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[COMPUTEX]BenQ,HDMIパススルー出力対応の「格闘ゲーム用」液晶ディスプレイを公開
そこにあった製品のなかで,4Gamer的な目玉となるのは,海外市場で発表済みの「格闘ゲーマー向け液晶ディスプレイ」こと「RL2460HT」だ。
世界初の「格闘ゲーマー向け」モデルはHDMIパススルー出力に対応
RL2460HTは,24インチサイズ,解像度1920×1080ドットで,中間調応答速度(Grey to Grey)が1msというTN型液晶パネルを搭載するディスプレイだ。
筆者が見た限りでは,標準画質の「STANDARD」モードに対して,「FIGHTING」モードは輝度と彩度を若干抑え気味にした,ややクールな画質になっていた。特別な画質エンジンを搭載し,何か特別な処理をしているというものではなく,あくまでもWong氏のプレイしやすい画質を再現しただけという説明だった。
格闘ゲーマー向けと位置づけられるRL2460HTにはもうひとつ,「家庭用ゲーム機向け液晶ディスプレイ」というキャッチコピーも与えられているが,これは,液晶ディスプレイとして珍しいことに,HDMI出力端子を持つことに由来する。
このHDMI出力端子は,HDMI入力端子に接続された映像をそのままパススルー出力するもの。よって,HDMI出力端子の先にビデオキャプチャデバイスなどを接続すれば,表示遅延などを一切気にすることなくゲームプレイ動画の録画を行えるわけだ。
これまで,ゲーム映像を録画する場合,ゲーム機とディスプレイの間にビデオキャプチャデバイスを挟み込むようにして接続するのが一般的な接続方法だった。しかし,この接続方法では,場合によっては数フレームの遅延が生じてしまうケースもある。それがディスプレイ側で“表示した後の信号”を録画するようにすれば,ビデオキャプチャデバイス側の遅延がどんなに大きくとも,ゲームプレイに影響は出ない。「家庭用ゲーム機向け」というのは,「家庭用ゲーム機でのプレイを録画したい人向け」というわけである。
ひょっとして,アナログRGBで入力したらHDMIでスルー出力してくれるのか? この点をBenQのスタッフに確認したところ,「我々がこの製品に実装した特別な技術によって,その問題は回避できた」と,自信満々な回答が返ってきた。「つまり,HDCPをキャンセルする機構が入っているのか」と食い下がってみると,「詳しいことは述べられないが,PS3の映像は(RL2460HTのパススルー経由なら)ビデオキャプチャデバイスで録画できることを我々は確認している」と言い張っていたので,どうやら“そういうこと”のようだ。
もしスタッフの言っていることが本当ならば,ゲーマーにとって重要なトピックとなるので,実際に製品が発売された暁には真っ先に検証する必要があるだろう。
なお,RL2460HTは世界市場で6月中の発売が予定されている。価格は未定とのことだった。
※2014年7月8日追記
BenQ本社から,「当日伝えた情報に誤りがあり,HDMIパススルー出力はHDCPを保持する。そのため,PS3では基本的に利用できない。Xbox OneやXbox 360,Wii Uでは利用可能で,PS4でもおそらく利用できるだろう」という連絡がありました。本文は初出時のまま残しておきますので,事実関係に注意してください。
日本未発表モデル「XL2720Z」や4Kディスプレイも
会場には,日本未発表の27インチ液晶ディスプレイ「XL2720Z」も展示されていた。
XL2720Zは,日本でも発表済みの「XL2420Z」と同じ仕様で,パネルサイズだけ大きいという製品だ。あるいは,「XL2720T」の144Hz表示対応後継モデルという見方も可能だろう。1920×1080ドット解像度で,中間調応答速度1ms,垂直リフレッシュレート144Hz対応のTN型液晶パネルを採用し,XL2420ZやXL2720Tと同じく,FPS向けディスプレイと位置づけられている。
入力インタフェースは,DisplayPort×1,Dual-Link DVI-D×1,HDMI(Type A)×2,アナログRGB(D-Sub 15ピン)。
すでに北米や欧州では発売済みなので,日本における発売時期が気になるところだが,BenQのスタッフいわく「検討中ではある。しかし,具体的なスケジュールを話せる段階ではない」とのことだった。
もうひとつ,ゲーマー向けではないが,4Kディスプレイの新製品も展示されていたので紹介しておこう。
「BL320IPT」と名付けられたそのディスプレイは,32インチサイズで解像度3840×2160ドットのIPS液晶パネルを採用した製品で,「CAD/CAM向けディスプレイ」に位置づけられている。
BL320IPTでアピールされているのは,sRGB色域カバー率が100%であること。筆者は先にAcerやASUSTeK Computerの32インチ4K液晶ディスプレイをレポートしているが(関連記事),それらと仕様はよく似ているので,同種の液晶パネルを採用した製品ではないかと思われる。
本製品が「デザイン業務向け」ではなく,あえて「CAD/CAM向け」」となっているのは,前出の「格闘ゲーム向け」と同じ発想によるものだ。要は,CAD/CAMの線画表示に適するという画質モードが用意されているのである。具体的には,暗部を極端に締めて,原色を鋭く立ち上げた,超ハイコントラストな画質になる。
CAD/CAM図面では純色の線画が複雑に交叉して各線が見にくくなるため,線分表現を際立たせて見せるニーズがあることを知って,そうした声に応えたのだとか。
なお,これもBenQのゲーマー向けディスプレイからアイデアを得たものだと思われるが,OSDメニューを操作するためのリモコンが用意されているのも,BL320IPTが持つ特徴のひとつとなる。このリモコンを手元で操作することにより,好みの画質設定を読み出したりできるというわけだ。
入力インタフェースはDisplayPort,mini DisplayPort,Dual-Link DVI,HDMI 2.0,HDMI 1.4が各1系統ずつ。USBハブ機能も搭載されている。
世界市場では,2014年9月に発売予定で,価格は未定。日本での発売は検討中という。
BenQは,G-SYNCの発表時にNVIDIAのパートナーとしてその名が挙がっていた企業だ(関連記事。つまりG-SYNCには前向きだったはずなのだが,ここに来ての突然のトーンダウンは,もしかすると,業界団体であるVESAが最近になって発表した「Adaptive-Sync」の存在が影響しているのかもしれない。
BenQ 日本語公式Webサイト
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