COMPUTEX TAIPEI 2016は,COMPUTEX TAIPEIの歴史上初めて「ゲーム」がメインテーマの1つとなった。それを受けてかどうか,会場にはそこかしこにゲーマー向け周辺機器があったわけだが,なかでもインパクトのあったのが,「
防水防塵」と謳われる,台湾Tesoro Technology(以下,Tesoro)製キーボードだ。
キーボードの上からコップで水をかけているところ。頼めばいくらでも水をかけてくれる勢いだった
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Tesoro IR switch。キースイッチは完全オリジナルとのことで,「Satezon」と読める刻印があった。少なくとも筆者は初めて見る刻印だ。なお,キーキャップ固定機構はご覧のとおりのCherry MX互換
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これは,Tesoroがパートナー企業と共同開発したという防水防塵のメカニカルキースイッチ「
Tesoro IR switch」を採用する製品のプロトタイプなのだが,まずこのキースイッチは基板に金属端子を使って固定するのではなく,押下状況を赤外線で基板に向かって照射する仕様を採用する。そのため,水がかかっても端子が錆び付く恐れはないという。
キーボードカバーを外したところ。10キー部の上に「IONE」という文字を確認できたので,キーボード製品の中堅OEM/ODMメーカーとして知られるiOne Internationalが製造を担当しているのかもしれない
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基板背面側。黒い突起がずらっと並んでいるのが分かるが,これが赤外線センサーだそうだ
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一方の基板側では,「IP67」規格に準拠したコーティングで防水性防塵性を獲得。そのうえで,キースイッチごとに1基ずつ赤外線センサーを搭載し,毎秒1億回の精度でキースイッチ側の赤外線を読み取ることによって,キースイッチの押下を認識するという。何というか,メカニカルキーボードを静電容量式に魔改造したような仕様になっている感じである。
ちなみにこの仕様には,「もし液体がキースイッチ自体に入り込んでキースイッチ自体が壊れた場合でも,スイッチ単位で交換できるため,キーボード全体としての防水性は維持できる」というメリットもあるという。
Tesoro IR switch自体は,9月の完成を目指して開発中。スイッチが完成したら,最終製品の開発に取りかかると,Tesoroの北米子会社であるTesoro Technology USAのセールス担当副社長である
Steve Chen(スティーブ・チェン)氏は述べていた。
水以外にも,コーヒー,糖分を含むジュース,ビールなどにも対策できるとして,インターネットカフェでのニーズが高いとTesoroは踏んでいたが,うっかりさんなゲーマー各位からすると,かなり気になる存在ではなかろうか。
Kailhの低背メカニカルキースイッチ採用モデルも
なおTesoroは,Kaihua Electronicsが製造する低背メカニカルキースイッチ「Tesoro Agile Mechanical Switch」を採用し,キーごとに約1677万色から選んで光らせることのできるLEDイルミネーション機能を搭載するゲーマー向けキーボード「
Gram Spectrum」も展示していた。
「Tesoroは4年前に立ち上がったブランドだが,この製品を皮切りにTesoroは新生し,すべてを新しくする」とChen氏はこの製品に入れ込んでいた
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一般的なCherry MXキースイッチがストローク4mm,アクチュエーションポイント(Actuation Point,キースイッチがオンになる深さ)が2mmのところ,Gram Spectrumのキースイッチは,順に3.5mm,1.5mmへ縮んでいるのがポイント。単純にアクチュエーションポイントだけ短くするのではなく,キーストローク自体も短くしてあるのが重要だという。
本体カラーは白と黒の2色で,公称サイズは445(W)
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136(D)
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24.5(H)mm。ロールオーバーはNキーモデルと6キーモデルの両方を用意しているそうだ。
黒モデルと,黒モデルを横から見たカット
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