プレイレポート
「エルダー・スクロールズ・オンライン」の新章,ブラックウッドを先行プレイ。Oblivionのレヤウィンを拠点に冒険できる日が戻ってくる
ブラックウッドは,2021年に展開されるESOコンテンツの目玉の一つとなるアップデートパッケージだ。2006年にリリース(日本国内では2007年)された「The Elder Scrolls IV: Oblivion」(以下,Oblivion)に登場するレヤウィンとその周辺が登場することもあり,シリーズファンには見逃せないアップデートとなっている。
そんな「ブラックウッド」を先行して体験できたので,さっそくそのインプレッションをお届けしたい。メディア向けに公開された英語版のプレビューのため,正式リリース版とは異なる点があるかもしれないが,2021年に甦った南シロディールと西ブラックマーシュの空気を,少しでも感じていただければ嬉しい限りだ。
「エルダー・スクロールズ・オンライン」公式サイト
「エルダー・スクロールズ・オンライン」で,オブリビオンの扉が開く。新コンテンツ・ブラックウッドの詳細が発表されたプレゼンをレポート
日本時間の2021年4月7日と8日,MMORPG「エルダー・スクロールズ・オンライン」の新コンテンツ「ブラックウッド」のメディア向けプレゼンテーションが行われた。「オブリビオンの門」の物語や冒険の舞台,「コンパニオン・システム」や「ロックグローブ」といった新要素の情報をまとめてお届けしよう。
Oblivionでお馴染み「レヤウィン」と,(国内では)知る人ぞ知る「ギデオン」が冒険の拠点に
2021年のESOは,「オブリビオンの門」と呼ばれる物語が1年にわたり展開される。3月9日にはDLC「野望の炎(Flames of Ambition)」がリリースされ,新規のダンジョンである「大鍋」と「ブラック・ドレイクの邸宅」がプレイ可能となっているため,すでに体験した人もいることだろう。
「エルダー・スクロールズ・オンライン」のDLC“野望の炎”が配信開始。レベル50からの成長システムも一新
EXNOAは本日,MMORPG「エルダー・スクロールズ・オンライン」の新DLCゲームパック「野望の炎」の配信を開始した。今回のDLCには,2つのダンジョン「ブラック・ドレイクの邸宅」と「大鍋」が収録されている。また,レベル50からの成長システムが一新され,「チャンピオンシステム2.0」として実装された。
注目の物語は,Oblivionの時代からはるか昔,800年前の出来事がテーマとなっている。ナンバリング4作目となるOblivionで黒幕として登場し,帝国とシロディールに大混乱を巻き起こしたデイドラ公「メエルーンズ・デイゴン」が,ある密約を元にタムリエル全土を我が物にしようとする……と,破壊と野望を司るデイドラにふさわしい脅威として描かれるという。公式の動画では,Oblivionで皇帝を暗殺した「深淵の暁」らしき組織が登場するなど,Oblivionファンにはたまらない展開になりそうだ。
「オブリビオンの門」の中でも大きなものとなるであろう物語が,新章「ブラックウッド」だ。
エリアとしては,コンテンツ名にあるとおりタムリエルのブラックウッド地方を中心に,シロディールの南端の都市であるレヤウィンとその周辺,さらにアルゴニアンの故郷である「ブラックマーシュ」の西エリアの一部が対象となっている。これまでのシリーズ作品では,Oblivionでカジートとアルゴニアンの傭兵団である「ブラックウッド団」がレヤウィン周辺で活動しており,その地名に聞き覚えがある人もいるかも知れない。
プレビュー版ではレヤウィンの近郊でゲームが開始した。その雰囲気はかつてOblivionで(設定的には“未来”だが)冒険したシロディール南部そのもの。緑豊かで至る所に柳のような樹木が自生しており,フィールドの各地に湖や沼地が広がり,天候は雨が多く画面からジメジメした湿気が感じられそうな空気感は,800年前も変わらなかったのだ。
冒険の拠点となるレヤウィンに一歩足を踏み入れれば,シリーズファンには馴染みの街並みが迎えてくれる。入ってすぐ右手のゼニタールの大聖堂や街と城を隔てる大きな河川,街中で大勢見かけるアルゴニアン,雨が多いせいか街全体に漂うじっとりとした雰囲気など,その再現度は非常に高い。
個人的に街をぶらぶら歩いて一番テンションが上がったのが,レヤウィン城に入ってすぐロビーだ。Oblivion時代の面影を本当にそのまま残す造り(……しつこいようだが,Oblivionは“未来”なのだが)で,「ここに“あのマゾーガ卿”が居たんだよ!」とつい声に出てしまった。
残念ながら(?)今回試遊した範囲では,城の中に彼女ほどインパクトがある人物は見当たらなかったが,レヤウィン全体ではいくつものクエストを受けることが可能だったので,ESOでも個性的な人たちとの楽しい出会いが待っていることだろう。
また,再現度が高いからこそ,逆にOblivionとの違いを見つけていくのも面白かった。10年以上前の作品であるOblivionとは,パッと見でグラフィックスの違いが分かるのは当然だが,鮮明になったからこそ街並みの変化がよく伝わってくるのだ。
街の南には,アンヴィルほどではないもののなかなかの規模の港があり,昔は港町としても栄えていたことが感じられ興味深かった。プレイ時間の関係でじっくり見られなかったが,Oblivionのプレイヤーならレヤウィンを散策するだけでも結構楽しめるのではないだろうか。
ブラックウッドの冒険の拠点となる街がもう一つある。それは,レヤウィンから東に進んだ場所にあるギデオン(Gideon)。ブラックマーシュの西端に近いエリアにある都市で,TESシリーズの1作目「The Elder Scrolls: Arena」(以下,Arena)にも登場していた“由緒正しい”場所だ。
構造としては,壁に囲まれた一見普通のシロディール的な街なのだが,周囲のみならず街の内部も一部が浸水していたり,ほかの土地より住人のアルゴニアンの比率がさらに上がったりと,帝国文化とアルゴニアン文化が入り交じったような雰囲気が興味深い。Arenaをプレイしたことがない筆者は,純粋に新しい街として散策したが,筋金入りのTESシリーズファンなら,より一層楽しめるのではないだろうか。
ブラックウッドには,エリアの特徴に合わせて巨大なカエルや凶暴な亀のモンスターが登場する。レヤウィンの近郊や北部はシロディールの一部なので“水辺が多い土地”ぐらいの印象だが,南東部に行くと,TESシリーズ内の書籍「アルゴニアン報告」で触れられているような,沼地のジャングルような様相を呈していく。人が住む場所も小規模な“集落”になり,道はほとんど舗装されていないので移動ルートがわかりにくくなることもあって,雰囲気も抜群だ。
その一方でダンジョンはアイレイドの遺跡が各地にあるなど,“シロディールらしさ”も同時にあるのが面白い。ネタバレを避けるために詳細は避けるが,とある場所では(デイゴン以外の)デイドラ公のクエストがあり,冒険と探索はもちろん,シリーズファンには嬉しい要素もあってかなり楽しめそうだ。
ついにESOでも仲間との冒険が可能に。導入部分は,初めてプレイする人にも分かりやすくなった
「ブラックウッド」では,システム面もアップデートされているが,その目玉の一つが,NPCのキャラクターを連れて歩き,冒険の手助けをしてもらえる「コンパニオンシステム」だ。Oblivionの仲間や「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,Skyrim)の従者などに近いシステムで,それがついにESOでも実装されることになったわけである。
今回の新章では,魔法を得意とする男性従者のBastian(バスティアン)と,ダンマーで弓矢を操る女性従者のMirri(ミリー)が登場。それぞれクエストをクリアすると仲間にできる。コンパニオンとしてアンロックされるとコレクションタブに追加され,必要なときは騎乗動物などと同じようにいつでも呼び出し,そして同行させることが可能だ。
ペットほど常に追従してくるわけではないが,一時的に姿が見えなくなっても,すぐに戻ってくるという感じだ。Skyrimなどと違って当たり判定などはないので,戦闘時もいつもどおりに(巻き込みなどを気にせず)スキルを使えばいい。
コンパニオンは一定の範囲でカスタマイズし,強化することが可能だ。具体的には装備やスキル,使用する騎乗動物などを設定できた。
装備はコンパニオン専用のものが用意されるようで,通常のアイテムとは別のタブにカテゴリ分けされていたが,武器なら両手剣や弓,防具なら重装や軽装と種類自体はプレイヤーと同一のようだ。プレイヤーキャラクター同様,持っていれば何でも装着可能で,会話からコンパニオンのメニューを開き,簡単に設定できる。
ただし,キャラクターそれぞれに得意とする装備があり,発動できるスキルもそれに準じているため,なるべく適性にあった武具を選ぶのが良さそうだ。例えば破壊魔法を得意とするBastianは杖を持たせた方が活躍できそうだし,Mirriは明らかに弓を主体とするような保有スキルとなっていた。
コンパニオンにはレベルも設定されており,基本的にはプレイヤーと同じく戦うほど経験値がたまり,レベルアップして強くなっていく仕組みになっているようだ。
パラメータには信頼度のようなゲージもあり,プレイヤーの行動によって上下していく。試遊ではBastianをお供のしていたところ,一緒にある程度戦いをこなすだけでゲージが少しずつ上昇していった。細いところまでは確かめられなかったが,クエスト中の選択肢の選び方や犯罪行為などでどう変化するのか気になるところだ。
育成にはそれなりの手間がかかりそうな雰囲気もあるが,シリーズでは定番の“NPCの仲間”と一緒に冒険できるようになったことは嬉しいポイントだ。一部のコンテンツを除き,基本的にソロでプレイしても何ら問題なく進められるESOは,1人きままにゲームにアクセスするという人も少なくないはず。ソロプレイをより充実させてくれそうなコンパニオンは,心待ちにしていたというプレイヤーも多かったかたのではないだろうか。
初心者向けの配慮としては,ゲーム開始時のチュートリアルクエストが再度刷新されたことも挙げられるだろう。ESOは新章がリリースされるたびに,チュートリアルクエストもそれに合わせたものに変更されていったが,今回の変更はそれとは少し違った印象だ。
具体的には,閉じ込められた場所から脱出し,ナビゲートを受けながらクリアを目指すという仕組み自体は変更がない。だが,例えばコールドハーバーからの脱出は,これまでは“半分実践形式”といった感じで情報収集その道程もかなり長めだったのに比べ,今回は完全にチュートリアル然としており,バッシュなどの戦闘トレーニングも慣れるまでいくらでも繰り返すことができ,簡単だがステルスの練習もできた。
さらにそれを終えたのちは,アカウントに導入済みであればタムリエルの好きな場所に飛べるように変更されていた。過去のコンテンツをプレイ済みの人はそのまま新たにブラックウッドに行けるし,まだサマーセットやエルスウェアを遊んでいないという人は,それらを選択できる。移動前に,選んだエリアの状況が簡単に説明されるところも嬉しいポイントだ。
以前の物語を振り返りたい人,ブラックウッド配信を機にESOを始めたという人には嬉しい変更ではないだろうか。
その他のブラックウッドの新コンテンツとしては,デイドラを崇拝するカルト教団から,12人で協力してエリアの奪還を目指す新しい試練「ロックグローブ」がある。場所としては,ブラックウッド地方のさらに南端と呼べるエリアにあり,レヤウィンの近くから馬車で瞬時に移動し,簡単に参加出来るようになっていた。
基本は既存の試練と同じで,チームを組みボスを倒していくダンジョンとなっており,敵が強すぎて試遊用のアカウントでは勝負にならなかった。今までの試練を楽しんできたプレイヤーなら,挑戦しがいのある冒険となるだろう。さらに新規のワールドイベントとして,ブラックウッドの各地に点在している転移門からオブリビオンの領域に進入し,強敵たち排除しながら中心部を目指す「オブリビオンのポータル」が登場するなど,新章はまさに“デイドラとオブリビオン尽くし”になっている。
国内では筆者のように,OblivionからTESシリーズに入った人は少なくないと思うが,新章はまさにそんなTESファンにド直球で“刺さる”となっている印象だ。
2021年は,Oblivion発売15周年の年であり,まさにそれを記念するかのようなコンテンツが追加されるのもTESファンとしては嬉しいところ。チュートリアルの刷新で新たに始めやすくなっているので,まだESOをプレイしていないというTESファンにもオススメできそうだ。
新しいシロディール南部と,オブリビオンを体験できる6月1日のリリース日を楽しみに待とう。
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