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[GDC 2016]VRはゲーム制作を変える!? ゲーム世界の中でゲームのデザインが可能な「VR Editor」をCrytekとEpic Gamesがそれぞれ披露
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印刷2016/03/19 16:34

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[GDC 2016]VRはゲーム制作を変える!? ゲーム世界の中でゲームのデザインが可能な「VR Editor」をCrytekとEpic Gamesがそれぞれ披露

画像集 No.002のサムネイル画像 / [GDC 2016]VRはゲーム制作を変える!? ゲーム世界の中でゲームのデザインが可能な「VR Editor」をCrytekとEpic Gamesがそれぞれ披露
 Oculus VRの「Rift」やHTCの「Vive」が予約受け付け中で,Sony Computer Entertainmentの「PlayStation VR」も価格と発売時期が決まるなど,まさにVR(Virtual Reality,仮想現実)元年という様相を呈してきた2016年。VR技術は,一般ユーザーにVR体験をもたらすだけでなく,ゲーム開発シーンにおける活用も提供し始めている。

 Game Developers Conference 2016(以下,GDC 2016)の展示会場では,「CRYENGINE」の最新版としてGDC 2016で発表された「CRYENGINE V」のCrytek,そして「Unreal Engine 4」(以下,UE4)のEpic Gamesが,それぞれ「VR Editor」――偶然にも同じ名前だが,もちろん互換性はない――を披露していたので,今回は2つのVR Editorを紹介したいと思う。

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財政難が心配されていたCrytekだが,ブースは例年通りの大きさだ
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Epic Gamesブースでは「McLaren 570S」(マクラーレン570S)がお出迎え


VR Editorとは何か


 ゲーム開発というと,PCのキーボードをカタカタと叩いて行うプログラミングが真っ先に思い浮かぶが,ゲームエンジンを活用する今日(こんにち)のゲーム開発においては,プログラミング以外にも,「ゲーム世界に対してキャラクターや背景,大道具小道具を配置していく」工程も,非常に重要な制作フェーズとなっている。
 たとえば,UE4を使ったシーン制作のサンプルとして有名なタイムラプス動画に下のようなものがある。見たことがない人はぜひチェックしてほしいが,こうしたゲーム世界のデザイン工程を「レベルデザイン」という。


 レベルデザインでは,2Dの画面内でオブジェクトを回転させたり,視点を引いたり寄せたりしながら,3Dオブジェクトを配置していく。ただ,制作したい世界が3Dなのに,その制作に2Dを媒介することになるため,いささか不自由を感じることもある。
 そこで「3D世界を作るのだったら,制作者自身がこの3D世界に入ったほうが効率的なんじゃないか」という着想が立ち上がった。それを基に生まれたのが,VR技術を応用してレベルデザインするためのVR Editorというわけだ。


CRYENGINE VのVR Editor


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 CrytekがCRYENGINE V向けに開発を進めているVR Editorは,開発が始まってからまだ1年も経っていない,基礎的なものである。現時点で行えるのは,プリミティブの生成や配置,複製などの基本作業のみで,現時点では「どうUIを設計すれば直観的か」「どういう機能をVR空間で行えるようにすれば生産効率が上がるのか」を模索している段階のようだ。

 VRシステム自体はViveベースで,ユーザーは,Vive用のモーションコントローラを使って,オブジェクトを配置したり動かしたりしていくことになる。2Dの制作画面ではなく,これから制作する,あるいは制作中のゲーム画面に没入している状態になるのである。

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 左右の手に持つVive用モーションコントローラの上面スライドパッドには機能メニューが割り当てられており,たとえばここからオブジェクト生成モードを選択すれば,オブジェクト生成モードのサブメニューが開き,さらにスライドパッド操作をすることで生成したい3Dモデルを選択できる。
 選択した3Dモデルは「モーションコントローラが放っているビーム」の上に出現するので,あとは,配置したいところにユーザー自身が歩いて行って置くだけだ。もちろん,配置済み3Dオブジェクトの向きを変えたり,コピー&ペーストを行うこともできる。

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 なお,いま「歩いて行って置く」と述べたように,ルームスケールVRに対応したViveを活用することで,制作中の3D空間の中で歩き回りながら作業できるというのが本VR Engineのポイントだが,とはいえ,高い場所に何かを配置したい場合に,ジャンプして作業するというわけにもいかない。そこでVR Editorでは,モーションコントローラのスライドパッドを操作して「移動モード」に移行することで,ビームを移動先にあてがってボタンを押すと,その場所へテレポートできる機能も実装している。
 筆者も実際体験してみたが,なんだか仮想世界で実物大のレゴブロックをやっている気になって,時間を忘れてしまった。意外に身体を動かす量は大きかったので,VR Editorを使うレベルデザイナーは運動不足を解消できるかもしれない(笑)。

CRYENGINE公式Webサイト



UE4のVR Editor


 一方,Epic GamesのVR Editorは,開発開始から2年めに入っているそうで,CRYENGINE V用のものと比べると,実用性において一歩進んだ感じのでき映えになっていた。

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 こちらは,VRシステムとしてRiftを採用しており,コントローラはRift用のモーションコントローラ「Touch」となる。

 基本的な操作系はCrytekのVR Editorとよく似ており,Touchのボタン操作で機能メニューを出し,アナログスティックでそれを選択していくというものだ。
 コントローラから出ているビームで3Dオブジェクトを掴んで,コントローラの動かし具合で掴んだ3Dオブジェクトを回転させたり移動させたりできるのも,CRYENGINE V用VR Editorと同じだ。コピー&ペーストの機能も使える。

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 ユニークだったのは仮想世界の移動や視点操作である。
 仮想世界で別の方向を向きたいときには,ユーザー自身が回ってもいいが,そうではなく,ビームでゲーム世界を掴み,そのまま回すような感じで向きを変えることもできる。移動も同様で,移動先をビームで掴むと,ワイヤーアクションの巻き取り操作のような感じでテレポート可能だ。

 建物を建てていく工程と,家の中に小道具大道具を設置していくスケール感は違うわけだが,そうした操作は,ユーザー自身の大きさを変えてから行う。たとえば街を作る場合は,怪獣ゴジラサイズになって,シムシティ感覚で建物を置いたりコピペしたりする。それに対し,室内にタンスを置く場合には人間サイズに変身することになるわけだ。それこそ,コップなどの小道具を設置するときには,ネズミサイズに変身すればいい。
 ユーザー自身の変身に動作モード変更のような煩わしさはなく,ゲーム世界を掴んで,両手コントローラをすぼめたり広げたりするだけでOKだ。


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 前段で触れたとおり,CRYENGINE VのVR Editorでは,作業していて結構な運動をした気になったが,UE4版VR Editorだとかなりの横着ができる。要所要所でVRインタフェースの旨味を活用する感じで,疲労感があまりなかったのが印象的だ。いまやUIの基本設計は終えて,「どうすれば作業効率を上げられるのか」という部分にも切り込んで開発を進めている手応えがあった。
 なお,下の動画はEpic Gamesが公開したVR Editor公式動画だ。最初は,映像中でエンジニアが行っているようなスピード感でゲーム世界のレベルデザインが行えるとは到底信じられなかったのだが,実際に体験してみると「もしかしたら……」と思うようになった次第である。


Unreal Engine 4公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    CRYENGINE

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    Unreal Engine

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