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SNS自体をゲームにしてしまった「my GAMECITY」とは? コーエーテクモゲームスのキーパーソンにその概要と今後の展開を聞いた
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印刷2012/03/31 00:00

インタビュー

SNS自体をゲームにしてしまった「my GAMECITY」とは? コーエーテクモゲームスのキーパーソンにその概要と今後の展開を聞いた

 コーエーテクモゲームスは2012年3月14日,同社のコミュニティサイト「my GAMECITY」のリニューアル発表会を行い,「プラットフォームがゲームになっている」という新しいゲームSNS「my GAMECITY」を同日公開した(関連記事)。

画像集#002のサムネイル/SNS自体をゲームにしてしまった「my GAMECITY」とは? コーエーテクモゲームスのキーパーソンにその概要と今後の展開を聞いた

 今回,my GAMECITYに追加されたゲームSNS「my GAMECITY」(サイト名と同じなので若干ややこしい)は,同社のソーシャルゲームへのポータルやコミュニティツールとしての機能を持ちつつ,それ自体で「街作りゲーム」が楽しめるというもの。
 街に設置できる建物は,「信長の野望」「DEAD OR ALIVE」「アンジェリーク」といった,コーエーテクモゲームスIPをモチーフにしたもので,プレイヤーが各タイトルの遺跡へ冒険に出かけ,そこでアイテムを集めることで,作成できる建物の種類が増えていくという仕組みだ。
 建物のモチーフとなる作品のIPは,今後も追加されていく予定とのこと。

 4Gamerでは,この発表会のあとに,コーエーテクモゲームス 執行役員 藤田一巳氏および,my GAMECITYで展開するソーシャルゲーム「100万人の三國志 Special」のディレクターである松本 秀氏に,さらに突っ込んだ話を聞いてみたので,その内容をお伝えしよう。

コーエーテクモゲームス 執行役員 藤田一巳氏(左),「100万人の三國志 Special」ディレクター松本 秀氏
画像集#021のサムネイル/SNS自体をゲームにしてしまった「my GAMECITY」とは? コーエーテクモゲームスのキーパーソンにその概要と今後の展開を聞いた

「my GAMECITY」公式サイト



ゲームクリエイターとしてのシブサワ・コウが発案したゲームSNS構想


4Gamer:
 よろしくお願いします。2011年8月に藤田さん自身が構想をプレゼンしてから7か月,いよいよ「my GAMECITY」のサービスがスタートするわけですが,所感などを教えてください。

藤田一巳氏
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藤田一巳氏(以下,藤田氏):
 ようやくここまで来たな,というのが率直な感想です。当社では,2010年末に襟川(陽一氏)が代表取締役社長に復帰する直前に,「100万人の信長の野望」や「100万人の三國志」が成功していたこともあり,「これからはネットワーク事業に力を入れていく」とモバイルのソーシャルゲームを矢継ぎ早に投入し,またそのための人員も増やしてきました。
 その一方で,当社ポータルサイトのGAMECITYには,220万人の登録会員がいます。その会員に向けた,もっと身近で,かつ腰を据えて遊べるようなPCブラウザゲームの開発にも取り組んでいました。とはいえ,他社さんも同様の取り組みをしているわけですから,コーエーテクモならではの付加価値が必要になるだろうと,喧々諤々の議論を重ねていたんです。

4Gamer:
 そこでゲーム「my GAMECITY」の構想が生まれたわけですね。

藤田氏:
 ええ。本作のゼネラルプロデューサーであるシブサワ・コウ(襟川陽一氏)が「よし,プラットフォーム自体をゲームにしてしまおう」と言ったのです。そのとき,ゲームSNSという考え方が生まれました。

4Gamer:
 クリエイター「シブサワ・コウ」の閃きですね。

藤田氏:
 今でも覚えていますが,会議でmy GAMECITYの構想を話しあっていたときに,襟川が「もっとゲームにしよう」と言ったんです。他社さんのサイトのように,いろんなコンテンツを入れようという案も出たのですが,「いや,ゲームだ。ポータルそのものをゲームにしよう」と。
 ただ,その考え方を全社的に共有するためには,かなりの時間を要しました。開発チームや,サイトを運営するチームとゲームSNSについての考え方を共有できたのが,2011年8月のことです。

4Gamer:
 なるほど,それでモバイルのソーシャルゲーム参入よりも発表が遅くなったんですね。

藤田氏:
 その段階では発表できるタイトル数も全然揃っていませんでしたから,まずは「こういうことをやっていく」という構想と意欲だけをお話することになりました。
 そして今,今後の継続的なタイトルのローンチを含めて,戦略的に展開できる段階に至ったというわけです。

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コーエーテクモゲームスのファンに,よりゲームを楽しませるための「my GAMECITY」


4Gamer:
 my GAMECITYのターゲットとなるのは,まず220万人のGAMECITY会員ですよね。

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藤田氏:
 そうです。モバイルにしてもPCブラウザにしても,ソーシャルゲームはゲームの歴史から見てまだまだ新しい,始まったばかりのジャンルです。コンテンツはこれからどんどんリッチ化,多様化していくでしょう。そこで,まずは220万人というGAMECITY会員,言い替えればコーエーテクモゲームスのファンをターゲットにmy GAMECITYを展開していきます。

4Gamer:
 発表会では,その会員220万人を1年前後で1000万人にすると,藤田さん自身がおっしゃっていました。

藤田氏:
 そのくらいの気持ちで取り組まないとダメだと思うんですよ。2011年8月の段階では,3年以内に1000万人を目標としていたのですが,それでは本気度が足りません。
 コーエーテクモゲームスの社訓には“創造と貢献”という言葉があります。その社訓を具現化するうえで,新しいサービスの提供は非常に重要なことです。そして,「信長の野望」シリーズが30周年を迎える2013年は,当社にとって大きな節目となります。それらを考え合わせ,本気でmy GAMECITYという新しいサービスに取り組み,社会に貢献していこうと考えたわけです。

4Gamer:
 しかし同じコーエーテクモゲームスファンでも,コアな層とそうでない層がいますよね。1000万人という大きな数字を達成するとなると,ゲーム特化のポータルでカバーしきれるのでしょうか?

藤田氏:
 my GAMECITYは,東京ゲームショウやコミックマーケットみたいなイメージのゲームコンテンツの集合空間なんですよ。

4Gamer:
 と言いますと?

藤田氏:
 例えば今回の発表会にゲストとして来ていただいた小日向えりさんなら,ご自身のmy GAMECITYを「三國志」シリーズの建物で固めるでしょう。そして同じようなことをしてくださる「DEAD OR ALIVE」シリーズファンや「アンジェリーク」シリーズのファンもいらっしゃるはずです。
 同時にmy GAMECITYはソーシャルゲームでもありますから,そちらでは,ほかのプレイヤーの街を訪れる必然性があるミッションを用意してあります。そのときに,訪れた先のプレイヤーの好みや主張が,可視化された情報として目に飛び込んでくるわけです。

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4Gamer:
 なるほど。プレイヤーの自己表現の場であり,ほかのプレイヤーの表現を鑑賞する場にもなるわけですか。確かに今のコミケやゲームショウも,コアな層とライトな層がそれぞれ参加して一つのコミュニティを形成していますね。

藤田氏:
 そうです。またゲームショウやコミケでは,来場者の間で例えばすれ違い通信だったり,直接のやりとりだったりで,ゲームファン同士での情報やアイテム交換といったトレードが発生します。そうした要素を,さまざまなIPのエリアを行き交って,ミッションのインセンティブを得るという形でmy GAMECITYでは表現しています。ただ,こうした試みは,そもそも多数のIPが投入されていないと実現できません。

4Gamer:
 2011年8月の発表会から稼働まで時間がかかったのは,それらを用意するためということですね。

藤田氏:
 はい。我々はさまざまな広告宣伝/マーケティング戦略を打ち出しますが,人を増やそうと考えるなら,ファンやプレイヤーが“燃える”タイトルや空間を作り出し,その上にコンテンツを乗せていく手法が最も効果的です。そこでゲームを愛する人のための空間としてmy GAMECITYという空間を用意したわけです。
 そして,そう考えた場合,1000万人という数字はそれほど遠いものではないとも考えています。


コーエーテクモゲームスのIPをモチーフにしたアバターや建物
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カードデッキ編成に戦略性を持たせつつ,誰でも楽しめるように仕上げた「100万人の三國志 Special」


4Gamer:
 続いて,my GAMECITYに投入される「100万人の三國志 Special」について,GREE版の「100万人の三國志」とは,何が異なるのかあらためて教えてください。

松本 秀氏
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松本 秀氏(以下,松本氏):
 携帯電話は通信状況の問題や,画面サイズが限定されるので,複雑な情報を処理することが難しいです。そうした点とお客様の嗜好を踏まえ,GREE版はライトな作りにしています。
 その一方でmy GAMECITY版はコーエーテクモゲームスファンに向けて作っていますから,当社の歴史シミュレーションに親しんでおられる方もターゲットに含まれます。そうなると,ゲーム性を高めたほうがより楽しんでいただけるでしょう。

4Gamer:
 よりPCやコンシューマのパッケージタイトルに近い内容になっているわけですか。

松本氏:
 いえ,my GAMECITY版もあくまでもソーシャルゲームです。サクサクと進行する爽快感に留意しつつ,見た目を損なわないようにし,かつポイントごとの戦略性を高めるといった内容になっています。

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4Gamer:
 例えば,どういった部分に戦略が必要となりますか?

松本氏:
 最も戦略性が必要とされる部分は,デッキ編成ですね。発表会ではあまり詳しくお話しなかったのですが,デッキ編成はコスト制になっており,武将ごとに必要コストが定められています。そのためコストの高い有能な武将を「猛将」「智将」「将軍」のどこに配置するか考える必要があります。当然,対戦相手も同様に相手の手を考えながら武将を配置するので,お互いに相手のデッキがどうなっているかを読み合いながらゲームを進めていくわけです。

4Gamer:
 発表会ではサービス開始後の改善についても言及されていました。サービス開始後のアップデート予定は,すでに何か決まっていますか?

松本氏:
 「特技」という要素を準備していますが,「100万人の三國志 Special」で初めてお客様に提供する要素が多いので,まずはプレイしていただいた反応を見ながら内容を調整する必要があります。したがって,今のタイミングでは詳細や実装時期などをお話しするのは難しいですね。

4Gamer:
 分かりました。ちなみにGREE版とプレイヤーデータの共有などはできるんですか?

松本氏:
 今の段階では,予定はありません。

藤田氏:
 my GAMECITY版はデッキ編成などをじっくり考えるゲーム,GREE版はモバイルならではのテンポのよい進行を楽しむゲームというように,それぞれの長所を生かした展開になっていくと予想しています。あえて同じ方向に伸ばす必要はないですから。

松本氏:
 私自身も,それぞれに対してお客様がどういった要望をくださるのか,それによってどういう形で展開していくのか楽しみなんです。私は“ソーシャルゲームとは生き物である”と捉えていますから,両者が全くの別モノになることも考慮に入れています。

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コーエーテクモIPのソーシャルゲームタイトルと街ユニットを継続して投入


4Gamer:
 それでは,今後の展開について教えてください。将来的にはmy GAMECITYをスマートフォン/タブレットPCに対応させることも視野に入れているとのことですが。

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藤田氏:
 ええ。ただ,実際にmy GAMECITYをスタートさせてからのユーザー動向を確認する必要がありますし,決済手段をどうするかという課題もありますから,この部分に関しては今後3か月かけて基本的な方針を固めることになります。
 また,PCベースの展開が有効な地域や,スマートフォンやタブレットPCが有利な地域なども考慮に入れる必要があるわけです。

4Gamer:
 なるほど。グローバル展開も踏まえているんですね。それではコンシューマベースの展開はどうでしょうか。

藤田氏:
 もちろん,将来的な連動などは考えています。具体的に検討を始めていますが,現時点でお話できることはまだありません。

4Gamer:
 先ほどの発表会で,コーエーテクモゲームスIPのソーシャルゲームを,2012年夏までに2タイトル追加と話されていましたよね。

藤田氏:
 ええ。具体的な内容は,順次発表していきます。そのあとも,コンスタントに新タイトルを投入できるよう準備を進めていて,プロジェクト内では投入する順序もある程度決定しています。

4Gamer:
 タイトルという意味でも気になったのが,先ほどの発表会でスライドに懐かしいタイトルのロゴが登場していましたよね。コーエーテクモゲームスの長い歴史の中では,現状,リリースがストップしているシリーズもありますが,そういったシリーズもmy GAMECITYの街ユニットに追加されるんですか。

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藤田氏:
 ええ,いわゆるレガシータイトルの投入も考えています。

4Gamer:
 そうすると,そのシリーズ自体にも何か動きがあるのか,と気になってしまうところですが。

藤田氏:
 そういうわけではありません。あくまでゲームSNSとして,さまざまな層の方に馴染みのある要素を入れることで,より自由に楽しんでいただこうという意図によるものですから。

4Gamer:
 my GAMECITYの街ユニットで登場したからといって,それが即,パッケージ版のシリーズが復活するというわけではないんですね。

藤田氏:
 そうです。もちろんプロモーションとして連動するケースはありますが,全部が全部そうなるわけではありません。

4Gamer:
 分かりました。最後に,my GAMECITYに興味を持った人に向けて,メッセージをお願いします。

松本氏:
 繰り返しになってしまいますが,100万人の三國志 Specialはソーシャルゲームの良さをそのままに,それだけでは物足りないという方に楽しんでいただけるよう仕上げています。ぜひ多くの方にプレイしていただきたいです。
 またポータルとしてのmy GAMECITYとの連動は,我々作り手も非常に楽しみにしています。my GAMECITYを介したタイトル間連動は,従来のプラットフォーム以上にいろんなことができますので,そこで実際に何をやるのかは我々に与えられた課題でもあります。さまざまなチャレンジをしていきますので,ぜひ楽しみにしてください。

藤田氏:
 まず触ってください。ゲームSNSは,新しいジャンルですから,なかなか概要を掴みづらいかと思います。百聞は一見にしかずということで,ぜひ実際に触ってみて,コーエーテクモゲームスが何をやろうとしているのかを感じ取ってください。私達も,次々に新しい仕掛けを展開していきますし,最初に触ったときよりも二回目,二回目よりも三回目というように,どんどん内容を良くしていきます。よろしくお願いします。

4Gamer:
 本日は,ありがとうございました。

――2012年3月14日収録


「my GAMECITY」公式サイト

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    100万人の三國志 Special

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