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  • カプコン
  • 発売日:2013/03/14
  • 価格:パッケージ版:2990円(税込)
    ダウンロード版:1500円(税込)
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印刷2013/04/13 00:00

レビュー

あの「ヴァンパイア」シリーズが快適なネット対戦と共に復活

ヴァンパイア リザレクション

Text by ハナダ


「ヴァンパイア リザレクション」。PlayStation 3版 / Xbox 360版共に,価格は2990円(税込)。
画像集#001のサムネイル/あの「ヴァンパイア」シリーズが快適なネット対戦と共に復活。熱い戦いの日々が蘇る「ヴァンパイア リザレクション」レビューを掲載

 「ストリートファイターII」(以下,ストII)がゲームセンターで大ヒットを飛ばした1990年代。対戦格闘ゲームの火付け役となったカプコンが,同作に続く新作として発表した「ヴァンパイア」は,当時のゲーマー達に,大きな驚きを持って迎えられた。
 まるでセルアニメのような滑らかなドット絵と,コミカルにデフォルメされたキャラクター達。見慣れた格闘家達の姿はそこになく,吸血鬼や雪男,ゾンビといった怪物――ダークストーカーズ達によって繰り広げられる戦いは,当時のゲーセン小僧達に,格闘ゲームの無限の可能性を信じさせるのに,十分な魅力を持っていたのである。

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ヴァンパイアハンター
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ヴァンパイアセイヴァー

 本作「ヴァンパイア リザレクション」PlayStation 3 / Xbox 360)は,そのヴァンパイアの人気を受け制作された続編「ヴァンパイアハンター」(以下,ハンター)と「ヴァンパイアセイヴァー」(以下,セイヴァー)の2タイトルを,HD解像度のグラフィックスによって現代に甦らせ,1本に収録したタイトルだ。格闘ゲームブームの黄金期を支え,幾つもの革新的なゲームシステムと,カプコンを代表する魅力的なキャラクターを輩出した本シリーズについて,本稿では当時を振り返りながら,改めて解説していこう。もちろん現代に再び舞い降りたダークストーカーズ――「ヴァンパイア リザレクション」の独自要素,移植の完成度などについても合わせて触れていくので,本作の購入を迷っている人は,ぜひ参考にしてほしい。

本作の超必殺技であるEX必殺技は非常に派手。キャラクターの豪快な動きと見事にマッチしている
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被ダメージの表現も豊富で楽しい。モチーフは恐ろしい怪物達だが,表情豊かなところを見ると愛着が沸いてくる
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ドノヴァンの必殺技「キルシュレッド」。剣を地面に刺したまま放置すると,剣が怒り,最終的にはふて寝する。必殺技一つにも細かい遊びの要素が散りばめられている
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「ヴァンパイア リザレクション」公式サイト



快適なネット対戦を搭載し,現代に甦えったヴァンパイア


 ヴァンパイアシリーズといえば,これまで初代PlayStationやセガサターンをはじめ,PlayStation 2などさまざまなハードで移植が行われてきたタイトルでもある。もっとも近い世代でいうと,2005年のPlayStation 2版「ヴァンパイア ダークストーカーズコレクション」がこれにあたり,ヴァンパイア リザレクションは,実に8年ぶりの移植ということになる。現行世代のハードで新たに生まれ変わった本作に,いったいどんなフィーチャーが詰め込まれているのか。まずはその概要を見ていこう。

画像集#045のサムネイル/あの「ヴァンパイア」シリーズが快適なネット対戦と共に復活。熱い戦いの日々が蘇る「ヴァンパイア リザレクション」レビューを掲載

 HD解像度のゲームが当たり前になった現代に生まれ変わったヴァンパイア。グラフィックスの部分の進化は,やはり大きな違いと言える。当時のアーケード基板,CPシステムII上で動作していていたオリジナル版の解像度は384×224ドットであり,現行のテレビに拡大表示してしまうと,かなり粗が目立つ感じになってしまう。そこで本作では,HD化フィルターを通すことで,擬似的な高解像度化が図られている。

数種類用意されたHD化フィルター。左から「フィルター無し」「スムーズ」「クリスプ」の順だ。右に行くにつれ滑らかなタッチになっているのが分かる
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キャラクターセレクト画面のイラストも,新たに高解像度のものに描き直されている
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 ゲームモードに目を移すと,タイトル画面には「シングルプレイ」「マルチプレイ」「ランキングボード」「ギャラリー」といった,カプコン格闘ゲームではお馴染みのゲームモードが並ぶ。
 「シングルプレイ」には,アーケード版準拠のCPU戦が楽しめる「アーケードモード」のほか,さまざまな条件で練習が行える「トレーニングモード」「チュートリアル」といった,昨今の格闘ゲームとして標準的なものを備える。「マルチプレイ」では,「ランクマッチ」「プレイヤーマッチ」「トーナメント」といったモードでオンライン対戦が楽しめ,そのほか「リプレイ」なども鑑賞できる。

 これらのオンライン対戦は,「ストリートファイターIV」(以下,ストIV)シリーズや,「ストリートファイターIII 3rd STRIKE ONLINE EDITION」(以下,3rd OE)などですでにお馴染みだが,ヴァンパイアシリーズでは,もちろん今回が初となる。むしろシリーズのファンにとっては,これこそが本作で最も気になる部分といっても過言ではないだろう。

ネット対戦は,ランキングポイントを競うランクマッチに,友人と気軽に対戦できるプレイヤーマッチのほか,最大8人で優勝を争う「トーナメント」が収録されている
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 ちなみに気になるネット対戦のラグなどについてだが,対戦にするにあたって,申し分ないできといって間違いない。本作で採用されているネットコードGGPOは,3rd OEと基本的には同じものだが,更なる改良が加えられているとのことで,少なくとも国内の相手と対戦する限りにおいては,いわゆる巻き戻りなどの現象が発生することはほとんどなかった。
 移植度も,ごく一部を除いてはアーケード版に忠実なので,現役アーケードプレイヤーであっても違和感は感じない。3rd OEのネット対戦に不満を持っていた人にも,自信をもってオススメできる完成度となっている。

※一部のキャラクターの特定の技において,アーケード版との差異が報告されていた。これらについては2013年4月12日に配信されたタイトルアップデートにて修正が施されている(関連記事

ネット対戦の快適さは,入力がシビアな「一発アドバンシグガード」が安定して狙えるほど。公式のオススメ設定は,GGPOディレイ「0」PING値「50」とのことなので,設定で悩んでる人はこれに合わせてみよう
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筆者の個人的な印象だが,セイヴァーのネット対戦は,全体的にリリス,モリガン,レイレイ,デミトリの使用率が高め。上位陣では,強キャラとされるザベルやサスカッチよりも,ガロンが多い気がした。ハンターではフォボスが人気のようだ
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セイヴァーとハンターの切り替えは,メニュー画面で[SELECT]ボタンを押すことで切り替えられる。ロードが若干入るものの,切り替えはスムーズだ
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「シングルプレイ」の各モード,とくに「チュートリアル」と「トレーニングモード」についても,軽く触れておこう。
 まず「チュートリアル」がかなり上級者向けの内容になっているのが気になった。キャラクターによって難度は異なるが,基礎を飛ばしてかなり高度なテクニックを要求するようなキャラクターがいるのだ。当時を知る人にとっては,懐かしさすら覚えるマニアックな内容で,それはそれで嬉しかったりもするが,さすがにチュートリアルでは,もう少し初心者に配慮したほうが良かったかもしれない。

チュートリアルでは,各キャラクターが練習内容を説明してくれる。とくにバレッタの口の悪さは必見だ
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チュートリアルといいながら,ビシャモンのガード不能連携やハンターのザベル限定コンボなどをさせられる。熟練プレイヤーなら,ニヤりとできるマニアックさではあるのだが……
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チュートリアル1を例にとってみよう。フォボスの場合はチェーンコンボからスタートするが,デミトリはいきなりダッシュキャンセル。学ぶ内容にかなりの差を感じる
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 一方,「トレーニングモード」はかなり充実した内容で,ストIVや3rd OEにはなかった,「現在の状態を記憶する」という要素が追加されているのが嬉しい。例えば相手を画面端に追い詰めた状態で「記憶」すれば,リロードしたときすぐに画面端からスタートできる。このためコンボの練習にはもちろん,キャラ対策などの練習にも使いやすい。
 まあ欲を言えば,ダミー設定でアドバンシングガード発動を,弱,中,強と使い分けられれば,なお良かったのだが。

「トレーニングモード」では,リリスのグルーミーパペットショーのパターンを固定化できるのも嬉しい
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3rd OEにもあった「ギャラリー」が,本作に搭載されており,これまでに発表されたイラストやムービーなどを閲覧できる。キャラクターの魅力が大きいシリーズだけに,嬉しい機能だろう
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「ギャラリー」のイラストなどを開放するためには,プレイ中の特定の行動によって達成される「アワード」を集める必要がある。ギャラリーを開放するだけならさほど難しくないが,アワードのコンプリートを狙うなら,かなりのやり込みが必要だ
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(コラム)ハンターとセイヴァー,その違いとは?

 続編が発売されてなお,シリーズで高い人気を誇るハンターとセイヴァー。登場するキャラクターなどに違いがあるのは一目瞭然だが,それ以外にどんな違いがあるのだろうか。

 まずハンターは,セイヴァーよりもゲームスピードは若干遅いものの,そのぶん技の威力が全体的に高く,一発が“重い”作りとなっている。1コンボで体力の4割を持っていくことも珍しくなく,けん制技に引っかかるだけも,手痛いダメージとなる。
 さらに投げ抜けが非常に難しく,威力も高いことから,いわゆる「当て投げ」のリターンも大きい。一度相手に接近されると,かなり辛いゲームなので,そもそも相手を寄せ付けない立ち回りが求められるのが特徴といえる。

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投げ→ES追い討ちを決めた後の画像。当時はとくに気にならなかったが,今見ると脅威の減り
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ハンター限定キャラであるフォボス。必殺技「コンフュジョーナー」は,ヒットすると相手がガード不能になる。ここから10割コンボも狙えるのだが,それでも一強とは言えないのがハンターの恐ろしいところ

 次にセイヴァーは,まず体力ゲージシステムが大きく変更されているのが大きなポイント。「インパクトダメージゲージ」と呼ばれるこのシステムは,ラウンドの概念がない変わりに,ダメージの一部が回復可能になっており,それがセイヴァー特有の緊張感を生み出している。
 また攻防については,ダメージは若干マイルドになっているものの,一部のキャラクターに中/下段の強烈な二択があり,接近戦の攻防はより激しくなっている。

体力ゲージに見える白く部分が「インパクトダメージ」。攻撃を受けない状態でいると徐々に回復する。左の状態では残り3割ほどの体力だが,回復できればまだ6割。まだまだ戦える
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セイヴァー最強キャラの一角と言われるザベル。自在に操るにはかなり技術が必要だが,素早さ,火力ともに申し分ない
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現代でも色あせないヴァンパイアシリーズの魅力とは


 概要を押さえたところで,ヴァンパイアシリーズがどんなゲームだったのか,格闘ゲームの歴史を紐解きながら,少し考えてみたい。十数年前にリリースされたタイトルゆえに,現在の格闘ゲームと比べると,洗練されていない――操作的に難しい部分はあるものの,その革新的なゲームシステムと駆け引きには,現代でも色あせない面白さがあるのだ。

もちろんキャラクター自体の魅力もヴァンパイアシリーズを語るうえで欠かせない要素。ハンターのデモシーンでのモリガンに,心を奪われたプレイヤーも多いのでは
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 ストリートファイターシリーズに続く,カプコンの対戦格闘ゲームとして,初代「ヴァンパイア」が登場したのは1994年のこと。冒頭でも触れたとおり,グラフィックス面での進化はとてつもないインパクトではあったが,格闘ゲームとしても,ストリートファイターシリーズとは一線を画していた。その大きな理由の一つに「空中ガード」の存在が挙げられるだろう。

 ジャンプ中にはガードを行うことができず,またジャンプ中に軌道を変更するのが難しいストリートファイターシリーズでは,端的に述べてジャンプはハイリスクな行動だった。相手は見てから対処が可能だし,よほど相手の隙を突かなければ,ジャンプ攻撃を当てるのは難しい。そのため,攻防は地上戦が主体となり,また防御にまわったときは,しゃがみガードでほとんどの攻撃は防ぐことができた。

 しかし空中ガードが存在するヴァンパイアの場合には,地上でしゃがみガードしているよりも,空中にいたほうがよほど安全だ。空中ダッシュを持つキャラが多いため,空中での軌道制御が豊富で,空中なら中段と下段の二択や,投げ技を食らう心配もない。さらに低空ダッシュやショートダッシュからの攻めが総じて強力なため,地上にいるのは,むしろ危険ですらある。
 つまり大雑把にいってしまえば,ヴァンパイアは「いかに相手の上をとるか」というゲームになっていたのだ。

見た目は対空技に見える,デミトリのデモンクレイドルだが,セイヴァーならジャンプ着地間際でもガード可能。ハンターは根元で当てた場合ガードできないが,狙って当てるのは難しいだろう
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地上の通常技は空中ガードできないので,対空を狙う際は,上方向に判定の強い通常技を使う。対空を持たないキャラは,空対空や空中投げを狙っていこう
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ヴァンパイアの攻めの強さを象徴する,サスカッチのショートダッシュ中P。脅威の速さで繰り出される中段攻撃はほとんど視認不可能だ

しゃがみガード(1)が安定だったストリートファイターシリーズと違い,本作の防御はバックジャンプ(7)が基本。不利な状態からでも,ほとんどの攻撃が回避できる。相手がバックジャンプ対策をしてきたら,そこから次の読み合いがスタートする
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 ただ初代ヴァンパイアは,初の試みが多数詰め込まれていたため,ゲームバランスという面ではいろいろと難があった。そこで登場したのが,ヴァンパイアのゲームシステムを進化させ,翌1995年にリリースされた続編であるハンターと,1997年リリースのセイヴァーだ。そしてヴァンパイアシリーズで登場し,磨きをかけられたゲームシステムの多くは,後の格闘ゲームに引き継がれていくことになる。
 以降は,その中から代表的なものをピックアップして紹介していこう。

チェーンコンボ


 ボタンを弱→中→強の順に押していくだけで,通常技を連続ヒットさせられるチェーンコンボ。タイミングがシビアな目押しや,必殺技でのキャンセルなどが必要なく,当時としては画期的なシステムだった。後の格闘ゲームでも,ターゲットコンボやガトリングコンビネーションなどと名前を変え,引き継がれている。
 ヴァンパイアシリーズでは,しゃがみ弱キックなどの発生の早い下段技から,強制ダウンとなる足払いまでつなげ,その後の起き攻めに移行するのが基本。相手に接近したら,このチェーンコンボと投げの2択で相手のガードを崩していこう。

テンポよくボタンを押すことがコツのチェーンコンボ。難度はさほど高くないので,練習すればすぐ身に付くはずだ
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打撃を嫌がってガードする相手には投げが有効。受け身を取られても有利な状況を維持しやすく,キャラにもよるが攻め続けられる
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ガードキャンセル


 ガード中モーションをキャンセルして必殺技を繰り出すガードキャンセルも,ヴァンパイアシリーズで初登場したシステムだ。前述のチェーンコンボの存在もあって,攻め側がかなり有利な本作だけに,切り返しの手段として重要になる。
 ちなみに最近の格闘ゲームでは,ガードキャンセルに必殺技ゲージを消費することが多いが,本作ではいつでも繰り出せるものになっている。ただしタイミングは非常にシビア。失敗すると大きなスキを生んでしまうため,やや上級者向けのテクニックになっている。

ガードキャンセルには,早くて正確なコマンド入力が必要になる。まずはトレーニングモードなどで練習して,狙ったときに確実に出せるようにしておきたい
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ES必殺技


 必殺技ゲージを消費して,強化版の必殺技を繰り出せるES(エスペシャル)必殺技。強化の方向はさまざまで,単純にダメージが増えるものから,そもそも技の性能が変わってしまうものまで,多岐に及んでいる。
 一発逆転を狙える超必殺技(本作ではEX必殺技)とは違い,より戦略的な使い方ができるのが特徴で,格闘ゲームに必殺技ゲージをどう使うかという駆け引き――「ゲージ管理」の概念をもたらしたといって過言ではない。後の格闘ゲームにも引き継がれ,搭載される事になる,重要なゲームシステムだ。ちなみに後のストリートファイターシリーズなどでは,EX必殺技という名称のほうが,このシステムを表す名称となっている。

EX必殺技のような派手さはないが,高性能なES必殺技。ガロンのESビーストキャノンはガード時の隙が少なく,ヒット時は大きく体力を奪える。コンボはもちろん,遠距離から奇襲としても使える突進技だ
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アドバンシングガード(セイヴァーのみ)


 セイヴァーから登場したシステムであるアドバンシングガードは,ガード中に発動することで相手を押し戻し,距離を離せるというゲームシステムだ。初出は恐らく1996年の「X-MEN VS. STREET FIGHTER」だが,本作にも少し操作を変更した形で搭載されている。オルバスやバレッタなど,ガードキャンセルの性能が悪いキャラには,とくに重要なシステムになっている。

ダッシュ攻撃で有利を取りつつ近づかれると接近戦が厄介。アドバンシングガードで離して仕切りなおそう
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 このほか,「ダークフォース」や「インパクトダメージゲージ」「移動起き上がり」「ダウン追い打ち」など,特筆すべきゲームシステムはまだまだあるのだが,すべてを解説していると切りがないので,このあたりにしておこう。
 やや長くなってしまったが,ヴァンパイアの面白さとは,これらのシステムによって生み出される,地上と空中――ゲーム画面すべてを使った高密度な駆け引きにある。高速で襲い掛かる中/下段攻撃と投げの選択肢。ジリジリとした展開から,タイムアップに追われる焦燥感。かと思えば,怒涛の攻めで数秒で終わってしまうあっけなさ。追うか追われるか,一瞬も気を抜けない緊張感が,本作を魅力的なものにしている。

 先にも書いたとおり,本作は現在の格闘ゲームに比べると,やや操作が難しい,そして忙しいタイトルであることは間違いない。だがそれらをうまく使いこなし,接戦を勝ち抜いたときの快感はやはり格別だ。ハードウェア的な制約もあり,当時は叶わなかった快適なネット対戦を備えた完全移植。当時を知る人はもちろんのこと,若いゲーマーにもぜひ遊んでみてほしいタイトルである。
 そして願わくば,多くのファンが待ち望んでいるであろう完全新作のヴァンパイアが登場することを期待したい。本作のファンの一人として,本作がその鏑矢になってくれることを祈るばかりである。

■待望の「アーケード待ち受け」に対応のタイトルアップデートが配信に

 本作初のタイトルアップデート配信が,4月12日よりスタートしている。これによりストIVや「STREET FIGHTER X 鉄拳」などに実装されていた「アーケード待ち受け」「トレーニング待ち受け」が,本作にも実装となっている。アーケードモードやトレーニングモードで練習しながら,対戦待ちが出来るというわけで,これでネット対戦がさらに捗ることは間違いない。
 また4月17日には,PlayStation 3版のダウンロード配信もPlayStation Storeにてスタートするとのこと(関連記事)。価格も2300円(税込)と若干下がっているので,まだ本作を持っていないひとは,こちらの購入するのもいいかもしれない。

タイトルアップデートで実装される「トレーニング待ち受け」
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 またハンター/セイヴァーは,全国各地のゲームセンターにて,今なお対戦会や大会が根強く行われているタイトルでもある。なかでも年に一度開催される「Darkstalkers Combination Cup」は,参加者数が100人以上となる大規模なもの。2013年の開催日程は今のところ未定だが,ネット対戦で鍛えた腕で,オフライン大会に挑むのも悪くない。興味のある人は,ぜひそういった大会にも参加してみよう。

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