対応したと。ほかに苦労した部分はありますか。
野田氏:
テクスチャの描画順もありますので,「そのパーツは手前なので無理」ということもありました。今回は,着せ替えをモデル1体を,テクスチャの切り替えで表現していますから,パーツの追加自体は作業としては簡単です。ですが,やはり容量や管理の問題で諦めざるを得ないケースもありましたね。
黒須氏:
どうしてもパーツ数が増えてしまいますからね。今回は,パーツとそのパラメータ数が尋常じゃないんです。そのうえであらゆるパターンの武具に対応すること,動きに不具合が出ないこと,そして処理速度を全部ひっくるめて,現状の形に落ち着いています。
4Gamer:
お話を聞いていると,いろいろ制約がキツかったようですが,かなり複雑で大量のデータを扱うということで,軽量化は大変だったんですか?
野田氏:
ええ,かなり頑張ってはいました。でも,Live2Dのバージョンアップで一気に軽くなって,あまり自分で軽量化した実感がないんです(笑)。
黒須氏:
我々は我々でやっていたのですが,その一方でサイバーノイズさんも頑張ってくださって。
石川氏:
以前からボトルネックになっていた部分を,そのタイミングで解消したんです。
黒須氏:
それ以外にも,アバターを表現するためにこうしたらどうだろうと相談していた部分をカスタマイズしていただきました。
これまでのLive2Dだと,一つのモデルを作り,それをゲーム内のすべての状況に対応させるというケースがほとんどだったのですが,今回はハ・ン・ドさんが独自のカスタマイズを施して,ツールとしての可能性を見出してくださったので,非常に勉強になりました。これからは,さまざまな需要を踏まえたうえで,ご提案できることも増えていくと思います。
野田氏:
ともあれ,誰も試したことがないので,本当にできるのかどうか分からないという部分が多く,本当に大変でした。龍馬さんが描いてくださったラフやアイデアを,本当に再現できるのかどうか,一つ一つ調べないと分からないんですよ。やってみたら意外に簡単にできた,やっぱりできなかったと,検証と開発を交互に繰り返す感じでの,孤独な戦いでしたね。
伊藤氏:
僕からは,野田さんに丸投げでしたからね(笑)。僕は仕組みを考えることが好きなので,これならできそうというモーションのアイデアを,野田さんに投げるんです。それでできないと返ってくると,これならどう? みたいな感じで,さらに投げ返していました。
野田氏:
Live2Dの仕様に合わせて描いてもらうという方法もあったのですが,龍馬さんに自由に考えていただいて,絶対に無理なものだけそう伝えるほうが,いいものになると感じたんですよ。
黒須氏:
その仲介は私がやっていたのですが,この龍馬さんの案は無理だろうと思っていても,結構,野田が実現させてしまうんですよ。
伊藤氏:
わりと無茶できるんだなと(笑)。
4Gamer:
例えば,どんなモーションを実現させたんですか?
野田氏:
宝箱が開いて,ふたが画面奥側に倒れるというモーションとかですね。回転の度合いが大きいので元のイラストだけで対応するのは難しいかもしれないと思いました。ですが,3Dの経験から,だいたいの形を思い浮かべて,無理矢理合わせてみたらできてしまったんです(笑)。
千年勇者では表情や仕草などキャラクターの自然な動きに注目してほしい
それではLive2Dを使って千年勇者を開発した中で,とくに注目してほしい点を挙げてもらえますか。
伊藤氏:
僕はゲームのキーになっているアバターも好きなんですが,モンスターが自由に動かせるところも気に入っています。「こういう風にしたい」と落書き程度に描いたものを,野田さんが予想以上に凄い動きに仕上げてくれるので,本当に楽しかったです。
黒須氏:
実はLive2D的に,モンスターの動きは,アバター以上にイレギュラーなんですよね。
野田氏:
モンスターは,専用モデルを作って,純粋にそのモンスター用にカスタマイズできるんです。その代わり,攻撃や死亡といった限定された数のモーションに対応するパラメータの使い方をしていますので,あとから技を追加するのが難しいんですけどね。一度作ったあとで,首飾りを揺らしてみたり,仮面を外したりという動きを追加することは簡単にできるのですが。大技を何種類も追加となってくると,動きの差別化が難しくなります。
逆に,キャラクターアバターは,いろんな技や動きを付けられるようなパラメータを持っていますので,テクスチャでの制限が多くなりますが,モーションのバリエーションは豊富に作れます。
4Gamer:
野田さんや黒須さんは,どこに注目してほしいですか?
野田氏:
キャラクターの顔が微妙に動くことで,柔らかい印象になっているところです。微妙に動くだけで,本当に自然な感じになるんですよね。
また,アニメだと大げさな表現をするために,あえて作画を崩したりしますよね。あれと同じように,縮尺やゆがみを1フレームだけ大きく入れることで力を込めたり,ダメージを受けた感じを自然に出せたのが個人的には面白かったです。
黒須氏:
やっぱり,顔には注目してほしいですよね。またモーションも,顔や身体の軸が出ているので,普通に1枚絵を組み合わせていくより,付けやすかったです。見ていても,きちんと攻撃を食らっているというモーションになっていますし。いわば,違和感を削るということができていると思っています。
4Gamer:
さて千年勇者の事例で,Live2Dを使ったゲーム開発の幅が広がったと思うのですが,容量などのさまざまな制約がなくなると仮定したとき,どんなゲームを作りたいですか?
まずは,先ほど野田が言ったように,普通のキャラクターゲームを作ってみたいですね。それ以外でも,本当にいろいろなことができるという感触を得ました。また機会があれば,今回のように,新しい使い方に挑戦したいです。
野田氏:
アバターについて言うなら,今回はLive2Dの仕様の関係でテクスチャ切り替えですが,例えば,頭のモデルパーツをキャラクターの首の部分にアサインできるようになるとか,パラメータをつけたパーツごと部位をインポートできるようになると,もっと細かい着せ替えも可能になると思います。
石川氏:
そうですね。そういった拡張も検討します。
野田氏:
それが実現すると,普通のイラストのような絵なんだけれど,ヌルヌル動く着せ替えアバターも作れるんじゃないでしょうか。そういった可能性を凄く感じます。
伊藤氏:
僕は,今回,アバターが動くところを本当に気に入ったので,「キャッスルクラッシャーズ」のようなゲームやアクションゲームで使うと面白いんじゃないかと思います。
野田氏:
ああ,確かにその手のゲームには合いそうですね。
4Gamer:
Live2Dでは,そういったアクションゲームも作れるのですか?
野田氏:
デザインデータ的には,千年勇者のモデルはアクションゲームと変わらないですよ。
石川氏:
確かに無理ではないはず……。ともあれ弊社でも,これまでと異なるさまざまな用途にお使いいただけるようトライしていますので,そういったご要望には可能な限りお応えします。
4Gamer:
例えば,キャラクターを360度回転させることはできますか?
石川氏:
現状でもできなくはないです。ただ,今のLive2Dがそれを見越した設計ではないので,かなり効率が悪くなってしまいます。実用的にするには,きちんと調整する必要があります。
縦横それぞれ1周できるようだと,かなりいろいろできそうですよね。アニメーションも作れます。
石川氏:
弊社としても,Live2Dではさまざまな拡張を検討していますので,開発の皆様のフィードバックをいただきながら新しいことにチャレンジしたいと思っています。
4Gamer:
それでは,石川さんからLive2Dの今後の展望が出たところで,ほかのお三方には千年勇者に期待している人に向けて,あらためてメッセージをお願いします。
黒須氏:
ご自身がゲーム内で操作するキャラクターの,ちょっとした動きの変化にぜひ注目してください。例えば,ちょっと放っておくと待機モーションに入り,表情が動くのですが,それが違和感なく表現できているところを見てほしいですね。
野田氏:
地味なところですが,重心移動や地面の感じ,動き出すときの溜め,力を込めてからのジャンプなどにも,細かいモーションを付けています。ど迫力ではないかもしれませんが,自然に見えるように上げていますので,ぜひ注目してください。
伊藤氏:
一人でも多くの方に,ぜひ実際に見て,体験していただきたいと切に思っています。個人的には,とくにモンスターを見てほしいですね。僕が今までゲームを作ってきた中で溜まっていたアイデアを,野田さんが全部実現してくれた部分ですから。モーションが本当に映えていて,細かいなと僕自身も感じています。
今回は,「こういうのがはやっているから作った」のではなく,こちらからの「こういうのも面白くないでしょうか?」という思いを込めていますので,ぜひ楽しんでください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「千年勇者〜時渡りのトモシビト〜」公式サイト
Live2D公式サイト
- 関連タイトル:
千年勇者〜時渡りのトモシビト〜
- この記事のURL:
キーワード
(C) 2013 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.