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印刷2012/03/16 20:47

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「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?

グリー メディア事業本部 エグゼクティブディレクター 土田俊郎氏
画像集#002のサムネイル/「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
 本日(2012年3月16日)東京・北青山の「TEPIA」にて開催された「Open Game Contents 2012」で,グリーの土田俊郎氏は,「ソーシャルゲームは、コンソールゲームを目指すのか? 〜ドラゴンアークの開発、運営から〜」と題したセッションを行った。
 土田氏といえば,「フロントミッション」「アークザラッド」などのコンシューマゲームを手掛けたほか,「ファイナルファンタジーXIII」PS3 / Xbox 360)のバトルディレクターなどを務めたことで知られるゲーム開発者。最近では,セッションタイトルに含まれているソーシャルゲーム「ドラゴンアーク」iPhone / Android)を世に送り出している。
 今回のセッションでは,ソーシャルゲームの現状と,今後どう進化していくのかが語られた。

現在のコンソールゲームの状況
画像集#013のサムネイル/「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
 まず土田氏は,「現在のソーシャルゲームの状況は,コンソールゲームの歴史と重なる部分がある」と述べ,コンソールゲーム市場の推移を振り返った。任天堂の「ファミリーコンピュータ」が発売されてから28年が経ち,ゲームは人々の生活を豊かにし,広い世代で遊ばれるようになったと土田氏。しかし,現状,コンソールゲームは,「開発プロセスが複雑化して開発費用が高騰」「強力な海外デベロッパの出現により,日本以外でのシェア拡大が難しい」「ハードウェアの多様化」といった3点からマーケティングが難しくなったり,投資リスクが増大したりするため,慎重に開発を行わなければならず,新しいものが生まれにくい閉塞状況にあるという。

画像集#003のサムネイル/「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
ファミリーコンピュータが登場して28年,ゲームは人々の生活を豊かにし,広い世代で遊ばれるようになったと土田氏
画像集#004のサムネイル/「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
コンソールゲームとソーシャルゲームにおける,ゲーム市場の推移を示したスライド

ソーシャルゲーム市場の規模を示したスライド。2009年から2010年にかけて急成長しているのが分かる
画像集#005のサムネイル/「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
 一方のソーシャルゲームは,2000億円規模の市場に拡大すると見込まれるほどの急成長を遂げていると土田氏は言う。スマートフォンでの売り上げの伸び率が顕著で,2011年6月を基準として,4か月後の10月には655%もの成長を遂げたそうだ。ソーシャルゲームは,コア化していたゲームユーザー層に対して,ゲームをプレイさせるきっかけとなり,ユーザー数を飛躍的に拡大できたのが理由とのことだ。
 とはいえ,ゲーム自体が成功しなければユーザー数の拡大も見込めない。土田氏によれば,ソーシャルゲームを成功させる秘訣は,「徹底した障害となる要素の除外,好まれる要素の最適化」と「ログを見て客観的に,ロジカルにゲームを進化させる」の2点だという。

 どういうことか説明していこう。
 土田氏がコンソールゲームを開発していた頃に行ったアンケートによると,ゲームをプレイするにあたって大きな障害となるのは,「時間がないこと」「お金がないこと」だったという。無料でいつでもプレイ可能なソーシャルゲームならば,この2つの大きな障害がクリアできるというわけだ。また,ソーシャルゲームでは,ログを解析することでユーザーが求めるものを提供することができるとも土田氏は述べている。

画像集#007のサムネイル/「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
2011年6月〜10月のグリーにおける,スマートフォンでの売り上げを示したグラフ
画像集#006のサムネイル/「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
ソーシャルゲームで成功を収めるには,ユーザーが求めるものを取り入れることが重要だという

 グリーでは,「集客」「活性化」「収益化」を軸に考え,GREEの会員数に対してそのタイトルへの流入率がどの程度なのかや,ゲーム登録者に対してログイン率がどの程度なのか,そしてログインユーザーに対して課金率がどの程度なのか,といったようにさまざまな視点で,すべての事象を可視化して開発を進めているとのこと。この手法がグリーの成功につながっているのではと土田氏は語る。

画像集#008のサムネイル/「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
グリーでは,集客,活性化,収益化が企画の3大モデルとして考えられている
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企画モデルを事業に結びつけることで,数値化し,分析を行っているという

土田氏が語るこれからのソーシャルゲーム
画像集#010のサムネイル/「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
 続いて話題は,ソーシャルゲームの今後がどのように進化していくかというテーマに。コンソール機やPCなどの進化を見ても明らかなように,今後スマートフォンは確実にハードウェアが進化し,表現力が向上することは間違いないと土田氏。今後ソーシャルゲームでも,「手ざわり,思い入れ,愛着といったユーザーの要望」や「映像,音声,操作性などを駆使して,深く没入できるような仕組み」が表現できるようになるという。土田氏は,それにより,ソーシャルゲームでも,シリーズ作品としてユーザーに愛されるタイトルが生み出せるようになるとした。

 その一方で,開発期間の長期化や軌道修正の難しさといったコンソールゲーム開発でありがちなリスクをソーシャルゲームでも抱える可能性があると土田氏は指摘。開発期間が長くなることで,ユーザーが求めるものとかけ離れてしまう危険性があるという。
 そんなユーザーのニーズとのかい離に対して,土田氏が出した答えは「早く出す」ということ。素早くリリースするためには,成功したゲームモデルを解析・定義し,フレームワークとして利用できるようにする体制を整えることと,効率の良い短期間開発を行い,ユーザーと共に進化させていくことが重要になるとのことだ。

画像集#011のサムネイル/「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
 それらの要素を取り入れたのが,土田氏の手掛けたドラゴンアークというわけだ。ドラゴンアークでは,アクション要素とシミュレーション要素とを取り入れたり,課金による時間短縮要素を採用したりと,ユーザー自身が状況に応じて遊び方やモードを選択できるように心がけたと土田氏は語る。また,ユーザーが自分の生活に合わせて,遊ぶ時間やシチュエーションを選ばないゲームデザインをしていきたいという。
 土田氏は最後に,「ドラゴンアークは,グリーが挑戦する新しいソーシャルゲームへの第一歩である」と述べてセッションを締めくくった。

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