プレイレポート
3月20日発売の「ディスガイア D2」を先行プレイ。洗練された基本システム上でラハール達が生み出す安心の“ディスガイア感”
2003年に第1作「魔界戦記ディスガイア」が発売されて以来,コンシューマゲームに留まらずアニメ化やソーシャルゲーム化といったさまざまな展開がなされ,今年でシリーズ10周年の節目を迎える。そんなタイミングに登場するのが,3月20日に発売されるPlayStation 3用ソフト「ディスガイア D2」(ディスガイア ディメンション2)だ。
今回は,発売に先駆けてディスガイア D2をプレイする機会を得たので,そのプレイフィールをゆるーくお伝えしていこう。
「魔界戦記ディスガイア」のそのあとが描かれる物語
本作で描かれるのは,2003年に発売された「魔界戦記ディスガイア」のエンディングから続く物語。先代魔王クリチェフスコイが暗黒まんじゅうを喉に詰まらせて倒れ,魔界は有力者たちが覇権を取り合う戦国時代を迎えたのだが,この乱世は先代魔王の息子であり本作の主人公でもあるラハールが統一した。
晴れて魔王となったラハールだったが,強大な力とカリスマを誇った先代と比べて認知度は低く,魔界に暮らす悪魔たちを統制しきれず野放し状態。さらに先代魔王の右腕として働いていた一派“クリチェフスコイ派”が,「ラハールには魔王の資格がない」と新たな魔王候補を擁立する事態に。
この展開にブチキレたラハールが,自分を新たな魔王と認めさせるため,エトナやフロンといった手下(?)と共に再び戦い始めるというのが,本作のおおまかな導入部分……なのだが,これに天界からやってきた自称ラハールの妹シシリーや,ナゾの悪魔ゼノリスといったキャラクターが絡んできて,物語はシリーズのお約束どおり収拾不可能な方向へと進んでいくことになる。
実際,展開は(いい意味で)しっちゃかめっちゃかで,ラハールがなぜか女性化したり,エトナが“2Pカラー”になったり,みんなで「魔界アイドル」のライブに乱入したりと,中盤までは本題なんてどこ吹く風の脱線しまくり物語(無論,いい意味で)。ただ,それがディスガイアらしさといえばそのとおりで,笑いながら進めていくうちにいつの間にか核心に辿り着いてました,なんてことになっているわけだ。
エトナ |
ラハール |
フロン |
シシリー(CV:石原夏織)天界よりAmaz……,ではなく宅配便で送られてきた自称ラハールの妹。魔王の座を狙っているらしい |
バルバラ(CV:茅原実里)クリチェフスコイ派に擁立された次期魔王候補。ものすごい戦闘能力を持つが,命令されないと動かない子 |
ゼノリス(CV:平川大輔)ナゾの悪魔。クリチェフスコイを知っているようだがとにかくナゾ |
ゲームは,従来作とまったく同じ形式で進む。章ごとに何かしらの事件が起こり,それを解決するためにマップへと移動して,マップを構成する複数のステージを攻略。ステージ攻略前後には大抵イベントが起こり,そこではほとんど笑い,ときに涙のエピソードが語られていく。
ものすごく余談だが,「炎の料理人クッキングファイター好」の頃から続く日本一ソフトウェアならではのパロディや,どこかシュールなギャグは本作にも受け継がれているのでファンはそのあたりも楽しみにしておこう。……え,クッキングファイター好を知らない? 味魔王を追う若き料理人ハオが命がけのクッキングバトルに挑むさまを無駄に熱く(いい意味で),無駄に本気で(無論,いい意味で)描いた熱血料理アクションだ。
ともあれ,ゲーム内の至るところに細かいネタが散りばめられているので,ゲーム好き,アニメ好きは思わぬところで吹き出すことになるかもしれない。そういう意味でも,物語と演出にはこれ以上ないくらいにディスガイアらしさが溢れている。
お家芸ともいえるシステムは新要素を加えつつ簡易化
本作で採用されているターン制のシミュレーションバトルは,ディスガイアファンにはおなじみのシステムだ。キャラクターやオブジェクトを持ち上げて投げ飛ばす「投げる」や,地形に“経験値+50%”や“超敵強化3倍”といった特殊効果を与える「ジオパネル」といった変則的な要素も含め,バトルはほぼ従来作を踏襲している。演出スピードや移動速度の調整が行われ,より快適に遊べるようブラッシュアップされているのが嬉しい。
もちろん,追加要素もある。その1つが特殊行動「オンブ」と「コラボ技」だ。
オンブは,人間型ユニットがモンスター(味方)の背中に乗って1つのユニットになるというもので,この状態のときは好感度に応じてステータスが上昇する。コラボ技はオンブ状態で繰り出せる必殺技で,モンスターごとに異なる効果のものが用意されている。
一方で前作などにあった「魔チェンジ」(モンスターを人型ユニットの武器にするシステム)が廃止されたが,乗り降り自由なオンブのほうが汎用性は高い印象がある。乗り降りも単純で,魔チェンジやそれにまつわるシステムと比べると簡易化されて遊びやすくなった。
武器では,剣や槍といったおなじみのものに加えて,本作では新たに「本」が登場する。ATKとINTが攻撃力に関係する本は,装備することで高威力の「召喚魔法」を使えるようになる。鈍器としても使用可能で角で殴るとすごく痛い,という触れ込みだったが,実際に装備してみるとどう考えても召喚魔法のほうが痛そうなので,そちらを連発しておくほうがいいとは思う。
キャラメイクでは,初登場となる女性の「重騎士」のほか,デザインが一新された「僧侶男」が目立つ。重騎士はビジュアルからも想像がつくとおり,優れた防御能力を持つユニットで,離れた場所にいる味方ユニットのダメージを肩代わりするといった魔ビリティを持っている。僧侶男はどう見ても男に見えないのだが,男だ。
また,本作では人型ユニットのキャラメイク時にカラーと性格を選ぶことができる。ユニットは性格によって異なる能力とボイス(セリフ)を持つため,キャラメイクの段階で育成方針を定めておくことが重要になっている。性格が魔ビリティと紐付いているため,魔ビリティを優先すると好みの性格にできないのはちょっと残念だが,従来のキャラメイクと比べてユニットに対して選択できる項目が多く,愛着が湧くような作りになった印象だ。
育成要素では,新たに「悪魔道場」という施設が用意されている。悪魔道場は「体力や精神力を鍛える」「攻撃技術や武器の扱いを上達させる」「魔法を扱う能力を高める」という目的別に3つの部屋に分かれており,各部屋で修行の設定を行った悪魔はボーナスを得られる。効果は経験値獲得量の上昇,レベルアップ時のステータス上昇量増加など役立つものばかりだ。修行はハードで悪魔といえどもかなりつらいようだが,プレイヤーには関係ないので気にせず活用しよう。
このほか,マイナーアップデートが多数あるものの,戦闘も育成も基本は従来作の流れを引き継いでいる。これまでに発売されたディスガイアシリーズのいずれかを遊んだことのあるプレイヤーならば,迷うことなく遊べるだろう。
おなじみの登場人物と洗練されたシステムが生み出す安心の“ディスガイア感”
ここまで紹介してきたように,ディスガイア D2はいかにもディスガイアシリーズらしい安心感を持った作品だと言える。それは,おなじみの登場人物が再び主人公として戻ってきたことと,シリーズが進んで基本システムが洗練されたことによる部分が大きい。とくに基本システムがブラッシュアップされたことで,ディスガイアの面白いところをストレスなく味わうことができる。
覚えることが多いため,従来作をプレイしていない人には若干ハードルが高く感じられるディスガイアシリーズだが,遊びやすさという意味では本作はシリーズの中でもトップクラスだ。ただ,「魔界戦記ディスガイア」のそのあとを描く物語は新規参入者にとってネックになる可能性が高い。実際は「魔界戦記ディスガイア」をプレイしていなくても理解できるストーリーだが,やはりラハールと,エトナやフロンの関係はあらかじめ知っていたほうが楽しめるだろう。
一方,従来作をプレイしているという人には文句なしでオススメ。繰り返しになるが,基本システムはシリーズの中でもトップクラスに洗練されており,それだけにやりこみプレイも快適である。従来作と同じように,最大レベル9999までと果てもなく遊び続けられるディスガイア D2は,1タイトルを長く遊びたいというプレイヤーのニーズを十分に満たすタイトルだ。
「ディスガイア D2」公式サイト
- 関連タイトル:
ディスガイア D2
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