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「ドラゴンアーク」を手掛けた土田俊郎氏が語るこれからのソーシャルゲームとは?
土田氏といえば,「フロントミッション」や「アークザラッド」などのコンシューマゲームを手掛けたほか,「ファイナルファンタジーXIII」(PS3 / Xbox 360)のバトルディレクターなどを務めたことで知られるゲーム開発者。最近では,セッションタイトルに含まれているソーシャルゲーム「ドラゴンアーク」(iPhone / Android)を世に送り出している。
今回のセッションでは,ソーシャルゲームの現状と,今後どう進化していくのかが語られた。
ファミリーコンピュータが登場して28年,ゲームは人々の生活を豊かにし,広い世代で遊ばれるようになったと土田氏 |
コンソールゲームとソーシャルゲームにおける,ゲーム市場の推移を示したスライド |
とはいえ,ゲーム自体が成功しなければユーザー数の拡大も見込めない。土田氏によれば,ソーシャルゲームを成功させる秘訣は,「徹底した障害となる要素の除外,好まれる要素の最適化」と「ログを見て客観的に,ロジカルにゲームを進化させる」の2点だという。
どういうことか説明していこう。
土田氏がコンソールゲームを開発していた頃に行ったアンケートによると,ゲームをプレイするにあたって大きな障害となるのは,「時間がないこと」と「お金がないこと」だったという。無料でいつでもプレイ可能なソーシャルゲームならば,この2つの大きな障害がクリアできるというわけだ。また,ソーシャルゲームでは,ログを解析することでユーザーが求めるものを提供することができるとも土田氏は述べている。
2011年6月〜10月のグリーにおける,スマートフォンでの売り上げを示したグラフ |
ソーシャルゲームで成功を収めるには,ユーザーが求めるものを取り入れることが重要だという |
グリーでは,「集客」「活性化」「収益化」を軸に考え,GREEの会員数に対してそのタイトルへの流入率がどの程度なのかや,ゲーム登録者に対してログイン率がどの程度なのか,そしてログインユーザーに対して課金率がどの程度なのか,といったようにさまざまな視点で,すべての事象を可視化して開発を進めているとのこと。この手法がグリーの成功につながっているのではと土田氏は語る。
グリーでは,集客,活性化,収益化が企画の3大モデルとして考えられている |
企画モデルを事業に結びつけることで,数値化し,分析を行っているという |
その一方で,開発期間の長期化や軌道修正の難しさといったコンソールゲーム開発でありがちなリスクをソーシャルゲームでも抱える可能性があると土田氏は指摘。開発期間が長くなることで,ユーザーが求めるものとかけ離れてしまう危険性があるという。
そんなユーザーのニーズとのかい離に対して,土田氏が出した答えは「早く出す」ということ。素早くリリースするためには,成功したゲームモデルを解析・定義し,フレームワークとして利用できるようにする体制を整えることと,効率の良い短期間開発を行い,ユーザーと共に進化させていくことが重要になるとのことだ。
土田氏は最後に,「ドラゴンアークは,グリーが挑戦する新しいソーシャルゲームへの第一歩である」と述べてセッションを締めくくった。
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